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538 名前:午前三本5/24[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 05:10:35 ID:PeHCsF7rO
「なるほどな、その点 袁紹はポカが多い。うまくすれば曹操も、、、」
「ですね〜上手くいけば巻き添えしてくれるかもです〜迷惑がご主人様にかかるほど蓮華さまの性格が生きる訳です〜」
ヒラヒラと誓紙を振り、ニコリと笑う穏に思春はふぅと気を吐く。
「それも聞いたぞ、無利子無期限など誓紙の意味がないだろう。」
「逆ですね〜金なんてまた稼げばいいんです〜これは無期限、つまり永遠にご主人様が蓮華さまに恩を受けっぱなしの証〜あの場に朱里ちゃんが居たら絶対書かせなかったでしょうね〜♪」
「!…穏、お前結構ワルだな。」
ニヤリと笑う思春におっぱい軍師はぺろりと舌出す。
「そりゃ〜冥琳さまの弟子ですから〜♪」
・・・
・・

「はぁ〜(蓮華にはわりいことしちまったな…)」
穏に嵌められたとはこれっぽっちも気づいていない一刀は窓の外を眺めながら溜息をついた。
「ご主人様〜稽古の時間だぜ〜!」
 「? お、翠、もうそんな時間か。今日は翠が相手か、お手柔らかにな。」
あまりにも弱い一刀に愛紗たちが稽古をつけてくれている。内庭に向かう二人の後ろからテケテケ走ってくる影があった。
「ご主人様〜」
「朱里、どした?」
「大変です。請求書が…」
「え?!」
慌てて見ると別の新しい請求書だった。その金額を見て一刀はホッとする。
「よかった、たいしたことないな。袁紹も困ったもんだ、ハハッ」
539 名前:6/24[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 05:11:40 ID:PeHCsF7rO
「…ご主人様、安心するの早いです。金額より品目をよーく観てください。」
「品目?品目って買ったものだろ、何を買ったん……!」
請求書を見る一刀の脚がピタリと止まる。
「メンマ…」
「はい、その店のメンマ全部買い占めたそうです。」
「その店って、ここ星が一番気に入ってる店じゃないか!」
「はい、お店に聞いたら当分品切れだそうです。」
「うわぁ〜星は知ってるのか?」
「はい、それでですね、、、今日の稽古は急に星さんが相手すると言い出しました。大変ですって言ったのはその事です。」
「……ウソだろ。な、なあ、今日は翠が相手だよな、な?」
「あ〜そういうことなら…わりぃ、メンマ絡みの星は洒落になんないからさ。ま、袁紹連れてきたのはご主人様だし、覚悟決めたら?」
あっさり命綱を切られ茫然とする一刀。袁紹絡みになると総じて愛紗たちは対応が冷たい。
「な、なんで俺が……」
請求書片手に突っ立つ一刀に聞き慣れた声がかかる。

「おや、主 ここにいらっしゃったか。さあ、楽しい稽古の時間ですぞ♪今日は特別に私がお相手いたそう、くくくっ」
・・・
・・

「?」
月がふと首を傾げてキョトンとした。向かいで洗濯物を片付けていた詠が?顔で手を止める。
「どした?月。」
「詠ちゃん、今なにか悲鳴のようなものが聞こえた?」
「え?いや別に何も聞こえないわよ?」
「そうか、気のせいだね。」
再び片付けを再開する二人のメイド、そこへすたすたが小蓮がやってきた。
540 名前:7/24[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 05:12:55 ID:PeHCsF7rO
「ヤッホ〜、一刀いる〜?」
詠の露骨なやぶにらみをスルーして小蓮が月に笑いかける。
「あ、小蓮ちゃん、こんにちは。ご主人様はお稽古でお庭にですよ。」
「あ、そっかぁ、またボコられてるんだね〜いってみよ〜と!あんがとね、月!」
来たとき同様すたすた去ろうとする小蓮を詠が遮る。
「ちょっとアンタなにサラっと月を真名で呼んでんのよ。」
「え?友達だもん。当然でしょ。」
「うん、詠ちゃん、小蓮ちゃんとは真名交換したの。言ってなかったね、ごめんね。びっくりさせちゃったね。」
「月、、、」
「っていうかさ〜最初に月がシャオの真名呼んでんだからさ〜フツー察しないかな〜軍師でしょ♪」
「む、、、ボクはもう軍師は辞めたのよ。フン!」
「詠ちゃん……」
 自傷気味に言い捨てる詠に月が気を使うのを見て小蓮が鼻を鳴らす。
「ふ〜ん、軍師って辞められるもんなんだ。シャオの知ってる軍師は焼け死ぬまで軍師だったけど。」
グサッと胸に刺さる言葉を放って小蓮は出口に進む。
「ま、どう生きようとアンタの勝手だけどさ。鴻鵠が燕雀の真似しても可愛くないわよ。じゃね〜♪」
皮肉を言いたいだけ言って消えた小蓮を呪い殺さん勢いで睨む詠にオロオロと月がうかがう。
「え、詠ちゃん、、、」
「大丈夫よ、月。あんな戯れ言、気にしてないわ。さ!ちゃっちゃと洗濯片付けちゃお。」
畳んだ洗濯物を抱えていく詠の背中を見つめ、月はぽつりと呟いた。
「詠ちゃん、、、」
・・・
・・
541 名前:午後三本 8/24[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 13:59:00 ID:PeHCsF7rO
「せ、星、ちょっと待、ぎゃ!」
「ほら主、また隙だらけですぞ。一度撃たれたくらいで情けない。くくくっ」
 バシッ!ガッ!ドガッ!
 情け容赦ない連撃が一刀の身を打ち据える。
「あーあ、また始まった。あれ『こんぼ』っていうんだって。」
「こん棒?星の獲物は槍だぞ。」
「愛紗、こん棒じゃないよ。こんぼ。お兄ちゃんが言ってたもん。天界で連続攻撃が決まるとそういうんだって。」
「ふーん。しかしそのこんぼを自分で喰らっていては話にならんな。」
 そんな愛紗たちの前で情け無用のコンボは続く。
・・・
・・

「痛ってー、星のヤロー」
「はわわ、動いちゃダメですぅ手当できません。」
 全身痣だらけの一刀のまわりを朱里達が軟膏片手に手当をしている。
「酷い、、、ご主人様痛そう。」
「ふん、男のくせに一方的にやられて。みっともない!」
「無茶いうな、星の神槍にかなうわけないだろ。痛、こら、もっと月みたく優しく塗ってくれ。」
「うっさい!ボクや月に手当してもらえるだけありがたく思え、、あんもう、どれだけ痣つけてんのよ。軟膏無くなっちゃたじゃない。」
「あ、私も。月さん軟膏まだあります?」
「えっと、、、ごめんなさい、私のももうほとんど無いです。」
 軟膏瓶の底を見つめて申し訳なさそうに月が俯いた。
「あーいいよ。ほとんど塗ってもらったし。」
「ダメです、ちゃんと手当しないと。すぐ買ってきますから待ってて下さい。」
「あ、朱里ちゃん他にも包帯とか切れそうなんで一緒に行きます。」
542 名前:9/24[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 14:00:00 ID:PeHCsF7rO
「それじゃボクも行くよ、月に荷物もちなんでさせられないもん。」
「ういうい、いってらっさい。」
 皆が出ていき静かになった自室で一刀はぎぐしゃくとした動きでベットに横になった。
「あー、少し楽になったかな。しかし星の奴、絶対ドSだな。」
 目を閉じ、さきほどの地獄の鍛錬での星を思い出す。
 『ほら、主。脇が甘い!』
 『ほらほら、一撃くらいはあててみせねば男がすたるというもの!』
 『主、どうしました?戦場では待ったはありませんぞ。くすくす』
 『参った?聞こえませんな〜♪おや、どこに行かれる。まだ終わりとは言ってませんぞ。くっくっくっ』
 自分を打ち据える星の瞳には確かに妖しい光があった。
 陶酔した、そうまるでネズミをいたぶる猫のような嗜虐の喜びの光が、、、
「(ホントに食い物の恨みだけかよ、、、あれ?そういやどっかで似たような眼を見た気がするぞ。誰だっけ?)」
 眉間に皺を寄せて考えていると、脳裏にぼんやりとその人物が浮かび上がってきた。
「……華琳だ。」
 夏候姉妹や桂花をいじめるときの華琳のあの瞳が同じ妖しい光を放っているのに気づく。
「私がどうかしたの。」
「え?!」
 突然声をかけられ慌てて瞼を開けると、いつのまに来たのか当の本人が悠然と見下ろしていた。
「今、私の真名を呼んだでしょう。何?」
「い、いや、な、なんでもない!な、なにか用?」
「・・・(何を考えていたのかしら。頬染めて怪しいわね。あぁ、そうか。ふふふ♪)」
543 名前:10/24[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 14:00:54 ID:PeHCsF7rO
 なにか思いついたのか華琳が瞳を細め唇を歪める。
「え?え?」
「私をオカズにしようとしてたのね。ふふ、そうでしょ?」
 細めた瞳の奥にさきほど脳裏に思い描いた妖しい光を点灯させ、ゆっくり華琳が接近する。
「え?オカズって、、、いや違う!勘違いするな!そうじゃないって。」
「正直に白状なさい♪」
 ふわりとベットの上に立つと、片足で起き上がろうとした一刀の胸を押し倒した。
「、、、ちょ、なにを」
「ふふふ♪」
 すーっと足先が胸から腹へ走り、、、股間で止まった。
「あら?もう膨らんでるわ。相変わらず反応いいわね、いやらしい♪」
 ぐりぐりと微妙な力加減で刺激をする華琳の顔に嗜虐の笑みが浮かぶ。
「ぅう、、、やめ、、ろ、華琳。」
「何言ってるの、こんなにおっきくして。ふふふ、やらしいわ。」
 器用に足の親指と人差し指で挟み扱きながら舌なめずりをする華琳。
「(曹操さん、眼が据わってますよ、、、ぐっ、また痛みが!)」
 血圧のせいか治まりかけた全身の打撲痛が勃起に合わせて再びズキズキと疼き始めた。
「せ、せっかくの足コキ、、悪いん、、だけどマジで、ちょっ・・・」
「ふっ、そんな憐れみを請うような眼をしてもダメよ。」
 ゾクゾクと背中を走る嗜虐の快感に身震いしながら、華琳の攻撃はより激しさを増す。
「か、華琳、、や、め・・」
 快感に倍する痛みに脂汗を流す一刀が華琳の足に手を伸ばそうとした時、部屋に澄んだ声が響いた。
「何をやっているっ!曹操!」
「れ、んふぁ、、」
「なんだ、呉王か。無粋な!」
 乱入者に興を削がれた華琳は不快そうに蓮華を睨み返した。

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