第七章六節が仕上がったので投下。
本節では、物語の進行上第三者視点が挿入されております、ご了承ください。、
なお、魯粛はいわゆるアニキ顔、韓当はチビ顔です。
魯粛は呉義賊の海賊出身、韓当は同じく義賊の馬賊出身です。

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曹魏軍四十万は慌てていた。
楽浪に入りしも、兵卒どころか住民そのものを一人たりとも見かけないからである。
乗ってきているはずの船舶すら一隻も見当たらない。
おまけに、市場には魚売りや野菜売りの商人もおらず、米屋や油屋、はては屋台にいたるまで
忽然と姿を消しており、まるで街全体が幽霊都市と化してしまったかのようだ。
城内の食糧や武器その他の備品類も、何もかも残らず丸ごと引き払われていた。
街中や城になっているりんごや桃も、熟れているものは大半がもぎ取られている。
庭園や街の広場の植え込みにも、所々一部掘り返された跡がある。
畑や水田の作物、果ては山菜ですら、食べられそうなものはあらかた収穫されてしまっていた。
牛や豚も同じで、飼育場には家畜がほとんど残っていない。
民家の台所も同じく、食糧や刃物等はすべて撤収されていた。
極めつけは役場の中であり、地図・台帳･戸籍謄本・収支報告書等、
証拠となるものは徹底的に持ち出されてしまっている。
あの黄巾党の連中ですら、ここまで奪いつくしたりはしない。
間違いなく、孫呉の息が掛かっていると見て良さそうだった。

連中は一体、どこに行ったのか。
帯方の住民らにその行き先を聞いてみても、皆が皆、やれ東だの、
やれ北に行っただの、やれ建業に戻っただのと返答がまったく一致していない。
曹操ら将校勢は途方にくれていた。

夏侯淵「……これでは話にならんな」

曹操「……完全にやられたわね。　まさか、ここまで徹底しているなんて」

程�c「華琳様ー、こちらも駄目ですー。証拠となるような書類は
　　　すべて廃棄されたか引き払われてしまっておりますねー」

典韋「秋蘭様、海のほうも駄目でした。漁船も軍船も一隻も見当たりません。
　　　アサリやハマグリなんかも一面掘り尽くされていました」

許緒「春蘭さまぁ〜、山も川もみんな駄目ですよぉー　ボク、もうおなかぺこぺこです」

夏侯惇「むぅ……これではいずれ兵たちは飢え死にを待つばかりだぞ！」

曹操「それにしても、よくもここまでたくらんだものね。
　　　これで輜重隊に火をつけられたら、私たちは文字通り万事休すよ」

夏侯淵「……まずいな」

夏侯惇「えぇい！　たかが孫呉の軍勢など我らが大軍を以って押し潰せばどうとでもなかろう！
　　　　　この夏侯元譲がやつらを血祭りに上げてくれるわ！！」

夏侯淵「姉者…それができなくなるやもしれぬから、我らはこうして憂えているのだ」

曹操「……流琉、確か船は、一隻もないって言ったわよね。本当に一隻もないのかしら？　小さな小船でも」

典韋「はい……」

曹操「沖に出でて、漁に行くことも逃げることもできない……か」

タッタッタッタッタッタッタッタッタ………！！


魏軍兵士「申し上げます！　たった今、町内に住人が残っておりまして、
　　　　　　呉の孫策殿より、孟徳様にこちらをお渡しするようにと……！！」

曹操「受け取りましょう。　見せなさい」

魏軍兵士「はっ！　こちらに」

曹操「何かしら、これは……四箇所を紐で結んであって……
　　　春蘭、開けてみなさい」

夏侯惇「はいっ、華琳様！」

夏侯淵「中身は……小豆、アジの干物、シメジ、干し肉、それと、大根の葉ですな」

夏侯惇「何だこれは？　我らに糧食でもくれてやったとでもいうのかあいつは！？
　　　　　それにしてはずいぶん量が少なすぎるぞ？」

程�c「それは違うと思いますねー、おそらく何か意図があるんだと思いますぅー」

許緒「でも何だろうこれー？　何か色々入ってるねー。
　　　あ、春蘭さま、何か紙が入ってますよ？」

華琳「見せなさい、季衣」

許緒「はい、これです華琳様」

曹操「これは…高麗の地図？」

夏侯淵「倭国の図も書かれておりますな」

曹操「遼東、歳、三韓、高句麗、倭国、建業の六箇所から楽浪に向けて……矢印？」

典韋「あ、もう一枚入ってます　こっちは魏と呉の地図ですね」

曹操「説明しなさい、秋蘭」

夏侯淵「はっ。　こちらは…洛陽から陳留、済北、済南、そこから遼東方面と青州方面に分岐…
　　　　、青州方面は、狼邪、下丕、寿春、合肥、烏江…
　　　　　そこからさらに分岐して、建業と南方方面に分かれておりますな。　
　　　　　新都を通って、臨川を通って、桂陽、さらにその先の臨賀…
　　　　　建安からも矢印が通っていて、桂陽で合流するように書かれております」

夏侯惇「なんだこれは？　一体全体わけが分からんぞ！　一体孫呉の連中は何がしたいというのだ！？」

夏侯淵「…………しまった！！！！！！！」

曹操「………まずいわ！！　こちらの行程が、すべて相手に筒抜けよ！！
　　　一体、誰が、どうやって……まさかっ、内通者か！！！？？？」

タッタッタッタッタッタッタッタッタ………！！


魏軍兵士「孟徳様！　孟徳様はおられますか！？」

曹操「ここにいる！！　どうした！？」

魏軍兵士1「一大事です！！！　遼東の関門が高句麗の軍勢によって閉じられ、
　　　　　　さらにその北から孫堅率いる孫呉軍精鋭二万が沮水を超えて楽浪方面に進撃を開始！！
　　　　　　同時に魯粛率いる韓の義勇軍十万が帯方方面から北西に向かって進発！
　　　　　　すでに列水にまで迫っております！！
　　　　　　さらに歳国からも騎馬兵十二万がこちらに向かっております！！！！」

魏軍兵士2「海上も同様です！　倭国から天主卑弥呼率いる三万の水軍が
　　　　　　　楽浪に向かってものすごい速さで向かってきております！！」

曹操「………やられた！！！！！！　敵の総数は！！？？」

魏軍兵士3「はっ！！　推測ですが合わせて三十万以上は確実かと……！！！」

曹操「なんですって……！！！！？？」

卑弥呼「がーーーはっはっはっはっはっは！！！
　　　　　それぇ、我ら倭の底力を、毛唐の軍勢に見せ付けてやるがよいわ！！
　　　　　ほれ、蘇我！　物部！　お前たちの矢で、あの紫色の連中を一網打尽にしてやれぃ！
　　　　　赤い連中にはくれぐれも手を出すでないぞ！　やつらは味方じゃ！！」

大和武士「はいっ、仰せのままに！！」


魯粛「うっらああああぁぁぁぁぁぁーーーーー　やれやれやれやれやれーーーーーーい！！！！
　　　出遅れた奴は後で文台の親分からお仕置きを食らわせられるぞ！！
　　　鶏（チキン）野郎よわばりされたくなくば、恨（ハン）根性全開で
　　　奴らの鼻っ面に激辛のキムチ汁でもホンタクでもブチ込んだれやぁ！！
　　　糞チャンケ（中華＝魏）共に俺ら三韓の結束を見せ付けるんじゃゴルァ！！」



三韓闘士「オオオオオオオォォォォォォーーーーーー！！！！！！！！」

冥琳「よし！！　輜重隊に火の手があがったぞ！　これで連中は糧を絶たれて皆、袋のネズミだ！
　　　矢を射れば当たるぞ！　射よ！！」


ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッッ！！！


煌蓮「曹操を探せ！！　見つけた奴には後で褒美を取らすよ！！！」

呉軍兵士「応っ！！」

雪蓮「我らの受けた屈辱を思い出せ！　私が死の淵に立たされたあの時の悔しさを
　　　皆も覚えているはずだ！！　今、ここに復讐の時は来た！
　　　孫呉の誇りを、今こそ取り戻せ！！」

呉軍兵士「応っ！！」

思春「北郷っ！　我らは先回りして敵の退路を断つぞ！！」

一刀「分かった！！　蓮華っ！」

蓮華「ええ、行きましょう一刀！　……明命！！」

明命「はいっ！　一刀様は私がお守りしますっ！」

小蓮「お姉ちゃん、頑張って！！」

蓮華「ありがとう、小蓮！！　行ってくるわっ！」

思春「十文字の旗印を持つ呉の兵士たちよ！！　我、甘興覇に続けぇーーーーーっ！！」

呉軍兵士「オオオオオオオォォォォォォーーーーーー！！！！！！！！」




　　　　楽　　　浪　　　の　　　戦　　　い


　　　　　　　 〜落日の曹孟徳〜




煌蓮「ついに見つけたよ……　お前さんが孫呉（ウチ）らの州（シマ）にカチ込んだ魏の王、曹操か。
　　　我が名は孫呉の虎、孫堅こと孫文台。　ウチの馬鹿娘を逝かせようとしたのは、オドレじゃな！？
　　　魏王、曹孟徳よ。これより我は、貴公と一対一での果し合いを所望する。
　　　孫呉の王と、曹魏の王。どちらが覇を唱えるに相応しいか、いざ、尋常に、勝負されたし！！
　　　言っとくけど、今のあたしは、冥界から出戻った身だ！！
　　　以前のあたしと一緒にしたらその素っ首が吹っ飛ぶことになるよ！！！」

曹操「良いだろう。我が名は魏王、曹孟徳。その勝負、承った。
　　　では孫文台よ、いざ、覇王同士の一騎打ちと参ろう！！
　　　再び黄泉の国に誘（いざな）ってやろうではないか！！！」





第七章六節終了　七節に続く

今後の展開の参考までに…


▲強さについて (パーフェクトビジュアルブックより)

《Z 孫堅》

S 恋、貂蝉、卑弥呼
A 愛紗、鈴々、星、翠、華佗
B 紫苑、桔梗、焔耶、華琳、春蘭、秋蘭、季衣、流流、雪蓮、祭、思春、明命、霞、華雄、美以
C 蒲公英、凪、真桜、沙和、蓮華、小蓮、冥琳、亜莎、白蓮、斗詩、猪々子
D 一刀？、桃香、穏、麗羽、七乃、地和、トラ、ミケ、シャム
E 朱里、雛里、璃々、桂花、風、稟、月、詠、音々音、美羽、天和、人和


孫堅の強さ　＝　恋と貂蝉と卑弥呼と愛紗と星と春蘭と雪蓮が7人がかりで挑んでもようやっと勝てるかどうか
生前の孫堅の強さはA