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107 名前:鬼畜王文台 ◆C6nfqQUYs. [sage] 投稿日:2009/09/29(火) 22:59:05 ID:Tup7NFeg0

第七章第七節が仕上がったので投下。
今日はハイペースです。

ちんこの作戦描写については物語の進行上必要なことなのでご理解ください。
ただし、強さ比較はいささか地雷気味だったようなので、以後自粛。
初心者であることをかさに着るつもりはございませんが、
なにぶん至らぬ点多々あると思いますので、寛大な御心で接してくださるよう
よろしくお願いいたします。

108 名前:1[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:02:37 ID:Tup7NFeg0


-7-


あの小さな金髪の女の子、魏王曹操は激しく後悔しているようだった。
自分と対峙している呉の王、煌蓮さんこと孫文台との実力差が、あまりにも開きすぎていたからである。
彼女は相手を舐めすぎていたのだ。


曹操「う………うぅ…… ゼェーーッ! ハァーーッ! ゼェーーッ! ハァーーッ!ゼェーーッ! ハァーーッ!
   ……ゲホッゴホッッッ!! ゼェーーッ! ハァーーッ!………」

夏侯惇「ぐううぅぅっっっ…… 何というすさまじさだ! 我らが三人がかりで挑んでも
     まるで手も足も出んとは……!! たった五合で手がしびれて、最早右手が動かん!!!」

夏侯淵「これが……呉の武烈皇帝と号された、孫文台の実力か……
    まさか、我が神弓の矢を…すべて、それも素手で握られてしまうとは…」

典韋「春蘭様、秋蘭様! 私たちも加勢します!
   どうか、戦列に加わらせてください!!!」

夏侯淵「よせ季衣、流琉!! この者はお前たちなどでかなう相手ではない!!
     我らが敵わぬ者にお前たちが太刀打ちできるものか!!」

夏侯惇「秋蘭の言うとおりだ!! こやつの強さは、まるで人間のそれではないぞ!!
     華琳様っ、ご無事ですか!?」

曹操「はぁ…はぁっ、はぁっ…ぜー、ぜー……あ…あまり無事とはいえないわね」
109 名前:2[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:03:30 ID:Tup7NFeg0

夏侯淵「申し訳ありません華琳様…我らの力が至らぬばかりに……」

曹操「い…いいのよ秋蘭……元はといえば、この私が相手の実力を読み間違えていたのが原因……
   知も……武も……軍も……すべて相手が上回っていただけのこと……」

煌蓮「グバルルァァ!! もうオシマイなのかい、魏の小娘さんたちよぉっ!!
   それとも今度はそっちにいるおチビちゃんたちが相手になってくれるんかい!!?
   どっちでもいいよ、みんなまとめて、力ずくで来ぉぅいい!!
   どいつもこいつもみんなみんな、うちの娘たちの代わりに相手になってやるわ!!!!
   宇卯迂理李異伊以意医胃鋳委威位夷囲!!!!!!!!!!」

蓮華「すごいわ母様……私たちが割ってはいる余地もない」

小蓮「うわっ、すっごーい☆ あーんなでっかい鉄のイガイガ球を、真っ二つに切り裂いちゃったわ!!
   がんばれー、おかーーーさまーー」

白蓮「うわっ!!? 今度はあんな太鼓みたいなのを、コブシ一発で跳ね返しやがったぞ!!」

一刀「…どう見ても人外です、ありがとうございました」

雪蓮「あ〜ぁ、典韋ちゃん、ふっ飛ばされちゃったわ……あんなちっちゃな子が、
   あの鬼畜に勝てっこないのに……
   曹操も、あーんなボッキリ折れた鎌でどうやって戦う気なんだろ
   いーなー。あたしもあいつらに仕返ししてやりたいのにー」
110 名前:3[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:04:21 ID:Tup7NFeg0


本当に煌蓮さんは、復讐と断罪の鬼神と化していた。
夏侯惇を蹴り飛ばして四つんばいにして、その上に片足を乗せて踏み台代わりにすると、、
持っていた大剣を奪い取って南海覇王との二刀流にし、夏侯淵の放った矢をひとつ残らずはじき落とした。
そしてその矢を拾って典韋の太鼓に投げ返して大穴を空けさせると、
許緒の小脇をひっ抱えて典韋の体めがけて思いっきり投げ飛ばした。
さらに折れた曹操の鎌をひったくり、柄で鳩尾を打ち据えて一撃の下にダウンさせてしまう。
くるくるの髪を引っ掴まれてみぞおちを極(き)められた曹操は、
さらに頭を殴りつけられて問答無用で覚醒させられた。
今度はその辺にいた『曹』の牙門旗を掲げていた兵士に、夏侯淵の矢を投げ返して絶命させると、
その曹旗を口にくわえ、丸ごと食い破ってしまった。
これを見た曹魏の兵たちは一様に恐怖と戦慄を覚え、直立不動以外の動作ができなくなってしまっていた。
結果、魏の将軍内で無傷の者は、夏侯淵と軍師の程cの計二人のみとなった。
そのそばで見ていた程cはというと……なぜか鼻ちょうちんを広げて爆睡していた。


煌蓮「オラアァッッ!! どうした!? 貴様らぁ、それでも、軍人かぁっ!?
   あたしゃ知ってんぞ!! 高祖劉邦配下の夏侯嬰(かこうえい)の
   末裔が、聞いて笑うわぁっ!!!」

曹操「………!!! どうして、それをっっ!?」

煌蓮「簡単さ。 ある人がお前らの正体から行軍先まで、ぜーーーーんぶバラしてくれたからね。
   海賊や山賊の伝や情報網をナメんじゃないよ。
   あとは、そこにいる御遣い様が、作戦の立案から兵の配置まで
   原案を一気にまとめてくれたってわけさ。 あたしと公謹は、坊主の策をただ忠実に実行しただけさね」

111 名前:4[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:05:06 ID:Tup7NFeg0

夏侯淵「では……楽浪の食糧や武器があらかた無くなっていたのは…」

煌蓮「あん? んなもん簡単さ。 北にある丸都に、うちの仲謀と興覇に船ごと全部引き上げさせたのさ。
   それよりいいんかい? 洛陽にいる文若ちゃんと、許にいる少帝ちゃん、
   あそこら辺りもぬけの殻も同然だから、今頃劉備んとこ抜け出してきた
   奉先と華雄の一派に掻っ攫われてる筈だよ?」

曹操「……なんですって!!?」

夏侯淵「ばかな……!! 桂花が…さらわれただと!?」

煌蓮「それよりもう御託はいいかい? 辞世の句が済んだならそろそろキメさせてもらうよ。
   ……冥琳、、あの慇懃女にそろそろ来るように伝えておいとくれ
   あたしゃあいつが苦手なんだけど、夏侯の娘っ子たちに事情を説明してやらんとね」

夏侯惇「慇懃女だと!? 誰だそいつは? 我らが華琳様はそのようなお方ではないぞ!!」

煌蓮「会えば分かるさ…尤も、あの腹黒女に会った瞬間、曹魏が呉に下ることになっちまうけどね。
   ったく、自分の娘を嵌めるなんて、エゲツないったらありゃしないよ」

112 名前:5[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:06:06 ID:Tup7NFeg0

???「あら、申し訳ございませんお姉様。あまりにも決着がつくのが遅かったものですから、
     痺れを切らして参上してしまいましたわ」

夏侯惇「誰だっ! 我ら魏武の勇将と孫呉の王の聖戦を邪魔立てするものは、
     この夏侯元譲がその素っ首を叩き斬ってやるぞ!!!」

???「あらー、春蘭ちゃん。 おひさしぶりー、ずいぶん大きくなったのねぇ。
     でもそんな折れた剣じゃ首を切ることもできないと思うんだけれどねぇー」


俺たちの居る背後から全身を白い装束に包んだフード姿の人物が、一人、こちらにやってくる。
その女性と見られる人物は、まるでそこが戦場とは思えないくらいの優雅な足取りで近づいてくると、
深々と一礼し、そして、一気にフードとローブをバサッと取り払った。

その瞬間、曹魏のすべての将軍たちが、武器を取り落として硬直する。

袁術を大きく成長させて、胸の大きさを五倍増しにしたような人が立っていた。
まさに、大人の色香漂う淑女だと感じた。
…ヤバイ。 食われたらただじゃ済まないぞアレは。 口は笑ってるけど目が据わっている!
曹操たちもかわいそうに。一難去ってまた一難、泣きっ面に蜂とはまさにこのことだろう。
113 名前:6[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:06:58 ID:Tup7NFeg0

曹操「お………おおおおおおおおお母様!!??」

夏侯惇「へ? へ?? へ???」

夏侯淵「なんと……」

煌蓮「あーぁ、来ちまったんかい。 どうでも良いけどその袁家面でモノをしゃべんないでくれんか?
   虫唾が走ってついついボコシたくなるから嫌なんだよあたしゃぁ。
   ……坊主、馬鹿娘たち、あと夏侯の娘っ子たちもよく聞きな。こいつの名は曹嵩(そうすう)。
   あたしがまだ聖台姉様と一緒に洛陽にいて、
   そのとき通ってた塾生の後輩でね…もう二十年近く昔になるか…
   まぁ、そのとき以来の腐れ縁でな、い ち お う 同じ盃を交し合った義理の姉妹って奴さ。
   孫呉に情報を横流ししてたのは、一から十まで全部この慇懃腹黒女の仕業だよ」

曹嵩「あら、ひどいですわお姉様。わたくし、お姉様にお会いできる機会を
   今か今かとお待ち申し上げておりましたのに、にっくき黄祖の矢を受けて
   黄泉の国に旅立たれたとの悲報を耳にしたときは、
   私は生きがいを無くしてしまったと思っておりましたわ。
   それで再びこの世に出戻られたとの風の噂を耳にしたときは、いても立ってもいられず、
   あの手この手でお姉様と天の御遣い様にお会いしたいとの一心にて
   今日この日を何度夢見てきたか…」

煌蓮「ええぇぇい、いちいちじゃかぁしいわぁ、くっつくな!!
   夏侯の連中はどうしてこうも狐や狸が多いんだい?
   良いからさっさと自己紹介を済ましておしまいよ」
114 名前:7[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:07:41 ID:Tup7NFeg0

曹嵩「はい、承りましたわお姉様。それでは…
   わたくし、姓は曹、名は嵩、字は巨高(きょこう)。
   そして天譴様、孫家のお嬢様がた、わたくしの真名は永琳(えいりん)と申します。
   以後よろしくお願い申し上げます。
   わたくしには薬草や医術の心得がございますゆえ、多少なりとも皆様方のお役に立てるやも知れません。
   我ら曹魏百万、これより孫呉の旌旗の元に参内申し上げます。
   そ、れ、と。
   私の娘たちがお姉様の部下の方々に粗相をしたようなので、
   少しばかり、お仕置きをしておきたいのですが……いかがでしょう、お姉様」

煌蓮「あぁ、行ってきな。このアホンダラ共は孫呉(ウチ)の州(シマ)に断りもなく二度もブッ込んだ上に、
   あたしの大事な馬鹿娘を死の淵に追いやったトンでもない悪餓鬼だよ。
   おかげで後遺症が残って車椅子。
   ヘバッちまうからあんま長いこと歩いてられないんだよ、せいぜい半里が限度さ。
   っというわけで、遠慮はいらないよ、たっぷりヤキ入れておやり」

永琳「了解しました。そういうことでしたら、では…
   あ、な、た、た、ち、ちょーーーーっと、い、い、か、し、ら????」

曹操「も、もももも申し訳ございません母上!!
   孫呉には、孫呉にはすぐに和平交渉と停戦協定を結びますからぁーーー!!」
115 名前:8[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:09:05 ID:Tup7NFeg0

永琳「何を言っているのでしょうねぇこの子は。 まったく困ったちゃんね。
   そもそも、覇道と称して勝手に孫呉に攻め込んだ時点で、
   お母さんはお冠だ っ た の…………よ????
   秋蘭ちゃんはともかく、二人にはあれほどむやみに
   他国に戦を仕掛けてはなりませんと申しましたのに……
   あれほど、あんれほど……ねぇ???? (ニコニコニコニコニコニコニコ)」

夏侯惇「だ……大丞相様ああぁ……」

曹操「いーーーーやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!
   ゆーーーるーーしーーーてぇぇぇぇぇーーーー!!!!
   おーーーかーーーさあぁまああああぁぁぁーーーー……」

夏侯惇「しゅううううぅぅぅらああああぁぁぁーーーん……… たすけてくれえええええええーーーーー……」
116 名前:9(終)[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:09:38 ID:Tup7NFeg0


サラサラサラサラ……


夏侯淵「

     力拔山兮 氣蓋世 (力は山を抜き 気は世を蓋う)
     時不利兮 惇不逝 (時利あらず 惇逝かず)
     惇不惇兮 可奈何 (惇逝かざるを 如何すべき)
     孟兮孟兮 奈若何 (孟や孟や 汝を如何せん)

                               …うむ」

白蓮「うわぁ……辛辣過ぎるぞその詩は」

一刀「……ひでぇ」


第七章七節終了 八節に続く
117 名前:蒲公英曰く、[sage] 投稿日:2009/09/29(火) 23:15:40 ID:Tup7NFeg0
>>106

台本の件ですが、本作はゲーム内の表現に極力近づけることを至上としております。
そのため、本来なら字数も四行制限などを試みるべきなのですが、
さすがにそこまで再現することは難しいので申し訳。

本作を一番初めに執筆し始めたとおり、第六章途中から分岐なので、
当然カウント開始も第六章からです。

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