[戻る] []

84 名前:小ネタ1/2 一壷酒 ◆1KOsYU0skY [sage] 投稿日:2011/01/22(土) 21:32:36 ID:QjJeV5Iw0
「助けてー真桜ぇもーん」
「なんだい、一刀くぅん。って、誰が、声がすっかり変わった青狸やっちゅうの」
 ぽかり。
「いやあ、べたべたですな」
「フリがあれじゃしゃあないやろ。で、なに?」
 真桜は、一刀に促され、彼の部屋へと連れだって歩く。
「俺のパソコンが、どうやっても立ち上がらなくなっちゃって」
「あー? なんか、怪しいもんでも起動させたんちゃうの。えっちぃの囮に使われて」
「ち、違うわ!」
「そこでどもるんはどうなん? まあ、見てみるけど……」
「起動はもう無理にしても最悪データだけは救ってほしいかな」
「はいな。そういう方針やね。了解」

 ――数時間後。
「見てみたけど、電源が完全に逝ってんな。それに巻き込まれたんか、システムドライブもあかんな。電源とっかえて、
データに使っとったディスクにOS入れて、だましだましいくんも無理とは言わんけど……。新調するんが無難やと思うで」
「そうか。まあ、しかたないな……。でも、その口ぶりだと、データディスクの方は……」
「ああ、大丈夫やで。中身は予想通りやったけど」
「う……。ま、まあ、その、なあ? 華琳には内緒に……」
「残念ね」
 後ろからかかった声に、一刀は恐る恐る振り向く。もちろん、そこにあったのは、金髪の女性の冷たい視線であった。
「か、華琳!?」
「いやー、すまん、隊長。ケースに空きがなかってん」
「一刀が困っていると聞いて、私のマシンに繋がせてみたら……まあ、すごいものね。しかも、眼鏡とかポニーテールとか
濡れ水着とか、ずいぶんと詳しく分類分けされていたし?」
85 名前:小ネタ2/2 一壷酒 ◆1KOsYU0skY [sage] 投稿日:2011/01/22(土) 21:34:51 ID:QjJeV5Iw0
「いや、は、はは。け、研究用……とか、だめ、ですか?」
「でもね」
 じろり、と睨みつけられ、一刀は浮かべていた笑みをすっかり消して直立不動の姿勢になる。
「正直、それはいいのよ。男の性でしょうしね。でも!」
「は、はい」
「なんで私たちの写真やらは一枚もないのよ? そりゃ、そうそう簡単に撮らせてるわけじゃないけど、
でも、あなた、これも楽しみだとか言って……」
 最後の方は、ごにょごにょと聞こえない。
「ああ、あれ。データは全部消去してるよ」
「は?」
「撮ってるのは、なんというか、興奮材料としてだけどさ。全部消してるんだよ。万が一にもどこかに
流れたりしたら困るだろ。なにより、他人に見られるようなことは、俺が許せない」
「そ、そう……。そうなんだ……。ふ、ふぅん。たいそうな独占欲ね。ま、まあ、私は気にしないけれど?
気に病む娘もいるでしょうし、悪くない態度ね」
「そうかい? ありがとう」
「……他のも、ほどほどにしておきなさい」
 毒気を抜かれたように、華琳はそれだけ言い置いて去っていく。その足取りがなんだか妙に嬉し
そうなのは、見る方の勘違いだったろうか。
「データは、消してるわな、データは」
「しーっ、真桜!」
 真桜製の『かめら』で撮った華琳の裸体写真を机の隠し引き出しに秘蔵していることは、一刀
と真桜、二人だけの秘密なのであった。
 とっぴんぱらりのぷぅ。


 まあ、そんなわけで、瀕死状態のあと、しっかりお亡くなりになられました。結局、午後一でひとっ走り
電気街に行き、即納パソコンを用意した次第。なんとか玄朝秘史の本文データは回収できたので、
それだけは不幸中の幸いと言えましょうか。
トリップを引っ張り出すのには苦労しましたけどw
そんなわけで、玄朝秘史第三十三回は、少々遅れます。出来れば、明日には、といきたいところですが、
月曜か火曜にずれこむかもしれません。そのあたりは、どうかご容赦いただきたく。
書き手の都合で申し訳ありませんが、しばらくお待ちくださいませ。

 [戻る] [上へ]