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718 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:10:58 ID:Pcn2qkw0O
「………………寝てませんよ!」
「あれ?………おや?これは」
[捜さないでください]
「………………」
「どれどれ…前々から思ってましたが。昨日の北郷帝を読んで“熟、自分が未熟”だと覚りました。
 皆様の何事にも代えがたい貴重な時間を出血させる訳にはいきません。ので、三教一致を忘れてください」
「……………………オォ!逃げましたよー!」
 @-Å-
Σ(;・ω・)
「♪〜」
「これはこれは明命ちゃん、ごきげんですね〜」
「あぁ、これは風殿。今そこでお猫様を見つけてご同行させていただいているのです」
「ほほ〜。これは、これは。何処かで見覚えがある猫ですね」
「そうなんですか?風殿」
「ええ、明命ちゃんこの猫は重要な任務についているのです、ですから渡して欲しいのです」
「おお、このお猫様は重要なお猫様なんですね。分かりましたお渡しします」
「ありがとうなのです明命ちゃん」
「いいえそれでは、シュタ!」
「諦めましたか?」
「にゃ(………21桃香です)」
723 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:14:22 ID:Pcn2qkw0O
曹操軍。
約二十五万強、右手に森が来る形で、部隊を前後に分ける。
前衛に十五万強、夏侯惇・許緒・楽進・季典・干禁で、夏侯惇と許緒で攻撃力は申し分なく、残り三人の判断力・団結力も心配は無く臨機応変に大抵の問題は処理出来る。
後続は約十万、曹操を筆頭に夏侯淵・張遼・典韋・荀文若・程仲徳・郭嘉。
夏侯淵と張遼、典韋の三人で前衛の攻撃の要二人に勝るとも劣らず。
何時でも、前衛の援護・合流・敵への横撃が可能。
軍師三人の神算鬼謀を理想的に実現はおろか、戦場での細かい補正は経験から理想以上の成果を出す。
そして、彼女等を取り仕切っているのが曹操である。
◇ ◇ ◇
対して、劉備軍。
約二十五万、左手に森が来る形で部隊が左右に分かれる。
右陣に約九万弱、趙雲・張飛・馬超・馬岱・厳顔・魏延・鳳統で指揮官に趙雲、軍師に鳳統。
今さら語る必要の無い猛将達。
左陣にあたる本陣は約十五万弱、劉備・関羽・呂布・陳宮・黄忠・諸葛亮に北郷一刀。
指揮官に関羽、軍師は諸葛亮、そして総大将の劉備。
こちらも言う必要の無い猛将共である。
そして後方に輜重隊として董卓・賈駆・公孫賛・袁紹・文醜・顔良が三千足らずで、孫呉との間に控えている。
726 名前:三教一致 2-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:16:57 ID:Pcn2qkw0O
ジャーン・ジャーン・ジャーン。
双方の銅鑼が鳴り、陣形を崩さす前進する。
夏侯惇は突撃の陣で、曹操は四段の陣形。
それぞれが別々の陣形を牽き、独立した状態で戦場に赴く。
逆に劉備の陣形は、森が邪魔しているが全体で鶴翼の陣形だ。
上空から見たならば、片方の翼が無い鳥に見えただろう。
「さあ、ご主人様。本陣から後方に下がってください。と、言いたい処ですが、どうせ聞き入れてくれないでしょう。せめて本陣後方に下がってください」
「そうですご主人様。私達が安心して戦える様に、せめて本陣後方に下がってください。この戦いお互いの意地と意地のぶつかり合い、血で血を洗う事態に成りかねませぬ」
付け足すは黄忠。
「そうです。敵先陣は間違いなくあの猛将夏侯惇将軍、気付いてからの退避では遅すぎでしょう」
「分かった、皆の邪魔になるのは本望じゃない。大人しく下がらせてもらうよ」
「人間素直が一番です、ささっ桃香様も」
「ええー!」
「『ええー!』ではありません。第一に桃香様が前線で何を為さるおつもりか」
「ご主人様の身代りか囮になれるかなー?って」
「それで捕まえた桃香様を人質にご主人様の身柄を迫って来たら?」
730 名前:三教一致 3-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:20:20 ID:Pcn2qkw0O
「俺は間違いなく自分を差し出す!」
「ほらご覧なさい、この通りなのです。ですからあまり意味が無い事はせず、大人しくご主人様と後方に陣取っててください」
「あら、羨ましいですわ、桃香様。私達ではこうもいきませんものねー」
「愛紗達が人質でも身柄を差し出すけど」
「(////)ご・ご主人様!あまり、からかわないで戴きたい」
「からかってなんかない。愛紗でも鈴々でも誰でも、人質を理由に身柄の交換を申し出されたら俺は応じる」
「……(////)ゴホン、朱里やねねならともかく、我ら武官が人質になる事など、有り得ないでしょう………ですが気を引き締める理由には丁度良い。皆決して人質になるような事の無いように!」
「「「はい!」」」
◇ ◇ ◇
「弓隊構え」
「弓隊構えよ」
長年の戦場で培った勘で別々の陣にいながらに同時に号令をかける黄忠と厳顔。
「「放て!」」
そしてほぼ同時に矢が放たれ、真っ直ぐに夏侯惇の陣に降り注ぐ。
カンッカンッカカン。
降り注ぐ矢も盾で塞がれる、完全ではないが被害なんか皆無に近く精々進軍速度が落ちるぐらいだ。
だがそんな行為も時間稼ぎにしかならず、夏侯惇と劉備本陣の戦端が開かれた。
734 名前:三教一致 4-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:25:26 ID:Pcn2qkw0O
「押せ押せ!狙うは北郷の首一つ!」
「春蘭さまー、斬っちゃ駄目ですよー。捕らえるんですよー」
「おお!そうだったな、すまんな季衣。北郷を捕らえる為に首をはねよ!」
「だから、首をはねちゃ駄目なんですって!」
「伝令!将軍、我が軍が囲まれ始めました」
「構わん!脇の敵には防御に徹し、ただ前進して敵本陣の北郷とやらを………捕まえれば良いのだ、進め!」
◇ ◇ ◇
「うぬ〜、こうも守りを固められると攻めるのもままならぬ」
盾で壁が作り上げ、近付けば槍が飛び出てくる為に迂濶に近づけない。
「どうどう。今、帰ってきた」
馬にまたがったまま報告をする馬超。
「で、どうだった翠よ?」
「駄目だ、先頭の方は槍ぶすまだ。突貫しても被害の方がでかいよ」
「そうなんですよ、星姉さま。こう、ずら〜と並んで付け入る隙がないと言うか、必死な感じ」
「それはそうだろう、相手は後がないのだからな」
「うぬ、ならばわしが穴を開けてみようかの」
会話に割って入った厳顔が豪天砲を構える。
ドンッ、ドンッ、ドンッ。
豪天砲が一度目の火を吹くと、命中した所が人一人の通れる穴が空いたがすぐに埋まる。
「ほほう、やりおるの。ではこれではどうか!」
738 名前:三教一致 5-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:30:08 ID:Pcn2qkw0O
ドンッ!ドンッドンッドンッドンッ!ドンッドンッドンッドンッ!
残りの豪天砲の弾を全弾発射する。
するとかなりでかい隙間が出来上がった。
「それ今ぞ!空いた穴に雪崩れこめ!」
穴を作った張本人が号令をかけると。
「ワアアアアア―――!」
一般兵が我先にと雪崩れ込もうとする。
だか、空いた穴に一人の少女が立ち塞がる、左腕が負傷したのか出血も見られるがお構い無しだ。
「ハアアアァァ!」
状況を察した趙雲が叫ぶ。
「貴様ら引けい!いや伏せろ!」
「猛虎襲撃!」
ドカン!
衝撃波でふっ飛んだ者は運が良かった、正面からまともに食らった者は影だけを残して地上から姿を消した。
その影すら戦場にて踏み潰され跡形もなくなっていく。
勇敢にも再度蜀兵が雪崩れこもうとすると、突然空いてた穴の前に壁が出来上がる。
「こんなことかも有ろうかと、即席障壁!」
「貴様らー!空いてる穴を塞ぐのは、そのぶら下がっている粗末なモノだけじゃないなのー。全身全てを使ってさっさと穴を塞ぎやがれなのー!」
「「「サー・イエッス・サー」」」
駆け足による激しい足音が聞こえたがすぐに止む、壁が自立の限界を訪れたのか倒れこむ。
ドッスーン!
744 名前:三教一致 6-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:35:11 ID:Pcn2qkw0O
現れた状態は先程と変わらぬ盾による壁だった。
「うぬー、困ったのう」
「そうですな桔梗殿。相手は気弾でこちらは実弾、気力が続く限り弾は無限な上に装填速度もあちらが上。穴を開ける度に我が兵が、文字通り消されては堪ったものではない」
言いたかったことを全て言われてしまった厳顔は別の意味で困った顔になる。
「それでは仕方があるまい」
手を上げると同時に叫ぶ。
「弓隊構え!」
振り下ろしながらも叫ぶ。
「射ぇ!」
数百の矢が敵陣の中に飛んでいく。
「地味だが、今は一番効果のあることをこつこつやるとするかのう。弓隊随時攻撃を仕掛けよ!」
◇ ◇ ◇
先頭を走るは夏侯惇、既に劉備軍本陣の1/3には食い込んでいた。
「ハア!」
「ギャア!」
「狙うは北郷ただ一人!命が欲しい者は引けい!」
「そうはいかぬ!」
夏侯惇の前に立ちはだかる影一つ。
「関羽!」
「ここから先は我が主達のため、行かせわせぬぞ!」
「面白いやってみろ!」
先手必勝の夏侯惇。
ガチン!
「ぬっ!」
「でやああああっ!」
ガチン!ガチン!ガチン!
凄まじい連続攻撃に間を取る関羽。
余りの攻撃に攻め倦んでいると一人の少女が駆け寄ってきた。
750 名前:三教一致 7-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:40:18 ID:Pcn2qkw0O
「…愛紗、代わる」
「恋!…待ってくれ、これは代われぬぞ」
「…愛紗は強い…でも今のあいつ、自分のご主人様の為…凄く強い。今だけならあいつの方が……強い」
「うぬぬ」
「どうした、掛かって来ぬのか?臆病風に吹かれたか!」
「言わせておけば!」
「…愛紗、…挑発に乗るぐらい…冷静じゃない」
呂布の冷静な指摘に我に返る。
「…愛紗に何か有ったら…ご主人様と桃香が悲しむ。…二人が悲しむと恋も悲しい」
関羽が呂布らしい答えだと納得しかけた時。
「…でも、二人を抜きにしても…恋も悲しい」
「…………はっ!」
関羽に取っては予想外の答えに驚き、そして戦場にて不謹慎だと思いながらも嬉しかった。
「恋。今の返答で夏侯惇などに勝てる気がしてきた。が、恋の判断の方が正しいのだろう。ここは任せるぞ、恋!」
「…分かった、愛紗」
駆け出す関羽、親衛隊とはいえ関羽の相手は流石に不利だ。
なんとかこの場に留めらそうと叫ぼうとした時。
ガチン!
斬撃が襲ってきた。
「ええい呂布!邪魔をするな!」
「…お前の相手は…恋」
「仕方がない、先にお前を斬って。すぐに関羽をも倒す!」
「…出来ない!」
ガキン!
754 名前:三教一致 8-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:45:19 ID:Pcn2qkw0O
お互いの得物がぶつかると火花が散る。
「…今のお前、自分のご主人様の為…強い」
「分かっているでわないか!ならば早々に倒されろ!」
「…でも、恋は元々強い…そして、桃香と」
止まった呂布を隙と見て襲い掛かるが。
ガチン!
あっさり反される。
そして意を決した目をした呂布が。
「…………一刀の為に強くなってる、だからお前では恋には勝てない」
語りながら斬りかかる、下から襲ってきた方天画戟が太刀を盾に全身で身構えた夏侯惇を軽く吹っ飛ばす。
先ほどの夏侯惇の立場が逆転した形になった。
「うぬ、確かにお前は強い。だがこれは戦だ、お前と一部の将が強くとも戦では勝てんぞ」
「ウワワッ!」
曹魏の親衛隊が追い付いてきた、身構える呂布。
だが親衛隊は呂布を無視して劉備の兵を襲っている。
劉備の兵は押されている、後が無い故に気迫がどうしても曹魏の方が勝る。
呂布が親衛隊を斬ろうとすると。
カギン!
「おっと呂布よ。お前の相手は私ではなかったのか?別に構わないが背中には気をつけろよ」
親衛隊の何人かが立ち止まると。
「私に構うな!お前達は北郷を!呂布は私一人で受け止める!」
愛紗も親衛隊の進軍阻止を試みるが一人では流れが変わらない。
762 名前:三教一致 9-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:50:05 ID:Pcn2qkw0O
劉備の兵も必死に抵抗しているがどうしても押され気味である。
そして。
「華琳様、劉備軍右陣。我が隊の射程に入りました」
「そう、指揮は任すわ秋蘭」
「了解しました。……弓隊構えよ、目標敵右陣」
自らも弓を構える。
「放て!」
号令の後自分も矢を放つ、近場の小隊長らしき男が悲鳴を上げて倒れていった。
◇ ◇ ◇
「ご主人様、曹操軍本陣が味方右陣に攻撃出来る距離に」
報告する朱里、手には棒を持ち右目に当てている。
実はこれ望遠鏡だ。眼鏡が有るを知り、呂蒙の眼鏡の形を知って試しに作らせたが思いの外巧く機能している。
「なら頃合いだ、朱里。合図を」
「御意です、では工兵さんお願いします」
諸葛亮がお願いすると、隣の兵が旗を振る。
それを見た少し離れた工兵が筒に火を投げ込むと。
「「ポン!」」
「「ヒュ――――――」」
「「パンッ!」」
音を特化させた花火型の狼煙が二発、空に快音を響かせた。
その狼煙の意味を曹魏でも理解していた。
「森の伏兵への合図かと華琳様」
「恐らくそうね、各指揮官は森から目を反らすな!こちらに来ようと、春蘭達を襲うと素早く行動に移せるように!」
770 名前:三教一致 10-21[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 23:55:10 ID:Pcn2qkw0O
「季衣!それと三人!森からの伏兵に注意しろ!」
それぞれ全員からの返事を受け、なおも呂布と対峙する。
次の瞬間、森の茂みが揺れると飛び出る影が四つ!
「我こそは南蛮大王こと、孟獲なのにゃー!」
瞬間、奇跡が起きた。
殺し合う戦場にて、双方戦いの手が止まったので有る。
孟獲の声が届いた所から戦場全体に水面の波が広がる様に。
暫し静まりかえる戦場、始めに沈黙を破ったのは荀文若だった 。
「キィ――――!よりによって伏兵が孟獲!?偵察は何をやっているの!後でお仕置きよ!
 第一に南蛮の猿ごときに春蘭を止められるわけないじゃない!春蘭“ついでに”蹴散らしちゃいなさい!」
荀文若の声が届くわけがないのだが、思いが届いたのか?
「なんだあのちっこいのは?真桜、適当に相手をして追っ払え。あれを殺すのは流石に忍びない」
「了解や、春蘭様」
「にゃにゃ!みぃたちをバカにしたにゃ、ぜったい泣かすにゃ。トラ・シャム・ミケ出陣にゃ!」
言葉とは裏腹に森に引っ込む四人。
再び森で影が動くと。
メキ・メキ・メキッ
………ズドーン!
生木が割れる音が響き一本の木が倒れた。
森から姿を表す巨大生物。
パオ――――――ン!
一頭の白い象が雄叫びを上げたのだった。
774 名前:三教一致 11-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:00:11 ID:Pcn2qkw0O
「みぃの愛象、ガネーシャでみんな泣かせるにゃ!」
「なんや、確かにでかくて強そうやけど皆で一斉に襲えば倒せなくないで」
「ならやってみるにゃ♪ガネーシャ」
パオ――――――ン!
ガネーシャと呼ばれた白い象が再び雄叫びを上げると。
ズドン!ズドン!ズドン!
森から一斉に象が姿を表す、その数優に千を超える。
「んなアホな」
その光景に危うく得物を落としかける季典。
「貴様等!急いで壁を作れなのー!ぐずぐずしない!急ぐのなのー」
状況を見ていた干禁が危険を感じ檄を飛ばす。
「「「サー・イエッス・サー」」」
即座に森側にも盾による壁が出来上がる。
「ガネーシャやるにゃ」
鼻を左右に振る。
ブゥン!
ガチン!
「うわあぁぁ」
吹っ飛ぶ兵士たち。
全員で踏ん張ってでも盾の壁に穴が空く。
穴はすぐ埋まるのだが。
「みんなも行くにゃ♪」
その数実に約五千の象が一斉に曹操軍先陣の右側を脅かした。
◇ ◇ ◇
「華琳様!」
「あれは確か?」
「はい、見聞通りなら南蛮かそれより更に南に生息すると言われてる象かと」
「知識としては知っていても実際見ると違うわね、ならば知識としても知らない彼等はさぞ恐ろしいでしょう」
781 名前:三教一致 12-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:04:37 ID:wASRIcFoO
「でしたら早急になにかしら対策を」
「秋蘭、援護を早急に」
「はい…弓隊!目標を右側南蛮軍に変更!まずは一斉放射、後に随時、各々の判断で攻撃!構え…………放て!」
数千の数の矢が南蛮の象部隊に降り注ぐ。
だが、
キンッキンッ!キン!カンッ!キン!
「なっ!矢が刺さらな…くない、だが圧倒的に少ない?桂花、象とはえらく固いのか?」
「見聞では……多少は固いとは書いて有ったけど、生物の範疇のはず。全く刺さらないことはないはずよ」
「だが、現実には全く刺さっておらぬぞ?」
見聞との違いに困惑気味の軍師達に。
「桂花、確か象は一般的にネズミ色のはず、だけどあそこにいるのはほとんどが黒、所々がネズミ色だわ。それに乗り手の箱にも矢が刺さっていないわね」
曹操の言葉に考え込む荀文若、考えがまとまったのか語りだす。
「秋蘭、あなたの目でよく見て、何か見えない?それとも違和感がない?」
集中して南蛮隊を見つめだす夏侯淵、その鷹の目が一番近い象を捉える。
「垂れてる?足元はネズミ色、人で言う膝から上が黒く体を何かが被っているのか?」
「布か革かしら?」
「それなら刺さるだろう?」
「柔軟性が有って、矢が刺さらない物?」
789 名前:三教一致 13-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:08:20 ID:wASRIcFoO
ふと周りの兵士に目をやる曹操。
「…鉄の鎧?、いやそれならもう少し反射してもよさそうなもの」
考えがまとまらない曹操の呟きを聞いた郭嘉が“ハッ!”とした顔をする。
「華琳様、あれは鎖では?小さい鎖を作り繋げて被せる。見聞では象は力が強く多少の重さは平気かと、そしてあれが鉄では矢は通りません」
「上の箱も鉄かも知れませんねー」
「矢が通じない、ならば獣には昔から火よ、秋蘭」
「そうですね華琳様。弓隊!矢を火矢に変更して攻撃を継続!」
火矢も象には刺さらないが火は象に有効だった、一部統率が乱れ始める。
それでもまだ距離がある為、象兵が少し逃げれば射程距離外になる。
「距離を詰め、南蛮隊を火矢で追い払うのよ!」
距離を詰める曹操軍本陣、しかし南蛮隊に夢中になりすぎたか。
ドス!ドスッドス!ドス、ドスドスッ!ドス…
「ぎゃあああぁぁ!」
本陣側から悲鳴と断末魔があがる。
「南蛮達に夢中になりすぎたか」
南蛮の象兵の印象が強すぎて、つい先程まで誰を攻撃してたか疎かになっていた。
自分達が攻撃出来るということは、基本的に相手とて射程距離内なのだ。
南蛮兵に集中していると、これまた望遠鏡を覗きながら、分隊司令官趙雲が弓隊に攻撃目標の変更を促したのだ。
792 名前:三教一致 14-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:12:12 ID:wASRIcFoO
盾を持つ兵が慌て自分と仲間を庇う、曹操の所には幸い矢が届かないでいる。
「ええい!うざったい!弓隊を半分に分け、それぞれに応戦しろ」
劉備軍分隊に反撃が始まる。
「曹操軍本陣には嫌がらせ程度で構わぬ、反撃が本格化するならば早々に引けい。主要は先陣の進軍を遅らせる事、孟獲隊に攻撃が集中しなければそれで良い」
◇ ◇ ◇
「みぃさま、火が飛んでくる数がへったにゃ」
「なら、トラ・ミケ・シャムお前たちはふたたび突っ込むにゃ!あとテキトウな数ついて来るにゃ!兄と桃香をイジメルために近づいてるやつをとっちめるにゃ!」
象の怪力の力任せの攻撃に一般兵ではなすすべが無い、許緒一人が頑張り時折、鉄球で象を気絶させているが焼け石に水だ。
その様子を望遠鏡で覗く一刀と諸葛亮、ふと夏侯惇を見ると呂布と距離を置いて対峙している。
楽進が駆け寄ると南蛮兵を指差しながら何やら指示を出している、離れた楽進が歩兵をかき集めてる様子が伺える。
どうやら南蛮に対して、守りに徹してたのを攻撃に移るらしい。
「流石は春蘭、戦場での勘でこっちの弱点を見抜いたかあ。でも悪いけど弱点克服や運用方法は1800年位こっちが進んでるだよね。朱里、第二段階に入って」
「了解です、ご主人様」
798 名前:三教一致 15-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:16:55 ID:wASRIcFoO
◇ ◇ ◇
いったん呂布と距離を置いた夏侯惇。
「凪!」
部下の名を呼ぶ。
「何でしょう?」
呼ばれ駆け寄る楽進。一瞬も呂布から目を離さず、背中で楽進に語りかける。
「あのでかい生き物、機敏ではない。回り込み後ろから白兵を挑めば大した被害が出ないと思うぞ」
「そうですね、では決死隊を募って回り込みます春蘭様」
「馬鹿者!決死隊等と縁起が悪い、一方的に倒すのだから殲滅隊か撲滅隊にしとけ」
「…そうですね、了解しました。これより楽進隊は南蛮兵を殲滅して来ます」
「そうだ!その心意気だ。あと悪いが北郷を捕らえるのをお主達三人が季衣を補佐して実行してくれぬか」
「春蘭様!」
「悪いが流石に相手が飛将軍呂布では……ここから動けそうにない」
どんな結論を語っているのか空気が重くなる。
「では春蘭様。北郷を捕らえたのちお迎えに参ります、共に華琳様の元に帰りましょう」
「迎えに来るのでは仕方がないな、それまでに呂布を倒して待っているとしよう」
「はっ、必ずやお迎えに上がります」
自分の隊に戻る楽進を背中で見送る夏侯惇。
「待たせたな呂布」
「…構わない…勝負はついていると思う…元々恋の仕事は…時間稼ぎだから」
801 名前:三教一致 16-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:21:05 ID:wASRIcFoO
確かに先程から親衛隊の進み具合が悪い、むしろジリジリと押され返されてる気がする。
あの巨大生物が前方にも現れたのかもしれないと考える。
「時間稼ぎだと!ふざけるなー!」
夏侯惇が飛び掛かると再び火花を散らす戦いが再開された。
◇ ◇ ◇
楽進が自分の隊に戻ると。
「楽進隊!これより南蛮兵の脇を通り抜け後ろに回り込む!強制では無い志願を募る。勿論、先陣は自分が努める」
楽進の覚悟に一人の兵士が訪ねる。
「楽進様、決死隊は何人必要なのですか?」
「一人でも多い方が良い、だが忘れるな!夏侯惇将軍曰く、これは決死隊ではない。相手を殲滅して悠々とここに戻って来る。
 その後、敵の御遣いと呼ばれる者を捕らえる等、やることはまだ沢山あるのだ!」
楽進の言葉に目から鱗が落ちる兵士達。
「そうでしたな楽進様、無事に帰って来るだけですな。なら志願も必要ないかと思いますが?」
「……………念のためだ」
中隊長の思わぬ反撃にやや顔を赤らめ声が小さくなる楽進。
「ははは!初めて見ました、楽進様が女性らしくしおらしくなるのを」
かなり無礼なはずの台詞を吐くが、楽進はソッポを向いたまま無視した。
806 名前:三教一致 17-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:25:04 ID:wASRIcFoO
振り向きながら。
「楽進隊!当陣営を守る必要な兵を残して全て楽進様に付いていくぞ!編成急げ!」
「「「応!」」」
暫くして。
「編成済みました!」
「分かっ…」
パン!パン!パン!
また、劉備軍から花火が上がる。
「また何かの策を弄する気か、皆急ぐぞ」
と、その時。
ジャーン!ジャーン!ジャーン!
森から銅鑼が鳴る!
「まだ隠れていたのか!」
出て来たのは南蛮歩兵と蜀の歩兵、圧倒的に南蛮歩兵が多い。
「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃ………」
敵?と、思ってしまう程の可愛らしさだが目に宿る戦意は本物だ。
「皆、見た目に惑わされるな!あんな身形でも立派な敵だ油断すると殺されるぞ」
「楽進様!ご覧ください、奴らデカイ奴の周りに」
兵士の言う通り、南蛮歩兵が象の周りに配置に付く。
蜀の歩兵は南蛮の更に後ろか一番端の更に端を中心に付く。
象が動くのに合わせて南蛮歩兵も合わせて動く、まるで連携でもとるかの様に。
人と人なら連携も取れるだろうが人と獣が連携を取れるのか?
はたまた北郷たる御遣いの妖術の成せる技なのか?曹魏の兵は混乱する。
811 名前:三教一致 18-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:29:08 ID:wASRIcFoO
これがまだ涼州の兵なら多少は理解したかもしれない。
生まれながらに馬とたわむれ生活する彼らは、馬のことなら動き行動を理解出来る、南蛮はそれを象で実現してるだけである。
それを解らない曹魏の兵には御遣いの妖術にしか見えない。
「楽進様、流石に歩兵を退け後ろに回り込むのは不可能かと。歩兵を相手している間にデカイのに殺られちまう」
「またしても、先を読まれたというのか!またしても御遣いの仕業か!あやつは神か!悪魔なのか!ウオオォォ!」
ドッカ――――ン!
気弾の一撃が南蛮歩兵を吹き飛ばす、そこに突貫しようとした楽進だが慌てて回りの兵士が止めたのだった。
「申し訳ありません……春蘭様」
楽進の目から一筋の涙が溢れた。
◇ ◇ ◇
「進め進めにゃ!われらが象兵の弱点、矢と後ろからのこうげきは兄がかいけつしてくれたにゃ!」
ガネーシャの上ではしゃぐ孟獲。
「処で美以ちゃん」
ガネーシャに乗っかったままの孟獲に劉備が尋ねる。
「なんにゃ?桃香」
「私達が南征の時、何でガネーシャちゃんたちを出さなかったの?」
「ジャングルだと道が狭くていっぺんに戦えないにゃ!ずらーとガネーシャたちを並べてじゅんばんが来るまで待つのがひまにゃ!」
816 名前:三教一致 19-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:33:25 ID:wASRIcFoO
倒しても、倒しても、象が待ち構えている処を想像する一刀。
「(……………ゲェ、美以がア…自分の気持ちに素直な娘で助かった)」
「だからいろいろとむだも多いにゃ!」
今、目の前の光景を見て、改めて美以の素直な気持ちに心底感謝する一刀だった。
「兄、桃香、今からみぃたちは前の敵をやっつけてくるにゃ!」
「分かった、気をつけてねみぃちゃん」
「みぃ、なるべく倒すんじゃなく気絶させてくれ、気絶した兵は後ろの兵が対処するから」
「う〜、みぃはむずかしいことは分からないにゃ!ただ本気でやらなきゃ多分大丈夫にゃ!じゃあみんな進むにゃ!」
「歩兵の皆さん、孟獲さんの後ろに付いて下さい。倒れてたり、気絶している兵は敵味方関係無く介抱して下さい。無傷の敵の兵隊は隔離しといてください」
全体的には少数だが前面からも象兵が出撃する、たちまち劣勢気味だった正面も覆され攻勢に転じる。
側面の南蛮兵は中央突破し、一時的に完全に分断させる。
曹操の本隊が距離を詰めて完璧な分断、各個撃破は免れる。
だが、完全に劣勢は免れなくなった。
一度突っ切った後に反転、劉備軍分隊と連携に入る孟獲隊。
819 名前:三教一致 20-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:37:31 ID:wASRIcFoO
雌雄は完全に決した、仮に撤退するにしても、いつの間にか現れてた孫策軍に元居た場所を占領されている。
攻撃事態は無いものの撤退には邪魔で劉備軍の追撃に壊滅するだろう。
曹操の陣から銅鑼がなる、集合の合図だ。
「呂布よ、この勝負一時預ける!」
「…構わない、一刀の言い付けは守ったから」
「ぬっ!」
悔しさでいっぱいだが今は自分の主の無事を確認したい気持ちの方が勝る夏侯惇が駆けていく。
今や曹操軍は森を抜かし完全に囲まれていた、総数も恐らく五万を切っているだろう。
残った兵も前衛は孟獲の象兵によるデタラメな力による攻撃に、後衛は分隊長趙雲の嫌らしい指示の攻撃に無傷な者など居なかった。
「進退ここに窮まれり、ね」
「華琳様、まだ森を使って退却すれば」
「桂花、貴女なら森を放って置く?」
「……それは…」
言葉に詰まる。
「しないわよね、ならば」
曹操の考えは正しく劉備軍から火矢が森に撃ち込まれる。
「ほら、ご覧なさい」
油でも仕掛けてたのだろう、忽ち森は大火災になる。
「華琳様、今一度北郷を討ち取るなり、この包囲網を突破する指示を」
「もういいわ、春蘭」
「華琳様!」
夏侯惇の声を掻き消す兵士の声。
820 名前:三教一致 21-21[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:41:23 ID:wASRIcFoO
「申し上げます!劉備軍より劉備と御遣いらしきお方がこちらに。それに孫策軍からも孫策らしき姿が」
「ああ、そうだったわ話を聞く約束だったわね、少し話をしてくるわ」
歩きかけて止まると。
「秋蘭、桂花、風」
「「「はっ!」」」
「この後の皆への指示、お前たちに授ける」
「………………………御意です」
答えたのは程仲徳のみ、だが残りの返事を待たずに。
「では行ってくるわ」
「華琳様!せめて護衛に私を!」
「ありがとう春蘭、でも見なさい。桃香たちに護衛はいないわ、だから今回は駄目。大人しく待ってなさい」
恐ろしい不安な夏侯惇、意を決っして再度護衛を願おうと顔を上げた時には既にその場にはいなかった。
「秋蘭、秋蘭」
拭えない不安にか弱い声で妹の名を呼ぶことしか出来ない夏侯惇。
再度、国のトップたちによる話し合いが開始されるのだった。
822 名前:三教一致 裏舞台の見えざる攻防[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:43:46 ID:wASRIcFoO
「おい、見たか」
「ああ、伏兵に見たことの無い巨大生物の存在に油を染み込ませた芝」
「急いで曹操様に伝えねば」
「行くぞ」
自分の陣に戻りだす、偵察隊。
「ぎゃ!」
「うゎ」
次々罠に掛かりだす。
「みぃさま、何か罠にかかってるにゃ?」
「にひひぃ、タンポポ直伝の罠に引っ掛かったにゃ。そのままだと黒焦げにゃ、しばって出る時に別で桃香に届けるにゃ」
◇ ◇ ◇
運良く罠を切り抜けた偵察兵が一人駆ける。
「俺だけは、俺だけは何としてもこの事実を曹操様に伝えねば」
一心不乱に走る兵、細かい障害は無視して走る。
ので、体はおろか顔にも常に傷を作り続けながら走る。
森が開け始め曹の旗が見えた瞬間。
「そ!」
う操様!森に敵と罠が!と言おうとして言えなかった。
◇ ◇ ◇
「よっと、この穴でいいかな」
ドサッ!
兵を穴に捨てる周泰。
「偵察はこれで全部ね、あっ!戦が始まった!」
消える周泰。
「みぃさま、また一人引っ掛かったにゃ」
「そいつもしばっとくにゃ」
周泰の人知れぬ活躍があるのだった。
828 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 00:52:26 ID:wASRIcFoO
「にゃー(多数様の支援、ご声援ありがとうございました、本日をもって三教一致はしゅう)」
ゲシ!
「にゃー(痛いです風様!)」
「なにヘタレを言ってるんですか、一刀十三号」
「にゃー(無理もう無理、あの作家陣の横に名前出すの耐えれません!絶対プロいますよあれ)」
「だったら次で終わらせなさい」
「にゃー(だと風様の外伝活躍なくなりますよ?)」
「そこわあれですよー外伝として書きなさい」
「………………」
「にゃー(改めて支援、応援ありがとうございました“本編は次で終わらせたいです”)」

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