- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:23:00.90 ID:JkT4ooQp0
-
むかちーーーーーん
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:23:52.06 ID:JkT4ooQp0
-
パック「なーガッツー、もう3日間水以外口にしてねーよー」
ガッツ「・・・・・・」
パック「なー、ガッtt」
ガッツ「五月蝿い!黙ってろ」
パック「うぅぅぅ(涙)」
ガッツ「糞、この辺り一帯呪われてやがる、蟲すら居やがらねぇ」
ズキッ
生贄の烙印に痛みが奔る
ガッツ「なっ!?」
ドクンドクン
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:24:54.74 ID:JkT4ooQp0
-
パック「どうした?ガッツ?ん?」
ガッツ「退けッ!!!」
パック「きゃああああ!!」
ガッツ「(やけに静かだ・・・・・・)」
パック「痛たた、何しやがる・・・ん?なんだ?ベッチー?」
パック「あわわわわ、ガッツー!!ベッチーの様子が変だ!!」
ガッツ「何だと?」
パック「なんか凄い光ってるよー!!なんだってんだーーーー!!!」
ガッツ「チィ!なんだ!?」
ベヘリットが光を放ち、ガッツとパックは、その光に飲み込まれて行く
ガッツ「ぐぅうううう!!」
パック「のあああああああ、死ぬ!!死ぬ〜!!」
―――
――――
―――――
――――――
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:25:45.89 ID:JkT4ooQp0
-
パック「はっ!ここは?死んだ?」
ガッツ「生きてる」
パック「ガッツ!無事だったのかよ!ところでココはドコ?」
ガッツ「わからん。だがさっきまで居た所とは違うようだな。」
天を覆い、日の光を遮っていた背の高い針葉樹林は
背の低い広葉樹林へと姿を変えていた。
ガッツ「ベヘリットは無事か?」
パック「うん、大丈夫そうだよ。なんだか良くわかんないなー、まぁいいや。それより食べ物探そうよ」
ガッツ「ああ」
??「クロいケンシ」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:26:28.98 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「食い物探しは後だパック・・・」ガチャ
パック「ああ、おいらは隠れてる」ブルブル
賊A「くロいケンシ」チャキ
賊B「クろイけンシ」チャキ
賊C「クろイケンシ」チャキ
ガッツ「30人って所か。だが知能は随分低そうだな。」
パック「がががガッツ?こいつら目が逝っちゃってるよよよ?」
ガッツ「なんだって関係ない」ブゥオンッ
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:27:10.76 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツは、その巨大な剣で一気に4人の賊の首と胴体を離別させる。
そして、台風の様に回転し、背後の2人の賊を横に真っ二つにする。
更に、遠心力で凄まじい重さになっている切っ先を切り返し、真横に居る
3人の賊を逆袈裟で屠る。
一瞬のうちに9人もの賊を葬った。
――――――同刻
一刀「こっちのほうで戦っている音がするな!」
星「主、この辺りではないか?」
一刀「ん?誰だ?賊と戦ってるようだけど・・・」
一刀と星はそこで見る。
怒涛の如く賊を切り捨てる戦士を。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:27:51.11 ID:JkT4ooQp0
-
それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。
ガッツは一刀達の気配に気づき部隊を見た。
星「!!!」ゾクリ
目が合った途端、趙子龍は戦慄した。
恐怖によって。
「殺意」が形を持っているならこの男のような姿になるに違いないと思った。。
例え、飛将軍呂布と対峙しようとも、
これほどまでの戦慄は奔らないだろう。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:28:31.94 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツは、新たに来た部隊を放置した。
殺気がなかったからだ。
ただ一人、先頭の馬に乗る女を除いては。
それに、奴らはどうやら「人間」らしい。
今はただ、目の前の人外を惨殺する事しか考えない。
一刀は呆気に取られていた。
異変が起きていた。
賊を一人、また一人とガッツが惨殺していく中で
賊が一人、また一人と溶け合うように一つの場所に集まりだした。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:29:12.98 ID:JkT4ooQp0
-
そして残り10人ばかりになった時、異形が姿を現した。
それは巨大な「何か」だった。
例えるには言葉が少し足りない。
芋虫のような、ナメクジのような、蜘蛛のような。
全身に虫食いのような穴が無数にあり、節足昆虫の脚のようなものが
至る場所から生えている。
それは異形だった。
ガッツの生贄の烙印が痛み出す
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:29:53.78 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「使途ッ・・・」
一刀「な、な、な、なんだぁ!?」
星「これは・・・妖か!?面妖な・・・」
ガッツ「お前ら!!」
一刀「!!?俺たちに言っているのか?」
星「そのようですな。」
ガッツ「とっととココから逃げろ!!」
星「待て、お主は一体・・・」
ガッツ「早く行け!全員死ぬぞ!!」
星「っ!」
一刀「星、ここは一旦退こう!」
星「なにを!この超子龍!!この様な妖に遅れを取るつもりは・・・」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:30:34.32 ID:JkT4ooQp0
-
瞬間、異形の芋虫のような胴体がうねる。
一刀には、一瞬化け物が「ぶれた」ように見えた。
バチュン
背後で、音がしたことに気づくのに1秒は掛かっただろう。
何せ、星が自分を抱えて飛び退いていたからだ。
星「主!!無事か!!?」
一刀「俺は大丈夫、今のは一体・・・?」
一刀は振り返る。
そこは、丸い空間に見えた。
一部分だけに発生した巨大なカマイタチの様な。
まるで空間が抉れている様に見えたのだ。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:31:15.78 ID:JkT4ooQp0
-
そして、気づく
後ろに控えていた兵が、ざっと6、7人だろうか。
見るも無残
ある者は上半身を
ある者は半身を
最前列のものに至っては膝から上が全てなくなっていた。
一刀、星が乗っていた馬は、鞍から後ろが消えていた。
ほんの数秒の間を置いて、思い出したように鮮血が飛び散った。
討伐兵「ひいいいいいいいいいい!!!!!」
討伐兵「ぎゃあああああああ!!!!11」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:31:57.15 ID:JkT4ooQp0
-
皆が腰を抜かしていた。
一刀も耐え切れず、その場に嘔吐した。
星「静まれ!!パニックを起こすな!!」
一騎当千の将までも、あまりの異常事態に判断を見誤っていた。
彼らがするべき事は一つ。
ただ、逃げることだったのだ。
ガッツ「シィイ!」
斬ッ!
ガッツが異形に向かって切りかかる、無骨な鉄の塊が異形の体にめり込む。
使途もどき「プギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
生きとし生けるもの全てに不快感を与える様な悲鳴を上げながら異形は悶える。
しかし、異形は一撃で切断できる程の小ささではなかった。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:32:37.97 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「クッ!しまっ」
更に異形の体から無数の人の手が出てくる。
まるで、エノキのように腕が集束し、ガッツの居る場所へ高速で伸びる。
ガッツ「カハッ!!」
衝撃がガッツ体を突き抜ける。
ガッツは3m以上飛ばされ、木に激突した。
傍から見れば、どう見ても死んでいる。
星「あの男やられたぞ!!ええい、みな冷静になれ!!」
ここから、あの化け物まで10mは離れている。
冷静に、撤退すれば・・・
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:35:28.62 ID:JkT4ooQp0
-
星が、逃げ惑う部隊の方を見たのは、恐らく一瞬、2秒も経っていないだろう。
振り向けばそこには、絶望があった。
いつの間にか目の前まで迫ってきた化物に、星は思わず声を上げる。
星「ひっ」
一刀「危ない!!」
ブオン
蟲のような、人の腕と足がごちゃ混ぜになった物体が横薙ぎに動く。
星「あ、主・・・?」
一刀「さっきの人を助けよう!!」
星「え?こ、こんな時に人助けは・・・」
一刀「いいから、急いで!!」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:36:13.58 ID:JkT4ooQp0
-
先の化物の攻撃で、更に何人かの兵が殺された。
二人はガッツが吹き飛ばされた方に向かって走る。
それが二人の命を助けた。
突如、異形はカラカラと唾を喉に溜める様な音を発して
ブシュゥウウウウウ
液体を吐き出した。
それは、雨の様だった。
ただ、雨というには、少しばかり色が濁っていた。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:37:32.81 ID:JkT4ooQp0
-
討伐兵「ひぎゃあああああ!!」
討伐兵「アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!」
討伐兵「ヒゲラブベボオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
その液体に触れた兵士たちは、触部から腐りだし、数秒の内に全身が壊死したように
人の形が崩れ始める。
50人は居たであろう討伐兵が、悉く腐り落ちた。
ガッツを助けるため反対方向へと走っていた一刀達は無事だったが
その光景を目の当たりにした星は
とても逃げれそうにないと判断した。
星「主、お逃げになってください。」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:38:49.81 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「星!!駄目だ!!一緒に逃げよう!!」
星「恐らく・・・いや、間違いなく不可能でしょう。ここで貴方を死なせる訳にはなりません。どうか・・・」
一刀「そんな!だったら俺も一緒に・・・」
星「本郷一刀っ!!!」
一刀「っ!!」
星「貴方は、この様な場所で天命尽きるお方ではない!蜀を、この大陸の未来を、頼みましたぞ。」チャキ
一刀「くぅっ!」
言い終わると、星は化物に向かって槍を構える。
一騎当千、天下無双と謳われた趙子龍が命を捨てる覚悟をした。
化物は少しづつ此方に近づいてくる。
ズルズルと不快な音が森の中に響いていた。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:39:31.12 ID:JkT4ooQp0
-
使途もどき「オォオォォオオオォオオオ」ズルッ・・・ズルッ・・・
星は絶望と対峙しながら、我が主を守ることだけを考えていた。
ドコから失えば一番時間を掛けて死ねるか。
右腕、左腕、片足は残して置かなければ、1分ぐらいは持つかな
そんな事を考えながら、涙目の最愛の主の顔を見るために振り返った。
星「フフ、いい男が台無しですぞ」
一刀の涙で滲む目に、化物が又、「ぶれる」のが見えた。
ザシュッ
使途もどき「プギイイイイイイイイイイ」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:40:16.47 ID:JkT4ooQp0
-
星は不思議に思った。
気配の合わせて振り返り、自らの腕が持っていかれるのを覚悟して構えたが
衝撃は一向に来なかった。
星「あ・・・れ・・?」
一刀と星は、化物の上に乗っかり巨大な鉄の塊を突き立てるガッツを見た。
その姿は血に塗れ、目は見開き、全身の何処を見ても無傷の場所がないように見えた。
しかし、それでも、ガッツは嗤っていた。
ガッツ「シュゥゥ」
一刀「あ、さっきの・・」
ガッツ「シッ!」
グシャ
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:40:57.40 ID:JkT4ooQp0
-
使途もどき「キイェヤアアアアアアアアアアアアアア」
化物が半分に切れた。
ガッツ「ガァアアアア!!」
使途もどき「ゲェエエエ」
一刀「ウッ」口元を手で押さえる
星「なんと言う・・・」
動きが止まった異形にガッツは残虐の限りを尽くす。
次々に体を引き裂いていき、無数にある穴に向けて左手の義手から矢を放った。
斬り、叩き、潰し、穿ち、そして燃やした。
既に元がどんな形か解らなくなった肉片を、義手の仕込み大砲で吹き飛ばし、ようやくガッツは動くのを止めた。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:41:40.42 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「ゼェー・・・ゼェー・・・ゼェー・・・」
一刀「あんた一体・・・」
ガッツ「フゥ・・・フゥ・・・フゥ・・・」
ガッツは何も言わず、その場を立ち去ろうとする。
パック「まー、あいつはああ言う奴なんだ。悪気があるわけじゃないから怒らないでくれたまえよ。」
一刀「うわっ!なんだ!?この生物は!?」
パック「エルフじゃ!」
星「得る不・・・?」
一刀「エルフってあのエルフか?」
パック「どのエルフかはわからないが、そのエルフじゃないか?」
一刀「信じられん・・・」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:43:25.29 ID:JkT4ooQp0
-
星「主、もっと解り易く説明してくだされ、天の言葉を使われては訳がわからん。」
一刀「まぁ幽霊というか、妖怪というか妖精みたいな?なんて言ったらいいんだろう?」
ガッツ「パック!さっさと行くぞ!!」
パック「ほいほい」
一刀「あ、ちょっと待ってくれ!礼をさせてくれ!!」
ガッツ「・・・」ギロ
一刀「そんな睨まずに、俺たちは怪しいものじゃない。あんた見たところ、この辺の人間じゃないだろう?」
ガッツ「だからなんだ?」
一刀「そんな怪我で、動き回ることも出来ないだろう?城へ寄って治療させてくれ。」
ガッツ「必要ない」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:45:12.55 ID:JkT4ooQp0
-
パック「ガッツー、そう言わずにお言葉に甘えようぜー?この人たち悪い人じゃなさそうだしよー。飯が食いたいんだよー」
一刀「腹も減っているのか?だったら、食事も用意しよう。星もいいよね?」
星「そうですな、やれやれ、兵は全滅、そして傷だらけの大男に妖。帰ったら愛紗がなんと言うか・・・」
ガッツ「勝手に話を進めるな。俺は必要ないと・・・」グラッ
ドスン
ガッツが倒れる。
一刀「言わんこっちゃない!星、馬は残ってるか?」
星「2頭ほど、逃げずにおります。勇敢ですな」
一刀「よし、この人を馬に乗せて城に帰ろう。」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:49:31.39 ID:JkT4ooQp0
-
星「しかし、目覚めたら文句の一つでも言いそうですな、この御仁。して、この「えるふ」とやらは名をなんと申す?」
パック「おいらはパックだ、んでそっちのでかいのがガッツだ。」
一刀「俺は本郷一刀だ、よろしく!」
パック「長い名前だな、カズトでいいか?」
一刀「ああ、構わない」
星「我が名は趙雲、字は子龍だ。よろしく頼む」
パック「んー、お前名前が3つあるのか?変わってるな。なんて呼べばいいんだ?」
星「私から言わせればお前達の方が変わってる・・・まぁいい。助けてもらった身だ、私のことは真名で呼んでもらって構わない。星だ。」
パック「セイだな。よし、わかった」
一刀「パック達はなぜここに?」
パック「それが解らないんだ、気がついたらここにいた感じかな。」
一刀「なるほど、もしかしたらパック達は俺と同じ境遇かもしれない。」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:51:28.53 ID:JkT4ooQp0
-
星「主と?では、このお方は天の御遣いの2号さんと言う事ですかな?でしたらあの異様な強さも納得できるというもの」
一刀「まだわからないよ。目が覚めたら聞いてみよう。」
星「そう、こう、しているうちに城に着きましたな、主。」
一刀「そうだね」
パック「うへー、でっけー城!カズトは金持ちなのか?」
一刀「金は持ってないな」
パック「なんだ」
一刀「なんだってなんだよ!!!?」
星「誰かある!」
見張兵「何事です!?」
星「早急に全ての将を集め軍議を行う。速やかに通達して参れ!
そして、この御仁を至急手当てし、医務室で休ませてやれ!」
見張兵「はっ!」
パック「メシー!!」
星「そうだった、この御仁にも食事を用意してやれ!」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:52:32.44 ID:JkT4ooQp0
-
見張兵「はっ!」
見張兵「!?(なんだこの生き物は?)」
パック「パックだ!」
見張兵「!?」ビクッ
パック「パックだ!」
見張兵「こ、此方へどうぞ・・・」
パック「ふむっ!」
愛紗「何事です、ご主人様!?兵が全滅と聞きましたが?お怪我はありませんか!?」
一刀「ありがとう愛紗、大丈夫だよ」
朱里「でも、本当に一体何が。」
翠「星がついてて、部隊が壊滅だなんて・・・」
紫苑「にわかには信じがたいですね・・・」
鈴々「どうしたのだー?」
星「ふむ、それは私から話そう。」
朱里「お願いします。」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:53:41.46 ID:JkT4ooQp0
-
いつもは、尾ヒレを付けて話している星も、今回の顛末は事細かにありのまま伝えた。
ガッツという男、パックという妖(えるふ)、そして部隊を惨殺したの化物。
ガッツに命を助けられたこと、そしてその異様な強さ。
星「かくかくしかじか、どーたらこーたら、エトセトラエトセトラ云々」
朱里「妖精・・・ですか・・・」
紫苑「えっと・・・・・・」
鈴々「すげー、かっこいいのだ、ガッツって奴」
翠「そんなにつえーのか?ちょっと興味が沸いたぜ」
愛紗「妖・・・」ブルブル
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:54:25.60 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「まあ、実際に見てもらった方が早い。今パックが食堂にいるはずだから行ってみよう。」
愛紗「ご、ご主人様!?あ、妖などと、危険ではないのですか?」
一刀「大丈夫だよ、パックは危険なんかじゃないと思うよ」
星「私も、そう思う。小さいしな」
鈴々「鈴々よりもチビなのだー?」
一刀「そうだな、鈴々よりちっさいぞ」
愛紗「それでも、注意に越したことはありません!そもそも妖怪の類に安全な輩など聞いたことが」
パック「妖怪ではない、エルフだ!」
愛紗「きゃあああああああああああああああああああ」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:55:06.59 ID:JkT4ooQp0
-
翠「うわ!びっくりした(愛紗の声に)」
鈴々「何なのだ!(愛紗の声ry)」
紫苑「!」ビクッ(愛紗のry)
朱里「きゃあああああああああああ(愛紗ry)」
星「なんだ、突然大声を張り上げよって!」
一刀「うわ(愛紗が腕に飛びついてきた)」
鈴々「突然、愛紗がお兄ちゃんに抱きついたのだ!」
パック「お前の彼女か?カズト、いやー熱いねーこのー」
一刀「パック!あんまり脅かしたら駄目じゃないか?」
パック「おいらがいつ脅かしたんだ?やいやい、言いがかりはごめんだぞ!!」
一刀「この世界にはお前みたいなのがいないんだから、いきなり出てきたらびっくりするんだよ!」
パック「ん?おいら達の世界も珍しいっちゃ珍しいぞ?」
一刀「だったらびっくりするじゃん!!それに、珍しいとかじゃなくて、存在しないの!」
パック「細かいこと気にスンナ」
一刀「ハァ・・・」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 22:56:16.93 ID:JkT4ooQp0
-
朱里「あ、あのあの、貴方がパックさんですか?」
パック「おうともさ。おいらがパックだ」
紫苑「凄い・・・ほんとに妖精・・・」
翠「すげーなー、飛んでるぜー」
鈴々「おー、鈴々よりちっちゃいのだー」
星「おい、愛紗!いつまで主の腕に抱きついているつもりだ?」
愛紗「えっ?あ、いや、これはだな!」
パック「さっきから、そのネーちゃんは何を言ってんだ?」
一刀「愛紗は怖がりなんだ、お前が歩み寄ってやってくれなきゃ」
愛紗「なっ!?私は、別に怖がってなど・・・」
パック「オイ!」
愛紗「ヒッ、なんだ!?」ビクビク
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:01:40.54 ID:JkT4ooQp0
-
パック「これをやろう」っ栗
愛紗「く、栗?」
パック「ふむ、食ったらええぜよ」
愛紗「あ、ありがとう」
一刀「よかったね愛紗」
愛紗「は、はい・・・///」
鈴々「あー、鈴々もほしいのだー!」
パック「ほれ」っ栗
鈴々「わーいなのだー」
一刀「立ち話もアレだ。食堂に行って皆で話そう」
紫苑「そうですわね」
で、食堂
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:07:34.28 ID:JkT4ooQp0
-
翠「星を真名で呼んでるなら、翠でいいぜ」
鈴々「鈴々は鈴々なのだー」
紫苑「紫苑です」
朱里「朱里とお呼び下さい」
愛紗「皆が真名で呼んでも良いというなら、私も真名で呼んでもらわなければな、愛紗だ」
パック「うむ、よろしく」
一刀「さて、自己紹介が終わったところでパック達はこれからどうするの?」
パック「さーなー、ガッツが気の向くままにどっか行くんじゃないかな」
星「ふむ、何か目的みたいなのはないのか?」
パック「目的ならある。さっきセイとカズトが見たような怪物を倒してまわってる。」
愛紗「おお、それは民を助けているということか?素晴らしいではないか!」
パック「いやいや、それはないな。あいつを一言で形容するなら悪魔だ。狂人だ鬼だ」
翠「凄い言われようだな」
??「そうでもなきゃ、あいつらと戦えんからな」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:09:38.08 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「ガッツ?あれからまだ1時間も経ってないのに目覚めて大丈夫なのか?」
ガッツ「お前に名乗った覚えはないぞ。」
愛紗「貴様!ご主人様に向かって失礼な!」
一刀「愛紗!良いから」
愛紗「ご主人様がそう仰るなら・・・」
一刀「あんたの名前はパックから聞いた。俺は本郷一刀。良かったら飯でもどう?」
ガッツ「ガッツだ、だがタダ飯なら食うつもりはない。町に行って食う。邪魔したな」
一刀「まぁ待って!」
ガッツ「触るな」ドン
一刀「うわっ!」
ガッツ「気安く触るんじゃねぇ、潰すぞ」
愛紗「ご主人様!貴様!何のつもりだ!!」
一刀「いいんだ愛紗!下がって」
愛紗「しかし、ご主人様!」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:10:19.80 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「いいから、大丈夫、俺に任せて」
パック「ガッツ・・・」
ガッツ「お前も、ここにいたいならここにいろ!ついてくんじゃねぇ!」
パック「うええ、何でそんなこと言うんだよ〜、待ってくれよ〜」
一刀「ガッツ!」
ガッツ「なんだ!」
一刀「アンタ、さっきみたいな化物を探してるんだろ?」
ガッツ「それがどうした?」
一刀「実はここ最近、近辺で珍妙な事件が起こっているんだ。」
ガッツ「・・・・・・続けろ」
一刀「ああ、村の若い娘が攫われたり、ここにやってくる商人が毎回何人か忽然と姿を消したりする。
ちょうど、さっきの化物が出た辺りだ。」
ガッツ「・・・・・・」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:13:08.47 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「この辺りはつい最近まで黄巾党という盗賊のような輩が居たんだが、
それも、俺達の力で何とか平定を収めたんだが、まだ残党が残っているからな。
そいつらの仕業だと思っていたんだが、もしかしたらさっきの化物も絡んでいるかもしれない。」
ガッツ「使途だ」
一刀「なんだって?」
ガッツ「奴らは使途だ。「もどき」だがな、恐らく親玉がいる。」
一刀「なるほど、良くわからないが良かったら協力してもらえないか?」
愛紗「ご主人様!この様な男に頼らずとも我々で何とかなります!!」
星「やめておけ、愛紗。ガッツとやらは相当な達人と見た。
恐らく恋、飛将軍呂布と同等かあるいはそれ以上。」
翠「そりゃ、たまげた!呂布より強いのなんてこの三国に数えるほどしかいないだろ。私とか」
鈴々「おっちゃん強いのかー、翠はそんなに強くないのだ!鈴々の方が強いのだー!!」
ガッツ「ククク」
愛紗「貴様!何がおかしい!?」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:14:10.00 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「協力だと?はっきり言わせてもらうが、お前らに出来ることなどない。
お前らの事情など知ったことじゃない。」
愛紗「ぐっ!もう勘弁ならん!!」
ガッツ「勘弁ならんならどうするんだ?ん?」
愛紗「口の利き方というものを教えてやる」ジャキ
一刀「ちょちょ、ちょっと!!愛紗!!」
ガッツ「変わった武器だ」
愛紗「問答無用オオオ!!」
翠「わぁ!ちょっと愛紗!!?」
紫苑「愛紗ちゃん!!?」
朱里「あわわ・・・」
パック「あー、やっちゃったー」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:14:58.74 ID:JkT4ooQp0
-
パックが言い終わるのを待たず愛紗は凄まじい速さで間合いを詰めガッツに斬りつける。
間合い、スピード、タイミング、パワー。
全てにおいて、常人のそれではなく、達人だった。
だがガッツは微動だにしない、瞬き一つ。
そして無造作に、まるで蚊でも追い払うように迫りくる青龍刀の刃を左手で「払った」。
ガキィン
愛紗「なっ!?」
ガッツ「良い踏み込みだな」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:17:03.01 ID:JkT4ooQp0
-
瞬間、愛紗は反応が遅れた。
ガッツが柄を掴んでる事に気づけなかった。
愛紗「しまっ」
ブォンッ
風を切る音が聞こえた時には、既に愛紗の足は地面から離れていた。
愛紗「うわっ!」
星「愛紗!」
星は愛紗を受け止めるため走り出そうとしたが、愛紗が随分ゆっくりなのと
そして、こちら側に飛んでくるのを見て理解した。
わざと此方に星が反応出来る速度投げたのだということを。
星は難なく愛紗を受け止め、そして愛紗は自分が投げられたことに気づいた。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:17:45.33 ID:JkT4ooQp0
-
鈴々「何するのだー!」ジャキ
翠「この野郎!」ジャキン
ガッツ「ここの人間は構えてもいない相手に武器を使ってくるのか、クク、結構なことだ」
紫苑「まぁ、腕に鉄の鎧と暗器を持ってる人が丸腰だなんてよく言いますわ」
ガッツ「違いない、だがこれは鎧じゃない。俺の腕だ」
そう言って、ガッツは左腕を見せる。
紫苑「義手!?なんて見事な精巧さ…」
鈴々「うっ、構えてくれないと攻撃できないのだー」
翠「たしかにやり辛い・・・」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:19:09.23 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「皆落ち着くんだ!ガッツすまない。愛紗の非礼は謝る。だから俺達に力を貸してほしい。」
ガッツ「お前に頼まれてようが、頼まれてなかろうが俺は使途を倒す。」
一刀「ああ、それで構わない。ありがとう。すぐに部屋の用意を」
ガッツ「生憎だが、俺はベッドで寝れない性質でね。用意してもらうのは飯だけでいい。」
星「別途?」
一刀「ベッドだ。閨の事だよ。」
星「ふむ、御仁もまた天界の人物らしい。」
愛紗「何たる失態!貴様!表に出ろ!!立ち会え!」
一刀「愛紗ったら、落ち着いて・・・」
愛紗「主人の前であの様な無様な姿を晒してしまった手前!引くことはかないませぬ!」
ガッツ「いいぜ、今度は"ちゃんと"戦うんならな」
愛紗「良いだろう!付いて来い!」
そういって愛紗は踵を返す。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:19:49.00 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「・・・・・・」
パック「ガッツに挑むとは、なかなか骨がある。よし、弟子にしてやろう。」
鈴々「おー面白そうなのだー、鈴々も行くのだー!!」
翠「待てよ鈴々!私も行く!」
紫苑「あらあら、元気のいいことですね〜」
朱里「あわわわわ」
星「・・・・・」
一刀「まったく愛紗は・・・ん?星、どうかしたの?」
星「いえ、あのガッツという御仁。我らとは気色の違う感じがします。」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:21:27.75 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「どういうこと?」
星「いえ、はっきりとは解らないのですが・・・その・・・どちらかと言うと先ほど我々が見た、妖・・・使途というのでしたか?あれに近いような気がしております。」
一刀「ガッツが使途だって事?確かに怖い顔してるけど、そうは思えないな」
星「ほう。と言いますと?」
一刀「ガッツを見てると感じるんだ、人間臭さって奴を。」
星「ハハッ、確かに。あれだけのひねくれ者はそうそうはいますまい。」
一刀「だろ?でも、星。一応ガッツを見張っててくれないか?」
星「御意に」
そういうと二人も中庭へと向かった。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:22:08.95 ID:JkT4ooQp0
-
中庭では、既に愛紗が構えていた。
愛紗「さぁ抜けぃ!今度はさっきの様にはいかんぞ!」ジャキ
ガッツ「・・・・・」
愛紗「どうした?まさか、ここにきて怖気づいたか?」
ガッツ「良くしゃべる女だ・・・」ガシャ
そういうとガッツは背中の大剣を構えた。
愛紗「なんと・・・これは・・・」
それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:22:50.27 ID:JkT4ooQp0
-
鈴々「うわー、でっかい剣なのだー」
翠「なんだありゃぁ!?あんな剣、振れるのか?!」
一刀「凄いな〜」
朱里「恐らく、かなり力押しの戦い方になると思われます。その分愛紗さんがスピードで撹乱すれば倒せない相手ではないかと。」
星「いや、それはないな。」
朱里「星さん?どういうことです?」
星「私は奴の戦いを見た。力、速さ、機転、どれを取っても私は恐らく敵わないだろう。」
朱里「そんな!星さんほどの人が!?」
星「この戦いを見てみれば解る。」
朱里「ゴクリ・・・」
愛紗「フッ、いかにでかい得物でも使いこなさないことには意味がない!行くぞ!!でえええええええええええええい!!」
ガッツ「・・・・・・」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:23:34.11 ID:JkT4ooQp0
-
先に仕掛けたのは愛紗。
愛紗が誇る青龍刀が空気を切り裂きながら突きを放つ。
顔、左肩、右肩、鳩尾、喉仏
疾風のような突きをガッツは悉く体の動きでかわす。
だが、愛紗の動きは止まらない
神速の袈裟切りからの袈裟返し。
さすがに、ガッツも後ろへと後退してかわす。
愛紗は勢いに乗って青龍刀を回転させ、柄で更に顎を狙う。
ガッツはスウェーバックで更にかわす
愛紗はそこから更に回転し追撃
斜めの回転を縦回転に変え、錐揉みに飛びながら頭上より真っ直ぐ青龍刀を地面に叩き付ける。
ガキィィィイン
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:24:32.35 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「同感だ」
そこで初めて、ガッツは剣で防いだ
そして、そのまま間合いを取った。
ガッツ「フゥゥゥウ」
愛紗「どうした!?この程度か?」
ガッツ「本当に良くしゃべる女だな」
ガッツは横薙ぎに剣を振るう
愛紗は受けてはいけないと判断し、即座に後ろに飛びのくが、膝を突いてしまう
愛紗「くっ、なんという風圧・・・」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:25:14.32 ID:JkT4ooQp0
-
愛紗が飛びのいた瞬間、ガッツの剣は既に正眼の構えでガッツの頭上から此方を見下していた。
その速さに愛紗は一瞬魅せられていた。
本当に一瞬、飛び退いて速座にガッツの方に向き直ったはずだった。
そこには横薙ぎに振られた剣があったはずなのに
まるで初めからこの構えだったかのように愛紗の目の前にあった
そう、ガッツはあの速度であの重さの剣を、まるで片手剣でも扱うかのように正眼に切り返したのだ
星「いかん!愛紗!!」
ガッツ「シィィ」ヴォン
一刀「愛紗ああ!!」
愛紗「なっ」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:25:55.87 ID:JkT4ooQp0
-
ブワァア
愛紗「あ」
一刀「え」
愛紗の目の前すれすれで剣は止まっていた。
愛紗の左右の地面から土埃が舞い上がる
鈴々「え」
翠「え」
紫苑「え」
朱里「え」
あまりのことに、皆が言葉を失っていた。
その場にいたただ一人を除いて。
星「そこまで!!」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:26:36.70 ID:JkT4ooQp0
-
愛紗「!?」ビクゥ
愛紗「負け・・・た・・・?」
一刀「愛紗!!大丈夫か!?怪我はないか?どっか痛い所はないか?怪我はないか?」
紫苑「ご主人様、それでは同じことしか聞いておりません」
鈴々「おじさん強いのだー!愛紗が手も足も出ないなんて」
翠「なんだよ!すげーつえーじゃんオッサン!!」
朱里「凄い、あんな大きな剣をあんなに素早く・・・」
愛紗「ご主人様、申し訳ありません・・・」
一刀「いやいや、愛紗が無事なだけで良いんだよ俺は!」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:27:17.87 ID:JkT4ooQp0
-
愛紗「しかし私は情けないです・・・うう・・・」
ガッツ「オイ」
愛紗「なんだ!負けた私をからかいたいのか!?」キッ
ガッツ「最初の連撃は悪くなかった。だが、感情に任せた攻撃を見切るのはたやすい。
落ち着いて勝負できるようになったら、また戦ってやる。」
愛紗「お前・・・」
パック「まーまーそう落ち込みなさんなって。あいつはちょっと頭がおかしいんだ」
ガッツ「飯をもらえるか?3日ぐらい何も口にしてねぇんだ」デコピン
パック「ぎゃああああ」
星「3日だと!?そんな空腹状態であんな戦いが出来るのか!?恐ろしい奴だな。」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:28:01.33 ID:JkT4ooQp0
-
鈴々「ふわー、鈴々は絶対無理なのだー」
翠「あたしも無理だな!絶対!」
一刀「自信満々に言うようなことじゃない!!とりあえず、はやくご飯を用意して上げて。ガッツは客将って言う扱いにするから!」
朱里「御意です」
星「・・・・・・」ジー
ガッツ「なんだ」
星「いや、見事な武だなと思ってな」
ガッツ「そうか・・・・・・」
ガッツ「変わった食い物だな、これは何だ?点心?ラーメン?見たことがないな。」ガツガツ
一刀「すごい勢いだな。」
鈴々「鈴々もお腹がすいてきたのだー!!」
紫苑「あらあら、さっき食べたばっかりでしょう、鈴々ちゃんは。」
朱里「まだまだたくさんありましゅ!!」
朱里「あわわわわ」
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:29:21.39 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「腹いっぱいだ」
一刀「そりゃ良かった。ところでガッツ、さっきの化物、使徒だったか?それについてのことなんだが」
ガッツ「見ての通り化物だ。それ以上でもそれ以下でもない。」
一刀「そ、そうだな(汗)奴らが現れたのはつい最近なんだ、丁度1ヶ月くらい前。
俺達は、ここの王みたいなものだから、民が無残に殺されてると言う報告を聞いて、さっき俺達が出会った場所に
遠征してたんだ。まさかあんな化物がいるとは思ってなかったけどね。」
ガッツ「お前が王だって?変わった国だな。」
一刀「よく言われるよ。」
鈴々「そうそう、兄ちゃんは変態なのだー」
翠「そうそう、変態だよな」
一刀「やめい!誤解を招くだろ!!」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:30:04.04 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「どちらにせよ、お前らがどうこうする相手じゃない。それに奴らは俺が殺す」
一刀「やってくれるのか!?ありがとう、すぐに部屋を用意」
ガッツ「さっきも言ったが、俺に部屋はいらん。」
一刀「どうして?遠慮しなくてもいいのに」
ガッツ「お前には関係ない」
一刀「(嫌われてるのかな俺・・・)そ、そうか。なら無理にとは言わないけど、どこで寝るつもり?」
ガッツ「さぁな、教える義理はないね。」
一刀「(やっぱり嫌われてる・・・)そ、そうだよな、あは、あはははははー」
愛紗「おのれ、ご主人様に無礼なぁああ!!」
紫苑「あらあら、愛紗ちゃんご主人様の話に割り込んで行っちゃ駄目よ〜」
愛紗「ぐぬぬぬぬ」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:30:45.71 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「俺はこのまま出る。世話になったな。」
一刀「もう出るだって!?夜も深けてきたんだしもう少しゆっくりすれば良いじゃないか!」
ガッツ「今から、奴らのところに行くとは言ってないだろうが」
一刀「なんだ、そうだよな、うんうん、すぐに部屋を用意して」
ガッツ「オイ、お前は俺の話をまるで聞いてなかったのか」
一刀「あ、そうだった」
ガッツ「フッ、変な奴だなお前」
一刀「よく言われるよ」
鈴々「兄ちゃんは変態ー」
翠「変態だー」
一刀「だまりゃ!!」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:31:28.89 ID:JkT4ooQp0
-
と、一刀がガッツを再び見たときは既に入り口から外に向かって出て行くところだった。
長いマントの裾だけが、かろうじで見えていた。
パック「じゃーなー」
鈴々「バイバイなのだ」
翠「おう、気をつけてな」
一刀「おう!またなパック。・・・・・・・しかしガッツも変わった奴だよな。」
愛紗「ええ、あのようないでたちは見たことがありません。」
紫苑「甲冑を着けているようでしたが、あんな甲冑は見たこともありません
それに、戦用の甲冑を常に身に付けて旅をするなど、普通では考えられないことです。」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:32:25.26 ID:JkT4ooQp0
-
朱里「しかもかなり使い込んでいる様子でしたね、どこも傷だらけでした」
星「・・・・・・」
一刀「今日はもう休もう、そろそろ太陽も沈むぞ。」
星「ふむ、主。」
一刀「どうした星?」
星「やはり、素性のしれん輩をこのまま放置しておくのは如何なものかと思います。」
一刀「星は、ガッツが信用ならない?」
星「そういうわけでは、しかし、監視役を一人ぐらいはお付けになった方が宜しいかと。」
一刀「星がそういうのならそうしよう。誰か兵の人を・・・・・・」
星「奴なら、その辺の一兵卒では、簡単に尾行に気づきますぞ」
一刀「そ、そうなの?」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:33:06.16 ID:JkT4ooQp0
-
愛紗「恐らく、いえ、間違いないでしょう。」
星「そこでこの趙子龍、監視役を買って出ましょう」
一刀「いいのか?」
星「なぁに、わが国が危険になることを防ぐためなら、この身すり減らそうとも奉仕しますとも」
一刀「わかった、それじゃあお願いするよ。くれぐれも喧嘩とかしちゃ駄目だよ」
星「主〜。主は私を何だと思っているのですか」
鈴々「星は、喧嘩っ早いのだ!」
翠「説教も長いな」
星「ぬしらとは、帰ってからゆっくり話をしよう」
鈴々&翠「ひっ」ビビックゥ
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:33:55.81 ID:JkT4ooQp0
-
一刀「じ、じゃあよろしく頼んだよ」
星「御意」
愛紗「気をつけてな、奴は只者じゃない。」
星「ああ」
星は、すぐにガッツの後を追いかけた。
ガッツの夜が長いことを、星はこの時知る由もなかった。
パック「凄いな〜、見渡す限り荒野じゃん、山も変な感じ」
ガッツ「ああ、森よりは悪霊の数が少ないだろう。」
ズズズズ・・・・・・ズズズ・・・・・・
パック「が、ガッツ・・・・・なんか・・・・・・凄い数の・・・・・兵隊?」
ガッツ「まずったな、ここは戦場跡か」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:34:50.61 ID:JkT4ooQp0
-
「痛い〜、苦しい〜」
「国 を守 る、国を 守 る」
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ」
パック「ち、地平線が見えないんだけど?」
ガッツ「フゥゥゥ」ザンッ
ゴシャアアア
ガッツの大剣が水平に奔る。
「ギザマ”」
「贄だ、贄だ、贄だ贄贄贄贄贄贄」
「贄、俺の贄」
「体をぐれ”ええええ」
ガッツ「ガァアア」ヲォン
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:35:31.76 ID:JkT4ooQp0
-
迫りくる死兵、彼らは、まだ戦っているのだ。
黄巾、泗水関、虎狼関、あまたの戦を繰り返してきた戦国時代。
迫りくる、亡霊、亡霊、亡霊。
その全てが兵士。
50体は斬り終えただろうか、だが亡霊は元兵士。
次から次に迫りくる、戦闘狂。
死して尚、彼らは戦い続け、羅刹悪鬼へと変わっている。
ガッツに疲労の色が見えるのは時間の問題だった。
ガッツ「ゼェー、ゼェー、ゼェー、ゼェー」ザクッ
ガッツ「!!グゥウ・・・・・・」ザン
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:36:13.37 ID:JkT4ooQp0
-
パック「ドワアアア!!シェイシェイシェイシェイ!!!来るな来るなクルナァアア!!」
ガッツ「弓まで使う奴がいるのか、クソッ」
「オオオォオォオォオォォォォォォォォオオ」
ガッツ「地鳴りを鳴らす亡霊なんて聞いたことがないぜ畜生ッッ」
ガッツは次々に亡霊を葬って行った。
しかしその時、聞こえてはならない声が聞こえた。
??「ええい、貴様ら寄るなぁ!!我は趙子龍なるぞ!」ザンッ
星「キリがない!!クソッ、妖どもがーーー」
星「ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイイイイイイッッ!!!」
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:36:55.67 ID:JkT4ooQp0
-
一騎当千の武将たる星が相手でも、相手は怯む事を知らない。
ましてや、四方を囲まれている状態など、30分と持たないだろう。
次第に、星の攻撃は緩まり死霊どもに押されつつあった。
「女、女、女女女女女女女」
「俺は、目だー、目を喰わせろ」
「旨そうな体ー、旨そうな体ー」
星「な、なんだんだお前らは、畜生!寄るなぁああ!!」
次第に、伸びる手、手、手、手、手、手。
この世のものではない。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:37:37.00 ID:JkT4ooQp0
-
腐敗した皮膚に、頭蓋がむき出しの顔面、漂う腐臭に、満ち満ちる妖気。
常人なら、10分で発狂するだろう。
そして、だんだんと己の肉体に触れる「手」が増えてきたことに、星自身気づき始めていた。
星「(このままでは・・・・・・持たない・・・・・・)」
ガッツは、星の存在に気づいていた。
しかし、彼は助ける気などまるでなかった。
大方、尾行でもしていたんだろうが、自業自得だ。
弱い奴は死ねばいい。そう思っていた。
だからガッツも気づいてなかった。
だんだんと声のするほうに向かっている己自身に。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:38:18.14 ID:JkT4ooQp0
-
だから彼は、つい見てしまった。
切り続けて、何時間が経っただろうか。
いつも、ガッツに時間間隔などない。
己が死ぬか、朝日が昇るまで。
いつも、そう思って戦ってきた。
戦っている間はいつも、あの日、あの時、「蝕」の時の憎悪で戦ってきた。
だからかもしれない、
懸命に戦う星の姿が、そして、今にも死霊共の手によって引き裂かれんとする星の姿が
あの日のキャスカとかぶったのは。
鮮明に込み上げる、記憶、記憶、記憶。
ガッツを動かす原動力。
憎悪、嫌悪、怒り、悲しみ、憎、悪、怒、絶望。
ブチッ
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:39:15.30 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアア」ドゴオオオ
星の周りにいた死霊が一斉に吹き飛ぶ。
ガッツ「貴様らは!また!俺から!奪うのか!!キャスカを!!」
ガッツ「与えるのか!!絶望を!!狂気を!!」
星はガッツの全身が、黒い炎の様に見えた。
そして、見た、彼の狂気と憎悪と怒りと絶望に染まるガッツの貌を。
だけど、彼が悲しそうに見えたのは星の見間違いだろうか。
それは誰にもわからない。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:40:06.22 ID:JkT4ooQp0
-
その後、朝まで星の周りに死霊が詰め寄ることはなかった。
詰め寄る前にガッツが全て切り捨てていたからだ。
その姿を見ていた星は、呆気にとられていた。
いまだかつて、こんな戦い方は見たことがなかった。
一振りで4体は斬り、武器は砕き、天地無用。
その姿は正に、狂戦士だった。
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:40:47.37 ID:JkT4ooQp0
-
どれくらいの時間が経ったか。
気づけば朝日の光が、世界を包んだ。
周りを見回しても死体など一つもない。
星は、夢でも見ていたんではないかと思いガッツを見た。
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:42:10.80 ID:JkT4ooQp0
-
全身から血を流し、息を乱し、大きな剣に寄りかかる様に座るガッツを。
その姿は、朝日に照らされ、とても神秘的に見えた。
星は思ったのだ。ただ一つだけ。
綺麗だな、と。
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/10(水) 23:43:10.53 ID:JkT4ooQp0
-
ガッツ「オイ」
星「!?」ビクッ
ガッツ「とっとと帰れ」
星「なっ、そ、そうはいかん!私は!」
ガッツ「尾行か?」
星「うっ、ち、違う私は・・・・・・」
ガッツ「私は?」
星「メ・・・・・・」
ガッツ「メ?」
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:17:15.90 ID:At2BwtVB0
-
星「メンマを買いに来たのだ!」
ガッツ「・・・・・・」
星「本当だ!」
ガッツ「・・・・・・」
星「う、嘘じゃない」
ガッツ「美味いのか?」
星「違う、尾行など・・・・・・・えっ?」
ガッツ「メンマ」
星「メンマ?」
ガッツ「美味いのか?」
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:18:17.08 ID:At2BwtVB0
-
星「あ、ああ」
ガッツ「連れて行け」
星「何?」
ガッツ「メンマを食べに」
星「私が?貴様を?」
ガッツ「早くしろ」
星「はーっはっはっはっは」
ガッツ「?何がおかしい?」
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:18:58.98 ID:At2BwtVB0
-
星「ハハッ、いや、すまない、さっきの貴様と差がありすぎてちょっと面白くなってしまったのだよ」
ガッツ「もういい、帰れ」
星「待て待て待て、冗談だ!今から行こう、いいところを知ってる!」
ガッツ「ケッ」
星「フフフ」ニコッ
パック「なんかいい感じだな・・・あの二人・・・・・・」
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:19:42.23 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「メンマ丼?中々いけるな」ガツガツガツ
星「お主、なかなか話がわかるな」
ガッツ「ガッツだ」
星「うん?」
ガッツ「お主じゃない、ガッツだ」
星「フフフ、ああ、ガッツ」
ガッツ「フンッ」ガツガツガツガツ
パック「なんだ・・・・・・この居辛さ・・・・・・」
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:20:22.06 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「オイ、星」
星「なんだ、ガッツ?」
ガッツ「アレはなんだ?」
星「ん?アレは屋台だ、ゴマ団子が売ってる」
ガッツ「ほう、一つ買おう」
星「ガッツ、お金はあるのか?」
ガッツ「ああ、多少はな」
ガッツ「ゴマ団子を一つくれ」チャりん
店主「へい毎度!ってなんだいこりゃ?ちゃんとお金を払っておくれよ、旦那」
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:21:03.73 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「これじゃ買えないのか?」
店主「うちは物々交換はしてないんでね」
星「店主、ゴマ団子二つだ」チャりん
店主「将軍殿、いつもありがとうございます。へい、ゴマ団子二つです」ヒョイ
星「ほら、ガッツ」スッ
ガッツ「すまん」
星「いいさ、フフッ、森に行って食べよう」
パック「殺せ!いっそのことオイラを殺せ!!」
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:21:45.62 ID:At2BwtVB0
-
星「水浴びでもするか?」
ガッツ「そうだな」ガチャ
星「私も一緒にしていいか?」
ガッツ「好きにすればいい」
星「フフッ、そうしよう。天の国の人間は恥ずかしがると聞いたが?」スッ
ガッツ「女の裸ぐらいでそんなことはない」
星「そうか、傷だらけだな、ガッツは。」
ガッツ「・・・・・・・」バシャバシャ
星「ガッツは、その、お、お、女がいるのか?」ピチャン
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 06:26:17.53 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「・・・・・・・」バシャバシャ
星「そうか・・・・・・」
ガッツ「昔の話だ」
星「えっ」
ガッツ「一人の女を愛していた。」
ガッツ「だけど、ある男に引き裂かれ、何もかも無くした」
ガッツ「目も、腕も、仲間も、愛する女も」
星「す、すまない、立ち入ったことを聞いてしまって・・・・・・」
ガッツ「・・・・・・」バシャバシャ
星「・・・・・・・」ピトッ
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:24:32.71 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「・・・・・・・」
星「私に、その人を重ねた?」
ガッツ「・・・・・・昨日の夜はな」
星「今も?」
ガッツ「・・・・・・」
星「本当に、傷だらけ・・・・・・」
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:25:14.53 ID:At2BwtVB0
-
ガッツはゆっくり振り返り、星を見た。
長いまつげに、短い髪をキャスカに重ねたのかもしれない。
だけど、今目の前に居るのはキャスカではない。
星だ。
長い間、こんな感情をぶつけられたことは無かった。
どれくらいの時間が経っただろう。
いつの間にか自然と二人の唇は重なり合った。
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:27:19.57 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「なぜ」
星「ん?」
ガッツ「なぜ俺に構う」
星「嫌?」
ガッツ「そういうことを言ってるんじゃない」
星「そうだな・・・・・・」
星「わからないな」
ガッツ「・・・・・・そうか」
星「なんとなく・・・・・なんとなく・・・・・・・お前の危なっかしい中に、人間味を感じて興味を持った」
- 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:28:00.49 ID:At2BwtVB0
-
ガッツ「・・・・・・」
星「興味を持ったらすぐに惹かれてしまった」
ガッツ「・・・・・・」
星「だから・・・・・・わからない」
ガッツ「・・・・・・そうか」
そういうと、ガッツは星を押し倒した。
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:28:49.96 ID:At2BwtVB0
-
星「優しく・・・・・・してほしい」
ガッツ「俺もあまり経験はない、だからわからん」
星「うん」
星の胸を揉むと、大きすぎず、小さすぎない乳房が、ガッツの大きな手によって歪む。
三国の名だたる将軍と呼ばれる事はあって、星の乳房には張りがあり、腰はくびれていた。
だが、ガッツは体などどうでも良かった。
今まで、人外も抱いた事がある。
彼にとって、姿かたちなど、どうでも良い事だった。
- 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:29:50.79 ID:At2BwtVB0
-
星「フんッ、んぁ」
ガッツ「痛いか?」
星「大丈夫・・・・・・優しい手・・・・・・」
ガッツ「俺の手は血みどろだ」
星「でも、私はそうは思わない」
前戯はない、ただ、繋がろうとする男女の行為。
本能のまま、二人はお互いを求めた。
不思議な高揚感に包まれ、二人は繋がった。
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:30:47.28 ID:At2BwtVB0
-
星「っつ、うぅう」プチプチ
ガッツ「っく」
星「ぅうう、うぁあ!」ブツン
ガッツ「初めてか?」
星「そう、ん、だな、ぁ、初めて、んん、だ」
ガッツ「・・・・・・しばらくこのままでいよう」
星「だい、じょう、ぶ、ン、動、いてっ」
ガッツ「そう焦るな」チュウ
星「んん、ちゅぅ、ちゅぱ、チュッ、チュル」
- 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:31:29.83 ID:At2BwtVB0
-
ガッツは、まるでガラス細工のおもちゃを扱うように、優しく、壊さないように、壊れないように星を抱いた。
それはまるで、自らの狂気を失くしていくかのように。
今だけは、狂戦士でないように。
星「ガッツと出会わなければ、初めては主にささげていただろうな」
ガッツ「それはすまないな」
星「ううん、私はうれしい。あなたと繋がれて、一つになれて」
ガッツ「動くぞ」
星「ええ、動いて・・・・・・」
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 07:32:38.46 ID:At2BwtVB0
-
星「ぁあ、んっ、んっ、ああ、っくぅ、んあ、あんっ」パンパン
星「ああ、だい、じょうぶ、ん、痛くない、ぁん、ぅん」パンパン
星「いいよぅ、あひっ、はげしっ、ん、ぅあっ、だめっ、らめぇ、気持ち、んっ、いいっ、ぁっ」パンパンパンパン
星「ぅんっ、だめえぇ、あんっ、もう、あっ、はじめて、っ、なのに、んぁっ!」パンパン
星「イッッちゃううっ、ああああん、らめらめらめぇええ、んああああ」パンパン
星「もっ、だっめ、あああああああああ、中に、ァ」パンパン
ガッツ「くっ」ディギディギディギ
星「ああぁああん!!」ドクドクドク
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 08:15:15.52 ID:At2BwtVB0
-
二人は果て、心地よい風が二人を包む。
甘い言葉はない、ただただ、二人は抱き合っていた。
ひと時の幸福が、まるで永遠だと言わんばかりに。
そしてもう、日は傾きかけていた。
二人の時間は、ここより後には存在しないのだった。
- 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 08:15:59.22 ID:At2BwtVB0
-
星「行くの?」
ガッツ「そうだな」
星「私も、」
ガッツ「来るな」
星「・・・・・・」
ガッツ「邪魔だ」
星「でも、何か出来る事が!」
ガッツ「来るな!!」
星「!」
ガッツ「このまま、俺にはついてくるな。城へ帰れ」
星「・・・・・・」
- 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 08:17:40.98 ID:At2BwtVB0
-
ガッツはそういうと、そのまま山中へと消えていこうとする。
星「ねぇ」
ガッツは立ち止まる。
星「寒くない?一人じゃ・・・・・・」
ガッツ「・・・・・・」
星「・・・・・・」
・・・・・・
ガッツ「お別れだ」
星「・・・・・・」
ガッツはそのまま歩き出し、振り返る事はなかった。
ガッツの背中が遠ざかり、そして見えなくなる頃
静かに、本当に静かに、星は涙を流した。
パック「ころせえええええええええええええ!!!」
- 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 08:18:31.36 ID:At2BwtVB0
-
ガサガサッ
星「!」
星「誰だ!?」
?「ちょっと!押さないで」ヒソヒソ
?「うわ、ちょっと!押すなって!!」ヒソヒソ
?「あわわわあわわわ」ヒソヒソ
?「にゃー!」ドンガラガッシャン
- 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 19:46:48.87 ID:At2BwtVB0
-
星「おまえら・・・・・・」
翠「あはは、あははー、やぁ星、こんなところで会うなんて奇遇だな!」
鈴々「そうなのだ!たまたま星の後をつけていただけなのだ!」
紫苑「り、鈴々ちゃん^^;」
朱里「あわわわわわ」
星「ほう」ゴゴゴゴゴゴ
- 180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 19:57:57.57 ID:At2BwtVB0
-
翠「わわわ、私は違うぞ!!言い出しのは鈴々だ」
鈴々「違うのだー!言い出したのは翠なのだ!!」
紫苑「^^;」
朱里「あわっわわあわわっわわあ」
星「はぁ、お前らは・・・・・・で、どこから見てたんだ?」
- 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:04:54.59 ID:At2BwtVB0
-
朱里「何も見てないれしゅ!」
鈴々「そうだ!ゴマ団子買ったとこからとか見てないのだ!!」
翠「うん!優しくしてほしいとか聞いてない!!」
紫苑「^^^^^^^^^^^^;」
星「ほ、ほほーう」ゴゴゴゴゴ
- 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:06:39.74 ID:At2BwtVB0
-
紫苑「星ちゃん!!」
星「な、なんだ!?突然大きな声を・・・・・・」ビクッ
紫苑「いいの?追わなくて」
星「・・・・・・」
星「私には、皆がいるからな」
翠「星・・・・・・」
星「あいつに付いては行けない」
朱里「星さん・・・・・・」
星「一杯飲みたい気分だ」
紫苑「そう、付き合うわ」
鈴々「おなか減ったのだー」
皆「あハハハハハハハハ」
- 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:07:48.48 ID:At2BwtVB0
-
パカラッパカラッパカラッパカラッ
翠「ん?」
早馬「報告します!!」
星「何があった!?」
早馬「はっ!黄巾党の残党と思しき一団が、現在城に向けて行進中です!!」
紫苑「なんですって!?」
朱里「すぐに戻りましょう!」
鈴々「応!」
- 185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:08:37.99 ID:At2BwtVB0
-
黄巾使徒「フクク、俺は無敵の力を手に入れた」
黄巾使徒「この力で、三国を俺のものにしよう、フクク」
黄巾使徒「我らを崩壊まで追い込んだ奴らには、死あるのみ」
使徒兵「オオオオオ!!!」
使徒兵「オオオオオ!!!」
使徒兵「オオオオオ!!!」
使徒兵「オオオオオ!!!」
- 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:22:39.96 ID:At2BwtVB0
-
一刀「そんなに数は多くないな」
愛紗「ええ、取るに足らん数です。ざっと見でせいぜい100。我らが出るまでもないでしょう」
星「駄目だ!」
愛紗「星か?例の任務は?」
星「その話しは後だ。奴らには全勢力を持って当たらなければならない!」
愛紗「バカな!相手は高々100だぞ!?」
星「たが、やつらは人外のモノだ、死も恐れない、すぐには死なない。」
星「それに、恐らくは我らが総出でも苦しい戦いになる」
愛紗「以前に、山中で遭遇したやつか」
星「いかにも。急がんと全滅だ」
一刀「ま、前に会った奴らが100!?」(なんか星、雰囲気変わった?)
- 190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:23:41.24 ID:At2BwtVB0
-
星「そうです、高々30程度で我が国の一個小隊を壊滅させる相手です」
紫苑「そんなことが・・・・・・」
鈴々「鈴々は問題ないのだ」
翠「私も出るぞ!どんな奴だろうと負ける気がしねぇな」
星「甘く見るな!」
鈴々・翠「!!」ビクゥ
翠「だ、だけどよ・・・・・・」
星「奴らと戦うときは、必ず3人以上で掛からねば敗北必死。絶対に単騎で突撃しては駄目だ!!」
朱里「わかりました、では1000の兵を出しましょう」
一刀「いや、駄目だ」
- 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:33:15.39 ID:At2BwtVB0
-
星「主!奴らは・・・・・・」
一刀「10000だ」
朱里「え?」
一刀「1000では少なすぎる」
愛紗「100人相手に10000!?正気ですか、ご主人様」
星「いや、妥当な頭数だ、流石は主。観察眼がある」
鈴々「鈴々は何だっていいのだ、早く行くのだ」
翠「応!!」
愛紗「まったく、お前たちは・・・・・・」
紫苑「お喋りはここまでにしましょう、出撃準備を」
- 192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:34:05.23 ID:At2BwtVB0
-
一刀「ああ、将軍は愛紗、軍師に朱里を」
愛紗・朱里「御意」
一刀「左翼より翠の騎馬隊、右翼より鈴々の突撃隊を配置」
翠・鈴々「応!!」
一刀「星には先陣を切ってもらう」
星「御意」
一刀「紫苑は後方支援だ」
紫苑「御意」
一刀「出撃だ!!」
- 193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:34:48.01 ID:At2BwtVB0
-
一方ガッツは、先の戦闘の時の場所に来ていた。
だがそこには何も無く、辺りを捜索していたのだった。
パック「なぁ、ガッツ」
ガッツ「なんだ」
パック「お前も人を好きになったりするんだな。」
ガッツ「・・・・・・」
パック「照れてんのか、お?」ニヤニヤ
ガッツ「潰すぞ」がしっ
パック「うごええええぇ、やめれえええええ」ギリギリ
- 194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 20:35:29.46 ID:At2BwtVB0
-
ガッツの烙印から血が滲む
ガッツ「っつ!?」
パック「どえええええええええ、くるひいいいいいい」
ガッツ「おい、パック」
パック「ぜぇぜぇぜぇ、な、なんだ?」
ガッツ「町のほうが見えるか?」
パック「な、なんだよ、突然?」
ガッツ「奴らがいる」
パック「ええ、ドコドコドコ?」
ガッツ「町のほうを見てくれ」
パック「わかった!!」スイーッ
- 197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:01:52.19 ID:At2BwtVB0
-
パック「どれどれ・・・・・・なんだぁ?」
ガッツ「オイ、どうなってる?」
パック「なんか、戦みたいだよ」
ガッツ「どういうことだ?」
パック「黄色いのと、緑のが戦ってるみたいだなー、数は緑の方が多いみたい」
パック「あ!あの黄色いの!ここに来た時に襲ってきた奴らだよ!間違いない!!」
ガッツ「なに!?」
パック「うわああ!黄色いの合体し始めた!!!」
ガッツ「クソッ!」ダダッ
パック「あ、ちょっと待ってくれよ!ガッツー!!」
- 198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:04:31.62 ID:At2BwtVB0
-
蜀兵「うわああああ!化けも、うぎゃああああああ」
蜀兵「くるな!くるな!やめ、うげええええええ」
たった100人のはずだった、黄巾兵の残党は、突如としてお互いにぶつかり出した。
1人、また1人と。
その様を見て、蜀の兵士達は疑問を抱いた者、嘲笑した者、明日の朝飯を抜こうと考えていた者、それぞれが自軍の勝利をパン屑程度にも疑っていなかった。
それは、大きな間違いだったのだ。
一人の兵士が言った。
蜀兵「おい、なんだありゃ?」
- 199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:07:26.04 ID:At2BwtVB0
-
そう、この世界に現れたガッツ達に、激しい歓迎をした異形だった。
そして、また異形の体は「ぶれた」
バチュン
地平線を埋めつく10000の兵の壁に、丸い穴があいた。
蜀兵「うわあああああああああああああああああ!!!」
蜀兵「ば、化物、ぎゃああああああああ!!」
次々に、100の黄巾兵たちは複数の異形へと変貌した。
ただ、1人一番背後の男を除いては。
- 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:10:16.70 ID:At2BwtVB0
-
それは戦いではなく、虐殺だった。
尖兵たちは目の前の異形に恐怖し、日々の鍛錬によって練磨された兵士が、背中を見せて逃げ出したのだ。
空からは、酸の雨が、そして、異形の裂け目のような口にぶら下がる人だったもの。
絶望。
この場にあるのは、絶望のみだった。
だが、それでも希望にすがりつき、生きようとする人間は存在していた。
星「静まれぃいい!!」
兵「!!」
- 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:14:46.22 ID:At2BwtVB0
-
星「目の前の敵に恐れを抱くな!!我らが住む町を国を、守るのは誰ぞ!!!」
星「あの妖の町への進行を許してしまえば、ありとあらゆる命は散る!!」
星「許せるものか!!」
星「奴らから目をそらすな!!斬って、斬って、斬り捨てろ!!」
星「友を庇え、友を守れ!!!」
星「我らの圧倒的力を、化物に思い知らせてやれええええええ!!!」
兵「うおオオオおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
- 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:17:13.48 ID:At2BwtVB0
-
黄巾使徒「ほう、あの女。立て直しやがったか。やるじゃないか、フクククク」
黄巾使徒「ぁあ、意外と美人だな。好みだ、膣から腹を食い破りたいな、フカカカカカカ」
その笑い声は、言葉では言い表せないほど、不快に満ち満ちていた。
吐く息は毒々しい緑、目は狂人のそれ、全身からは異臭が漂っていた。
黄巾使徒「むしゃむしゃむしゃ」バリボリゴリ
手には、先ほどまで人間の形をしていたであろう、肉塊があった。
今、おやつのようにこの使徒が食べているのは、耳に見えないことも無い。
- 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:21:07.56 ID:At2BwtVB0
-
蜀兵「くそおおおおおおおおおおおおおお」
蜀兵「ぐぅっううう、足が、畜生っ!!」
蜀兵「大丈夫か!?くそっ!!くそっ!!」
蜀兵「うおおおおおおおおおお」ドグシュ
使徒もどき「プギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
一番先頭に居た異形が断末魔と共に倒れた。
その体に刺さっている剣は200を軽く超えていた。
そして、肉塊になった兵士は、その倍以上は居ただろう。
- 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:21:58.11 ID:At2BwtVB0
-
使途もどき「オォォオォオオォォオオオ」ズルッズルッ
使途もどき「オオォオォォオ」ズルッズルッ
使途もどき「ゴゴォオゴオォオオオ」ズルッズルッ
使途もどき「ヴォオオオヴォオオオ」ズルッズルッ
使途もどき「オォォオォオオォオオオ」ズルッズルッ
鈴々「ぎゃあああ、気持ち悪いのだあああああ!!」
翠「くそおおおおおっ、これじゃ10000でも少ないぜえ!!」
- 208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 21:24:05.25 ID:At2BwtVB0
-
紫苑「火矢隊!!前へ!!」
ザザッザッザ
紫苑「放て!!」
シュンッシュシュシュシュシュンッ
使途もどき「プチュアアアアアアアアアアアアアアアアア」
星「クソっ、あの溶液で火が消えてしまうか!!」
愛紗「ちぃっ!!人をゴミのように!!」
使途もどき「ケラケラケラケラ」ズルッズルッ
- 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:05:22.18 ID:At2BwtVB0
-
黄巾使徒「フカカカカカカ、いいぞぉ、もっところせぇ」
星「どうやら後ろに居るのが大将だ!愛紗!」
愛紗「そのようだな!私が出る!!ウオオオオオオオオオオオオ!!」
星「待て!愛紗!!一人では!」
黄巾使徒「んん?美味そうな女が飛び込んできてるじゃないかぁ、フククク、ラッキー」
愛紗「もらったあああああ」カキィイン
愛紗「なぁ!?」
- 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:07:28.92 ID:At2BwtVB0
-
愛紗の放った青龍刀は、確実に使徒の首を捉えていた。
そして確かに命中した。
普通なら、首が刎ね飛んでいるはずだ。
だが、聞こえてきたのは、まるで金属同士がぶつかる様な、甲高い不快音だった。
黄巾使徒「んん、痒いな」ガシッ
愛紗「なっ」
愛紗は驚愕した、男を覆っていた黄色い布の下からは、虫の様な手が二本、別に生えていたからだ。
愛紗「きゃああああああああああ」
黄巾使徒「フカカァア、可愛い悲鳴だねぇえええ、俺の子供を生んでくれよおおおお!!」
- 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:10:29.16 ID:At2BwtVB0
-
この時、既に一刀と閨を共にした愛紗は、男のモノを見るのは初めてではなかった。
だから、わかったのだ。
この男の股間から飛び出るモノが、人のソレではないと。
赤黒く、何年も放置し、錆と腐食で原型を留めていない、鉄の棒の様だった。
しかも、その一つ一つが、まるで意識を持っているように蠢いていた。
愛紗「いやああああああああああああああああ」
黄巾使徒「最高だぜエエエエエエ、フカカカカカカアアアアア」
使徒は六本の手を使い、手を押さえ、股を開かせた。
- 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:14:35.41 ID:At2BwtVB0
-
黄巾使徒「心配するなよ、腹を食い破られる瞬間は、気持ちいいいぜエエエ!」
愛紗「ご、ご主人さま・・・・・・」
星「でえええええええええええい、ハイ!ハイ!ハイィイイイイ!!!」
単独駆けていった愛紗を追いかけ、星が追いついていた。
遠目で愛紗の刀が弾かれるのを見て、星はとっさに自らの得物の尻のほうを使徒に向けていた。
その攻撃は、斬るのではなく、打撃によって衝撃を与えるものだった。
ガンガンガンギギン
星「愛紗!!いまだ、逃げろ!!」
愛紗「っくう!!」ザッ
- 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:17:12.57 ID:At2BwtVB0
-
黄巾使徒「おおい、そりゃ無いぜええ、悪い子には、お仕置き、だ!!!!」ドゴン
愛紗「カハァアッ!!」
使徒はその長い手で飛び退く愛紗の背中を殴りつけた。
愛紗はギリギリで急所をズラしたが、ダメージは深刻なものとなった。
星「愛紗ああ!!」
黄巾使徒「おおおっと、代わりにお前が子供を生んでくれ、フクク」ガシイィ
星「っく、フンッ!」ブンッ
黄巾使徒「おおっと、ダメダメダメ、いい子にしましょうね」ボゴっ
星「ぐっはああ、オエエェ」
- 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:18:59.48 ID:At2BwtVB0
-
黄巾使徒「汚いなぁ、ゲロなんて吐いちゃって、せっかくだから食べちゃおう♪」
黄巾使徒「ジュルジュルジュル」
星「く・・・・・くたばれ、ゴキブリ野郎・・・・・・・」
黄巾使徒「ああ?クク、今から、そのゴキブリが腹食い破らしてやるから黙ってろよお」
星「ふぅー、ふぅー」
黄巾使徒「あれぇ?血がついてるなぁ?これは傷の血じゃなさそうだなぁ?俺はなんてラッキーなんだあああああ」ウキウキ
黄巾使徒「相手は誰だ?あの後ろの白い服を着た男か?それとも、そこで俺の子供達が食べてる兵隊か?教えてくれよオオオ」レロォオオン
星「ぅうう、くぅッ、うっ、うっ、畜生っ・・・・・・」
黄巾使徒「そいつの目の前で、ぐちゃぐちゃに犯してやるからさああああ」ベロベロ
- 219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:23:34.13 ID:At2BwtVB0
-
星は、自分の情けなさに涙を流した。
目の前の化物に拘束され、動くこともできず、または開かされ、今にも異物を体内に入れられようとしている。
そして、ガッツとの思い出を汚されようとしている。
その現実に、星は涙を止めることができなかった。
黄巾使徒「フカカカアアアアアアアアア、誰だよおおおおおおおお!!!」
- 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:26:03.94 ID:At2BwtVB0
-
?「俺だよ」ザンッ
黄巾使徒「えっ」ザシュっ
星「ガッ・・・ツ・・・・・・?」
黄巾使徒「ぎゃああああああああああああ、俺のチ○ポがああああアアアアア!!!」
ガッツ「シィイ」ヲォン
ザクザクザク
ガッツ「早く行け!!」
星「ガッツ・・・・・・」
ガッツ「さっきの女を連れて部隊と合流しろ!!!」
星「あ」
ガッツ「はやくしろおお!!!」
黄巾使徒「黒い剣士いいイイイイイイいいイ!!」ビキビキビキ
- 221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 22:29:03.21 ID:At2BwtVB0
-
男は、自らの皮を引きちぎり、巨大化していった。
目は複眼に変わり、口は左右に挟むためのキバになり、
巨大な虫になった。
星「何・・・・・・だ?これは・・・・・・?」
ガッツ「コォオオ」
使徒「ふははははぁああ、小さな剣士君?君は子供のエサだよおおお!!」ブオン
ガッツ「シィ」ザンッ
- 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:02:20.61 ID:At2BwtVB0
-
使徒は、凄まじい速さで突進してくる。
だが、地に足をつけている使徒の動きでは、ガッツを捉えることはできなかった。
すれ違いざま、足を切りつけた。
使徒「チィ、ちょこまかとお!!」
ガッツ「クッ」
巨大な節足を横薙ぎに振るう。
ガッツ「(速い!)」ガギイイイン
ガッツ「グッハッ」
バギィイ
ガッツは衝撃で吹き飛び樹に激突した。
- 230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:03:14.42 ID:At2BwtVB0
-
使徒「ふはははぁ、気分爽快だねぇえエエエ!!!」
使徒「ん?」
使徒「なんだ、まだ居てくれたのか」
星「あっ・・・・・・」
あまりの光景に、星は固まってしまっていた。
こんなことはあるはずが無い、いや、あってはならないのだ。
ガッツが、吹き飛ばされてもまだ、星には、現実が夢なのか、夢が現実なのか、わからなくなっていた。
愛紗「星!!」
使徒「おお、お前もまだいたのかああああ」
- 232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:10:31.20 ID:At2BwtVB0
-
愛紗「何をしている、逃げるぞ!!」
星「愛・・・・・・紗?」
愛紗「っく!許せよ!」バッチーン
星「っ!何をする!!」
愛紗「ばか!いつまで呆けているんだ!!」
星「はっ!私は・・・・・・」
愛紗「いいから、逃げるぞ!!」
使徒「ザーんねんでしたああ、時間切れー」ガシィがシィ
- 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:11:18.04 ID:At2BwtVB0
-
愛紗「しまっ!」
星「くぅうう!」
使徒「でも、この姿じゃ犯してあげれないんだなぁ、食べることにするか」キリキリキリキリ
使徒のキバが左右に広がり、口の中が見える。
愛紗は嘔吐し、星は目を逸らした。
ガザァ
ガッツ「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」ザシュウウウ
使徒「グエアアアアアアア」
愛紗「きゃああああ!!」
星「うわっ!!」
- 237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:13:25.40 ID:At2BwtVB0
-
木の上からガッツが飛び降り、使徒の背中に剣を突き刺した。
ガッツ「てめぇは、臭すぎるっ、換気穴でもあけてやる」
ドッゴオオオオオ
使徒「ぐぎゃああああああああああ」
使徒「オノレ、オノレ、オノレエエエエエエエエエエエエエエ!!!」
愛紗「星!今のうちに!」
星「ああ!」
二人は駆け出し、増援を求めに走った。
翠「だらっしゃー!!」
鈴々「うりゃりゃりゃりゃ!!」
兵「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!」
- 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/11(木) 23:14:07.20 ID:At2BwtVB0
-
戦をする上での基本は、相手より数を多くすることだ。
もし、10000ではなく1000の兵数で戦っていたら、
蜀軍は間違いなく全滅していただろう。
10000の兵を導入した本郷一刀の考えは、実に的を得ていたのだ。
そして、敵の数は減り、残るところ一匹にまでなっていた。
星「無事か!?」
鈴々「鈴々は問題ないのだ!」
翠「兵隊がかなりやられた!!息のある奴を城に運ばせてる!!」
- 251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:06:36.43 ID:VMAFVuHv0
-
使途もどき「プギャアアアアアアアアアアアアアアアアア」
飛び散るのは赤い血ではなく、膿のような液体。
その臭いは酷く、吐き気を催すほどだったがそれでも、英傑たちは一歩も引かなかった。
翠「どおおおっりゃああ」ザクッ
鈴々「うりゃりゃりゃーーー」ザシュザシュ
星「ハイハイハイイイイイ」ザッザザン
愛紗「おおおおおおおおおお」ジャキシュッ
使途もどき「プゲラアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ」どすんっ
兵「ウオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」
- 252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:08:04.02 ID:VMAFVuHv0
-
星「残るは親玉だ!!ガッツを援護するぞ!!」
ガッツ「ウグハァアッ」ドゴーン
ガッツは、使徒の繰り出す突進と節足の攻撃に耐えれず、攻撃をくらう様になっていた。
使徒「殺してやるぞおおおおお!!」ブンッ
ガッツ「グッ、ガアアアア!!」カギーン
使徒の節足がガッツの頭を捉える。
が、渾身の力で、ガッツはそれを受け止める。
使徒「バカめ、後ろだ!」チュン
ガッツ「シィイ」ブンッ
- 253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:13:00.75 ID:VMAFVuHv0
-
驚くべきはガッツの腕力。
遠心力が合わさって切っ先の重さは1tを悠に超えている
その物体を、使徒の動かす節足に対応し、さらにカウンターを喰らわせようとしている。
超反応といってもいいだろう。
剣は、向かってくる節足に対して、唐竹割のように使徒の体内に鉄を食い込ませた。
使徒「キイイイイイイイサアアアアアマアアアアアアアア!!!!11」
ガッツ「クッ」
使徒は、枝分かれした自らの節足など気にせず、狂ったように足を振り回し始めた。
- 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:16:25.28 ID:VMAFVuHv0
-
使徒「クカアアアアアアアアア!!!」ギャイン
ガッツ「しまっ」ドゴシャッ
ガッツ「ウグッ、カッッハァッ」
使徒「はぁはぁ、死んだか?しつこい野郎だった。兵隊は全滅か?ケェ、体制を立て直すか・・・・・・」
ガッツ「」ガッキンガチャ
使徒「は?」
ドゴオオオゥ
ガッツ「いい感じに、小さくなれたじゃねぇか、ククク」(くそっ、肩が外れた)
使徒「ウゲェエ・・・えぇえぇ・・・エエェェ」
- 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:17:54.90 ID:VMAFVuHv0
-
ガッツの放った砲弾は、使徒の腹を貫き、胴体を離散させた。
ガッツ「ゼェー、ゼェー、ゼェー」ガシャン
プシュンプシュンプシュン
使徒「ウギャッ、ギャアアア、ヤメッ、ぎゃああああああああ!!」
ガッツは義手に仕込まれたボウガンを使徒の頭に向けて放っていく。
ガッツ「ふはは、ふははははっはははは、ふははははははは!!!!」
バシュンバシュンバシュン
使徒「イギャアアアア、よせえエエエエエ、やめてくれええええええ!!」
- 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:20:37.49 ID:VMAFVuHv0
-
ガッツ「どうした!!?食べるんじゃなかったのか!!?」
バシュンバシュン、カチッカチッ
ガッツ「チッ」シャキン
ザシュッザシュッザシュッ
使徒「よせええええ、いぎゃああ、ひぎゃあああああああ!!張角さぁん・・張角さぁあああん!!!!」
ガッツ「あーーっはっはっはっはっは!!凄い生命力だなああ!!!死ぬまで刺し続けてやるぜえええ!!!」
星「ハァ、ハァ、っつ、ガッツ、無事で居てくれ・・・・・・」
星は、増援の中でも一番先頭に立ち、ガッツの元へ向かった
そして、そこにいたのは、化物をいたぶる、化物だった。
- 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:22:48.48 ID:VMAFVuHv0
-
星「―――――っ!」
ガッツ「ふはははははは、ふはっはははっはははははは!!!」
使徒「ぎやぁあああああああああ、いだいいいいいいいいいいい、やめてくでえええええええええ!!!!!」
愛紗「星!大丈夫・・・・・・こ、これは・・・・・・」
鈴々「な、なにしてるのだ・・・・・・お、おじさん・・・・・・」
翠「お、オイ・・・・・・やばいんじゃないのか?コレ?」
兵「お、オイどうなってるんだ、なんだ?”あれ”は?」ヒソヒソ
兵「この距離じゃ、よく見えないな」ヒソヒソ
兵「ば、化物同士が仲間割れか?」ヒソヒソ
兵「ど、どうするんだ?突撃するのか?」ヒソヒソ
- 259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:26:13.85 ID:VMAFVuHv0
-
星「愛紗!!」
愛紗「!?」
星「皆を連れて・・・・・・戻ってくれ・・・・・・」
愛紗「しかし・・・お前は・・・」
翠「愛紗・・・行こう・・・・・・」
鈴々「愛紗、星は大丈夫なのだ」
愛紗「わ、わかった・・・」
愛紗「全軍撤退!!!部隊を反転し城にもどれええ!!!勝鬨をあげろおおおおお!!!」
兵「ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ドドドドドド
- 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 07:27:44.48 ID:VMAFVuHv0
-
愛紗「星・・・先に戻ってるぞ、必ず帰って来るんだぞ」
星「ああ、ありがとう、愛紗」
愛紗「ああ、また後でな」
ザッザッザッ
不思議な事が起きていた。
今目の前で狂ったようにガッツがナイフを突き立てている化物が、
だんだんと人の形になってきたのだ。
- 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 08:17:02.45 ID:VMAFVuHv0
-
それは、ただの中年の男だった。
男は、うわ言のように張角さん張角さんと言っている。
そして、その声も途切れ、完全に人の姿に戻ったのだろうが、
顔は原型を留めておらず、体の所々には矢が刺さり、
それは人と言うには、分不相応な気がした。
ガッツ「ふはははははは、ふはははっはははははははは!!!」
グシャグシャグシャ
- 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 08:20:56.18 ID:VMAFVuHv0
-
星「ガッツ・・・・・・」テクテクテク
ガッツ「あはははははは、ふははははははは!!!!」
グシャグシャグシャ
星「もう、やめて・・・・・・」ソッ
星は、ガッツの背中に触れた。
瞬間、星の全身を殺意に包まれた。
ガッツ「ガアアアァァ」ガシイッ
星「クフっ、がぁあぁあぁあぁぁぁ」ギリギリギリ
- 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 08:27:19.35 ID:VMAFVuHv0
-
ガッツ「フゥー!!フゥー!!フゥー!!」ギリギリギリ
星「ガッ・・・ツ・・・くる・・しい・・・」ギリギリギリ
ガッツ「フゥー!!フゥー!!フゥー!!」ギリギリギリ
星「ぁぁあ・・・・・・」
ガッツの顔は仮面をつけているようだった。
殺意、憤怒、憎悪、嫉妬、哀しみ。
全てがごちゃ混ぜになったガッツの仮面には、星も使徒も区別が無い。
狂気に包まれたガッツを兵達が人間とわからなかったのも、仕方が無いのかもしれない。
- 286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:11:36.28 ID:VMAFVuHv0
-
それでも、星は、ただ、ガッツの悲しみを、怒りを、狂気を、取りたかったのかもしれない。
本当にそっと、ガッツの仮面を取るために、ガッツの頬に触れた。
ガッツ「フゥー!!フゥー!フー」ギリギリ
ガッツ「フー、ハァハァ」ギリ
ガッツ「はぁ、はぁ、星・・・」
星「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」
ガッツ「オイ、大丈夫か!」
- 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:12:22.30 ID:VMAFVuHv0
-
星「ゲホッ、ゴホッ、死ぬ、かと、ゴホッ、思った、ゲホッ」
ガッツ「・・・・・・」
星「コホッ、ハァ、ケホッ、フゥ、ハー、何か言うことはないのか?」
ガッツ「・・・そうだな、すまない」
星「そうじゃない・・・」
ガッツ「・・・・・・ありがとう」
星「そうだな」ニコッ
そういうと、ガッツは少しだけよろけた。
- 288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:13:05.92 ID:VMAFVuHv0
-
星「大丈夫か?」ガシッ
ガッツ「ああ、問題ない」
星「怪我、いっぱいしてるな」
ガッツ「ああ」
星「痛いか?」
ガッツ「さあな」
星「手当て、しなきゃな」
ガッツ「大丈夫だ」
星「だめだ!そんな怪我じゃ動くのもつらいだろ?」
ガッツ「・・・・・・」
- 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:14:03.23 ID:VMAFVuHv0
-
星「さあ、一緒に行こう?」グッ
ガッツ「星」
星「ん?」
ガッツ「俺の周りを見ろ」
星「え?」チラッ
星「! ?」
- 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:14:47.26 ID:VMAFVuHv0
-
それは、地獄なのだろうか、冥界なのだろうか、
それとも、異次元への入り口なのだろうか。
蠢いていた。
キリキリと音を立てて。
見ていた。
ガッツを。
星を。
異形、異形、異形、異形、異形、異形、異形、異形
異形、異形、異形、異形、異形、異形、異形、異形
そしてその中心にいるガッツもまた、異形なのかもしれない。
- 291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:15:28.84 ID:VMAFVuHv0
-
パック「クソー、ガッツの奴先に行きやがってー」
パック「だめだ、まったく道がわからない」
パック「よし、樹に聞いてみよう」
パック「ちょっとごめんよ」
樹「謝るんやったら帰って〜」
パック「ズコー」
樹「珍しいな、この森に妖精が来るなんて」
パック「ちょっと教えて欲しいんだよ、コーんな怖い目をして、コーんなでっかい剣を持った男が、どこにいるかわかる?」
樹「お前さん、奴と知り合いか?」
- 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:16:39.11 ID:VMAFVuHv0
-
パック「まぁ腐れ縁だな!」
樹「・・・・・・あの男、かなりこっち側に浸かっておるな」
パック「見たのかい?」
樹「ワシはこう見えてもこの森の中なら大抵のことは解る」
パック「そうか、なら教えてくれるかい?」
樹「ああ、いいとも、左上の右の上に枝があるじゃろ?」
パック「これか?」
樹「それじゃない、その3つとなりじゃ、そうそれ」
樹「その先っぽの方向に飛んでいけば、奴がいるぞ」
パック「サンキュー樹のじいさん」
樹「ほほ、いいってことb」
- 293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:17:22.37 ID:VMAFVuHv0
-
パック「それにしても静かだなーさっきいた戦場とは大違いだ」←間違えて使途もどきの居るほうに行ってた
パック「おっ、あれかな?って星もいるのか!」
パック「げええ、なんだあの肉塊!」
パック「ギャー!ガッツの体ボロボロじゃないかー!!」
パック「しかも周り悪霊だらけじゃないかあああああ!!!」
パック「急いで、粉をやらないと」※怪しい粉ではありません
パック「おーい、ガッツーーー!!」ビューン
パック「ん?なんだ?ああ!!またベッチーが光りだした!!」
- 294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 19:18:06.28 ID:VMAFVuHv0
-
星「ぁあ、ああ・・・・・・」
ガッツの背後の異形に、星はただ恐怖を感じていた。
ガッツ「俺はどうやらこの世界ではもういらないようだ」
星「えっ」ハッ
ドンッ
星「うわッ!!」シリモチ
ガッツ「帰れ、今度はお前も殺すかも知れんぞ」
星「ガッツ・・・・・・」
ガッツ「じゃあな」
- 298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:02:43.90 ID:VMAFVuHv0
-
振り返るガッツの顔が泣いているように見えたのは
星のそうあって欲しいという願望からだろうか。
少しだけ見えた、悲しみにまた仮面を被せていくガッツに
星は何を思うのだろうか。
もう二度と、二人の運命は交差しないことを
星もガッツも悟っていた。
こんなにも不器用な奴は見たことない。
星は、それがおかしくって、つい笑った。
- 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:03:25.85 ID:VMAFVuHv0
-
星「あははっ、はっはっはっ」
少しだけ、ガッツも笑った気がした。
ガッツ「シィイ」ブン
パック「ぎゃあああああ、ベッチー光ってるよーーーー!!」
ブン
闇に切り込んでいくガッツが、光と共に消えていった。
そして、そこには星と、何も無い空間だけが残っていた。
星「さよなら・・・ガッツ」
- 300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:04:08.94 ID:VMAFVuHv0
-
一人帰路に着く星に涙は無かった。
最後の思い出を涙にしたくなかった。
最後の一瞬、ガッツが笑った気がしたから。
私も、笑っていたいと思ったから。
だから、この滴は気のせい。
少しだけあふれた、私の気持ち。
その滴を知っているのは、森の樹だけだった。
- 302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:06:19.92 ID:VMAFVuHv0
-
愛紗「星のやつ、遅いじゃないか・・・・・」
翠「んんんん(貧乏ゆすり)」
愛紗「まったく、心配するなと言っても、これでは心配してしまう」
翠「落ち着けよ!ウロウロするんじゃねぇ!」
愛紗「しかしだな!」
鈴々「あっ!星なのだ!!」
愛紗・翠「どこだ!!!」
紫苑「あらあら、翠ちゃんもやっぱり落ち着きが無いわね」
朱里「馬を手配しますね!」
朱里「誰か、馬を用意してくださいいい!」
- 304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:07:01.71 ID:VMAFVuHv0
-
翠「私が行く!」
愛紗「私も行くぞ!!」
鈴々「鈴々もいくのだー!!」
紫苑「あらあらまぁまぁ」
朱里「そそそそそんなにいっぱいで行っても」
翠「こまけぇ事は気にすんな!いっくぜー」ダダダダダ
愛紗「待て、あんまり急いで怪我でもしたらどうする」ズダダダダ
鈴々「にゃーーーーー!!」ズドドドドド
紫苑「私達も、門まで行きますか」
朱里「そうですね、そうしましょう」
ダダダダダダダダダダダダダダ
- 305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:07:48.58 ID:VMAFVuHv0
-
紫苑・朱里「ん?」
一刀「星が帰って来たのかああああアアアアア!!」
紫苑「ご主人様!!お体はもう宜しいのですか?」
一刀「大丈夫!ちょっとスプラッター過ぎて意識が飛んだだけだから!!」
紫苑「す、酢ぷ?」
一刀「ああ、そんなことはどうだっていい!!星は、ドコ!?」
朱里「門のほうです!一緒に行きましょう、ご主人様」
一刀「よし行こう!」
- 307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:09:13.89 ID:VMAFVuHv0
-
星「歩くのもなかなか辛いな」
愛紗「星ーーー!」
翠「おーーーい!!」
鈴々「にゃーーーーー!!」
星「お主ら・・・」
愛紗「無事か!?あの男はどうした!?」
翠「後ろに乗れー!」
鈴々「お腹すいたのだー!!」
星「ええい!いっぺんに喋るんじゃない!1」
愛紗「あの男は?」
- 308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 20:09:56.12 ID:VMAFVuHv0
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星「彼は・・・・・・」
愛紗「彼は?」
翠「彼は?」
鈴々「にゃー!」
星「フッ、一人でまた旅立って行ったよ」
愛紗「そうか、もう一度手合わせしたい相手だったが・・・・・・」
翠「私も、私も!!」
鈴々「鈴々もー!」
星「フフッ」
- 313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 21:26:29.57 ID:VMAFVuHv0
-
一刀「おーーい」
紫苑「ウフフフ」
朱里「無事そうですね」
一刀「お帰り、星」
星「ただいま戻りました、主」
一刀「お疲れ様、疲れてない?すぐに休む?」
星「いえ、今日は・・・・・・少しの見たい気分です」
そういうと、星はゆっくり笑った。
帰る場所があるという事の幸せを。
いつかガッツに帰る場所が出来る事を思って。
- 316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 21:29:51.53 ID:VMAFVuHv0
-
星「主、今日は月(ガツ)と遊んでくれる日ではないのですか」
一刀「そうだった、おいでー月」
星「フフフ」
一刀「ガツはお母さん似だなぁ」
星「ほう、それは私に似て、さぞ男前になるでしょう!」
一刀「じ、自分で言うか・・・」
星「さあ、向こうでお父さんにチャンバラごっこしてもらいなさい」
月「うん!僕チャンバラ好き!」
一刀「うっ!月はなぜか異常に筋がいいからな、頑張らないとお父さん勝てないな、はは、ははは」
星「何を情けない事を!ささ、行ってください。私この後、紫苑とお茶をするのです。」
一刀「了解、さぁ月。行こう!」
月「はい、お父さん!」
星「フフ」
- 317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 21:30:33.08 ID:VMAFVuHv0
-
紫苑「ねぇ星ちゃん。」
星「おお紫苑、今から声をかけようと思ってたんだ!」
紫苑「ええ、お茶は用意してるわよ」
星「流石だな」
紫苑「ところで、月ちゃんはあんまりお父さんに似てないわね」ニヤニヤ
星「なっなんのはなしかな?」ダラダラ
紫苑「ウフフ、さっ、お茶にしましょ」
星「紫苑には敵わんな」
紫苑「月ちゃんは幸せにならないとね」
星「ああ、主なら必ず幸せにしてくれる、私も含めて」
紫苑「星ちゃんも悪女よねフフ」
星「紫苑だって似たようなものじゃないか」
紫苑「まっ、人聞きの悪い」
星「そんな事より、町においしい茶屋が出来たみたいだぞ」
紫苑「ほんと!?行きましょう行きましょう!」
- 318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 21:31:15.05 ID:VMAFVuHv0
-
星「主も連れて行ってあげなきゃな」
紫苑「ええ、瑠璃も月ちゃんの事弟みたいに思ってるみたい」
星「そうか、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ」
紫苑「ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ」
星「―――――」
紫苑「―――――」
月「ベルセルク完結しますよーに」
一刀「恋姫の続編もーーーー!魏ルートーーーーーーーーーーー!!」
終わり
- 321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 21:38:59.29 ID:VMAFVuHv0
-
えー、まず最初に言わせていただきたいのが
こんな、SSに保守して頂いた皆さん
本当に、ありがとうございました。
今回、ベルセルクと恋姫無双(無印)というですね、まったく誰得というようなスレを
3日に渡り保守してくれた人に、本当に感謝したいと思います。
私は、どちらかというとギャグ路線というか、ゆるい進行が好きなのですが
今回は、結構シリアスに物語を書いていって、自分で読み返してみても
少し恥ずかしい内容になっていたかと思います。
ここで、後半グダグダだったことを皆さんに謝罪したいという事と
保守して頂いた感謝を込めて、
ありがとうございます。
それだけ、伝えたいと思いました。
また、コアなファンのいるSSを書きたいと思うので
もしどこかで見かけて、面白いなと思ったときに、またお会いしましょう。
感謝を込めて
ウナセ氏