- 256 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2011/04/17(日) 09:21:39 ID:gpwoCfSUO
-
「にゃー(どんどんやりますよ)」
「(・・・)」
- 257 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:24:56 ID:gpwoCfSUO
-
「効果が薄い?」
いつもの蜀呉定例報告会の時である。
冥琳の報告・説明を一刀なりに解釈して出た結論を口に出していた。
「いや、その言われ方では間違いだな…効果は十分に出ている。そうだな…“もっと効果が有るはず”なのだがどこか伸び悩んでいる」
「う〜ん」
今、一刀が悩んでるのは先日考案した対曹操軍徴兵妨害工作のことでだ。
伸び悩んでいると表現をしているが、実際は物凄い効果が上がっている。
思春は長江を中心にした国境のゲリラ的なライブは呉領内外で効果が出ている。
だが本当に凄いのは明命だった。
明命は魏領に潜入し通常の潜入捜査を行う、更に全く別に『数え役萬☆姉妹』のスケジュールを把握して先回りし、ゲリラ的ライブを敢行。
可能な限り『数え役萬☆姉妹』の効果を減らす使命を果たすのである。
効果は大で放置していれば十人中九人が兵として志願しているところを悪くとも二人、良ければ半分の民を志願させない戦果を上げていた。
なので『最近は向こう側も手を打ってきた』との報告があがっている、と今説明を受けている。
偽の情報でおびき出して待ち構える、本人たちは別の場所で活動を行う、らしい。
- 258 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:26:35 ID:gpwoCfSUO
-
だが今のところ向こう側もまだ本格的では無いらしい、曹操はおろか軍師の誰すらも出張って無いらしく、明命の手にかかれば情報は筒抜け、との事だ。
だから、普通に本当の方に先回りしゲリラライブを敢行、妨害するらしい。
明命曰わく、どうやら今はまだ姉妹たちが策を練っているらしいから詰めが甘いと、だが一角に光る物は有るらしく鍛えれば将来は恐ろしい、との事だ。
「多分基本は人和だな」
しっかりな性格の三女を思い出して真名を口にする。
「人和?三姉妹の三女だな」
「ああ、三人の中じゃ一番のしっかり者で…てか上二人が大雑把過ぎるのかな〜。けどあの姉妹、三人で上手く調和されてて結果的に良くなるんだよな」
「…詳しいな、北郷。しかも真名まで」
「・・・(あっ!)いや、真名は報告書に書いてるよ、それに珍しく真名を呼ばしてくれる美人な旅芸人だって噂になっているじゃん。ほら報告書!報告書に行動パターンが!」
「行動…派多亜ん?なんだそれは」
「パターン、意味は今回に限って分かりやすく言えば性格の組み分け」
「なるほど?確かに報告書からは行動は分かるが…」
『あれ?なんか嫌な予感がする』と冷や汗をかく一刀。
- 259 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:33:05 ID:gpwoCfSUO
-
「性格や行動の内容、結果まで分かるとは…天の分析は凄いのだな」
「(あれ、やっぱ地雷踏んだ?)そんなことより」
「そんなこと…」
「すいません」
冥琳の謎の凄みと雰囲気にすっかり意志消沈して、ずぶ濡れで震える子犬状態の一刀だった、が。
『!』
そんな逆境的な、危機的状況だからこそ閃いたのだろう。
「そうだ!」
「なっ!どうした北郷」
突然、立ち上がりながら叫ぶ一刀に驚いてしまった冥琳。
「閃いたんだよ、冥琳。蜀からも人を出そう、人選は・・・隠密性の将が居ないな〜・・・だったら神出鬼没な星と・・・」
物凄い集中力に今まで少々不機嫌だったことすら忘れた冥琳と今の一刀を少々理解出来ないと思いながらも未知な知識の可能性に興味深々の穏。
「捕まらない為の機動力重視をした者・・・翠?・・・しかし、あの純粋さはとっても重要だし磨けば将来素晴らしい戦力になる」
なんの戦力を図ってるんだ?と言えない為、見守ることしか出来ない二人。
「・・・けれど、今欲しいのは即戦力となりえる人材・・・!そうか彼女か!これで完璧だ!」
「なんだ決まったのか?聞いているとどうやら、計四人のようだが?」
- 260 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:35:29 ID:gpwoCfSUO
-
「四人・・・四人!ユニットを・・・いや団体名も!二×二姉妹S゛(ににんがシスターズ)と命名しよう!更に会員証を作ろう…あっちにはそんな考えがまだ無いはずだから作れば差別化を図れる。
後から真似をして作ってくるだろうけど先に作る強みも有る、やっぱり元祖は強いからね…」
一刀の口から出る数々の意味不明な言葉を黙って聞いてるしかない二人。
「一人ずつや二人ずつ、時に三人、四人同時と・・・四人を巧く組み合わせれば・・・ねえ!これって凄くねえ」
「・・・すまぬがよく分からん」
「すみません〜一刀さん、理解が出来ませ〜ん」
一刀の同意を求める熱い意見も根本的に理解出来ないから解らない二人であった。
「ならば仕方がない自分が頑張らねば!」
一人勝手に燃えている一刀。
「あっ!誰か、星とたんぽぽを呼んできて欲しいんだけど」
そして一人で勝手に話を進めるている一刀であった。
「行けるよ〜これは行ける!向こうの徴兵妨害も大事だけど、今はこっちの兵力増強も大事だからね」
「うぬ」
「で、計画だけど…」
・・・
・・
・
◇ ◇ ◇
元気印の女の子、メイ。
しっかりお姉さん系(若干?)のセー。
本気で怒り突き放す、シュン。
小悪魔妹系のポポ。
- 261 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:38:36 ID:gpwoCfSUO
-
そして不思議と成功を確信しながらこの四人をデビューさせた迷プロデューサー一刀が居た。
◇ ◇ ◇
それから数ヶ月。
一刀は自分でもビックリするほどの効果が出た。
今、こうして初の四人同時のライブが行われる直前なのだが…満員、超満員である。
領内なら慌てて撤収する必要無いのと、気合いと根性がある者なら魏領からも来る者も居るだろうと判断して。
位置、知名なども考慮し此処、白帝城でコンサートをやる事になったのだが・・・もの凄い数が集まってしまった。
「メイちゃ―――――ん」
「ポポちゃ―――――ん」
どこからともなくそれぞれ親衛隊の掛け声が聞こえてくる、発声練習だろう。
開始までまだ時間があるはずなのだが、いつの時代も『可愛い女の子は大人気なんだな〜』と、お気楽に考えている一刀がいた。
◇ ◇ ◇
日も沈みコンサートが始まる。
『『『メイちゃ――――――ん!!!』』』
まずは一人目、明命を呼ぶ掛け声が上がる。
『パッ!!』と、松明と可能な限り性能を上げたガンドウが設置された舞台上の更に上を照らす、するとそこには明命が立っていた。
『『『ワアアアアアアァァァァァ――――!!!』』』
上がる歓声。
一度、手を振って声援に応えてから。突然に飛び降りた明命。
- 262 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:41:44 ID:gpwoCfSUO
-
『『『エエエェェェ――――!!』』』
と、まだ日の浅いファンたちが驚きの声を上げる、だがファン歴史が長い者たちは余裕である。
空中前転を繰り返しながら落ちて来て『シュタ!』と、音も無く綺麗に着地を決めると。
「呼ばれれば現れる、それが私です」
『『『ワアアアアアアァァァァァ――――!!!』』』
と再び歓声が上がった。
『『『セーちゃ――――――ん!!!』』』
次に星を呼ぶ掛け声が上がると、また別の高みから星が姿を現す、それを別の松明とガンドウが照らすと。
「はーっはっはっはっはっ!私を呼んだのは貴殿たちかな?…とうっ!」
そのまま飛び降りた星は着地寸前に一度だけ、まるで猫のように空中前転を華麗に極めた。
『『『ワアアアアアアァァァァァ――――!!!』』』
これまた盛大な歓声が上がる。
『『『シュンちゃ――――――ん!!!』』』
思春は地味に、普通に舞台裏から歩いて来た。
「ええい!その顔見覚えがある!貴様らまだこのような惰弱な行いを!」
思春的に惰弱と感じた相手に本気で怒っている思春。
『『『本来なら、媚びて人気を得ようとするのが当たり前なのに!決して媚びないその姿!?そこにシビれる!あこがれるゥ!!』』』
- 263 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:45:17 ID:gpwoCfSUO
-
などとちょっと危ないファンが集まっているようだ。
そして最後に、
『『『ポポちゃ―――――ん!!!』』』
『・・・・・』
何故か反応が無い。
『テメエら!声が小せえからポポちゃんに聞こえてねえだろー!?もっと腹から声出せー!!』
親衛隊の隊長らしき男から怒号が飛ぶ。
『もういっちょ!せーの!!』
『『『ポポちゃ――――――――ん!!!!!』』』
先程より更に大きい声の掛け声が上がる、あまりの声のでかさに一刀は耳を押さえる程だ。
すると、
「ハ〜イみんな!、ポポはこっちだよ〜」
みんなが驚いて一斉に後ろを向いた、何故なら蒲公英の声が後ろから聞こえて来たからだ。
『『『ワアアアアアアァァァァァァ――――――!!!!!』』』
蒲公英の驚かされた演出に桁違いの歓声が上がる。
そして蒲公英が舞台に向かって走り出す、すると前方が自然と割れて人一人分の道が出来る。
蒲公英は両脇のファンたちに手のひらをタッチさせながら駆けて行く、タッチされたファンは歓喜に震え叫ぶ。
そのまま駆け抜けて舞台直前まで来ると勢いを殺さずにジャンプする、一回転しながら無事見事に着地してノンストップで振り返ると。
「みんな〜ありがとう♪」
- 264 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:47:29 ID:gpwoCfSUO
-
『『『ワアアアアアアァァァァァ――――!!!』』』
再び、物凄い歓声が上がった。
それを舞台裏から見ていた一刀が。
「う〜ん、流石は悪魔っ娘と云ったところか…小悪魔だけに大半の者の魂を鷲掴みしたのか」
妹系が受けているのか?ロリッ娘が受けているのか?やっぱり小悪魔的なところが受けているのかな〜?などと考え。
いずれ将来で三国が仲良くなった暁に、たんぽぽ・小蓮・風か流琉どちらかで三国が協力体制の証として三国を股に掛けたアイドルも悪く無いのかな?と思考する。
そのかわりに、天和たち三人には酷く怒られるかな?なんて悠長に考えてる一刀だった。
そうこうしているうちに初の四人同時によるコンサートは無事に進み大盛況のうちに成功して終了する。
文句を垂れつつも、しっかりとアイドルをやり遂げてきた思春が一番に舞台裏に帰ってくる。
「いや〜お疲れ様、思春。凄く良かったよ〜」
「ふん、孫策様の命令でなかったら誰がやるものか」
誉める一刀に素っ気ない態度で返した思春。
「理由はそれでも良い、だけど取り敢えずはありがとう。みんなが喜んで帰って行く…あれが彼処に居るみんなの原動力になるんだから。それに…」
- 265 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:53:18 ID:gpwoCfSUO
-
ここで一刀は一旦、言葉が止まった。
「なんだ、貴様?まだなにか企んでいるのか」
「違う…その似合ってるし可愛いよ、その衣装」
「なっ!」
思いも寄らない言葉をかけられ驚く思春。
「そうだ!蓮華にも見せてあげようよ…」
『シュ!』
一刀の台詞に手に持ってたマイクの役割の小道具を一刀の首筋に当てて対応した。
「チッ、これが鈴音だったら斬り捨てられていたものを…残念だ」
とは、言うものの一刀は斬られたと錯覚するぐらいだった。
因みに蓮華は政務の為に来ていない。
「だが同じことを言ったら次は斬る」
「分かったよ、ごめんもう言わないよ…本当に嫌なら辞めるか?」
「そうじゃない、まだ多少恥ずかしいから、蓮華様なんかに見せられない。…のと(…似合ってるなら…不特定多数に衣装姿を見せたく…)」
そこへ残り三人、明命、星、蒲公英がやってきた為にこのことは結局うやむやに。
「三人もお疲れ様、今日は大成功だったよ。、今後のこっちの活動もちょくちょくお願いするよ。特に明命、敵地でしかも一人でだからとても大変だろうけど、よろしく頼む」
頭を撫でながら、そうお願いすると。
「はい!了解しました。一刀様」
明命から元気良い返事がきた、それに対してなのか。
- 266 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:56:57 ID:gpwoCfSUO
-
「おいっ北郷、敵地にて活動しているのは明命一人じゃないぞ」
と、珍しく思春が自分の活躍をアピールしてきた。
その問に『う〜ん』考えだし、閃いた!と顔をすると『ニヤッ!』と、にやけ顔になり空いてる方の手を思春の頭の高さまで上げると。
「断る!!」
一刀の行動を察した思春が怒鳴り後退した。
貴重な体験をし損ねたと、少し残念そうな顔をする一刀に蒲公英が訪ねる。
「処でご主人様、今日のご褒美は?」
「それは向こうに打ち上げの用意をしているよ。桃香たちや協力してくれたみんなも待っている。さあ行こうか」
『それだけ〜?』と蒲公英の問に『後、何が必要なんだ』と答えた一刀に蒲公英は『身体〜』と返した。
その台詞を皮切りに二人にも迫られ、残り一人には責められた。
打ち上げ会場に着くまでにバタバタと騒動も起こったがなんとか無事にたどり着く。
こうして数多ある四人のアイドル活動・騒動のそんな一つの出来事が今終わったのであった。
- 267 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/17(日) 09:59:06 ID:gpwoCfSUO
-
後日談。
ちなみに、徴兵に関してはどうなったかと言うと…怒られた。
集まらなかったからではなく、収集がつかなくなる一歩手前まで集めてしまったからだ。
一刀が一つの提案を出した、それがファン倶楽部を通して軍に志願した者に対して“活躍が著しく素晴らしい者には希望する部隊への転属を許可する”
この発案の効果は絶大だったが、軍部からは部隊の色、指揮や士気が乱れるとクレームが来た。
寄って部隊転属の審査はかなり厳しく、“転属しても隊に悪い影響が及ばない者に限る”との記載が追加されるのだった。
一刀としては『著しく可能性は低くなったが・・・夢は残した』と一人勝手に納得していたのだった。
- 268 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2011/04/17(日) 10:02:44 ID:gpwoCfSUO
-
「にゃー(ご静聴ありがとうございました、ではまた〜。次だ次!・・・あっ!ひょっとしたら当分駄目かも)」
「だから、あれほど働けと・・・まあ、ばか猫はほっといて、でわ〜でわ〜・・・」