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初めまして、皆さん。しがない書き手というものです。
私が考えている話がちょくちょく完成しているので、少しづつ公開したいと思います。
のんびりとひっそりと出来ればと思っています。暇つぶしにどうぞ。

この物語について
・真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーになるのかな?まあ混ぜている作品は題名でわかるよね。
・クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定は話の本筋にはあんまり関係ありません。
・ならその設定を使うなよ。
・主人公は三人いますが、蜀ルートが元になっています。
・過度な期待どころか、普通の期待もしないでください。二次創作を書くのは初めてです。
・ゲーム版主人公の北郷一刀くんは登場しません。同姓同名の人間は登場します。

その他について
・投稿が初めてなのでミスってるかもしれません。その場合はご容赦ください。
・小説の書体をあまり知りません。ご指摘頂ければ無論改善します。
・非常に遅筆です。ぶっちゃけ月刊に近いです。
・今回は一話をお届けします。
・感想は・・・どうしよ。使い方がよくわからないのでレスポンスのみでお願いします。



 その墓地はオオアマナの花びらが舞い続けていた。70年もの昔、最初の蛇が真の愛国者に贈ったオオアマナは、墓地全体に広がり無縁墓地とは思えない神々しさを醸し出していた。
金属の歯車によって人生を翻弄された五人に敬礼する。決意と・・・真の愛国者が伝えようとした「忠」の意志を秘めて。

 第一話 天ノ御遣 〜Otherworld〜

「あや・・・変なのがいるよ」
(・・・)
 頭が覚醒する。随分と子供っぽいのに見つかったようだ。
「男の子・・・かな?私と同じくらいの歳かな?」
 柔らかい女性の声。
「二人とも離れて。まだこの者が何者か分かっていないのですから」
 今度は厳しそうな女性の声。
「全くだ。いきなり起きあがって襲われても知らんぞ?」
 そう声に出した瞬間、一人が自分から離れた。
「けど危ない感じはしないのだ」
 笑顔をこちらに向ける小柄な女の子。
「桜香さま下がって」
「別に取って食いはしないよ」
 肢体の状態を確認して起きあがるが、眼前に刃を突きつけられる。
「何者だ?」
 突きつけられた刃の向こうには厳かな龍の意匠が施され、長い柄に続く。それを構えているのは黒髪の美少女だった。服装は煌びやかで彼女の黒髪によく映えている。
「少なくとも害はないよ。ここはどこだか教えてもらえるかな?」
「幽州啄群。五台山の麓だ」
「ゆう・・・しゅう?・・・ふむぅ」
(文明レベルは・・・西暦200年程度の中国か)
「・・・お兄さん?、一体何者なのかな?」
 今度は横の赤毛の女性から声が掛かる。
「あー・・・北郷一刀。『とある』理由で旅をしにきた。貴女たちは・・・?」
 美少女三人に囲まれて目が覚めたのだから機嫌よく尋ねる。コレが筋骨隆々の紐パン漢女だと、そのままの勢いで斬りかかっているところだ。もっとも未だに刃は突きつけられたままだ。
「私は劉備、字は玄徳」
「りゅう・・・び?」
「おかしな名前かな?」
 大きくまっすぐな瞳。自分の考えが見透かされてるように見える。
「いや、どこかで聞いた名前だなと思ってな」
(とすると残りの二人は・・・)
「鈴々は張飛なのだ!」
「関雲長とは私のことだ」
(・・・そんな馬鹿な)
 相当に間の抜け顔をしたんだろう。やっと刃先を下げてくれた。害はないと判断されたらしい。
「お兄ちゃんの服変わってるのだ。どこから来たのだ?」
 張飛にそこまで聞いて自分の体をみる。
 急いでいたせいか、上に何か羽織るのも忘れたどり着いたため、体にフィットしてる黒のボディスーツの上に、これまた黒のボディアーマーを胸、腰、足首、につけてる。あちらの世界でも十二分に怪しい。
「あー、どこだろ」
(一応東だが、ちょうど裏側あたりか?いや、ここは母国の日本を言うべきか?)
「ねえねえ、もしかして・・・この国のことわからないの?」
 何かの期待した光を瞳に浮かべた彼女の言うとおりわかってない。
幽州というのは確か中国の地名だが正確な座標は知らないし、そもそも『こちら』の世界の幽州が『あちら』の世界の幽州と同じ場所にあるとは限らない。何せ・・・。
(三国志の英雄が女性だしな)
 説得が納得に変わる。我ながら実に単純だ。
「わからない。・・・いや知ってるような知らないような」
『?』
 三者とも右に首を傾ける。さすがは義理とはいえきょうだ・・・姉妹だ。
「まあ別の世界から来たとでも思ってくれ」
 最高にハイな失言だった。立場的にも、知らなかったとはいえ空気的にも。
「別の世界!?」
 劉備と名乗った女の子の目が星のように輝く。
「やっぱり・・・。思った通りだよ、愛紗ちゃん!鈴々ちゃん!
この国のこと知らないって言ってるし、言ってることちんぷんかんぷんだし、何より服が変!」
 最後のは自分も本意ではない。
「この人、きっと管輅ちゃんの占いに出てきた天の御遣いだよ!この乱世の大陸を平和にするために舞い降りたんだよ!」
「あれはエセ占い師の戯言では・・・?」
「うんうん。鈴々もそう思うのだ」
「私もそう思うのだが・・・」
 多数決では出会って間もない票を加え三倍の圧倒的勝利だ。しかし劉備は止まらない。
「でも管輅ちゃん言ってたよ?東方より飛来する流星は、乱世を治める使者の乗り物って!」
「ふむ・・・確かに、その占いからすると、このお方が天の御遣いということになりますが」
「確かにこのお兄ちゃん、体は結構がっちりしてるのだ」
 関羽と張飛、あっさり陥落。
「ただその・・・顔つきが中性的というか英雄たる雰囲気が感じられないな」
「うーん、それは確かに。最初女の人かと思ったもん」
「・・・」
 自覚してる分、相乗して最高に居心地が悪いし空気も悪い。空気と流れを変えるには疑問を投げかければ変えるだろう。二十年ちょっと生きて学んだことだ。
「すまんが、こちらにもわかるように説明してくれないか?その・・・天の御遣いとやらの」
「ああ、申し訳ありません。この乱世を鎮める天の使者。・・・自称大陸一の占い師、管輅の言葉です」
「乱世・・・?」
「今の世の中のことなのだ。王朝が腐敗して弱い人たちからたくさん税金をとって、それに盗賊たちもたくさんいるのだ!」
「そんな力ない人たちを守ろうって立ち上がったのが、私たち三人なんだよ、だけど・・・私たち三人の力だけじゃ何もできなくて・・・」
「どうすればいいのか、方策を考えているところに管輅と出会い・・・」
「私が堕ちてきたと」
「そうです」
 関羽が黒の艶やかな髪を揺らした。
「残念ながら、私はそんなに大それたものじゃない。この世界ではほとんど戦えないだろうし・・・」
「なーんだ、お兄ちゃんダメダメなのだ」
 張飛が非常に残念そうな顔になる。
「それでも!あなたがこの国の人間じゃないのは確かです!」
「それはそうだが・・・」
「でしょでしょ!だからあなたは天の御遣いってことです」
 ここで少し考える。
 立場的に、自分という存在は隠すべきだ。しかし場合によってはこれが有利に働くかも知れない。
何せ、劉備様ご一行だ。未開の地に近いこの世界では単独行動はなるべく避けるべきだし、彼女たちに頼めば目的を達成するのも早まるかもしれない。
「近くの街に移動しますか」
「ん?」
 聞いてなかった。どうやら自分は蚊帳の外。あちらで話が進んでいたらしい。

 * *

「だから、北郷様!私たちに力を貸してください」
 聞いた話ではどこも一緒だ。政治屋が私腹を肥やし、弱者がいたぶられる。この世界は盗賊がうじゃうじゃいる分なおタチが悪い。
「言いたいことはわかる・・・しかしだな」
「・・・はい」
「無銭飲食はダメだと思うんだ」
「・・・ごめんなさい」
 ちょうど今皿洗いが終了したところだ。こちらとしてはとばっちりだ。
「疲れたよぉ・・・」
「戦場で槍を振り回すのは疲れないのですが・・・」
「はっはっは。こんなことでへこたれてちゃこの先、人助けなんてできっこないよ」
 おかみさんが出てきた。
「全くだな」
 孤児院で育った者にとって動作もないことだ。自分の分はさっさと終わらせ高見の見物だったのだ。
「ほら、応援してるよ。もっていきな」
 おかみさんから陶器の瓶を手渡される。
「酒かい?」
「ああ、これからの世の中がよくなるための・・・」
「投資か」
 おかみさんが深く頷く。私の知っている知識ならばこの先行投資は大当たりだ。
「劉備、これから行く宛はあるのか?」
「それは・・・」
「まだ特に決まってないですぅ・・・」
 どうやら彼女たちに今一番必要なのは頭脳らしい。否、道標というべきか。
「おかみさん、この付近に義勇兵を募集しているところはないか?」
「よしよし、公孫賛様のところに行ってみな。盗賊討伐のために義勇兵を募集しているからね」
「酒といい情報といい・・・感謝する」
 深く頭を下げる。どの世界でも恩を受けたら感謝する。それは変わらないはずだから。

 * *

「すごいねー」
「美しい・・・」
 眼下に広がる桃の木の絨毯。
それは、真の愛国者が眠る無縁墓地に広がっていたオオアマナを彷彿させた。
「・・・」
「さあお酒なのだ!」
 周囲を回り始める張飛に頬がゆるんだ。
「まったく雅を分からぬやつだ」
「あははっ、鈴々ちゃんらしいね」
「これはこれで張飛らしい」
 ぽんぽんと頭を撫でる。子供扱いだがいやな素振りはみせない。
「ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃんは鈴々たちのご主人様になってくれるの?」
 そういえば回答がまだだったか。
「・・・仲間ではダメか?そもそも私は人の上に立つような器ではない」
「それでもいいのだ。鈴々の真名は鈴々なのだ!」
「真名?」
 目を姉二人に向ける。
「我々の持つ、本当の名前です。家族や親しき者にしか呼ぶことを許さない、神聖なる名・・・」
「その名を持つ人の本質を包み込んだ言葉なの。だから親しい人以外は、例え知っていても口に出してはいけない本当の名前」
「だけどお兄ちゃんには呼んでほしいのだ」
「買い被りすぎじゃないか?さっきも言ったが私は・・・」
「けどきっと道標になってくれると思う」
 非常に重みをもった言葉だった。心臓が堕ちるような錯覚を受ける。これがきっと劉備玄徳なのだろう。
「わかった。ただ主人というのはどうもな」
 事をごまかす為に杯に酒をつぐ。
「大丈夫だよ、ご主人様」
「そうですよ、ご主人様」
 天然ボケボケのお姉さんとしっかり者のお姉さんに回り込まれた。逃げ場はない。
「・・・勝手にしてくれ」
 半ばやけくそに普段では絶対飲まない量を注ぐ。
「我が真名は愛紗」
「鈴々は鈴々」
「私は桃香!」
「愛紗、鈴々、桃香か、私は・・・ええい、好きに呼べ・・・今はまだどうなるかわからんが・・・よろしく頼む」
 だが、仕返しに杯に注ぐ酒の量は増やす。やられっぱなしは気にくわない。
表面張力で辛うじて保っているそれにかまわず高々と掲げた。
「我ら四人!性は違えども、姉妹の契りを結びしからは!」
「心を同じくして助け合い、みんなで力なき人々を救うのだ!」
「同年、同月、同日に生まれることを得ずとも!」
「願わくば、同年、同月、同日に死せんことを!」





(・・・姉妹っていうのは突っ込むべきなんだろうか・・・私は男なんだがな)

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