ふと暇だった一刀は、斗詩のまねをして、少し遠くにいた猪々子を呼んでみた。
「おーい、文ちゃーん」
すると、横合いから出てくる影一つ。
「ん、なんだ、お館」
「え、焔耶? なんで?」
「いや、そっちが呼んだろう。文長、って」
「ああ、いや、うん……」
言い訳するのに苦労しました。
翌日、再び歩いている猪々子を見かけた一刀。
「よし今度こそ! おーい、文ちゃーーーん!」
「なによ、うるさいわね」
「詠? ああ、読めたぞ。文和ね、賈文和」
「……なに、呼んでおいてその態度、蹴られたいの?」
「いてっ、蹴ってから言うな。いたい、いたいいたい!」
結局、猪々子は振り向きもせず行ってしまいました。
結論、文ちゃんを呼べるのは斗詩だけ。