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ちんたらしていたらアッという間に4ヶ月…。毎回投下する時は自分の駄目さに気持ちが落ち込みます。
今回はふと思いついたものです。誤字脱字あると思いますが、できればスルーしてください。



こちらに来てから、一刀は日の出から日付が変わる頃まで常に誰かと一緒という状況にあった。
大変ではあったが、あちらで自分がしてもらったことを返しているのだから決して嫌だとは思うことはなかった。
けれど、約50人の女の子達が相手ではかなり無理があった。
もう眠っただけでは疲れがとりきれなくなり、日に日に疲れが溜まっていくようになっていた。
一刀はなんとか疲れをとる方法はないかと考えたが、寮から離れられない状況ではできる事も限られてくる。
また、女の子達の行動も考えればできるものがあるかどうか。
睡眠時間を伸ばそうとしても、朝は日が出れば頼んでいなくても起こしてくれるし、夜は亞莎をはじめとする軍師達との勉強会で早く寝ることはできない。
息抜きの時間を作れないかと考えてみたが、誰もそんなことに構ってくれないだろう。
むしろ、その時なら2人きりになれるとか思って集まってくる可能性だってありえる。
女の子達がどういう反応をしてくるかを考えるとほどんどが駄目だった。
唯一できそうだと思えたのは、ゆっくりと風呂に入ることなのだがこれにも問題はある。
それは、この寮には風呂が共同のもの1つしかないということと、毎日使えるということで女の子達に大変喜ばれて使用頻度が高いということ。
以上の理由から、一刀は女の子達が入り終えたあとに風呂に入っていたため湯は冷め始め入っても気分がすっきりするということはなかった。
今思い浮ぶ唯一疲れがとれそうな方法を一刀は案外うまくいくかもしれないと思っていた。
というのも、最近になって真夜中以外で誰も風呂に入っていない時間があることに気がついたからだ。
それは食事の時間。
この寮には半端ではない大食漢が何人もおり、しかも競うように食べるので遅れて行こうものならたちまち飯抜きになってしまうのだ。
そのため、食事の時間になる頃には必ず全員が揃っていた。
この時間を狙えば誰もいないはず。
もし、食いそびれたとしても流琉に頭を下げれば何か作ってもらえるだろう。
そう思った一刀は翌日の夕方に風呂の出入りを見て誰もいないことと、流琉の調理の進捗状況を確認してから風呂に向かったのだが
「鈴々ちゃん暴れるとうまく洗えないよ」
「泡が目に入って染みるのだ」
「秋蘭。なぜ貴様もここにいるのだ」
「私もたまには1人というときあるさ。そういう愛紗こそ、今日は桃香と一緒ではなかったようだが」
「私とていつも桃香様と一緒というわけではない」
「なら、私がここにいてもおかしくはなかろう。…ところで紫苑」
「なにかしら」
「いつもそんなに念入りに体を洗っているのか?」
「ええ。ご主人様がいついらしてもいいように毎日準備しているの」
「ほぅ」
「なっ」
「次は璃々が洗う番ね。みんな回れー右」
「交代なのにゃ。回れ右にゃ」
「回れ右にゃ」
「右にゃ」
「……にゃ」
どういうわけか、いつもは誰も使わないはずの時間に女の子達がゾロゾロとやって来たのだ。
今日に限ってなんでと頭をひねったが、最初から駄目だった。
この日、本人は意識していなかったのだが、一刀の様子がおかしいことに女の子達は気づいていた。
気づいてはいても、一刀が私達を置いてどこかへ行くはずがないと半数以上の子は気に掛けることはなかったが、愛紗や以前に未遂があった魏では秋蘭が監視役となりバレないようについていた。
そんなことになっているとは思ってもみない一刀は、今なら大丈夫だと風呂に向かった。
もちろんそこもばっちり見られていたので体を洗っている最中に、お背中を流しに参りました、と愛紗が入ってこられた。
急に入って来られて驚いている一刀に構うことなく愛紗が近づいてきたので、一刀は慌てて桶の湯を頭からかぶるとタオルを掴んで湯船に飛び込んだ。
「自分で洗ったからいいよ」
と少々うわずった声で愛紗に言うとそうですか、と少し残念そうに答えたあと
「では、私もそちらに」
と湯船の方に進路を変えてきたので一刀はそれを止めた。
「愛紗ストップ!」
「すとっぷ?」
「あー、止まってって意味。それより愛紗、こういうみんなが使う湯船に入るときは先に体を洗うのが…えーと、規則だから、まずはあっちで体を洗って」
「…そういうものなのですか?」
「そういうものなの」
それが本当かどうか怪しいが、ご主人様のことだからこのまま押したら逃げてしまうかもしれないと思った愛紗は一刀の言葉に従い体を洗い始めた。
そのすぐあとに秋蘭、さらに少し遅れて桃香達も現れて今の状況になった。
頭をひねっていた一刀だが、今は問題を後回ししているだけなので早くこの状況をどう切り抜けるか考えなければならない。
このまま長居してしまうとみんなが湯船の方に来て風呂かられなくなってしまう。
そうなればのぼせて倒れるなんて無様をさらすなんてことになりかねないので、愛紗達が体を洗い終える前にあがることにした。
一刀が湯船からあがると案の定、愛紗に呼び止められた。
「ご主人様。どちらへ行かれるのですか?」
「いや、もう出ようと思って」
「早すぎではありあせんか?しっかり温まれた方が…」
「俺、長風呂する方じゃないからこれくらいがちょうどいいんだ」
愛紗にそう答え出口へ向かうと、一刀は特に前を確認することなく戸を開けた。
「先に行っててお従姉様。タンポポもすぐ行くから」
「おう、早く来いよ」
そこには翠とタンポポがいた。
タンポポはまだ服を脱いでいる最中で下着を着けているが、翠は既に裸でしかも前を隠していなかった。
今一緒にいるのはタンポポだけで、風呂の中にいるのは蜀の子達ばかりと気心の知れた仲であるから隠す必要がなかったのだろう。
一刀に気づいたタンポポは翠を止めようとしたが、間に合わず正面を向いてしまった。
翠は、真正面にいる一刀と目が合うとわずかに沈黙したあと顔を真っ赤にして大声を上げた。
「うわぁぁぁああぁ!!!」
叫ぶのと同時に、翠は手にしていたタオルで前を隠し、一刀の胸を思い切り突き飛ばした。
翠から容赦のない一撃を受けた一刀は足元が不安定だったこともありそのまま後ろへ倒れた。
「なに見てんだよ!バカ!ヘンタイ!」
そう言い放った翠は戸をピシャリと閉め、その場にしゃがみこんでしまった。
タンポポは、あ〜あやっちゃったなどと思いつつ翠に近づくと
「大丈夫?お従姉様」
と声をかけたが、翠は見られた、見られたと繰り返すだけでまともに話ができそうになかった。
ご主人様にはもう何度も裸は見られてるんだからそんなに恥ずかしがらなくてもいいのに…。
ほんとお従姉様ったら初なんだから。
いつまで経ってもこういう事に免疫のできない従姉に呆れていると風呂の方から、一刀を気遣う愛紗の声が聞こえてきた。
回復するのにまだ時間が掛かりそうな翠は放っておいて風呂の中の様子をそっと覗くと、仰向けに倒れたまま動かない一刀と、その周りを取り囲み心配そうに声を掛ける愛紗達の姿があった。
気絶はしていなかったが頭を打っていた一刀は、みんなに大丈夫と言っていたが感覚が戻るまで身動きがとれなかった。
その後、一刀は結局愛紗達と一緒に風呂に入ることになり、恋、季衣に食べられてしまったみんなの分の夕飯を流琉に頭を下げて作ってもらったのだった。

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