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524 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 09:45:53 ID:F/FhAvfLO
「おぉ!書けますよ、一刀十三号。今の内にさっさとあなたの駄文を載せるのです」
「にゃー(何時、再規制されるか解りません、可能な限り桃香します。21桃香予定です)」
525 名前:三教一致 1-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 09:53:47 ID:F/FhAvfLO
「何?」
「てっきり反対するかな〜と思って」
「今のままだと兵力が回復したらまた攻め込んでくる可能性が有る。ここが曹操を和解か説得、出来る分岐点だと思っている。だから今回はトコトン叩くつもりだよ」
「なら引き続き共同作戦?」
「いや、先ほどまでは孫呉が攻められてたから援軍として共同だったけど、可能ならこれから先は蜀一国で相手したい。手柄の横取りみたいで嫌なんだけどね」
「え〜手伝いたいってか、個人的に曹操ぶっ飛ばしたい〜」
目茶苦茶な凄い理由をあげる。
「前にも言ったけど、そうしないと華琳に届かない気がする」
無意識か一刀が曹操の真名を呼んでるのが少し気にいらなかった。
「だったら、勝手に付いて行くわよ。一刀が負けたら、次に私が曹操倒して一刀は部下にしちゃうんだから。そん時は曹操殺しちゃっても文句言わないでよね」
「そんな事態になる事はさせないと思う」
言葉は確信ではないが瞳の決意が硬いのにどうしても複雑な心境になってしまう。
時々、誰にも気兼ねなかった学園生活が……
曹操を倒して一刀を蜀から奪い、自分だけの部下にする。
最悪、王の座を捨て皆から、いや一刀本人からでさえ怨まれても拐って監禁でも二人きりの生活を欲してしまう自分がいる。
527 名前:三教一致 2-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 09:57:56 ID:F/FhAvfLO
だがそれも、毒矢の攻撃を自分が受けたにもかかわらず、まず私を心配してくれて無事だと分かると喜んでくれたあの一刀をどうこうしていい訳がないと自分をたしなめる孫策。
蜀の皆と一刀のことで騒ぐことが出来る様に、曹操とも一刀のことで騒ぐことが可能なのかもしれない。
と、考える。
だから、万が一に一刀が負けたなら全力で助け、曹操を倒し一刀の前に連れてこようと思う孫策だった。
「なら行動は三日後?」
「いや、今すぐだよ。敗れたといえ、今だ曹魏は五十万近くの兵が居る。元気な人で部隊を形成、曹操の撤退の道筋を予想・配備して奇襲に見せかけて驚かす、たまに本当に奇襲をかける。これで一般兵は大分減らせる筈だ」
「ならそれぐらいは手伝わせなさい」
「…………分かった。でもこれは驚かせて、一般兵を逃亡させて減らすのが主な作戦で。撃ち取るのが主要ではないからね」
「分かってるわよ。思春、明命。比較的元気な兵を集めなさい」
返事をすると行動に移る二人。
その後、部隊が編成されて曹操の後を追っていった。
残った部隊には三日間の休憩の後、曹操の追撃に入ったのだった。
529 名前:三教一致 3-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:00:27 ID:F/FhAvfLO
先鋒の厳顔、魏延、黄蓋、周泰は戦果を上げていた。
一般兵は脅し逃げさせる、逃げないだろう各将直轄の親衛隊は撃ち取って確実に兵数を減らしていった。
とどめは蜀呉連合の本隊が姿を現すと、一般兵の逃亡が輪をかけて相次いだ。
今や、その数は約三十万。
しかし蜀軍だけでは数なら今だ上である。
蜀呉連合に追いつかれ下手に動けなくなり、平原でにらみ合うこと丸二日間。
「華琳様。このにらみ合いあまりよろしくありません。どうしても逃亡が相次ぎます。数・陣の配置から判断するに先に蜀劉軍を討ち、すぐさま孫策軍を討つべきかと」
「逃がしてはくれなさそうね」
「残念ながら」
「許昌や各城の守備隊が駆けつけて、ようやく数は蜀呉連合に互角かしら」
「数では多少逆転するかと。更に駆けつける兵は戦疲れはなく蜀呉連合に勝つのは十分可能です。ただしそれはあと四日、これ以上逃亡兵を出さねことが条件かと。今、曹孟徳の力量が試されてるのです」
「こんな時でも。いいえ、こんな時だからこそ厳しくあたるのね稟。ならば後四日間、現状を維持してみせましょう」
530 名前:三教一致 4-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:05:53 ID:F/FhAvfLO
「北方より近づく部隊有り!敵味方は不明!」
報告に北を向くと北方から砂塵が見えた。
「(頃合いかな)朱里。あそこの森に隣接するように陣を、それと狼煙と斥候の準備。後、雪蓮に本格的に後方待機に入って、って」
「了解です、それでは皆さん、移動準備してください」
◇ ◇ ◇
「北方より砂塵!」
その報告に魏の将は皆驚く。
「援軍が来るには早すぎる、敵か!」
「今見てるとこなのー…………見えた!旗印は曹!味方の旗なのー」
于禁の言葉に曹操は更に悩む。
「援軍にしては……やはり早すぎる。味方に扮した敵の奇襲?桂花、こちらに来る部隊、一定の距離で止めなさい。そして敵か味方か調べなさい」
「はい」
夏侯惇は迎撃の時の為、許昌警備隊隊長の三人は確認の為に部隊を率いて近づく。
部隊の中に何人かの警備隊員や訓練していた新兵を更に援軍の使いに出した使者も見つけ味方だと判断。
事の経緯を説明させるため何人かの部隊長達が曹操の前に呼ばれた。
「許昌が落城?」
曹操のその言葉に一同に泣き出す隊長達。
「詳しく説明なさい」
すると一人がポツリポツリと語りだす。
532 名前:三教一致 5-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:12:41 ID:F/FhAvfLO
それは十日前に西から突如、劉備軍が現れる。
旗は、劉・張・趙・馬・厳・魏・鳳。
開戦から半日で落城とのこと。
「ちょっとまて!」
怒鳴って会話を中断させる夏侯惇。
「いくら名だたる将が居なかったとはいえ、守りの将も居たはず。半日は早すぎるだろ!貴様らは寝てたのか!」
「春蘭黙りなさい、恐らくまた北郷による奇計でしょう。続きを話して」
「はい。劉備軍だと分かった時点で城門を閉め籠城の準備、伝令を出すなどしましたが。伝令は見えてるうちに馬超隊に捕まるなどで駄目でした。劉備が孫呉を攻めてる非を述べて、開戦の宣言と同時に攻城に。
 梯子隊が城壁に近づき神速にて取り付きました」
「待ていくら速いとはいえ、梯子を立て掛けるには一度止まるだろうし。そこを狙えば」
「止まりませんでした」
「何!」
「梯子の先に何やら鉄で出来た鉤状の物がついてまして、それを城壁に滑らせて上げる。そのまま鉤をへりに引っ掛ける」
「ま、待て。それでも梯子を外したり、登って来るまでの時間があるだろうに」
「梯子はへりに鉤が引っ掛かり、外すには一度持ち上げませんと駄目でした。ですが敵兵の体重も加わりとても重く無理でした」
これが夏侯惇や許緒なら可能だっただろうが一般兵にはどだい無理な話である。
535 名前:三教一致 6-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:26:35 ID:F/FhAvfLO
「外そうとした間は的でしたし。それに梯子の先端には、旅芸人の軽業師みたく人が一人乗ってました」
聞いた事も無い戦法に将達は驚く、軍師達の落胆は特に酷そうだ。
「ならそのまま、あっと言う間に城壁の上ね」
「はい、そして予め決めていたであろう梯子を総出で守る。攻め手はその梯子を中心に登ります」
「結果、半日で落城と」
「はい、そして主だった将は尽く捕らわれて指揮系統は混乱。逃げるにしても組織的な退却もままならず。また、長安や洛陽の城も同じ作戦で落ちたと。ここに来る途中に合流した長安・洛陽の警備隊の兵が申しておりました」
長安も落とされたらしい、そこより西の援軍は完全に当てにならなくなる。
この様子ならば主だった都市もほとんど落ちてるだろうと判断する曹操だった。
「ですが曹操様!我等まだ十分に戦えます」
とは言うが、傷ついて無い兵士など一人も居ない、それどころか本隊と合流出来た安心からか失神する者も居た。
自分を信じて傷つきながらもここまで来た彼等に無理はさせられない。
現実的に酷い言い方をすれば戦力としては当てにならないと思う程傷付いていた。
「分かったわ、指示が有るまで傷の手当と休憩をしなさい」
「ハッ!」

536 名前:三教一致 7-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:28:49 ID:F/FhAvfLO
「しかし、ここで軍を一部ではなく、あえて真っ二つに別けるとは……見事謀られたわね。さて、援軍が当てにならなくなったわ」
「何が問題なのです華琳様?私と季衣が先頭に立ち、敵陣深く斬り込んでただ敵の頸をあげれば問題無いではありませんか」
「そうね、それも案の一つに入れときましょう」
「華琳様…その案は…」
言いかけて止める。
とりあえずは今後の方針を主要に話だす。
が、状況を画期的に打破出来る案など出るはずもなく、もう一日が過ぎた。
曹操軍を見つめる一刀、このまま彼女等が降伏してくれればどれだけ良いかと思うのだが、彼の知ってる華琳なら決して降伏はしないだろう。
だから目の前の華琳も決して降伏はしないだろうと思っていた。
昼ごろに北方からまた砂塵が上がる。
しかし今度は魏の主要都市を落としてきた劉備軍だった。
その数五万、蜀を出る時の兵力が三十万だったからだいぶ減っている。
だがそれは討たれたのではなく、警備の為に配置してきたのだ。
これで少なくとも、この戦いの間は持ちこたえるだろう、野暮な邪魔は入らない筈だ。
無事に合流が出来た事を祝い合う、それから暫くすると。
「ご主人様。私、曹操さんと話がしたい」
「そうなの?俺も話をしたいと思っていた処だった」
537 名前:三教一致 8-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:32:24 ID:F/FhAvfLO
「なら、私も連れて行きなさい」
「まあ付いて来るぶんには、かまわないんじゃないかな」
劉備と一刀、孫策が三騎で出る。
念のためか関羽と黄蓋が少し離れてついてくる。
「華琳様。劉備と孫策、それに天の御遣いらしき人物がこちらに向かって来ます。口上でしょうか?関羽と黄蓋も離れてついてきてます」
「なら出向かないといけないわね」
単身で向かおうとする曹操に夏侯惇が。
「華琳様。危険です」
「なら付いてくればいいわ、ただし向こう同様離れて付いてきなさい」
「はい…」
本当は真横に付きたいのだが、こう言われてしまったのだから離れて付いて行くしかなくちょっとしょんぼりする夏侯惇。
三人に近づく曹操。
今ここに、最早国家にまで上り詰めてしまった三国の頂点達が一同に揃う。
「曹操さん。お話が有ります」
「聞きましょう、劉備」
「もう止めませんか?この戦。今は昔とは違います、曹操さんだって雪蓮さんだって私だって!庶人をくるしめるような政治はしない。だったら!制度としての統一なんか必要ないじゃないですか?」
585 名前:今回、三教一致9-21正しいやつ[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 13:16:50 ID:F/FhAvfLO
「皆で仲良く協力して……そんな甘いやり方で建て直せるほど、この大陸は理想的に出来てはいない。国を一つにしなければ、真の平和など訪れるはずが無い!あなたの所の将が優秀なのは良く分かっているわ。
 でも、この大陸の皆が、あなたの将のように賢く、物分かりが良いの?大陸に複数国がある限り、権謀巻き起こり、術数吹き荒れ、その結果として大乱が起きる」
「確かに……曹操さんの言うことには一理あるかもしれません」
「この国を守りたいというなら劉備よ孫策よ!我に降れ。さすればすぐさま平和になろう!」
「違うんです……それじゃ意味が無いんです!たった一人を頂点として平和を実現しても、その人に何かあれば、その平和は簡単に崩れ去る。それじゃ意味が無いんです!
 だから……曹操さんの方こそ軍を退き、覇業を捨ててください!」
「私に覇業を捨てろだと?……曹孟徳に天下を見る者が居るからかそ、私は覇道を征くのだ――」
――暫くお互いの主張を押し出した討論が続いた。
が、基本的にお互いが今まで共に歩んできた主義・主張である、捨てろと言われて“はい、そうですか”とも言える訳もない。
「劉備。あなたと話しても埒が明かないわ。……ところで孫策、あなたは何か言うことは無いの?」
542 名前:三教一致 10-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 10:37:56 ID:F/FhAvfLO
「無いわよ。この戦い暫くは、流れ次第では全部静観だから」
「なっ!それはどういうこと!」
「天の御遣い様が蜀一国で相手するんですって。だから私が相手するとしたら、まず劉備を倒してからよ」
拗ねているのか皮肉たっぷりに言う。
曹操が一刀を睨む。
「あなたが天の御遣いと言われている男ね、こうしてじっくり会うのは初めてかしら?」
「ああそうだね。知ってるとは思うが、姓は北郷、名は一刀って言う。字と真名は無い」
たしかに姓と名は報告等で知っていたが、字と真名が無いのは知らなかった。
「変わっているのね、では北郷。有利な状態の連合を組まないで、あえて不利になるとは私たちを舐めているの?」
「そんなことは無い」
「では何故!」
「曹操に本当に話しを聞いてもらうには。先ずは、実力を示してからだと。それも他人の力を借りずに自分たちだけの力だけじゃないと駄目だろうと思ったから」
「………劉備よりは解っているみたいね」
「だから、抗う力さえ無くなったら。必ず、話は聞いてもらうよ」
「ええ、あなたが次の戦に勝って、私に抵抗する力が無くなったら話を聞きましょう」
「後、やはり次の戦いだけど。もし自分を撃ち取れられれば、そこで終わり。曹操の勝ちでいい」
547 名前:三教一致 11-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 11:08:30 ID:F/FhAvfLO
「なっ!ご主人様!」
「一刀!」
声を張り上げた二人。
「ふざけないで!!!」
そして、より大きな声を出したのは曹操だった。
「私たちに情けでもかけるつもり!あまり愚弄するならば。今、この場で首をはねるわよ」
曹操は本気だ、劉備と孫策にも緊張が走る。
だが一刀は冷静に。
「情けでも愚弄でも無い。ただ俺は世間で言われてる通り、この世界の人間じゃあない。皆が天の国と言う所からやって来た。そしてこの時代としては発達し過ぎた知識や考え方。
 そうした反則が俺だ、本来なら俺が居なければどっちが勝つか分からない戦も有った。だからこそ『俺が居るだけで勝ってしまう』は少々自惚れだろうが、勝ってきたのもまた事実。
 だから、もしこの戦いで俺が討たれることがあるならば、天は曹操を選んだことになる。自分が天の御遣いと思ってたのは自惚れだったってことさ。納得してくれた?」
「それで曹操が納得したって私が納得しないわよ、一刀」
「私もです、ご主人様」
「そうね、あなたを討ったら、“はいそれで終わり”と思っているのならば。少なくともそれは自惚れね」
「どう思うと構わないが、俺はそのつもりだよ」
586 名前:今回、三教一致12-21正しいやつ[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 13:19:59 ID:F/FhAvfLO
「ならとりあえず、今は話すことはもう無いね」
半場強引に解散を促す一刀。
「どういうつもり一刀」
「そうだよ、ご主人様」
「どうもこうも、さっき言った通りだよ。負けるつもりは無いからそれでいいだろ」
釈然としない、むしろ不満な二人だ。
かつて自分が華琳に付いていた時に、蜀を追い詰めて華琳が桃香との一騎討ちをした時も同じ様なことを言っていた。
自分はこの世界ではジョーカーなの知れない、桃香が勝ったのは自分という反則がもたらした結果なのかもと。
“天命がある方が最後に勝つ”自然と華琳の台詞と同じだろう意味の台詞をなぞっていた。
・・・
・・

「華琳様の話からすると孫呉は手を出さす、天の御遣いを討てば劉備軍そのものを撃ち破らすとも、私たちの勝利でよいと」
「北郷はそう言っていたわ」
「それならば話は早い、早速出撃命令を華琳様」
「春蘭、少し黙っててちょうだい」
「なんだと桂花!」
「いいから少し黙って」
考え中の荀文若には流石に夏侯惇も、気負けのようだ。
「……………稟、どう思う?」
「罠の可能性も有りますね」
「そうよね、今までが今までだから。それに天の御遣いは、劉備軍の主な武将・文官との仲が、特別な関係との報告もある。討ち取った方が結果的に悪くなるかも」
549 名前:三教一致 13-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 11:12:40 ID:F/FhAvfLO
「何も討ち取る必要はないのですよー、捕らえて人質にしてしまえばいいのです。特別な関係なら、この場の危機回避はおろか、取られた領土も取り戻せます」
「何故、人質にする必要がある?討てば終わりだと敵が言っているのだぞ」
再度口を挟む夏侯惇。
「春蘭。もし仮に、立場が逆で華琳様が同じことを言ったとして、華琳様を討ち取られたら相手を許せる?」
「頸をはねるに決まっているだろう!」
即答する夏侯惇。
ふうっ…その答えは出るのに、何故?解らないのかと軍師達からため息が漏れる。
「なので基本方針は春蘭様が前衛で正面突破。天の御遣いと称されてるお兄さんを奪取して、交渉なり脅迫でこの危機を脱するしか手は無いかと」
「その時、孫呉に人質として価値がどのぐらい有るのか?懸念も有りますね。最悪、劉備軍で孫呉を押さえてもらうのも案に組み込んどくのも必要かと」
と、軍師達でよからぬ作戦を練っていると。
「待て貴様等、そんな卑怯な手を華琳様に使えと―」
「いいえ。この手を考え独断で実行するのは私よ。決して華琳様による発案や実行ではない」
「桂花。それは屁理屈だろう」
部下の行動は主の振る舞いだと夏侯惇は暗に言う。
558 名前:三教一致 14-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:07:15 ID:F/FhAvfLO
「違うわ、これは私の暴走。華琳様の部下を辞めてでも乗り越えなくてはいけない危機なの」
そんなことは分かっている。だが、それしか策が無い今、形だけでも泥を被るのは自分だけでいいと、然る後に独断による罰を自分に与えられば本当に泥を被ることになるはずだから。
「愛する部下達を守る為には、形振りなんて構っていられない段階なのかも?」
「「「華琳様」」」
曹操の発言に驚く一同。
「桂花、作戦をのべなさい。第一、貴女を失いでもしたら、今後の私の私生活に埋らない穴が空いてしまうわ」
今、荀文若は感激に打ち震えていた。覇王にあるまじき人質をとる作戦を、自分の認めた作戦だと言ってくれた事実に対して。
絶対に成功させると信念に作戦を練る。
「作戦を言い渡すわよ。前衛先頭を春蘭で敵本陣に突貫、恐らく森からの伏兵が横撃を掛けて来るでしょうから、季衣・凪・真桜・沙和に止めてもらうわ。
 その間に北郷一刀を拐う。討ち取っては駄目よ、たぶん取り返しがつかなくなるわ」
「ちょい待ちい、自分後衛待機かい」
「もし、右の森の伏兵の狙いがこちらの本陣の時に備えとして秋蘭と霞、流琉に待機してもらうの」
562 名前:三教一致 15-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:09:15 ID:F/FhAvfLO
「森に伏兵居るんかいな?」
「必ず居るわ、既に敵の兵数が合ってないのよ」
「伏兵が居るのを分かって姉者を出撃させるのか?桂花」
「春蘭だからこそ出撃させるのよ、敵の罠にかかった振りをしてね秋蘭。布陣を見た限り、劉備軍の主な武将は見える所に陣取っている、つまり伏兵にはいない。
 顔も知れ渡ってない様な無名な将の横撃程度で、春蘭を先頭にした親衛隊を止めれる者など居ないのよ」
「本陣の旗は偽りで誰かが森に潜んでた場合は」
「それこそ、敵本陣が手薄になる。季衣・凪・真桜・沙和には死ぬ気で横撃を防いでもらうことになるけど、その間に春蘭に本陣を襲撃、北郷を拐ってきて貰うのよ。
 その後、北郷を人質に交渉、身の安全と領土の返還を。孫呉が噛み付いてきそうなら劉備軍にも防いで貰う」
「なるほどなー、えげつないな」
「なんとでも言いなさい」
「冗談やて、えげつないのも時には必要や」
「(その言い方じゃ冗談になってないわよ)だから森の伏兵が春蘭達に向かわずこっちに来た場合に秋蘭・霞・流琉に華琳様を守ってもらう必要が有るのよ、納得して頂いた霞?」
「そんならしゃーないか」
やや不満は有るもののそう言われては仕方がない。
572 名前:三教一致 16-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:39:44 ID:F/FhAvfLO
「で、後衛に華琳様・秋蘭・霞・流琉・私達軍師三人で前衛を全力で補佐よ、分かった?」
「ならその作戦でいきましょう」
曹操が作戦を容認したのだった。
・・・
・・

曹操の号令が始まる。
「二刻後、我らは劉備軍に攻撃を開始する、帰るべき城も既に無く、策をもって起死回生にかけるまでに至った。最早この戦い、半分は私の我が儘でも有る。
 重傷者及び、申し出るなら戦線離脱を許可する、決して咎めたりしない。以上」
曹操の号令が終わるとざわめきが起こる。
重傷者は無条件に戦線から離脱させられる。
「どうする?」
「どうするって、俺の家族は黄巾党に皆殺されて一人ぼっちだ。仇を伐ってくれた曹操様について行くだけだ、第一当てが無い(笑)」
「俺もだ(笑)」
独り身の連中が笑いながらの雑談の横で。
「うぅ……すまない、すまないぃ」
家族が忘れられない者、曹操の演説に死への恐怖に駆られた者が。その場で泣き出したり、踞る。
周りの者が抱き抱えたり、連れ添ったりして自然にできてた集合場所に集う。
一刻後、集まった集団が白旗を掲げ劉備軍に降った。
574 名前:三教一致 17-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:44:53 ID:F/FhAvfLO
「雪蓮に伝令、投降兵と負傷兵の面倒をお願いして」
「判りました。おい、お前が投降した者をつれて来てくれ」
下士官の誘導に従う、曹魏の投降兵達。
「残った兵は志願兵かあ、激戦は必至…」
投降すれば助かった筈、あえて残った兵達の覚悟が判る。
「……桃香、もし俺が殺られたら直ぐに戦闘を中止して」
その時、弱気なった一刀が再度口に出した案に。
「……け…せ…」
ポタッ。
「ん?」
ポタッ。
「そんな命令、聞けません!」
目から涙を流し一刀の言うことを拒絶する。
「ご主人様が死んだ後のことなんて、考えたくもありません」
「どうしたんですか?ご主人様。なんで急に……とにかくそんな命令聞きません」
劉備に言われ我に返る。かつて知った曹魏を討つ後ろめたさか、この目で見てきた曹魏の決死の覚悟を、今敵にまわした恐怖なのか、一刀を著しく弱気にさせていた。
「第一に主、主が死んだ後ならば言うことを聞く道理など有りませぬぞ」
「それもそうだが、ご主人様。我らに曹魏の軍勢ごときを止められぬとでも」
「そうなのだ!お兄ちゃんは失礼なのだ!」
「……一刀、…失礼」
「そうですよ、ご主人様。ご自分で練られた案もあります、戦う前から弱気では兵の士気にも関わります」
576 名前:三教一致 18-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:51:13 ID:F/FhAvfLO
気がつくと一刀の周りに蜀の将が、皆集まっていた。
口々に怒るが、しかし本気ではなく心配が故の注意だ。
そして、今の仲間が桃香達だと再確認する。
彼女達とならきっと良い結果になるだろうと。
「ごめん皆。弱気だったみたい。」
「能天気が取り柄なのですよ、ちょっとは気をつけるのです」
陳宮にまで怒られてしまう始末だ。
「本当に皆ごめん、もう大丈夫。今はとにかく目の前の曹操達に集中する」
「ご主人様」
今度は安堵からか再び涙を流す劉備。
「ごめん桃香。心配かけた」
抱き寄せながら、頭を撫でる一刀。
「それと、もう一つごめん。ちょっと雪蓮に謝ってくる」
「それなら必要ないわよ」
「雪蓮!」
「雪蓮さん!」
ため息を吐きながら近づいて来る孫策。
「やっと、元に戻ったみたいね。まだうじうじしてたら曹操代わりに一発ぶん殴ってたわよ」
「それは勘弁だ、戦の前に死んじゃうよ」
「ぶー、減らず口まで治ってる」
軽い笑いの後。
「雪蓮。投降兵の面倒よろしく」
「分かったわよ、曹操と決着つけてらっしゃい。負けたらしょうちしないわよ」
その台詞に。
「ご主人様は負けません!」
劉備の力強い言葉。
578 名前:三教一致 19-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:55:42 ID:F/FhAvfLO
「そうね、悪かったわ桃香。じゃあ戻るわ負傷兵の手配が大変みたいだから」
「面倒押し付けて悪い」
「あら?この私を裏方に回したのよ、このお礼はたっぷりして貰うわよ。一刀個人から」
「う〜ん、お手柔らかに」
「ダーメ、だから帰ってきなさい」
孫策をその場で見送り、振り向き様。
「曹操軍の様子は?」
「赤壁の戦いと、その後の伏兵奇襲、更に先ほどの投降で曹魏の軍勢は大幅に縮小しています」
「現在の兵力で言えば、ほぼ互角。……勝てるかは分からんが、負ける要素も無いな」
「あとは私たちの活躍次第か」
「曹操を納得できれば、ひとまず戦いが終わる、説得の為に戦うのもなんかおかしいけど長い目で見たら絶対こっちの方がいいはずだ。
 そして皆…いや民達の為にもこれを最後の戦いにしたい。皆、力を貸してくれ」
「「「はい!」」」
◇ ◇ ◇
目の前に広がるのは、銀色の荒野。
先程の脱落及び負傷による投降兵約四万。
現在残った曹魏全軍、二十五万強。
その全ての兵が剣を、槍を、鉾を捧げ、鉄刃の海原を作り上げているのだ。
「いい、全ては華琳様の為よ。」
将に再確認の荀文若。
「華琳様、号令を」
580 名前:三教一致 20-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 12:58:44 ID:F/FhAvfLO
「ええ…」
「聞け!魏の勇士達よ!」
ガシャ!!!
曹操の声と同時に、兵達は己の武器を構え直す。
続けざまの金属音が連なり響く、その音は劉備軍はおろか、更に後方待機していた孫呉の兵達にも届いた。
生まれた光景は穂先の揃えられた完璧な凪の稲原。
「これより我らは劉備の軍に攻撃を仕掛ける。敵は名将誉れ高い関羽や呂布、張飛となる!……激戦となる事は必至でしょう!
 だが、我らは黄巾党を討ち、袁紹を制し、西涼の連合にも勝利した。皆はその激戦をくぐり抜けた猛者達よ!あの激戦を思いだし今一度、勝利をこの手に掴め!
 疲弊しきったこの大陸を救えるのは、西涼でも、孫呉でも、ましてや甘い理想を掲げる蜀でもない!我らが曹魏、ただ一国のみ!
 今、この劣勢で劉備軍を撃ち破り我らが大陸の主、大陸の守護者とあらんことを心の奥底まで認識させるのだ!
 総員、出立せよ!我らが武勇を、大陸の地の果てにまで轟かすのだ!」
ワワワワワアアアアアァァァァァ……―――
曹操の声に鋼の稲原は風を受けたように揺らぎ、兵たちの喚声は大地を振るわせるほど。その声は、遠くの山々にまで木霊していくのだった。
581 名前:三教一致 21-21[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 13:02:23 ID:F/FhAvfLO
「曹魏の牙門旗の下、この国を救う為の戦いを行う!各員奮励努力せよ!」
「劉旗の下、私たちは私たちの理想のために戦う!みんな、頑張って!」
「春蘭!」
「御意!」
「愛紗ちゃん、お願い!」
「御意!」
「「総員、突撃――――――っ!」」
582 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 13:10:56 ID:F/FhAvfLO
「今回は少し頑張りましたね、褒めてあげますよ」
「にゃー(今回は酷いです、規制が解けず普通の書き込みも出来ず。ある一定時期から、あれ?書いても投稿出来ねんじゃね?とか悪い方ばっか行って)」
「華琳様が弱気モードなのはそれが原因ですかー」
「にゃー(華琳様どころか一刀まで弱々モードです、ああ可能なら次で終らせたいです。)」
「にゃー(遅くなりましたが、大多数様の支援、本当にありがとうございました。後、お目汚しすいませんでした)」
587 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 13:25:58 ID:F/FhAvfLO
マトメサイトの方ミスしてしまった、9と12を上二つで訂正よろしくお願いします。
m(_ _)m
しかし、投稿確認って何?よろしければ戻って投稿してください。で、すれば間隔が短いよエラーが出る。
少しまてば再び投稿確認(;_;)
ああ、拠点イベントの方が……
588 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 13:31:34 ID:F/FhAvfLO
最後に昨日は桃香を期待させてしまってすいません、慌て桃香しようと思ったのですが……規制………(・ω・)orz

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