「助けてー真桜ぇもーん」
「なんだい、一刀くぅん。って、誰が、声がすっかり変わった青狸やっちゅうの」
ぽかり。
「いやあ、べたべたですな」
「フリがあれじゃしゃあないやろ。で、なに?」
真桜は、一刀に促され、彼の部屋へと連れだって歩く。
「俺のパソコンが、どうやっても立ち上がらなくなっちゃって」
「あー? なんか、怪しいもんでも起動させたんちゃうの。えっちぃの囮に使われて」
「ち、違うわ!」
「そこでどもるんはどうなん? まあ、見てみるけど……」
「起動はもう無理にしても最悪データだけは救ってほしいかな」
「はいな。そういう方針やね。了解」
――数時間後。
「見てみたけど、電源が完全に逝ってんな。それに巻き込まれたんか、システムドライブもあかんな。電源とっかえて、
データに使っとったディスクにOS入れて、だましだましいくんも無理とは言わんけど……。新調するんが無難やと思うで」
「そうか。まあ、しかたないな……。でも、その口ぶりだと、データディスクの方は……」
「ああ、大丈夫やで。中身は予想通りやったけど」
「う……。ま、まあ、その、なあ? 華琳には内緒に……」
「残念ね」
後ろからかかった声に、一刀は恐る恐る振り向く。もちろん、そこにあったのは、金髪の女性の冷たい視線であった。
「か、華琳!?」
「いやー、すまん、隊長。ケースに空きがなかってん」
「一刀が困っていると聞いて、私のマシンに繋がせてみたら……まあ、すごいものね。しかも、眼鏡とかポニーテールとか
濡れ水着とか、ずいぶんと詳しく分類分けされていたし?」