- 502 名前:午後四本15/21[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19:03:00 ID:ODepSgk+O
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「クルクル小娘だけでなく、江東の鈍亀娘まで、、、全くふざけた話ですわ。」
麗羽が憎々しげに睨む眼下に蒼と紅の両軍が次々陣形を整えていく。
「聞け!魏武の勇者たちよ!我が名は曹孟徳!魏武の象徴なり!洛陽からの強行軍によくついてきた!
見よ!我らが喰らうべき惰弱な白き下郎どもをっ!あれを我らの靴下に伏し乞わせるのだっ!
踏みにじれっ!
たたきのめせ!
我ら魏武の恐ろしさを叩きつけろっ!
これより魏武の大号令を発す!その魂魄、猛々しく燃やせぇっ!!」
先に華琳の雄叫びが戦場にこだますると負けじと蓮華の号令が響いた。
「勇敢なる孫呉の兵たちよ!見よ!北郷を謀殺せんと謀る卑劣な敵が今、我らの目の前に居る!
彼の命を狙う下郎を我は赦さず!
彼の名誉を損なう下郎を我は認めず!
我が剣をもって卑劣なる下郎どもに正義の鉄槌を下さんっ!」
抜刀した蓮華の宝剣がキラリと反射する。
「我が剣に孫呉の誇りを感じるならば、その命!その魂魄!猛々しく誇らしく燃やせ!天に向かい孫呉の名、高らかに謳おうぞ!」
「全軍鋒矢!抜刀ぅ―――――っ!」
蓮華の号令に続き思春の怒声が響く。同時に春蘭の怒声も負けじと鳴り響いた。
「鋒矢の陣!夏候元譲に続けぇ――っ!吶喊――――――っ!」
- 503 名前:16/21[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19:04:22 ID:ODepSgk+O
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ほぼ同時に蒼と紅の矢が白装束に左右から突き刺さる。
「そ、曹操に孫権、なぜ奴らがここに?」
「愛紗、それよりこれこそ天佑!軍師どの、今こそ主を助ける絶好の好機ぞ!」
「ええ、迷っている暇はありません。みなさん総力戦です!」
「「応!」」
遅れじと愛紗たちが白装束軍団に突撃をかける頃、左慈と于吉も突然の曹孫の出現に対処していた。
「チィ、傀儡どもが群おって!」
「まさか曹操に孫権がこんなに速く来るとは想定外でした。英傑がこれだけ集まるといささか厄介ですね。今はまだ兵の増員で対処出来てますが……」
とそのとき陣の後方で白装束たちが派手な戟音とともに飛び散った。
「後ろから?バカなっ!北郷が降りてきたというのか!?」
「いえ、この気配は、、、まさか英傑が?なぜだ、山には北郷一刀しかいないのでは?!」
いつも冷静な于吉の眉が歪む。その躊躇が戦場のバランスを崩した。
一刻前……
「文ちゃん!すぐ行って!早く!」
「へ?なんで?さっきは…」
「風が変わったの!文ちゃん疾く行って!おもいっきり暴れまくっていいから!」
一瞬ポケッとした猪々子の顔がみるみる笑顔になる。
- 504 名前:17/21[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19:06:06 ID:ODepSgk+O
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「おっしゃーっ!行くぜ、絶影っ!」
ヒヒィーンッ!
「すげ〜ほぼ垂直に降りてったよ。よく落馬しないな〜!」
山頂から覗き込み一刀は感嘆の声をあげる。
眼下には絶影を駆り大暴れする猪々子がいた。獲物の大剣を振り回す度に、白装束たちが一塊になって弾き飛ばされる。
「あ――はははっ!おらおらおら!でかいの一発当ててヤルぜ、乾坤一擲っ!」
満面の笑顔を返り血で赤く染め喜々として暴れまくる猪々子を見て斗詩がうらやましそうにぽつりと呟く。
「私たち馬賊は人馬一体になると軽く武威三乗になるから、絶影ほどの名馬を駆ったらもう無敵だよ。い〜な〜文ちゃん楽しそう。ま〜こういう状況アタシより向いてるからいいけどね〜」
「水を得た魚ですわね。シロアリさんたちも可哀相に。ホホッ♪」
「我が魂魄を込めた一撃受けてみよ、青龍逆鱗陣っ!」
「我は無敵、我が槍は無双!くらえぃ、星雲神妙撃!」
「いっくぞーとっかーん!うりゃりゃー猛虎粉砕撃っ!」
「魏武の大剣っその身に受けてみよっ!はぁぁぁー我が旗を仰ぎ見よ――――――っ!」
「鈴の音は夜道に誘う道標と心得よ、頸断の一撃っ!」
「構えぃ、因果応報っ!」
「はわわ、奇門遁甲の陣ですぅ!」
正面左右を愛紗・華琳・蓮華の三軍に攻められたところに、がら空きの後背を猪々子に強襲され、白装束の陣は無残に崩壊していく。
「くっ、いけませんね。増員が消耗に追いつかない。左慈、撤退しますよ。」
「くっそっ!北郷めっ!」
・・・
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- 505 名前:18/21[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19:16:23 ID:ODepSgk+O
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「助かった!ありがとな、華琳、蓮華。」
無事に降りてきた一刀が皆の中から華琳と蓮華を見つけ礼を言う。しかし二人の、いや皆の注目は、一刀の後方に集中していた。
「え、袁紹……」
愛紗たちが呆れたような声をあげる中、悪びれることもなく麗羽は堂々と高らかに笑う。
「オーホホホッ、皆様ご苦労様ですわ。この華麗で優雅で美しい袁本初のために…ぎゅぶっ!」
いつもの高飛車な台詞は、華琳が投げた腰袋を顔面に受けて中断した。
「か、一刀、、、そこにいるアホ丸出し金ぴかカナブン女は何?なんでコイツがいる訳?!」
華琳があからさまに不快感を隠そうともせず一刀ににじり寄る。
「いや、その、なんというか……」
「ちょっと!そこのクルクル小娘っ!人の顔になんてことしますの!この世に二つとないこの完璧な玉顔に傷がついたらどーするおつもりですの!」
一刀を押しやり麗羽が吠えると、華琳はすぅと眼を細めた。
「貴女、こんなとこで何してたの。とっくに野垂れ死にしたものと思ったのに。しぶといカナブンね。」
「あーら、しばらくぶりに会って見れば、マツゲ一本分くらい身長が伸びたのかしら、おチビちゃん♪」
「………」
「………」
バチバチと二人の視線が火花を散らす。
「あ、あの〜二人とも穏便に……」
一刀が恐る恐る仲裁すると、意外なことに麗羽が賛成した。