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679 名前:袁家兵兄曰く、[sage] 投稿日:2010/10/30(土) 15:56:07 ID:nLYc+Lcc0
予告編

「一刀様、お慕い申し上げております。この呂子明、非才の身ではありますが全身全霊を以てお仕えする所存」
 それは、汝南郡で幕を開ける物語。

「阿蒙? 御遣い様にご迷惑をかけてはいけませんよ」
「……はい。それではみちゅ、……御遣い様、行きましょう」
「どうしたもんかなぁ……」
 汝南郡に降臨せし天の御遣いと、蔓延る黄巾の横暴。

「お父さん! ぐすっ、やだ、やだ、ひっく、死んじゃ……やだ……」
「……蒙、お母さんと御遣い様の言うことをちゃんと聞くんだよ」
 ――荒んだ世の無常。

「俺が言うのも変な話ですが……」
 出会い、そして決別。
「彼女を、よろしくお願いします」

「隊長、もしよければこの後……隊長?」
「……すまん凪、俺はもうここまでかもしれない」
「そんな、隊長!? 気を確かに!」
「――ようやく見つけましたよ、『御遣い様』」
 歯車が噛み合う時、物語は再び進み始める――

 亞莎好きの亞莎好きによる亞莎好きのための物語です。
プロットは用意したもののどのくらいの長さになるか……。
需要があれば書きたいと思いますがいかがでしょう?
692 名前:麗羽曰く、[sage] 投稿日:2010/10/31(日) 14:25:39 ID:tTUl97xI0
とりあえず掴みだけ書いてみました。
時間かけたにも関わらず駄文すぎて少し恥ずかしいのですが、ここに桃香しても大丈夫でしょうか?
694 名前:麗羽曰く、[sage] 投稿日:2010/10/31(日) 14:57:06 ID:tTUl97xI0
では、恐らく2レスほど桃香します。
都合上管輅が出てますが、チョイ役なのでご容赦を……。

嫌な方はNGお願いしますです><
695 名前:麗羽曰く、[sage] 投稿日:2010/10/31(日) 15:00:01 ID:tTUl97xI0
1.流星



 晴れ渡る空。辺りにはのどかな陽気が立ち込め、正に春うららといった日和である。
「ふぅ……」
 水を湛えた桶を持ち上げ、目を細めながら少女は独りごちた。
「お父さん、大丈夫かな……」

 生来体の弱い彼女の父はしばしば病床につき、貧しい家計を支える母と姉に代わって末妹の彼女がその看病を担当していた。
 その日も彼女は、治りかけの父に無理をさせないようにと水汲みをしていたのである。そんな最中、突然横から飛んできた呼び声に彼女は体を震わせた。
「もし、お嬢さん?」
「は、はひっ!」
 桶の水が盛大にこぼれ、目に涙をためる少女。
「あ、あ、お水が……」
「あら……ごめんなさい。驚かせちゃった? 水なら、この井戸を使っていいわよ」
 そう言って、近くの井戸から水を汲み少女の桶に満たす。優しそうな、それでいて困ったような笑顔に、彼女は警戒を解いた。強張った肩の力が抜けるのを確認し、女性は話し始める。
「私は管輅。しがない占い師。これでまた汲みに行く手間が省けた訳だし、ちょっと時間をくれないかな?」
 矢継ぎ早に続け、今度はいたずらっぽく笑う女性。何が起こっているのか理解できぬまま、少女は『占い師』の話に耳を傾けた――。
696 名前:麗羽曰く、[sage] 投稿日:2010/10/31(日) 15:02:44 ID:tTUl97xI0
 ……目を開けると、そこは見渡す限りの荒野だった。
頬をつねってみても、こめかみを押さえてみても、絶望に膝を抱えても、そこは見渡す限りの荒野だった。
 試しに深く息を吸ってみる。乾いた匂いがした。
 試しに携帯を開いてみる。圏外だ。
「ここ……どこだよ」
 試しに呟いてみるが、返ってくる言葉は無く。
「ふぇぇ……」
 代わりに泣き声が返ってきた。見ると、小学校低学年くらいの女の子が泣いている。
どうやら転んでしまったようだが、声をかけるより先に俺はその女の子の見た目に目を奪われてしまった。
 ありふれた格好ではない。何と形容したものか、中華的な衣服である。健康的な白い肩がのぞいており、
二の腕付近から伸びている袖は腕の長さよりも長いようで、少女はその長い袖で顔を覆っていた。
下は丈の短いスカートのようになっており、――決してこんな小さな子相手にやましい気持ちになったりはしないが――純白の布が股を覆っているのが見える。
小さな赤いリボンの装飾が施されており、年相応のはずのそれは――決してこんな小さな子相手にやましい気持ちになったりはしないが――女の子座りという格好も相まって、いっそ妖艶な雰囲気すら漂わせていた。
 そんなことを考えながら我に返ると、目尻に涙を溜めたまま女の子がこちらを凝視している。
そこで俺はようやく声をかけた。
「君、大丈夫?」
「………………」
何か気に障ったのか、眉間に皺を寄せてこちらを睨む少女。どこか気圧されるような眼力だ。
「えっと、大丈夫……?」
「は、はひっ!?」
 飛び上がる少女に今度は別の意味で気圧される。
「あ、あの、わたしっ!」
「え?」
 カチコチに緊張している少女の足を見ると、血が流れている。転んだときに擦りむいたようで、本人は緊張のあまり痛みを忘れているようだ。
 逃げ出そうとして脚がガクガクしているのに気づいたのか、少女は自らの脚を見て、顔を青くした。
「え、なんで」
今にも倒れ込まんとする彼女を咄嗟に抱き上げると、一瞬目を見開いた彼女は耳まで赤く染め、『きゅう』という声をあげて気を失ってしまう。
「………………」
 後に残ったのは、目を回した少女と、途方に暮れる俺――北郷一刀だけだった。
697 名前:麗羽曰く、[sage] 投稿日:2010/10/31(日) 15:05:19 ID:tTUl97xI0
短くてスミマセン、以上になります。
次はもっと書き溜めてから桃香しようと思いますので、時間がかかるかと……。

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