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372 名前:灰色服の男[] 投稿日:2011/07/31(日) 22:33:04 ID:7ftce17Q0
どうも、灰色服です
今回は異説〜の方を持っていました
あと、前回は私の言葉足らずのせいでご迷惑をおかけしてすいません
戯志才の件に関しては
「一刀は情報として郭嘉の偽名と知っていた」
という事でお願いします
それでは、また
http://koihime.x0.com/bbs/ecobbs.cgi?dl=0679



まだ日の高い漢中の街中を歩くと、顔見知りの人達が親しげに話しかけてくる
商いの事、日常の事、他愛も無い事が殆どだ

「お兄さんは、顔が広いのですねー」
「商売柄、どうしてもね。それに多くの人達と仲良くなるのはいい事だよ」

一刀の隣を歩く程立が笑う
今、一刀他三人は一刀の自宅へ向かっている
三人の食事代は一刀が立替え、その代わりとして三人に仕事を紹介する、という話だ

「それで……北郷殿、仕事というのは……」
「まぁまぁ、家に着いたら話すよ」

戯志才――郭嘉が少々不安げな顔を見せるが、一刀は歩みを進めるだけだ
彼女が偽名を使っている、という情報を掴んでいなければまさか郭嘉奉孝とは思うまい
まぁ、それを言えばここにいる三人全員、まさか三国志の英雄とは思わないだろう

「しかしだな、当主殿。あまり無茶を言われても困るぞ」
「星殿、誰の所為でこうなったと思ってますか?」

う、と小さく唸って最終的に沈黙する趙雲を横目でみる郭嘉
そんな二人の遣り取りを気にもしないで歩く程立
見れば見るほど暢気な光景に、一刀は思わず空を見上げた
抜けるような青空だった



異説恋姫・02
〜未来の為のF/蒼い空に誓って〜


「ま、座って」

自身の邸宅、その一室に四人の姿があった
ここは簡単な打ち合わせ等を行う部屋で、一刀は三人に着席を促した
思ったよりも大きな一刀の邸宅に軽い驚きを見せいた三人だが、促されて腰を下ろす
殆ど時間差も無く茶が運ばれ、そのまま使用人は下がっていく

「……その、失礼な話ですが、少し驚きました」
「意外と大きいだろ、この屋敷。親父殿の信念でね」
「信念、というと?」
「『商売は舐められたら駄目だ、煌びやかでなくとも大きな家にしろ』って、さ」

面白そうに笑う一刀に、呆れたような顔で頷く郭嘉
その横で趙雲は何かに納得したかのような表情で首を縦に振っている

「さてと……それじゃ仕事の話になりますが」

三人が僅かに息を飲むのが分かった
彼女達が飲み食いした金額は意外と高かった
これは店の単価が高いというよりは、単純に頼みすぎだ(特に酒類)
それを代わりに支払ったのだから、それ相応の仕事が待っているのは間違いない

「まず……趙雲さん」
「うむ」
「趙雲さんには錬兵をお願いしたい」

そういうと、趙雲がぽかんとした表情を見せた
郭嘉や程立も言葉の意味が分からない、といった顔をしている

「れ、錬兵といったのか、当主殿?」
「錬兵です」
「……当主殿は、商人ではないのか?」
「……あぁ、御免。説明不足だった」

苦笑して自分の言葉足らずを詫びると、一刀は説明を始めた

「ウチはこれでも大陸各地に支店を持つ大店なんだ、当然販路も多いし長い」
「まぁ、当然でしょうね」
「そうするとこのご時世、途中で賊に襲われる事も十分ある」

そこで一口だけ茶を含んで舌を湿らせる

「だから、ウチには自前の護衛戦力があるんだ。全部合わせても七百人くらいだけど」
「その錬兵を私に、と」
「うん。趙雲さんに錬兵された連中が、今度は他の連中を錬兵すれば戦力の底上げになるし」

漸く合点がいった、という顔で趙雲が頷く
横の二人も納得した様子だ

「ココには百人前後が常駐してるから、彼等にお願いしたい」
「ふむ、そういう事なら私めに任せられよ」

ここから少し離れた郊外に、独自の錬兵場を有する<流星屋>だからこその仕事だろう
実際の所、護衛に『勝つ戦力』は必要ではない
必要なのは『負けない戦力』であるのだが『あの』趙雲の指導だ、受けて損は無い
それに一刀自身が言った通り、護衛の戦力は最大数を見積もっても精々が七百だ
これなら質の高い訓令を受ける事が出来るだろう

「さて、それからお二人ですけど」
「おや、風達もですか」
「まさか錬兵、とは言わないでしょうね」

相変わらずマイペースな程立と僅かに緊張が解けた様子の郭嘉
対照的な二人を見ながら、一刀は口を開いた

「お二人には、俺の仕事の補佐をお願いします」
「補佐、といいますと……」
「お兄さんの仕事を手伝うという事ですか」

その通りだ、というように一刀が頷く
こう見えて一刀の仕事は忙しい
<流星屋>全体の経営戦略を考え、情報に目を通し、場合によっては現地へ出向いて確認する
フットワークの軽さが自慢の一刀でさえ、時には挫けそうになるぐらいだ

そこで、この二人の出番となる
軍師志望の二人なら頭の回転は速いはずだし、文書の整理も出来るだろう
一つだけ気がかりなのは、<流星屋>の機密情報を見られかねない、という事だが――

(見られた所で問題は無い)

と、一刀は割り切っていた
彼女達がその情報を得ても、完全に活用する事は出来ないだろう
また情報そのものの新鮮さも落ちる、そうなれば意味が無い
だからこそ、あえて手の内をこの二人に曝け出そうとしているのだ

「……分かりました、助けて頂いた以上、北郷殿に否とは言えません」
「風としても特に問題はありませんよー」
「そっか、有難う」

思わずほっとした顔になってしまう
万が一にも断られたらどうしようか、という考えが脳裏をかすめたが、杞憂だったようだ
これで取りあえずは一安心、といった所か

「断られるかと思ったよ、軍師目指してる二人に秘書みたいな事させる訳だし」

あはは、と笑いかけた一刀だが、直ぐにしまったという顔つきになる
ちらりと三人の顔を覗けば、案の定訝しげな表情でこちらを見ていた

「……北郷殿、何故我等が軍師を志していると、お分かりに?」
「……」
「そういえば、当主殿は私を直ぐに将であると見ましたな。それも不可解だ」
「どうなのですか、お兄さん?」

視線が痛い、失言とはこの事だ
なまじ先を知っている分、余計な一言が口をついて出てしまう
今、彼女達の心の中は疑問で溢れているのだろう
何とか穏便に済ませたい

「……商売柄、我々は情報を重視するんだ」

腹を決めて口を開く
これから言う事は全くの嘘ではない、しかし完全な真実でもない
その中間、玉虫色の言葉だ

「その中には見聞の為、旅をしている人達の情報も入ってくる」
「では?」
「君らの情報もあったよ、勿論昔の情報だけどね、『郭嘉』さん」

ぐっ、と郭嘉が息を呑むのが分かった
出来れば切りたくないカードだったが、信じて貰う為なら仕方ない
それだけの情報網を持っている、という事をだ

「……成程、だからここまで大きくなった訳ですか。流石ですねー、お兄さん」

何処か場違いな程立の台詞に、四人の間に立ち込めていた剣呑な空気が霧散する
ふぅ、と息を吐き出した郭嘉が、一刀の方に視線を向ける

「分かりました、問い詰めるような事をして申し訳ありません、北郷殿」
「いや、俺も先に言えば良かったんだよな、御免」
「……もしや我々の路銀が無くなったのは当主殿が」
「それはない」

さり気に責任をなすり付けようとしている趙雲に即座にツッコミを入れる
確かに彼女達の情報はあるが、言ったように少し古い
まさか、今現在漢中にいるなどとは思ってもいなかった
出会ったのは本当に偶々だ

「さてと……それじゃ、早速仕事にかかって貰おうかな」
「早速か、当主殿は人使いが荒いな」
「商売人なんでね。あ、それと部屋はこの屋敷のを使ってくれ。準備させるから」
「おぉ、いたせり尽くせりですねー」
「風、私達は一応、お金を借りてる身分なんですから……」

賑やかな声が響いて、一刀の顔が綻ぶ
商売云々を抜きにしても、やはり人と話すのは面白いし、楽しい



三日目の夜、一刀の自室では一刀と趙雲が机越しに向かい合っていた
一刀の机の上には未決書類が残り、趙雲はそれを珍しそうに眺めている

「どうだい、趙雲さん。ウチの護衛隊は?」
「悪くはありませんな。特に守りの方は万全と言っていいでしょう」
「そりゃ嬉しい」
「反面、攻めは不得手と見ましたが」
「まぁ、任務の性格上、どうしてもね」

そう言って一刀は苦笑する
護衛隊の主任務は『守る事』である為、どうしても攻めは不得手になってしまう
問題がないと言えば言えるが、使える技能は多い方がいい
趙雲からの報告に、一刀は少し考えた

「趙雲さん、無理のない程度に教えてやって欲しい」
「宜しいでしょう、それが私の仕事ですからな」

にやり、と笑う趙雲に一刀も唇の端を吊り上げる

「じゃあ、これは趙雲さんへの時間外手当という事で」
「ふむ、当主殿の使う言葉は分かり難いが……頂いて置こう」

机の一番下の引き出しから取り出した酒瓶を机の上に置く
そこそこ高めで、一応は高級酒に分類される逸品だ
貸しの為に働いていると言う思いを持って貰いたくない、という一刀なりの配慮だ
特には貸し借り無しに、一人の人間として信頼関係を築くのも大切な事である
それに、彼女達を大切にしているというメッセージも込められている
三人とも聡い人達だ、それとなく察してくれるだろう

「しかし、当主殿は不思議な人だな」
「そうかな?」
「商才逞しいかと思えば、特に呆れるほどお人好しだ」

酒瓶を抱えるようにしながら、趙雲が呟く
彼女の知っている商人というのは、あまり褒められた人間ではない者も少なくない
そんな中で、ここ漢中は大きく違っている
一刀を始めとして、不思議な信頼関係で結ばれた民がこの街を動かしている
そんな街を、趙雲は知らなかった

「楽しい事、嬉しい事は共有した方がいいだろ?」
「まぁ、そうかもしれませぬが」
「だったら、それでいいんだよ。俺は楽しかったり嬉しかったりするのが好きだからさ」

事も無げに笑う一刀に、趙雲は好意的な表情を向ける
人を人とも思わない輩が多いこの時代、一刀の考え方は新鮮であった
酒を貰ったのとは違い意味での笑みを浮かべ、趙雲は一刀の顔を見つめていた



五日目の昼、一刀の執務室では程立と郭嘉が一刀を手伝っていた
大きな机の上には竹簡や書簡が載り、それを三人が読み進めていく

「北郷殿、幽州からの海産物相場の数字が届きました」
「分かった、そこの箱に入れといてくれ」
「お兄さん、銅山から産出量についての意見書が来てます」
「あぁ、貸してくれ」

こう言った具体に気合を入れて、せっせと仕事をこなしていく三人
机の上に詰まれた物が四分の一以下になった所で、一刀が背伸びをした

「よし……少し休憩しようか」
「賛成です、北郷殿」
「はふぅ……疲れたのです」

思わず椅子に身体を預ける程立に苦笑を向けながら、一刀は立ち上がる
そのまま部屋の隅まで歩いて、何かを用意する
数分とたたずに机に戻ってきた一刀の手には、盆に乗った茶と菓子があった
部屋の隅にあったのは、今で言うカウンターバーのような物だったのだ

「はい、どうぞ」
「何時も済みません、北郷殿」
「気にしなさんな、ほら程立さんも」
「くー……」
「寝るな」

これも趙雲に行ったのと同じ、一刀なりの配慮だ
ただ程立や郭嘉の場合、酒でないだけの話である
それに、仕事を手伝って貰っているうちに、どうやら二人の関心も買っていたようだ
休憩時間になると、質問をしてくる事が多くなった

「北郷殿、先程の竹簡にあった武具の販売についてですが」
「大口需要者に向けての奴?どうかした?」
「相場よりやや安くないですか?」
「それは風も思ったのです、これじゃあ利益があまり出ませんよ」
「その代わり大量に買ってくれたろ?」
「ですが」
「実はさ、これには裏があるんだ」

こういう時の一刀は悪戯する子供のような顔の裏に、商人としての本音が見える

「まさか、粗悪品を?」
「信頼に傷をつけるような事はしないよ」
「では?」
「実はさ、武具の手入れに関してもウチが受け持ってるんだ、勿論別料金で」

これは現代の兵器産業がよく使う手である
兵器や武器の直接の売り上げよりも、その後のメンテナンスで利益を上げる
これを応用したものである

「あれだけ大量に購入したんだから、手入れ代だけで元は取れるよ」
「何というか脱帽です」
「お兄さんは、偶にすっごく悪どい顔をしますよねー」
「そうか?」

この五日で、すっかり気軽に話し合える関係になっている
程立も郭嘉も、いまでは一刀に対して好意的な感情を持つに至った
商人らしくもあるお人好し、といった一刀は今までに出会った事のないタイプの人間だ
何よりも自分達では考えもつかないアイデアを出してくる事がある
そういった時は、素直に新鮮な驚きを味わっている
智で歩いてきた二人には、一刀の智も相当である様に思えてならなかった
(無論これは一刀の持つ知識によるものだが、知らない以上は意味を成さない)



十一日目の夜、中庭の東屋で一刀を除く三人が顔を合わせていた
その顔には複雑な表情が浮かんでおり、中々口を開こうとしなかった

「……風は、そろそろだと思うのですよ」

口火を切ったのは程立だった
郭嘉も趙雲も、それに小さく頷いて肯定の意思を明らかにする

「確かに長くお邪魔しましたから」
「居心地が良すぎるというのも考え物だな」

三人とも、すっかりここでの生活が気に入ってしまったが、それではいけない
本来は三人とも旅の途中であり、ここでの仕事は借金を返す為であった筈だ

「とはいえ、そんな事はすっかり忘れていたが」
「客人扱いでしたからね……」
「お兄さんも、優しかったですし」

その言葉に、他の二人も小さく首を上下させる
楽しい日々ではある、遣り甲斐もある、しかしそれではいけない
自分達には進むべき道があり、それを見失ってはいけないのだ

「……恐らく、当主殿は引き止めはすまい」
「でしょうね。純粋に借金分だけ見ても、既に完済してますし」
「後は、風達が決めるだけですか……」

珍しく意気消沈したような程立の言葉に、何とも言えない顔をする二人
雇い雇われ、というだけではない関係を整理する事を、三人は無意識に否定したがっていた



十六日目の昼、一刀の自室に四人が揃っていた
窓は開け放たれ、目に染みるような青空が広がっている

「そっか、行くのか」
「申し訳ありません、北郷殿」
「あぁ、気にしないでいいよ。そっちの都合もあるだろうし」

案の定、一刀は快く三人の出立を認めてくれた
それだけでなく、決して少なくない額の路銀と旅装も用意してくれた

「お兄さん、これは……」
「皆が働いてくれた分から借金を引いた残りだよ」
「宜しいのか、当主殿」
「これは労働に対する正当な代価だからね、受け取る権利がある」

恩着せがましくもなく、さも当然だと言い切る一刀に、三人は有難く頂戴することにした
その後、茶が運ばれ、三人の出立を祝う小さな小さな宴となった

(寂しいな)

それは一刀の嘘偽り無い本音であった
この二週間以上の日々は楽しかった、そこに嘘はない
だが、自分の都合で彼女達を引き止める訳にはいかない
彼女達には役割があり、進むべき道がある、それを邪魔するのは間違っている
『この世界』が自分のいた世界と同じ歴史を歩むかどうかは分からない
しかし、旅を続けたいという彼女達の意思は尊重せねばならない
だから笑って送り出す、そう決めたのだ

「なぁ、当主殿」
「ん、何?」
「一つ、頼みがあるのだ」

見れば一刀を除く三人が、真剣な顔でこちらを見ている
これは三人が考え抜いた末の結論
この関係を、断ち切りたくないと言う思いの結晶である

「我々四人で、誓いを立てたいのです」
「誓い?」
「風達とお兄さんは、ずっと一緒という事ですよ」

その瞬間、脳裏には『桃園の誓い』という言葉が浮かんだ
だが、あれは確か劉備に関羽に張飛じゃなかったか?

「そうですな、差し詰め……」

趙雲がきょろきょろと周囲を見渡し、やがて空を見上げる
わが意を得たり、といった様子で顔を綻ばせると、空を指差した

「『蒼空の誓い』でどうですかな?」
「……いいね、悪くない」

少しの間ぼんやりとしていた一刀が、面白そうに答える
これがこの世界の選択か、と思うと笑い出したくなる
英雄三人と商人、四人で『蒼空の誓い』
悪くない、本当に悪くない話だ

「では……先ずこの趙子龍が」

すっと右手を机の上に伸ばし、はっきりとした口調で言葉を紡ぐ

「我等、歩む先は違えども決して輩を裏切らぬ事を、我が真名星に誓う」

それに続いて今度は郭嘉が手を伸ばし、趙雲の手に重ねるようにして口を開く

「我等、掲げる理想は違えども決して輩を蔑ろにしない事を、私の真名稟に誓う」

程立が続いて手を伸ばすが、やや背伸びをしないと届かないのは愛嬌か

「我等、求める道が違えども決して輩の思いを無としない事を、真名風に誓います」

最後に回ってきた一刀は、少しだけ自分の手を見た
この三人と並び立つ事に少しだけ緊張を感じているが、それも直ぐに消えた
自分は英雄三人と並ぶんじゃない、友人三人と並ぶだけだ
そう考えると、気が楽だった

「我等、見据える未来は違えども決して輩の手を離さない事を、我が名北郷一刀に誓う」

四人の視線が交わって、次の瞬間には笑顔になる
後の世に言われる『蒼空の誓い』は、こうして成されたのである



「『蒼空の誓い』、か」

三人が出立した後、一刀は自室で小さく呟いた
何時かこの事も歴史の一つとなるんだろうか
止め処なく考えてしまうのは、やはり寂しいからだろう

「……いかん、もっとしっかりしないとな」

自分に気合を入れなおす
こんな事では三人に笑われてしまう
よし、と気合十分で仕事に望もうとしたタイミングで扉がノックされた
少し微妙な表情でどうぞ、と言った一刀の前に店の若番頭が姿を現した

「どうした?」
「あの、若旦那、これなんですが」

そう言って差し出された竹簡に目を走らせた一刀の顔が小さな驚きに染まる

「こりゃ凄い量だな、食料と借財の頼みか……個人じゃないだろ」
「えぇ、実は……」

言いよどむ若番頭に、一刀は先を続けるように促す
ややあって意を決したかのように、口が開かれた

「お相手は天水の太守、董卓仲穎殿です」

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