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621 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2010/10/27(水) 01:53:06 ID:ugRFuSToO
「にゃー(なんか変になりそうなんでここで一旦桃香しようかと)」
「最近の桃香率、良いですねバカ猫」
「にゃー(まあ働いてませんし)」
「・・・・・」
「にゃー(今もヘル○ング見ながら24待ちですから………なんか閃いた!俺の名は北郷一刀だ!今から愛紗を俺の閨に拘束する!言うことを聞け!・・・書けるか?)」
「・・・呆れてなにも言えませんが、拘束するなら是非に風をですね。・・・10本桃香しますね」
622 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 01:56:59 ID:ugRFuSToO
建業に着いたその日の夜は雪蓮に寝かして貰えなかった、ようやく朝方に雪蓮が先にダウンして一刀も少し仮眠が取れただけだった。
昼の手前で起きた雪蓮に叩き起こされた一刀は、雪蓮と一緒に食事の場へ。
昼飯は途中で出会った恋とねねも交わって済ます。その後、みんな揃って大広間に向かった。
既に大広間には雪蓮を抜かした孫呉の主要メンバーが一同に集まっていて、なにやら会議らしき事をしていた。
「…ゆったり昼食後に雪蓮姉様と一緒に現れるなんて、大層な御身分で…」
ギリギリ、聞こえる大きさの声で棘の有る言葉でチクリと刺す孫権。
だが、一刀が雪蓮と朝方までしていた事を知っていたら、このように冷静に嫌味など言えなかっただろう。
だからこそ、あえて発言を無視しているのか?それとも始めから相手にしていないのか?現孫呉の当主・雪蓮と客分の一刀。
当主の椅子に座ると、座った儘で脇に立ってる一刀の紹介に入った。
「みんな揃っているわね?では、改めて紹介するわ。ここにいる彼、彼の名は北郷 一刀。姓は北郷、名が一刀。字と真名は無いから気をつけてね♪劉備の所の重要人物で、ぶっちゃけると二人いる当主の片割れ。
 世間には天の御遣いとして広まっているわ」
623 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 01:59:27 ID:ugRFuSToO
「…何故お姉さまがこんな奴の紹介を、どうせ天の御遣いと言うのも疑わしい…」
ここでも聞こえる孫権の棘のような言葉を無視した二人、いやこの場にいる全員が無視していた。
「どうも。今、紹介を頂いた北郷です。まずは四カ月という短い期間ですがよろしく」
暗い雰囲気を払拭したい一心で明るく軽めの挨拶した一刀、雪蓮の紹介の仕方に当てられたのもあるがやはり堅苦しいのは柄じゃないと考えての行動みたいだ。
すると、みんなから敵視・好奇心・興味と様々な視線が向けられた。
「そしてこちらが天下に名高い飛将軍呂布殿に、その呂布のお付きの軍師陳宮殿。この前の袁術との一戦の時に訳有って、今は劉備軍の将をやってるわ。今回は一刀の護衛が任務」
「・・・よろしく」
「よろしくなのです」
紹介を受けた二人の当たり障りの無い挨拶が済むと、今度は一変してみんなの顔が同じ驚きの表情になる。
飛将軍とまで謳われた呂布程の人物が一介の州牧の配下に就くのか?劉備と云う人物がそれほどの者なのか?はたまた、目の前のこの男の妖術なのか?おのずと皆の視線が一刀に戻っていく。
「そして一刀には今日から約四ヶ月ここ建業で孫呉の為に働いてもらいます。主に政務でね、いいわよね冥琳」
624 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:01:42 ID:ugRFuSToO
その台詞に噛みつくような勢いで反対意見を述べだした孫権。
「お待ちください、雪蓮姉様。何処の馬の骨と分からぬ者に、この国の機密なるかもしれぬ情報を教えになるのですか!?」
「それには私も些か賛同です孫策様」
「ほほう、孫権様に興覇は私が相手の力量などを見極めずに、むやみやたらと機密情報をバラまくと・・・?」
「グッ!!」
「・・・」
的確な指摘をされ、反論できない二人をよそに話は進む。
「うぬ、了解した。北郷殿を預かろう、繰り返すようだが品定めはさせてもらうわよ雪蓮」
「ええ、そしてしっかり使い物になるように鍛えてね。冥琳♪」
「次にみんなが一刀に自己紹介する番、ちなみに私は一刀に真名を許してるわ」
ガタッ!?
この発言に再び、しかも立ち上がってまで抗議をする孫権。
「なっ!雪蓮姉様が真名を許すなんて」
「落ち着いて話を最後まで聞きなさい蓮華、あなたの悪い癖よ…私は真名を許してる。けれど、皆は各々で独自で判断なさい。今、直ぐ授けるのも良し。一刀の行動を観察し、信頼出来ると判断した後、真名を授けるのもまた良し」
「私は納得出来ません!?」
「ならば蓮華、貴女は真名を預けなければ良いのよ。ただそれだけよ」
「くっ!!」
625 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:04:38 ID:ugRFuSToO
再び正論を言われるも、どうしても納得できない孫権。
結果、一刀を睨み続ける行動に出た。その為にとても自己紹介できる雰囲気ではない。
「…仕方がない。ならば私から、か…」
そして睨み続ける孫権の視界から一刀を消すため、遮るように一刀の前に立った周瑜。
「自己紹介は軍師筆頭の私からしよう。姓は周、名は瑜。字は公謹。雪蓮が真名を許してるだから問題は無いだろう、真名を冥琳と言う。よろしくたのむ」
「……よろしく、冥琳」
冥琳が自己紹介を済ます、すると残りの者も自己紹介を開始する。
「私の名前は尚香。真名は小蓮っていうの。シャオって呼んでね♪」
「……よろしく、シャオ」
「ん♪よろしくしてあげるー♪」
「我が名は黄蓋。字は公覆。真名は祭じゃ」
「祭さん……。よろしく」
「応。よろしくしてやろう」
「姓は陸、名は遜、字は伯言。私の真名は穏って言います。穏とお呼び下さいね、御遣い様♪」
「あ、よ、よろしく」
「あの……姓は周、名は泰、字は幼平、真名は明命!よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします」
「はいっ!」
「せ、姓は呂!名は蒙、字は子明。あ、あの……!私の真名は亞莎、です。この名前……あなたにお預けします!」
626 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:07:29 ID:ugRFuSToO
「ああ。よろしくね、亞莎」
「は、はひっ!」
「……我が名は甘寧。字は興覇。……王が真名を授けているのだ、真名を教えよう。思春と言う」
「よろしくお願いします」
「よろしくするかどうかは孫権様次第だな……」
そして未だ疑心の表情を崩さない孫権に一刀が近寄り。
「……孫権さん」
「なんだ」
「俺が気に入らないのなら別に良いよ。君の立場から見れば、俺が胡散臭いってのは充分頷けるし。そんな男に、真名っていう大切な物わ預けるのは嫌だって気持ちも良く分かる。だからまずは俺のことを見て欲しい。
 今は胡散臭い奴っていう先入観があるから、俺の言動、存在全てに嫌悪が先立っていると思うけど。でもしばらく観察してくれていれば、胡散臭さもちょっとはマシになると思うから。
 その後で、真名を教えても良いかどうか、君自身が判断してくれれば良い。だから今は――」
そこで言葉を句切り、孫権の前に手を差し出す。
「仲間……なんてことはまだまだ言える段階じゃないかもしれないけど。それでも雪蓮たちを支えたいって俺の気持ちだけは認めて欲しいかな」
「………」
「ダメ……かな?」
627 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:10:51 ID:ugRFuSToO
「……会ったばかりの人間の気持ちなど、見透かすことは出来ない。だけど冥琳たちが私に嘘を付くはずはない。だから……間接的には認めてやろう」
俺が差し出した手をチラチラと見ながら、孫権は言葉を続ける。
「握手はしない。その……そういうことには慣れていないから……だが……姓は孫、名は権、字は仲謀。真名はまだ授けられない」
そう言った孫権は、俺は差し出した手を取らず、スッと後ろに下がっていった。
差し出した手のやり場に困ったけど……これはこれで良いのかもしれない。
とりあえず雪蓮を支えたいって言う俺の気持ちは通じたらしい。
「……孫権さん、ありがとう」
すると、自然と一刀の口からお礼の言葉が出ていた。
「そうっ、雪蓮姉様。この人とはいったいどういう仲なのかを教えてください」
先程の想いが少しでも通じたのか喋り方が若干柔らかくなっていた。
が、下がりながら更に姉に対して質問が出てきたのを聞いた一刀は『気になる人の事はかなり気にするタイプなのかな?ある意味、愛紗や華琳、凪に近いかな?』なんて、内心で思っていると。
「ん〜、そうね?私と冥琳が『断金の仲』でしょ」
「待て雪蓮!まさかいつぞやの戯れ言を!」
628 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:13:41 ID:ugRFuSToO
冥琳が慌てて止めに入ったが、暴走した雪蓮の口は誰にも止めれなかった。
「私と一刀は『禁断の仲♪』かな」
………………………★
「あら、どうしたのみんな?」
半分の者が顔を赤くする中、雪蓮だけが心底不思議そうな顔をして、冥琳はいつぞやと同じように眉間に指を押さえながら苦悶のような表情をしていた。
若干二名。当人比で鋭い眼差しが二倍に…いや、最早それは殺気に変わっていた。
その時の一刀は心の中で『雪蓮さん本当にありがとうございました』と、やはり心の中で号泣しながら叫んでいたと云う。
◇ ◇ ◇
それから数日後。
一刀の居る期間が限られている為、割と連日において会議が開かれる。
そして今日も会議の為に大広間に入った一刀。
「あれっ、早すぎたかな?」
大広間には一刀の他に“冥琳しか”居なかった。
「やあ、冥琳。おはよう」
「ああ、おはよう北郷殿」
軽い挨拶に対して同じく気軽な挨拶が返ってくる、暫く帳簿を眺めながら思いに耽っていた冥琳が不意に一刀へ声を掛けた。
「そう言えばな、北郷殿」
「何?」
「こちらから一つ、試させてもらって良いか?」
今度は一刀の方が暫く黙り込んだ後。
「やっぱり信用出来ない?」
629 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:16:12 ID:ugRFuSToO
「いや、あの雪蓮があれだけお主を買っているのだ。信用はしている……が“心配はしている”」
その一言で、冥琳の言いたい事が粗方分かった一刀は。
「で、どうすれば心配は払拭される?」
一刀からのアプローチに若干目を細め。
「そうだな……この私を驚かさせてくれぬか?」
「(う〜ん、おそらく『凄い情報の一つでも掲示して見せろ』ってことなんだろうな〜)」
と考えていると。
「やはり無理か?」
「今なら一つ。多分、驚かせることが出来るネタは有るんだけど……」
「なんだ?歯切れ悪いな」
「……人間、驚き過ぎると驚かされた相手に懸念を抱く。って、とこかな?」
「それは点は安心しろ、お前は雪蓮が劉備の所から連れて来た客人だ。そのお前が此処、建業に居る間になにか有ったなら雪蓮の名に傷がつく」
「なら、いいんだけど…」
確証は無いまでも自信は有るのだが、不意に周りを見回し伏せている兵など居ないか探してしまった一刀。
冥琳を信用していない訳ではない、だか内容がヤバすぎると思い念には念を入れてしまう。
「じゃあ冥琳……今、孫呉の国庫辺りに最重要物として“玉爾”なんて有ったりしない?『先の洛陽の時にひょっこり拾った』とかでさ」
630 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:18:58 ID:ugRFuSToO
次の瞬間!場の空気が凍る。
明らかに冥琳から殺気が出て、それ以上の誰かの凄い殺気が加わり蛇に睨まれた蛙の状態に成ってしまった一刀。
「(やっぱ不味かったか!)」
国家のトップシークレットを喋ったのだ、当たり前の反応だろう。
この時代、使いように選っては天下に号令を掛け瞬時に大陸を掌握できる程の物の話をしたのだ。
ましてや明らかに“なにもかも知ってますよ”のような口調で喋られてしまってわ。
「ふうっ〜」
そんな殺気に満ちた空気も冥琳の溜め息で四散してしまった。
「その口調では知っていたようだな。劉備の所の間諜に対する評価を大幅に上げなければならないらしい」
「いや知らなかったよ、本当に。だけど“確証はなかっけど確信あった”ってとこかな」
暫し考え込む冥琳。「………それも天の知恵が成す所行か?」
「まあ大体そんなとこかな?けれど驚いたようすがないからこの試験は失格だね」
「いや、十分に驚いてるから合格だ。そして相手に表情から事態や状況を読ませないのも軍師の仕事の一つだぞ」
「……そうだね、一つ勉強になったありがとう。でも、ひとまず合格ってことで一安心だ、けど大丈夫だと言ってた割には殺されるかと思ったよ」
631 名前:一刀十三号鳴く、[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:21:27 ID:ugRFuSToO
「正直、北郷殿でなければ……いや、場合によっては・・・明命、もうよいぞ」
「はい…」
「うわっ!!」
突然、後ろから現れた気配と声に驚いて声を上げながら振り向けば、正に真後ろに明命が立っていた。
チンッ☆
刀が鞘に収められる、さっきの冥琳の台詞の続きが気になるも忘れることにした一刀。
「(しかし、流石は雪蓮といったところか?とんでもない化物を連れて来たものだ……もし万が一に敵にでもなろうモノなら)」
そんな想定をした冥琳は一瞬だけブルッと身震いをすると考えるのを止めた。
ザ…
ザワ…
ザワザワ…
かなりの人数が近づいて来たのが分かる音が聞こえる。
「問答はお終いだ、会議が始まるからな。では、よろしくたのんだぞ北郷」
「ん?」
さっきまでと何か違うと感じた一刀だが、何が変わったのかさっぱり分からない。
だが、『冥琳に認められた』そんな気がして、より一層頑張ろうと決意を新たにしていた。
632 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2010/10/27(水) 02:23:34 ID:ugRFuSToO
「にゃー(働かなきゃ、働かなきゃ…来月の家賃がマジヤバい…てか今月の携帯代が既に!)」
「…けいたい?何を言っているのやら。とにかくご静聴ありがとうございました、失礼します〜。でわでわ〜」

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