- 141 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/10/22(木) 21:24:33 ID:3R0sVMvC0
-
わたしの名はメーテル……投下予告をする女。
今日は10分遅れての40分から投下を開始するわ。
>>119
指摘のとおり、孫権の間違いよ、鉄郎……
- 143 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(1/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 21:42:28 ID:3R0sVMvC0
-
眼前に迫った張遼の姿を、蓮華はどこか希薄な現実感の中で眺めていた。
死の運び手を前に、不思議な静けさすら感じるのだ。
色々なことが突然に起こりすぎて、理解が追いついていない……というわけではない。
むしろ来るべきものが来た、そんな必然と調和すら感じる。
いま、蓮華の心は奇妙にやすらいでいた。
そんな彼女の胸に去来するのは天命≠ニいう二文字。
ここに蓮華は、己が天運が尽きたことを悟っていた。
思い返せば無念は多いが、それでも蓮華には許された時間を精一杯生きたと誇れる満足があ
った。
夢半ばに果てるのが天運ならば、受け入れる他ない。
気がかりは優秀な姉と、まだ若い妹がなんとかしてくれるだろう。
彼女たちに任せれば呉は安泰だ。
そのような考えに身を委ね、ありのままの現実を受け入れて、蓮華は自分の首目掛けて迷い
なく迫ってくる白刃を眺めながら、静かに目をつむった。
蓮華が目を閉じると、なにもかもが闇に落ちた。
視界が閉ざされると同時、不思議なことに音も消えた。
肌をくすぐっていた朝風の流れも、感じなくなった。
ああ、既に自分は死んでしまったのか。
きっと痛みを感じる瞬間すらなく、自分は死の世界へ旅立ったのだろう。
存外死ぬというのも、どうということもないのだな。
と、そんなことを思いながら蓮華は閉じていた目を開いた。
- 145 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(2/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 21:46:17 ID:3R0sVMvC0
-
するとそこに広がっていたのは、地獄だった。
まず飛び込んできたのは不吉なまでに赤い世界。
黒い縁に彩られた赤い太陽、赤い空に、真っ赤な大地。
思いがけぬ光景に蓮華が一歩後ずさると、足元でぐにゃりとした感触のものを踏みつけた。
何事かと思って下を見る。
「ひ…っ」
このとき、蓮華ははじめて悲鳴を漏らした。
赤く染まっていたのは地面ではない。
その正体は、隙間なくびっしりと敷き詰められたおびただしい数の死体であった。
斬死体、圧死体、轢死体、燃死体、潰死体……ありとあらゆる人だったものたち。
さながら死の展覧。地平の果てまで続く、死体の絨毯。
それが赤い大地の正体だった。
しかも、蓮華はその死体たちに見覚えがあった。
あれは馬番の者、あれは配膳の者、あれは親衛隊長、あれは今朝方すれ違った者……。
虚ろな目で蓮華を見上げている骸たち、それらすべてが呉の兵士たちのなれの果てであった。
よく見れば、その中には五体をバラバラにされた明命や思春、亞莎といった、蓮華に親しい
者たちの姿まである。
あまりに酷たらしい光景に、蓮華は口元を押さえて息を飲んで愕然とする。
すると、こんな死体しかないはずのこの地獄の中で、彼女に声がかけられた。
『安心し、すぐにあんたも仲間入りや』
- 148 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(3/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 21:51:33 ID:3R0sVMvC0
-
感情の起伏が乏しい、恐ろしく乾いた平坦な声。
蓮華が勢いよく振り向くと、そこにはいつのまにか赤い太陽を遮る影があった。
逆光の中で飛龍偃月刀を振り上げる、血まみれの鬼。
――張遼だった。
張遼が槍を振りかぶる。
先ほどの焼き直し、このままならまた蓮華を避け難い一撃が襲うだろう。
だが、それを受け止める彼女の趣は、まるで違った。
必死の様相で奥歯を噛みしめる。
先ほどのように、穏やかでなどいられない。
これだけの責任を突きつけられて、震えずにはいられない。
「こんなのは……」
自分の双肩にかかっている重さを突きつけられて、奮わずにはいられない。
精一杯生きた?
嘘だ。自分にはまだやらなくちゃいけないことが沢山ある。
あとは姉と妹に任せる?
孫仲謀という人間は、そんなに諦めの良い人間ではない。
「こんなのは嘘だ!」
蓮華が叫び、飛龍偃月刀は無慈悲に振り抜かれる。
凶刃が奔るその直前、惑いを振り払った蓮華は、左足を思い切り前へと踏み出した。
- 151 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(4/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 21:54:08 ID:3R0sVMvC0
-
力一杯、奥歯を噛む。
(例え天命だとしても――)
力を込めて、強く強く強く。
割れてしまうのではないかというほど強く噛みしめる。
(――あんな光景を私は認めない!)
ごく自然に、死を受け入れたかのように思われた体は動いてくれた。
蓮華の強固な意志が、霞を突き動かす天意≠ニは別の天意≠引き寄せた瞬間であった。
◇◇◇
バサリという音を立て、斬り捨てられたものが、宙を舞って地に落ちた。
その結果に霞の目がわずかに見開かれる。
霞にとって予想外だったのは、それはいま眼前で起こったこと。
蓮華は身を屈めて、咄嗟のところで断頭の一撃を避けていた。
先ほど斬られて落ちたのは、蓮華の首ではなく、遅れた彼女の後ろ髪である。
「孫権さまをお守りしろ――!!」
間髪入れずに誰かが叫んだ。
その声を契機に、蓮華の危機を救うべく、再び呉の勇士たちが束になって霞に群がり始める。
しかも、その数は先ほどの比ではない。
『軍』の様相を呈した兵士たちの群が、その戦力を霞個人に叩き付けようとうねる。
だが、そこに、
「張遼将軍に続け――!!」
今度は遅参した奇襲部隊八百が、怒濤の勢いで乱入した。
二つの波がぶつかるようにして両軍が激突し、混乱が巻き起こる。
すると先ほどまで安穏としていたはずの場所が、一瞬で戦争の狂気が支配する乱戦場と早変
わりした。
- 155 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(5/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 21:58:12 ID:3R0sVMvC0
-
「蓮華さま! 早くこちらへ!」
亞莎は蓮華の腕を素早く掴むと、彼女の体を引きずるようにして後退しようとした。
既に周囲は張遼旗下の騎馬隊と、付近に待機していた本隊の兵士が入り乱れた混迷の極みに
陥っている。
この混乱に紛れてしまえば、再び探し出すのは容易ではない。
そう考えてのことであり、対する霞も重々そのことを承知していた。
「逃がさへん――――っ!!」
霞は手近にあったもの、斬りかかろうとしていた呉兵の首を握りつぶしながら持ち上げると、
その体を勢いよく蓮華たちがいる方に向かって投擲する。
だがそれは、狙いがそれて彼女たちの近くに着弾。その場にいた何名かの兵士を巻き込んで
赤い花を咲かすに留まった。
「もう一度っ!」
コツは掴んだ、次は外さない。
「ひっ!? ぎゃっ!」
霞は別の手近な兵士を投射物に定めると、中指と薬指でその兵士の両の眼窩を抉って、軽々
片手で持ち上げた。
頭蓋を砕きながら、再び振りかぶって投擲体勢に入る。
しかし、そうして執拗に追撃しようとする霞の腕を、幾人もの兵士たちが掴んでいた。
「孫権さま!」
「孫権さまをお守りするんだ!」
「孫権さまには指一本触れさせん!」
- 156 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(6/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:01:46 ID:3R0sVMvC0
-
一塊、叫びながら団子のようになってしがみついてくる兵たち。
「ちぃっ!」
霞はそれに構わず、掴んだ兵士を投げつける。
けれども、彼らの執念のたまものか、霞の投擲は第二投も逸れて、蓮華たちには当たらなか
った。
「っ、邪魔くさい!」
手元を狂わされた霞は激昂し、素手で、飛龍偃月刀で、周囲の兵をなぎ倒して引きはがそう
とする。
だが、それすらさせじと、兵たちはますます群がっていく。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
人波に呑まれ、見えなくなっていく張遼。
蓮華がそのとき最後に見たのは、天に吠える鬼の姿だった。
「今すぐこの場を離れます! 私に付いてきてください」
「しかし……」
「わかってます! でも、速く!」
必死の形相で言う亞莎。彼女が言いたいことくらい蓮華にもわかる。
敵が迫るいまは、なにを置いてもまず逃げなくてはならないときなのだ。
だが、だからといって自分を助けるために命を投げ出した者たちを簡単に切り捨てられるほ
ど蓮華は非情ではなかった。
と、そのとき、蓮華は斬られた後ろ髪がパチパチと爆ぜる錯覚を覚えた。
不意に、首だけで後ろを振り返る。
そしてその瞬間、蓮華はこれまで見たことがない現象を目撃した。
雲一つない蒼天がまばゆい光を発したのだ。
同時、耳をつんざく雷鳴。
- 157 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(7/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:04:21 ID:3R0sVMvC0
-
落雷である。
空は雲一つない青空が広がっているというのに、雷である。
不可解なそれが至近に落ちたのだと理解するのに、蓮華は半秒ほどの時間を要した。
蒼天に雷。蓮華はその因果に、人の力では及ばぬ畏怖すべきものの存在を感じた。
そう、まるでそれは、龍のような……。
そこまで考えたとき、蓮華の中で先ほど張遼と対峙したときに見た白昼夢がフラッシュバッ
クした。
鮮血の世界。
ただ一人立つ張遼。無数の死体。
仲間たちの無残な姿。
結果的にはそれが、霧のようにかかった蓮華の迷いを振り払ってくれた。
後悔はあとに残し、いまはただ走る一事である。
「行きましょう亞莎!」
あのような未来は、なにを置いても避けねばならない。
そのために、彼女は自分にできうる限りを尽くすつもりであった。
二人は走る。
◇◇◇
「落石だ!」
そう叫ぶ誰かの声が聞こえた。
そして一瞬遅れて、ガラガラと音を立てて転がり落ちてきた巨石が、前方を塞ぐのが見えた。
峡谷の矮路。迂回路はない。
唯一の進むべき道が、閉ざされてしまった。
- 159 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(8/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:07:25 ID:3R0sVMvC0
-
「くそっ!」
落石によって起こった砂埃を前にして、なんとか馬の足を止めた一刀が毒づく。
敵の罠は周到だった。
まるでこちらの動きを察知しているかのように、的確に仕掛けられた罠の数々。
仕掛けたものの邪悪さがにじみ出ているようなそれは、見事に一刀率いる軍の動きを制限し、
翻弄した。
そして彼らはついにいま、袋小路へと追い詰められたのだ。
後方を振り返れば砂塵。
迫ってくる敵軍のものである。
思わず奥歯を鳴らしてしまう。
一刀が引き連れてきた兵士の数は千五百。
向かっている敵軍の数はわからないが、こちらより少ないということはないはずだ。
下手をすれば、何倍もの大軍かもしれない。
普通に考えて、正面からぶつかり合ったら万が一つの勝ち目もない。
第一、こうして兵を引き連れてはいるものの、一刀自身は戦闘指揮の経験など皆無なのだ。
だが、それでも……。
「全軍、戦闘準備だ!」
生き残らなければならない想いは、一刀の中で煌々と燃えていた。
汗の滲む手で腰に差した剣を掴むと、その硬さが、自分のいる場所が戦場であることを嫌が
応にも思い知らせてくれた。
顔を引き締め、前を睨む。
戦う覚悟を決めて、固唾を呑んで敵を見た。
すると、こちらに向かって迫っていた呉軍の動きが、急に緩やかになったのがわかった。
一刀がじっと見守る中、しばらくしてその動きが止まる。
- 161 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(9/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:10:44 ID:3R0sVMvC0
-
動きを止めた呉軍。一刀の目には、その中から馬に乗った人間が二人が前に出てくるのが見
えた。
女の子が二人だ。
だが、一刀もこの世界に来て一日二日ではない。
一見して可愛らしい女の子だったとしても、それが外見通りとは限らないことは、身にしみ
てわかっている。
一刀は軍を率いているのは、間違いなく彼女たちだろうと、そう思った。
やがて、対面する両軍の間で馬を止めた二人は、名乗りを上げた。
「我が名は周幼平!」
「我が名は甘興覇! 袁術軍の将に告げる。貴殿らは完全に追い詰められている、言い残すこ
とがあれば我らが聞こう!」
朗々とした声が袋小路に響く。
一刀の予想は的中した。
周泰と甘寧。一刀が知る三国志の中では、二人とも赤壁の戦いでも活躍した呉軍の将だ。
間違いなく彼女たちが、自分たちを追い詰めた軍の統率者だろう。
そして、その彼女たちの登場に、一刀は一筋の光明を見た。
軍を止めたということは、今すぐ戦いになるということはないに違いない。
となれば、まだ話し合いの余地はある。
どうにかして彼女たちを説得できれば、生き残る可能性はぐっと増すかもしれない。
- 163 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(10/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:13:20 ID:3R0sVMvC0
-
一縷の望みに賭け、甘寧たちがそうしたように、一刀も馬を進ませ前へ出た。
「俺の名前は北郷一刀。世間じゃ天の御使い≠ネんて呼ばれてる」
大声を出さずとも、互いの声が聞こえる距離で一刀はそう言った。
その距離まで近づくと、周泰と甘寧、二人の姿もはっきりと目にすることができた。
二人とも、肌の色は江南の民の特徴として聞かされていた、やや濃い色をしている。
片方は鋭い目つきの女性で、髪の毛を頭の後ろでお団子にしているのが特徴的である。
もう一人は背中に長い刀のような武器を背負った忍者?のような格好をした長い黒髪が美し
い少女だった。
共に、思わず見とれてしまうほどの美少女である。
一刀の名乗りを聞いて、二人はすぐに目配せをする。
そして体を強ばらせて息を飲む一刀に、目つきの鋭い方の娘が言った。
「ちっ、やはりか。おい、明命。どうやらおまえの危惧していたとおりのようだ」
「そのようですね。ここに張遼がいないとなれば……本隊を狙った奇襲が本命なのかもしれま
せん」
――しまった。
会話を耳にした一刀の顔が青く染まる。
二人の言葉を聞いて、己の迂闊さを悟ったのだ。
彼女たちは敵に情けをかけるために呼びかけたのではなかった。
自分たちが追いかけていた敵が、本当に張遼だったのかを確かめるための引っかけだったの
だ。
そして一刀はまんまとそれに引っかかった。
ならば、そんな間抜け相手に彼女たちがとる行動は一つだろう。
- 170 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(11/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:17:40 ID:3R0sVMvC0
-
「ならば貴様に用はない。ここで死ね」
目つきの鋭い方の娘、甘寧は幅広の曲刀を頭の後ろ手に構える独特のポーズでそう言って、
問答無用で躍りかかってきた。
殺す気で襲ってくる相手に対して、説得もへったくれもない。
一刀は慌てて剣を抜き、上段に構えようとするが、
「遅い!」
迎撃体制が整う前に、甘寧は攻撃の間合いに入っていた。
風を切って剣が振るわれる。
万事休す、そう思ったそのときそのときであった。
思いがけず、救いの主は現れた。
突如として黒い影が一刀の前に立ちはだかったのである。
音もなく唐突に割っては入った何者かは、既に攻撃モーションに入っていた甘寧の腕を狙い
、信じられない速さの蹴りを繰り出した。
直後、パァンという、足と手がぶつかり合う音が響く。
「ぐうっ!」
予想外の闖入者の乱入に、甘寧は合わせられた手を庇いながら後退した。
一方一刀は登場した者の姿を見て、うわずった声を上げた。
「お、おまえは……っ!」
「そう――」
眼前に、甘寧を蹴り飛ばした姿勢のまま、微動だにせず片足でそびえ立つ巨身。
- 176 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(12/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:21:00 ID:3R0sVMvC0
-
ピンクのヒモパンビキニに、はちきれんばかりの特盛り筋肉。
ワセリンでも塗っているかのようなテカテカのお肌。
スキンヘッドの横、綺麗に結わえられたお下げが二つ。
それをくくるリボンがチャームポイント……そんなマッシヴ、アンド、プリティー!
「ぬふぅぅん! この世に舞い降りた天使! ご主人様のアイドル、貂蝉ちゃん登場よ〜ん!」
マッスルポージングをきめたのは漢女道の継承者、貂蝉であった。
そして更にもう一人。
「儂のことも忘れては困るぞ主殿よ! とわあああああ!」
頭上から降ってきた声を聞いて上を向く。
するとそこには、腕を組んだままで落下してくる、溢れんばかりの筋肉フンドシ髭燕尾スタ
イル。
アクセントは屹立した髭と、力強い肉体がこれでもかと詰め込まれた純白のソックス+ロー
ファーの革靴。
オリエント無敗のマスター漢女、卑弥呼が周泰の前に爆着した。
不条理を体現したかのような存在の登場で、一刀は危機を脱した。
あわや首はね寸前であった一刀は、助け出してくれた貂蝉を見て、やや腰を退きつつも礼を
言った。
「た、助かったよ……」
流石にこんな場面での登場を予想していたわけでもなかったのだが、既に順応できる程度に
は、この常識外の存在とのつきあいを心得つつある一刀である。
「いいのよん。愛するご主人様のためですもの。火の中水の中、戦場のど真ん中よぉん」
そう言って貂蝉は、胸の前に手をやり交差する。古くさい言い方だと『だっちゅ〜の』のポ
ーズである。
ついで明らかに重力とも柔らかさとも無関係な動きで、胸筋がぴくぴくと震えた。
流石にその光景を目にし、助けてもらった身で申し訳ないと思いつつも、一刀は顔を引きつ
らせた。
- 180 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(13/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:25:11 ID:3R0sVMvC0
-
「立てるかしら?」
そう言ってすっと差し出された手を、思わず条件反射的に手にとって一刀は立ち上がった。
「あ、ありがとう」
「どうってことないわよ、このくらい。それにしてもご主人様ったらぁ、単刀直入に聞くけど
、今回のこと、狙ってやったのかしらん?」
「狙ってやったって……え?」
「霞ちゃん、呉の大軍、八百の決死隊、絶体絶命の危機、それにこの場所。これらすべて、ぜ
ーんぶ狙って揃えたのかということよ」
「えっと、話がいきなりすぎてわからないんだけど……?」
貂蝉が人差し指を立てて話し始めようとしたところで、手を押さえていた甘寧が、怒りに身
を震わせながら眉間にしわを寄せ改めて体勢を低くした。
「おのれ……っ!」
再び甘寧が構える。
どこからか鈴の音が鳴る。先ほどのような無造作な構えではない、今度こそ本気だ。
けれども、それを見た貂蝉ははぁと一つため息をつくだけだった。
「あららぁん。いまはわたしとご主人様が仲睦まじく愛の語らいをする時間なのよん」
「知るかそんなこと!」
「んもぅ、せっかちな女は損をするわよ」
「ぬかせっ!」
「う〜ん、困ったわねぇ。わたしはご主人様と大事な話をしなくちゃならないんだけど……卑
弥呼、卑弥呼ー!」
- 184 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(14/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:28:32 ID:3R0sVMvC0
-
その大声に、一刀も思わず貂蝉が声を投げつけた方を見た。
「なんじゃ! 儂はこう見えてもけっこう忙しいぞ!」
少し離れた場所で呼びかけに応えた卑弥呼は、徒手対長刀の熾烈な戦いを繰り広げている真
っ最中だった。
「悪いんだけど、わたしがご主人様と話してる間、こっちの子の面倒も見て貰えないかしらー
?」
「なんじゃと!? さては貴様、主殿との甘〜い時間を独り占めするつもりじゃな!? 許さ
ん、許さんぞぉっ!? ぎりぎりぎり!」
「や〜ねぇ。恋の戦いは正々堂々正面から、でしょう。抜け駆けなんてしないわよんっ。だか
ら今回だけはお願いよ。緊急事態だって、あなたもわかってるでしょう?」
「む、うむむっ! 確かにそうであった。よし、あいわかった、今回だけじゃからな!」
「恩に着るわぁん」
周泰と火花散る苛烈な戦いを繰り広げていた卑弥呼が、突然その場で強烈な踏み込みを行っ
た。
するとまるでロケットが発射されるときのように、その巨体が足元の地面を爆発させて垂直
上昇。
「えぇっ!?」
一方周泰の視界は衝撃で巻き上がった土砂によって閉ざされる。
その間卑弥呼は、無茶な筋力を活かした跳躍力で、重力を振り切って天高く跳び上がると、
次の瞬間、どういうわけか卑弥呼は空中で進路を転換して、最初そうしたように、今度は甘寧
の前に『着弾』してみせた。
- 187 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(15/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:31:39 ID:3R0sVMvC0
-
「なっ!?」
卑弥呼が地面に突き刺さった衝撃で、甘寧の周囲にも土煙が舞う。
あまりに常識外の出来事に、流石の甘寧も動きが鈍った。
そしてそれを見逃さず、野太い獣声が響き渡る。
「とおおおおおおおおおおお!!」
視界を塞ぐ粉塵を切り裂いて、突き出された丸太のような太い腕。
それは反応が遅れた甘寧の腹に滑り込み、気≠ェ込められた一撃を彼女に叩き付けた。
「ぐあっ!?」
衝撃を受け、悲鳴を上げながら玩具のように吹っ飛ばされる甘寧。
そしてその体が、敵を見失ってきょろきょろしていた周泰のすぐ近くに転がった。
「し、思春殿!?」
突如として跳んできた甘寧を見て、周泰が驚きの声を上げる。
周泰が吹き飛ばされてきた方を見ると、そちらからはのしのしと巨体が歩いてくるところだ
った。
「ふしゅるるるる……。さあ来るがいい、尻の青い小娘どもめ。いましばらくの間、この卑弥
呼が相手をしてやろう」
立ち止まった卑弥呼が仁王立ちに言い放つと、周泰と甘寧は、真剣な顔で頷き合って無言に
て武器を構えた。
珍妙な格好とは裏腹に、その強さは本物。生半可な意気込みで戦って勝てる相手ではないと
踏んでのことである。
「くくくっ、お主たちには、わしが直々に正しいフンドシのしめ方というものを教えてやろう」
一刀が見ている前で、一昔前の特撮ヒーローものみたいな、冗談めいた爆発が起きていた。
呉の二人の意識が卑弥呼の方に向いたことを確認してから、貂蝉は改めて呆然とする一刀に
向き直った。
「ということで、これでしばらくは大丈夫そうね」
- 192 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(16/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:34:46 ID:3R0sVMvC0
-
「うーん、色々思うところはあるけど、いまはいいや……。それで、大事な話ってのは? さ
っき緊急事態がどうとか言ってたけど」
「一から話すと長くなるから端折るけど、ご主人様がやろうとしたことがちょっとばかり上手
に行き過ぎちゃって、まずいことになりかけてるのよ。そのことをわたしたちは伝えにきたの」
「?」
「わかりやすく言うとね、このままじゃ霞ちゃん、霞ちゃんじゃなくなっちゃうかもしれない
わよ」
「……は?」
突然霞のことを持ち出されて、一刀の顔が今度こそ面白い呆け顔になった。
「で、ご主人様は、結局今回の状況を狙って作り出したのかしら? それとも偶然?」
正面から目を見据えられて聞かれたその問いに、一刀は内心でドキリとした。
「えっと、それは……ファクターを揃えてやれば、俺が知っている三国志の流れが再現される
……かもしれないっていうことに関係してる?」
京での玉璽を巡る騒動、官渡での一件、他にも細々としたいくつかの出来事。
いま貂蝉がした質問。それは一刀がこの世界に来てから、何度か体験した、そういった不可
解な事柄から薄々感づいていたことを、肯定するような問いかけであった。
「あはぁん。流石ご主人様、鋭いわね、ますます惚れ直しちゃう! っていうことは」
「……ああ。今回は、ちょっと意識した」
「なぁるほど。わかるわん、今回みたいな苦しい局面を前にして、裏ワザに頼りたくなっちゃ
ったそのキ・モ・チ。でもね、それが今回は随分ととんでもないものを呼び覚ますことになり
そうなのよ」
「貂蝉、さっきから回りくどくなんのことを……大体霞が霞でなくなるって、一体どういうこ
となんだよ?」
一刀の質問を境に、二人の会話が一端そこで途切れた。
甘寧と周泰が、出鱈目理不尽の塊と戦っている音や声が聞こえてくるが、それを無視して、
一刀はじっと次の言葉を待った。
貂蝉はそんな真剣な顔をした一刀の顔をしばらく見つめてから、口元をほころばせると、再
び説明を始めた。
- 198 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(17/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:40:36 ID:3R0sVMvC0
-
「ええ、ご主人様の読みは悪くなかったのよ。正史から派生した外史には、正史本来の流れを
なぞろうとする矯正力、あるいは復元力と言い換えても良いけど、とにかくそういうものが備
わっているの」
「やっぱり……」
そうでないかとは思ったのだ。
この世界は、一刀が知る三国志の世界とはまったく違う。
違うのに、希に一刀が知る歴史によく似たことが起こる。
それを説明するには、貂蝉が言ったような大枠の流れが存在していると仮定するのが一番し
っくりくるように思っていたのだ。
「だからご主人様がやったように、あえて状況やキャラクターといったファクターを揃えてや
れば、正史の流れにちなんだ結果が得られる可能性は十分にあるわ」
キャラクター、そしてファクター。その言葉にうっすら顔をしかめながらも、一刀は先を促
した。
「うん、それはわかった。で、霞が霞でなくなるっていうのは?」
「やぁん、今日はみんなせっかちねぇ。お姉さん火照っちゃう! で、霞ちゃんのことだけど
ね。今回はそのご主人様が仕掛けた裏ワザが裏目に出たみたいなのよ」
「裏目?」
「これはわたしたちにとっても想定外だったのだけど、霞ちゃんの想いが強すぎたみたいでね
、そのせいで彼女、矯正力とシンクロしちゃってるのよ。その結果、本来意志なんて持ってい
ない世界を正常に運営させるための力が、いま霞ちゃんの中に顕現しかかっているの。まあ、
当然と言えば当然よね。いくら霞ちゃんといえども、たった一人で十万人の大軍勢を相手にす
るのは流石に無理。ということは、自分の力で不可能なことをやろうというのだから、不足し
た分はどこからか借りてなんとかするしかないでしょう?」
「それが……」
「そう、矯正力よ。でもそうやって世界の矯正力に力を借りれば借りるほど、霞ちゃんの自我
は薄れていくことになる。そして最終的に、霞ちゃんは霞ちゃんじゃなくなってしまうかもし
れない。最悪の場合、天の意志≠チていう、この世界を運行しようとする力に意識を乗っ取
られてしまうかもしれない」
そこまで聞いたとき、既に一刀の顔色は蒼白になっていた。
- 201 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(18/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:44:18 ID:3R0sVMvC0
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「そ、それじゃ……俺のせいで、霞の身に大変なことが起ころうとしているっていうのか!?」
自分の考えたことのせいで、彼女が危険に晒されることはわかっていた。
そのことで悩みもした。
だが、霞が霞でなくなる、そんなことが起こるだなどと、一刀は思ってもみなかったのだ。
「ええ、しかも悪いことに、その兆候はもう出ているの。……ちょうどいいわ、あちらを見な
さいな」
貂蝉が突然振り返って背後を指さす。
つられて一刀もそちらを見た。
顔を向けたその瞬間、蒼天の空が突如として輝いた。
なにが起こったのかがわからず、怪訝な顔をする一刀。しかし、一瞬遅れて耳に届いた轟音
で、いまのが落雷の光だったことを理解した。
見上げた先には雲一つない、気持ち良いほどの青空が広がっているというのにだ。
「か、雷? こんな晴れた日に?」
「青天の霹靂。いまのはただの雷じゃないわよ。霞ちゃんの願いと想いに導かれた天の意志
そのものよ」
「それじゃあ、霞はいまので……」
「そう、いまの落雷で彼女はまた一歩天の意志≠ニの同化が進んだわ」
「それを……、自分の身に起こっていることを、霞は!?」
「知らないでしょうねぇ。でも、知っていたとしても、いまの霞ちゃんなら喜んで天の意志
と同化する道を選ぶでしょうね」
「そんな、どうして……」
と、口にしてはっと気が付いた。
「俺の……ため?」
決まっているじゃないか。
彼女は自分のため、自分と生きる未来のためと言っていた。
ならば彼女がいま戦っているのは、北郷一刀のためなのだ。
- 203 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(19/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:48:01 ID:3R0sVMvC0
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一刀の考えを肯定するように貂蝉が頷く。
「霞ちゃんはいま、すべてを投げうってご主人様を助けるために戦っているのよ。だから彼女
は決して止まらない、止められない。そして、そんな彼女の先には、自我を失ってこの世のす
べてをなぎ倒す化け物となる、そんな結末しか待っていないわ」
「主殿!」
一刀が貂蝉の告げた言葉で愕然とする中、卑弥呼の大声が響いた。
「あら卑弥呼、もう終わったの?」
「うむ。あやつら二人して、先ほどの落雷を見た途端、血相を変えて後退していきよったぞい」
「ぬふぅん。なるほどねぇ、彼女たちの存在もまた、矯正力に組み込まれているのかもしれな
いわね。だとしたら虫の知らせの一つくらいあってもおかしくないわ。となると主人様、残り
時間はあまりないわよ」
「え?」
「左様。既に張遼は、度を超えてその力を振るいつつある」
「ええ、矯正力から力を借りてね」
「だ、駄目だそんなの! 速く霞を止めなくちゃ!」
自分のために霞の身に重大なことが起ころうとしている、そう考えると居ても立ってもいら
れなかった。
一刀は叫んで霞が戦っている戦場へと続く道を見る。
そこで気が付いた。先ほどまで隊伍を成していた呉軍の兵士たちが、一兵残らず消え去って
いることに。
すぐさまその意味を悟る。周泰と甘寧が連れて戻ったに違いない。
寿春へ抜ける最短ルートは、先ほどの落石で潰されてしまっている。これを迂回して別の道
を進むとなれば、相当の時間がかかる。
どのみち援軍の要請は間に合わない。それを見越して自分たちは捨て置かれたのだ。
「……あ」
と、そこまで思い至り、一刀は背後を振り返った。
するとそこには一刀の命令を待つ、袁仲配下の兵千五百が控えていた。
- 204 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(20/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:51:32 ID:3R0sVMvC0
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彼らを置いてはいけない。
だが、彼らを戦場に連れて行くのはもっと駄目だ。仮に連れて行っても、自分の指揮能力で
は彼らをみすみす殺すだけだと一刀にはわかっていた。
(だけど……)
霞のことも捨ててはおけない、だがいまの自分には、多くの命を預かる責任があるのだ。
一刀が一人で逡巡していると、そんな葛藤を見透かしたかのように貂蝉が言った。
「安心してご主人様。ご主人様の兵たちは、わたしがきちんと美羽ちゃんのところまで連れて
帰ってあげる」
「ほ、本当に!?」
「うむ、我らにかかれば、兵の千や千五百、相手するなど子供の手を捻るより容易いことよ」
「ええ。だからご主人様は、思った通りに行動してちょうだい」
「卑弥呼、それに貂蝉……」
漢女たちの漢っぷりに、思わず鼻がツンとした。
それを見て貂蝉が言う。
「おおっと、ご主人様ったら、門出に涙は似合わないわよん」
続けて卑弥呼が言う。
「うむ、生きて返ってきたら、儂の胸で思う存分泣くが良い!」
それを聞いた一刀の頭が、知らず自然と下がった。
いまの一刀にはそうやって、正体不明の二人に、誠心誠意感謝を示すことしかできなかった
。
「ほんと、二人ともありがとう。何度も俺を助けてくれて……」
「いいのよん、顔を上げてちょうだい。なんと言っても愛しいご主人様のためだもん。尽くす
女、それが……」
『漢女道!』
- 207 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(21/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:54:22 ID:3R0sVMvC0
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声をハモらせ、二人はタイミングを合わせて必要以上に筋肉を誇示するポージングをする。
それを見た一刀がふらりとよろめく。
しかしそれでも、二人の脳殺(脳細胞が死滅すること)に耐えて、一刀はあとを任せて駆け
出そうと……
「っとぉ、その前に!」
見送りの言葉を言ったばかりの貂蝉が目にも止まらぬ速さで一刀の前に回り込んでいた。
「うわぁっ! 心臓に悪いっ! っと、で、……なに?」
「ご主人様に言い忘れたことがあったわ。最悪、霞ちゃんが天の意志≠サのものになっちゃ
ったら気をつけてね。天の意志≠ヘ真っ先にご主人様を殺そうとするかもしれないから」
「な、なんだって!?」
その言葉に、卑弥呼も然りと頷く。
「うむ。天の意志≠ゥらすれば、この世界を歪めている最大の元凶の一つは主殿であるから
な、最優先に狙われてもおかしくない」
「そんな、霞が……俺を?」
冗談を言っている風ではない二人の様子に、一刀は呆然と呟いた。
「そうよ。だからもしかしたら、ご主人様はこれから見たくないものを見るかもしれない。そ
れでも行くのかしら?」
その言葉で、一刀はまっすぐに問いかけるに貂蝉の瞳が、引き返すならこれが最後のチャン
スだと告げていることに気が付いた。
ならば答えはただ一つ。
- 210 名前:美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(22/22)[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 22:57:57 ID:3R0sVMvC0
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「ああ!」
一刀は力強く頷いた。
「それは天の意志≠ナあって本当の霞じゃない。俺は俺の知っている、霞を信じる!」
迷うことはない。いま重要なのは霞を信じる、その一事だ。
一刀の言葉に、貂蝉は満足したように頷いた。
「そう、だったらもうわたしたちには、頑張ってハッピーエンド目指すご主人様を応援するこ
としかできないわ。でも、これだけは覚えておいて、この世界で奇跡を起こすのは、いつだっ
て絆の力だってことをね」
「わかった!」
そう言って、ぐっと親指を突き出した貂蝉に、一刀もまた、親指を突き出して返したのだっ
た。
一度部隊に戻り、副官に事情を説明し終えた一刀が、馬に乗ってこの渓谷を去っていく。
その姿を見送りながら、卑弥呼が唸る。
「ううむ。相変わらず主殿はイイオノコだのぅ。胸の漢女回路も思わずぎゅんぎゅん回ってし
まうわい!」
「そりゃあ、わたしたちのご主人様ですもの」
腕を組んで手のひらを頬にあてて、ほうっと息をつく貂蝉。
「あとは、『揺り戻し』があるかどうかね」
「ああ」
そうして一刀の姿が完全に見えなくなったことを確認してから、二人は落石によって塞がれ
た方の道を見た。
「さて、それじゃあわたしたちも始めましょうか」
「石ころごときの相手というのは、些か不満じゃがのぅ」
そう言って、二人はバキボキと手をならしたのであった。
- 212 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/10/22(木) 23:05:28 ID:3R0sVMvC0
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わたしの名はメーテル……投下終了を告げる女。
今回はやや世界観に踏み込んだお話よ。
「美羽と七乃」を含む、一連の流れの外史での世界観は、たまたまこうであるというだけのものよ。
>>208
「を」の脱字ね……わたしの名はメーテル、誤字脱字が多い女……
しっかり校正しても、取り切れていない女……
次は明日の午後9時30分からよ、鉄郎……