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622 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:46:50 ID:SC5MPQ/+O
「にゃー(おかしい?)」
「なにがよ?」
「にゃー(リメイク前が7で修正入るから減るはずなのに、リメイクしてみたら15に増えてるんですよ)」
ソロリソロリ…
「あら、それは大変ね。で、どこに行く気かしら?猫。まさか逃げれるなんて思ってるんじゃないでしょうね」
「に゛ゃー(お見逃しをー、そうだ司会しましょう司会…ね)」
「…そうね、暇つぶしにはいいかしら?なら15桃香よ」
623 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:51:31 ID:SC5MPQ/+O
転校してきた噂の美女が転校初日につい最近失踪していた男子生徒をいきなり恋人宣言!
それだけで話題性充分だった、噂は広まり“実は失踪の理由は彼女との駆け落ち”まで出た、まあ雪蓮が叩き潰したみたいだけど。
正直始めは戸惑った一刀、一刀の心は華琳が占めていたからだ、にも関わらずそれらをふまえて接してくれた、それが何故か凄く嬉しかった。
その内、こうして雪蓮と接する事“も”極自然なのかもしれないと考える様になる。
華琳とはまた別の安らぎを与えてくれるのだ、こうしていつしか雪蓮とも深い関係になった。
そうして雪蓮に振り回される日々が始まった。
まず始めは生徒会々長戦、やる気さえ有れば在学期間等は一切訪わない自由奔放過ぎるこの学園。
当初の下馬評は現生徒会長が9、雪蓮が1だった。
他に立候補者が居らず、現状維持が在校生の大半の考えだった。
しかし、流れが変わったのが全校生徒前の演説、方針発表会の時だった。
先に現生徒会長の演説。
「とやかく言うつもりは有りません、ただ安定している現状を無意味に引っ掻き回す必要はないと伝えて私の演説を終わらせてもらいます」
パチパチパチパチパチと、当たり障りない拍手が鳴り響いた。
624 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:55:14 ID:SC5MPQ/+O
次に壇上の上に雪蓮が立った、見渡すと全校生徒が居てそれなりの人数はいる。
普通初めてここに立った者なら面食らうものだが既に何十万と兵士の前に立った記憶の有る雪蓮にとって、この程度の数の生徒の視線はそよ風でしかない。
「現生徒会長が手短に済ませたので私も手短に、元より長話は得意じゃないのよ」
クスクスッ。
笑い声が聞こえてくる、失笑ではない気さくな雪蓮の言い方が一部の生徒のツボだったらしい。
バンッ★
すると突然机を叩いて号令の様な雄叫びを上げた雪蓮。
「安定と言う名を借りた発展無き停滞は!後退よりも愚行である!」
突然の雪蓮の豹変に一刀と一部の生徒を抜かした全校生徒が固まっている。
「以上、私の演説を終わります」
壇上を降りて行く雪蓮と静まり返る生徒。
『あちゃー、失敗したかな?』と内心、雪蓮と一刀が思っていると。
「うおおおぉぉぉ!!!!!」
一人の男が叫び出し、それに釣られて少ないながらもほぼ全員の男子が叫んでた。
『ワアアアァァァ!!!』
女子も武道に関わってる者をメインに拍手喝采だ、なにやら雪蓮の覇気にあてられて呼応してしまった様だ。
こうして生徒会々長戦の行方は判らなくなってしまった。
625 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 22:58:26 ID:SC5MPQ/+O
このままでは確実に負けると感じた現生徒会長も新しい試みや企画の公約、更には過去の問題点の洗い出しまで始めるしまつ。
一方、雪蓮も在学期間が短いのを逆手によって過去に捕らわれない真新しい発想の考えを述べたり、公約を上げていった。
白熱してしまった生徒会々長戦、雪蓮を手伝ったのはもちろん一刀一人。
後に『死ぬかと思う程忙しかったよ』ぼやいた。
そして投票・集計・結果発表、票差53票と学園発足以来の初の大接戦で辛くも現生徒会長が逃げ切った形になった。
「あら残念、負けちゃった」
雪蓮ののべた感想はそれだけだった。
「雪蓮……陣営差と在学期間、その他諸々と合わせて票差53票は、むしろ大勝利に等しいと思うけど」
「戦は負けたらお終いよ」
「これ戦じゃあないし」
「そっか、アハハハ…」
「そうだよ雪蓮、アハハ…」
とても大接戦を繰り広げた二人には見えなかった、後に生徒会長からお互い健闘した事を讃え副会長への誘いがきたが『副には興味ない』と断った。
更に文化祭ではメイド喫茶を開店して大行列を作り、体育祭では案の定出る種目を総なめ、勉強も“本気を出せば”全国規模の順位の上位をキープ出来る程だ。
626 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:01:14 ID:SC5MPQ/+O
流石は英雄の素質を持ち合わせてるだけはあるといった処か。
とにかく遣ること為すことが、結果的にもう目立つこと目立つこと。
いろんな事に巻き込まれ、いろんなトラブルを経験した。
だが全然嫌ではなかった、現代の日本でも探せばこのぐらいのスリリングな出来事が有るんだと実感した、無論雪蓮抜きでは意味も無いだろうが。
雪蓮の知ってる俺もおそらくこんな気持ちだったんだろうなと思った、今なら解ると心底思った。
こんな幸せな日々が半年は過ぎたとき、理事長が朝礼の際に例の博物館の話を持ち出した。
「あー以前から凄かった当学園の博物館に更に凄い物が加わった。しかも今度のは鑑定書付きの由緒正しい物なのだ、しっかり見学して歴史を感じる様に」
また学園長の悪い病気が出た、どうも歴史に弱いらしく、よく物を集めては強制的に見学させて自慢して悦に浸る。
それさえ無ければとても良い学園長なのだが…と考えてる一刀を後ろから突っつく人物がいる及川である。
「かずっピー、こんなのサッサと終わらせるでー。早速今日の放課後に見学して終いや」
「分かった、了解」
放課後、博物館前で落ち合う約束をして朝礼を終えた二人だった。
627 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:04:43 ID:SC5MPQ/+O
◇ ◇ ◇
今、一刀は悪友の及川と学園内の博物館にいる、雰囲気は最悪だ。
原因は判っていた、連れの及川だ。
物凄い殺気を終始放っているのだ雰囲気も悪くなるものだ。
「なあ、及川なんでそんなに不機嫌なんだ?」
「『なんでそんなに不機嫌なんだ?』やて白々しいにも程が有るで!確かに以前、二人でここに来た時にワイはちいと悪い事はした。女の子とのデートを自慢しました。
 しかしその仕返しが雪蓮はんみたいな美女と同伴じゃ、払った額より釣りの方がデカいちゅうねん!」
最後の方はやや怒鳴り声気味になる及川。
「あら、及川も努力すれば普通の彼女なら出来るわよ。私が保証してあげる♪」
「はいはい、際ですか?普通言われても、山と積まれた黄金見せつけられた後で銀貨十枚を普通と言われても嬉しくも何とも無いですわ」
すると内心に一刀は思った。
雪蓮一人が黄金の山なら魏国に居た頃の俺はなんでもあらゆる物が黄金でできていたと言う空想上の伝説の国ジパングの住民か?と。
そんな一刀の考え等よそに雪蓮が喋る。
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね及川…………一刀、私達お似合いだって♪」
628 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:08:36 ID:SC5MPQ/+O
「・・・」
流石に言葉を失った様だ、暫く無言だったが。
「付き合いきれへん、ワイ先に行ってるで」
一人先に進む及川。
「じゃあ一刀、私達はゆっくり回ろうか」
初めて訪れる博物館に雪蓮は少しだけ浮かれてる様子だ。
「見てよ一刀、私の知ってる遺物と違う」
「当たり前だろ、お互い知ってる歴史とこの世界の歴史全てが違うんだから」
少なからず関連が有る歴史の遺物の為か相変わらず少し浮かれて雪蓮は見回っている。
「しかし、改めて良く見るととんでもない物ばかりだな……本物だったらなんだけどね」
曰く、諸葛亮の羽扇。
曰く、赤壁の時に焼けた曹魏の戦船のかんばん。
曰く、甘寧の鈴。
曰く、黄忠の弓矢。
等々。
これ全部、本当に本物だったら国宝級だよな?と呟いている一刀。
雪蓮の方も飽きてきたのか次第に静かになってくる。
「うおほっん」
ちょっと騒がしい俺達の態度を戒める意味の野太い咳払い、声の主はどうやら警備員らしい。
「…!?何だあの警備員。身長が2メートル近く有る筋肉達磨じゃないか、制服は上下ともパッツンパッツンで…上の制服の下に何も着てない…首に直接ネクタイしてるし…しかもスキンヘッド…
 げっ!良く見りゃ揉み上げが三つ編だしリボンまで…しかも髭まで」
629 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:10:45 ID:SC5MPQ/+O
突っ込み所満載、いや突っ込む所しかない警備員にげんなりする一刀。
「寧ろあれが一番怪しい不審者で連行対象だろう、まあある意味警備には一番適してるのか?あんな化け物の前で悪さをしようなんて普通思わないだろうし」
雪蓮を連れて次のエリアに移る、今回の目玉の展示品が有るエリアだ。
廊下を右に曲がると周りにも他の展示物もあるエリアの中央ド真ん中に特殊ガラスに守られたそれは有った。
遠目には剣と鏡だろうかと思った二人。
「えっ?、あれって!?」
突然駆け出す雪蓮、間近で見てその剣の名を告げる。
「南海覇王!!」
雪蓮の反応でその剣が雪蓮の記憶の遺物が有る事を示している。
「そんなバカな!」
一刀も駆け寄る、はっきりと記憶してないながらも確かこんな作りだったなと思っていた。
「ソックリなだけ、って事はない?」
どの道ソックリなだけだとしても、この世界に二人の記憶にあるあの三国志世界の遺物が有った事に驚いている。
「手に取ってみれば…いいえ手に取らなくても解る。孫家の家宝だもの、代々受け継がれた孫家の魂そのものだもの。我が魂魄が本物だって告げているわ…」
630 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:13:13 ID:SC5MPQ/+O
その言葉に反応するかのように南海覇王が動いた。
カタカタカタカタッ…
「えっ?地震…じゃないよね」
地面が揺れてないのを確認する二人、まるでその場だけで地震が起きているのかと思うほど派手に揺れる南海覇王。
南海覇王に釣られるように鏡の方も揺れ出した。
やがて二つの遺物が共鳴するかの様に震えから振動に、そして目では分からない程の超振動へ。
キィィィィィィィ!
「「―☆!?」」
二人とも耳を押さえながら膝を着く。
パンッ!!
音と共に強化ガラスが割れた?いや違う、砕けた?それも違う!と思いながら、まるで砂の様になった強化ガラス見つめて起き上がる一刀。
ジリリリリリリリ…
当たり前の様に防犯ベルがけたたましく鳴り響いた。
一刀はこの時この当たり前の出来事である異変に気付く、及川と別れてあの異様な警備員の前を過ぎた後“誰とも会っていない”のだ。
ジリリリ…ジ…
警報機が止まる。
「雪蓮、様子が変だ」
「ええ、知ってるわよ」
そう答えるもそんな事にはお構い無しと雪蓮が南海覇王に手を伸ばす。
「雪蓮!待てって」
ガシッ☆
南海覇王の柄を握りしめ手前に引っ張る、鞘から剣を抜いて抜き身を眺めながら。
631 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:15:30 ID:SC5MPQ/+O
「やっぱり間違いない、私達の南海覇王。蓮華の思いが伝わってくる……そう、貴女はちゃんと成し遂げたのね」
そして弧を描く様に一振りすると風圧で粉と成ったガラス片が宙を舞う、それが光を浴びて煌き雪蓮を包むとその幻想的な美しい光景に一刀は暫く見とれてしまう。
「…一刀?」
雪蓮に呼ばれて慌てて我に返る呼ばれた本人。
「あ!…何ともない雪蓮?」
「ええ平気よ、何ともないわ」
「でも何でここに雪蓮の剣が?」
「そんなの判らないわよ。他の展示物は見覚えがない物や気にしない物しかなかったのに…」
解る筈もないのだが考えずにはいられない二人。
「……!一刀、もう一つの鏡の方はどう?」
言われて共鳴していた鏡を思い出し視線を送る。が、なんの変哲もないただの古い鏡だ。
「なんだったんだろ今の?」
「さあ?」
緊張感が緩んでしまって鏡に手を伸ばしたのが失敗だったみたいだ。
鏡に触れた瞬間、目映い光が辺り一面に溢れた。
「なに!」
「雪蓮!」
明る過ぎのせいで逆に視界が無くなる。一刀はさっきまで雪蓮が居たと思う方を手探りで探す。
「これ、私があっちで一刀に出会った時と同じ」
雪蓮も同じく手探りで一刀を探す。
632 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:18:24 ID:SC5MPQ/+O
既に視界が無い状態で言うのも変なのだが一層光が強くなって地面の感覚まで曖昧になる。
「雪蓮!」
「一刀!」
二人共、懸命にお互いを求めたがこの時その手が目的の者を掴む事は出来なかった………
意識を失う刹那に声が聞こえた、さっきの警備員の声だった。
「ご主人様、…し……な…ま…」
意味など分からない、そして一刀は意識を手放した。
・・・
・・

「(ん……?)」
何やら聞いたことのある声に目を覚ます。
そして気付く、目を瞑ってれば見える訳がないとだから目を開ける。
目の前には三人の女の子……確か劉備、関羽、張飛だった筈だと記憶を呼び起こす一刀。
そしてここで一人の女性の存在を思い出した。
「雪蓮!」
「きゃ!」
「大丈夫ですか!桃香様」
「私は大丈夫だよ、だから落ち着いて」
「気付いたのか?お兄ちゃん…はにゃ?雪蓮?雪蓮って誰なのだ」
「なんだお主連れが居るのか?」
「いや何でも無い、忘れてくれ」
「?」
この世界に自分の知っている雪蓮がいるかどうかは分からないが“雪蓮と言う真名を持つ孫策は居るはず”そして彼女は孫呉の王として立場有る身の筈だと。
633 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:21:01 ID:SC5MPQ/+O
下手に真名を喋るのは何かと不味いだろうと判断したのだ。
しかし二度目だ!二度目も愛し愛された女性を置き去りにして目の前から姿を消した、圧倒的な力の前といえあまりに自分の不甲斐なさに憤りを感じていた。
だが怒りに任せて何もしなければ何も変化は無いと、二人の英雄に直に教わっていた。
状況を進展さする為に目の前の劉備達に声をかけた一刀。
「所で劉備さん?」
「「!?」」
以前の感覚でつい名前を口にしてしまった一刀、途端に関羽、張飛の警戒心が強くなる。
「お主、何故に桃香様の名前を知っている!」
劉備と一刀の間に割って入り青龍偃月刀を構える。
「待って」
それを制したのは劉備。
「ねえねえお兄さん、この二人の名前も解る」
「えっと、関羽さんに張飛さん」
顔を向きながら二人の名前を間違いなく答えると驚きと共に更なる警戒心。
「えっとお兄さん、二人の真名も判る?」
「判ると思うけどその真名って、やたらめったら口にしちゃ駄目なんだろ」
「そっか…そうだよね、なら私に耳打ちしてよ」
「桃香様、それは余りに危険です!」
「見た目は悪い人じゃないし大丈夫だよ」
「ですが桃香様!」
634 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:23:24 ID:SC5MPQ/+O
「大丈夫だよ、この人は大丈夫」
再度諭す様に伝える劉備、伝わったのか青龍偃月刀の構えを解いた関羽。
「(こしょこしょ…)」
「あん♪」
「貴様ー!」
再度青龍偃月刀を構えて威圧する関羽。
「ちょっと劉備さん、変な声出さないで」
「ごめーん、耳に息が当たって……」
顔を赤くしなが答える劉備。
「大丈夫、私は大丈夫だから落ち着こう。二人共…」
気を取り直してもう一度劉備に耳打ちする、関羽の視線が痛いと感じてる一刀。
「(ごにょごにょ、ごにょごにょ)」
「すごーい正解だよ、大正解だよお兄さん。愛紗ちゃんやっぱ本物だよ、管輅ちゃんの占いに出た天の御遣い様だよ。会った事ないのに名前はおろか、真名まで知ってるなんて天の力で何でも解るんだよ、何と言っても服が変!」
「確かに管輅の占い通りに東方より流星が飛来し、その軌跡は五台山の麓に落ちそこにこの方が居ましたが、英雄たる雰囲気があまり感じられませんが?」
「雰囲気はどうだか分からないけど、このお兄ちゃん頼りないのだ」
「確かに頼りなさげだけど…やっぱりこの人だよ、瞳で分かったもん。優しいのに力強くて……そして上手く言えないけど大切なモノを失う辛さや他人と分かち合う大切さを知っている瞳だもん」
635 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:25:43 ID:SC5MPQ/+O
「それは買いかぶりだよ、劉備さん」
「いいえ、これからは私の事は真名で呼んでください」
「桃香様!」
「お姉ちゃん!」
「劉備さん?」
「御遣い様。いえ、ご主人様。出会う前から私達の名前も真名も知ってました、これは既に天命と言っても過言じゃあないと思います。どうか私達のご主人様になってください、
 その証に私の真名“桃香”をお兄さんに預けます」
「劉備……分かった劉備の信頼に応える為に劉備の真名“桃香”を預からせて貰う、これからは桃香と呼ばせてもらうよ」
「はい、ご主人様。よろしくお願いします」
「お姉ちゃんが許すなら鈴々は構わないのだ。お兄ちゃん、鈴々は鈴々なのだ。これからは鈴々のことは鈴々って読んでもいいのだ」
「ありがとうな鈴々、呼ばせて貰うよ」
「にゃははー」
嬉しそうに笑う鈴々。
「桃香様がご決断された時に間違いは無かった……良し、既に知っているかと思われるが我が名は関羽、真名は愛紗、この名あなたに預けましょう」
「ありがとう関羽、関羽の真名“愛紗”も預からせて貰う。これからはよろしくな愛紗」
「はい!?こちらこそ、ご・ご主人様」
636 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:27:32 ID:SC5MPQ/+O
「後、俺の名前は北郷一刀。姓は北郷で名前が一刀。字と真名は無い、強いて言えば一刀が真名かな…」
この説明も二回目になるなと思い出すし。
「(それにしてもまた天の御遣いかあ、しかも今度は劉備陣営…いったい俺に何をやらせたいんだ?)」
等と考え、肝心な事を思い出す。
「後、念のために言っとくけど…何でも知ってる訳じゃあないからね」
「じゃあじゃあ、やっぱり天の御遣い様でいいの?」
「うーん…(どう答えたものか?)どう捉えるかは桃香達に任せる。御遣いが都合が良いなら合わせるし、持ってる知識も可能な限り出すよ。でも、御遣い様やご主人様は恥ずかしいからなるべく止めてくれると助かる」
華琳の時と比べてしまって、この様な慕われかたは正直こそばゆいと感じていた。
「あなたは私達の主に成られるのだ、ご主人様でなんの問題もありません」
「鈴々はお兄ちゃんだから問題無いのだ」
「分かったよご主人様♪」
思っていた予想通りに問題解決には繋がらなかった。
そして今後の方針を決めようとした時。
“ぐー!”と鈴々の腹の虫が盛大な音を立てて鳴ったのだった。
637 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/03/20(土) 23:29:50 ID:SC5MPQ/+O
「鈴々、お前は少し緊張感がなさすぎるぞ」
「緊張してもお腹は減るしお腹の虫は止められないのだ」
愛紗と鈴々の掛け合いを横目に桃香に聞けば三人も飯は未だだという、なので四人で近くの村でご飯にしよう、食事をしながら今後の方針も話し合おうと話が纏まる。
まあ悩んでも仕方がないし、ウジウジしてても華琳や雪蓮に怒られるだろう。
ここがあの三国志の世界の筈だから華琳や雪蓮もいる筈だ。
ならば最悪、一から出会い直してもう一度分かり合えば良い、一度は心を通わせる事が出来たんだ何度だって出来る筈だと信じている。
「悩んで解決しない時は行動有るのみ!先ずは村で腹拵えだ」
財布を確認する、無論一刀がこの時代のお金を持っている訳が無い、だが平成のお金なら持っている。
いざとなったら紙幣を売れば良い、なにせこの時代にはまだ透かしなんて技術が有るはずがない、物珍しさに物好きな金持ちが買ってくれるだろうと考えていた。
「えっ、あっ!待ってご主人様」
「にゃー、鈴々を置いてくなー」
「桃香様!それにご主人様、お待ちください!」
こうして一刀は一風変わったこの三国志世界を再び巡る事になった。
638 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2010/03/20(土) 23:31:51 ID:SC5MPQ/+O
「にゃー(雪蓮様、お疲れ様でした)」
「で、次はいつ?」
「にゃー(いえ、ですからお疲れ様でした)」
「どういうこと?」
「にゃー(現代編は今回で終わりですから、次無いですよ)」
チャキ!
「謀ったわね、猫」
「に゛ゃー(なにも謀ってませんよー!あっちで大人しくしてくださいよ〜)」
「待ちなさ〜い、三味線にしてやるんだから〜」
「にゃー(皆様、お疲れ様でした〜)」
…‥・

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