- 947 名前:一刀十三号 ◆MdZ3m.jCpw [] 投稿日:2010/01/11(月) 00:13:10 ID:6LBGBUeEO
-
「にゃー(無事脱出)」「してませんよ、お猫様」
ギクッ!
「「・・・」」
「にゃー(つ・連れ戻すのか?)」
「いいえ、新たな任務が出来ましたのでそちらに向かいます。風殿には発見したとだけ知らせます」
「にゃー(それだならいいか…では改めて21桃香です)」
- 948 名前:謹賀新年1-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:16:15 ID:6LBGBUeEO
-
「「「あけましておめでとうございます」」」
「はい、おめでとう」
「おめでとうだね、皆」
一刀の後に桃香も挨拶する、新年の挨拶を士官・下士官・侍女達へと一斉に交わす。
主な女性達とは既に個々で新年の挨拶は終えている。
暦の上では新年をむかえるが旧正月が主流のこの世界ではあまり騒がない。
なので質素な朝礼を兼ねた定例会議もすぐに終わる。
解散して執務室に戻る一刀に挨拶する小さい影が一つ。
「あけましておめでとうございます、ご主人様」
「あぁ、璃々ちゃん。あけましておめでとう、えっと……あったあった、はいこれ」
「ご主人様。これな〜に?」
「お年玉」
「おとしだま?」
「そう、天の国での新年の特別のお小遣い」
「お小遣いなの?」
「そう、お小遣い」
「もらっていいの?」
「貰っていいよ」
「わ〜い、ありがとうご主人様。お母さんに見せてくるね〜」
「気を付けるんだよ〜」
「は〜い」
ほのぼのとした風景に満足してた一刀に。
「……ジーッ」
「……じと〜っ」
「ご主人様」
「お兄ちゃん」
「「お年玉頂戴!」」
「……無いぞ」
「え〜ご主人様のケチ、璃々にはあげて私達には無しかよ」
- 949 名前:謹賀新年2-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:18:25 ID:6LBGBUeEO
-
「お兄ちゃんのイジワル〜」
「さっき璃々にあげたのが本当に最後のヘソクリで、今の俺はすっからかん。第一あれは大人が子供にお小遣いをあげる風習だから18才以上のお前達はあげる立場だぞ!」
「あ!鈴々、仕事思い出したのだ。お兄ちゃん失礼するのだ」
「奇遇だな鈴々、私も仕事を思い出した!そう言う訳だから失礼するな〜」
と、光の速さで消えた二人。
ちなみに今日は全員、仕事なぞ無い。
ちなみに二人とも同じことを愛紗で試してみたら拳骨を叩きつけられて『落とし鉄拳(だま)とはこれでいいのか?』と怒られるのだった。
「おっともうこんな時間か」
庭の日時計で大体の今の時間を把握すると、待ち合わせの時間に思っていたより迫ってたので移動を急いだ。
◇ ◇ ◇
「それでは、天の国での新年の遊びを披露します。とはいっても天の国でも少し古くなってあまり遊ばれなくなりつつありますが、ここならおそらく最先端ですから」
「天の国での最先端は披露しないの?」
極々普通の質問が飛んできた。
「技術的に無理だから諦めて(最近じゃあ家族でテレビゲームが流行ってたらしいけど)」
「なんだ、つまらない」
- 950 名前:謹賀新年3-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:20:56 ID:6LBGBUeEO
-
「無茶言わないでください、とにかく一つ目は歌留多です」
「カルタ?」
「そう歌留多、読み手が読んでる札を取り手が床に並んでる同じ札いち早く取る遊戯。で、実践してもらった方が早いから読み手に桔梗、取り手に焔耶とタンポポにやってもらう。じゃあ始めて桔梗さん」
「承知した、お館様。では一枚目……」
「(そう言えば歌留多の原稿、仕事も忙しくって詰まってた時、酔った勢いで書いたんだっけ?何書いたっけかな?)」
「月と詠」
「ブッ!!ゲホッゲホッ」
むせる者が一人。
「はい!」
タンポポが勢いよく札を取った。
「(あれって月とスッポンをもじったのか?月は素直だけど詠はツンツンツン子で正反対だなって意味で)」
近づく影が二つ。今、呼ばれた月と詠である。
「あんた、あれどういう意味よ」
「(マズイ本当の事を言ったら殺されかねない)アレハ二人トモ美人ダネッテ、美人二人ダトトテモ美シイネッテ意味ダヨ」
「なに言ってるの、このばかち●こ、月が可愛いのは当たり前だとしてボクをおだててもなにも出ないわよ」
顔を赤らめよそを向く詠を見てチャンスと見た一刀が。
「バカだな詠もちゃんと可愛いよ月と甲乙つけられないよ」
- 951 名前:謹賀新年4-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:23:14 ID:6LBGBUeEO
-
「そ・それがおだててるって言っているの!ひょっとして、からかってるの!」
「からかってないさ、ねえ月」
「はい、詠ちゃんはちゃんと可愛いですから」
「…………プシュー」
顔を紅くして湯気をあげて後退する詠。
「(フゥ、一人かわした)」
「次、泣きっ面に愛紗」
「はい!」
またもやタンポポが札を取った。
「ご主人様、あれはどういう意味ですか?」
本人登場、“なんともタイミイグの良い事で”と心で呟く。
「アレハ泣イテル所ニ頼モシイ愛紗ガ助ケニ来テクレテ嬉シイナ、ッテ意味」
かなり妖しい片言な筈なのだが。
「そんな、ご主人様。勿体ないお言葉、今後も頑張ります」
愛紗は舞い上がって気が付かないでいた。
「次、麗羽・猪々子・斗詩が集まれば文珠の知恵」
「はい!」
またもやタンポポが余裕に札を取る。
すると、バンッ!タンポポの手の上に焔耶の手が被さる。
「痛った〜い〜、この筋肉女!勝てないからって姑息な手を使わないでよね!」
そのつもりが無かった焔耶だが、売り言葉に買い言葉、焔耶も言い返す。
「誰がそんな手段を使うか!言い掛かりも大概しろ!」
- 952 名前:謹賀新年5-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:25:42 ID:6LBGBUeEO
-
本当に偶然なのだがこの二人である、通じる訳がない。
「焔耶よ、わざとでなければ気を付けい」
「…はい、桔梗様」
「へへ〜ん、怒られてるの」
「ぬぬぬ」
「タンポポもだ、挑発するでない」
「…は〜い」
「フンッ…」
「あっ、今鼻で笑ったでしょ。むかつくんだから、脳筋のくせに」
「なんだと!この小悪魔娘め!」
「止めぬかお主ら!お館様や桃香様、または華琳殿に雪蓮殿達の前で!」
ゴチン☆今度は雷と同時に拳骨が落ちた。
「「痛ッー」」
二人とも頭を抑え痛みに耐えてる。
「「………すいませんでした」」
「分かればよろしい、では続けるぞ。次…」
次の読み文に引き出される人物はいなかった、すると一刀の服の袖を引っ張る者が一人。
「なあ、アニキさっきの意味ってなんだ?」
猪々子の後ろには麗羽と斗詩が並んでいる。
「勿論、君達三人ガ集マッテ考エレバ文珠ノ知恵ガ生マレルッテ意味ダヨ」
「おーほっほっほっ、そんな当たり前の事。誉めても何も出ません事よ」
「そうだよアニキ、あまり誉めるなよ。照れるじゃん」
「本当にそう言う意味なのかな?」
斗詩の言葉にギクリとする一刀だが。
- 953 名前:謹賀新年6-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:27:20 ID:6LBGBUeEO
-
「そんなの決まってるじゃん、奇抜な麗羽様の教えに、純真真っ直ぐなアタイの考え、麗羽様の知恵袋の斗詩が加われば向かう所敵無しって意味だよ斗詩」
「そ、そうかな」
「そうだよ」
「なら間違えないか」
猪々子の説得?に勝手に納得した斗詩、相変わらず高笑いの麗羽がそこにいた。
「次、ああ言えばこう言う桂花」
「もらった!」
目をつけていたのか今回は焔耶が取った。
「ちょっと北郷!どういう意味よ、あれは!」
「勿論、ナニヲ言ワレテモ全テ論破スル桂花ハ凄イナッテ意味ダヨ」
「あら?あんたしてはまともな意見ね、ようやく少しは私の凄さを理解出来てきたみたいじゃない」
「次、祭殿は死なずただ消え去るのみ」
「はい」
タンポポの勝ち。
「(あれ?俺自殺願望有ったっけ?)」
「して、これの意味は?」
「(いますよね、当然いますよね)祭サングライノ人ダト戦場ナンカジャ死ナナイカラ無事引退シテ戦場カラ去ルッテ意味」
「北郷よ、儂は生涯現役じゃよ、仮に老衰で死ぬ羽目になったとしても戦場で死ぬと決めておる。だからそれは無い」
この台詞を聞いた瞬間一刀の脳裏にある光景が甦る。
- 954 名前:謹賀新年7-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:29:12 ID:6LBGBUeEO
-
場所は赤壁、紅蓮の炎が燃え盛る中で一人の女性が長江に落ちていく光景。
「………さ…」
「なんじゃ北郷?」
「ごめんなさい、祭さん」
目頭が熱くなっている一刀。
「どうしたのじゃ北郷!」
「…大丈夫、でも祭さん生涯現役だから戦場で死ぬとか言わないでよお願いだから、その日が来るのは嫌だけど家族や皆に見守られながらの方が良いって絶対に」
「………うぬ〜、北郷がそう言うなら考えとかん事もないぞ」
「ありがとう」
感情的になり祭の手を握りお礼を言う一刀。
「よさぬか年甲斐にもなく照れるわい」
「ヴヴンッ、次よろしいかな」
厳顔の掛け声に我に帰り、改めて自分の状態を確認して恥ずかしくなった一刀が慌て手を放す。
「では、次」
「あら、ご主人様。先程は璃々がお世話に…」
「紫苑の冷や水」
「はい!」
「ハイ!」
これも焔耶が予め目をつけていたのだろう、素早く札に渾身を込めて手を叩きつける。
だがタンポポがそれを上回る速度で札を取り手を引っ込めると。
バンッ!焔耶が手を床に叩きつけた。
「痛〜!」
「やっぱりそう来たわね、何度も卑劣な手に引っ掛からないんだから!この脳筋」
- 955 名前:謹賀新年8-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:30:58 ID:6LBGBUeEO
-
いつもなら多少は耐えれる焔耶も手の痛みも手助けしてか即座に爆発した。
「貴様!一度ならずか二度までもの卑怯者呼ばわり!もはや勘弁ならん、成敗してやる!」
「やれるもんならやってみなさいよ、この脳筋!」
「殺す!」
この騒ぎ、桔梗の鉄拳制裁で終わるのだが、もはや一刀の耳には届いていなかった。
代わりに届いた台詞は。
「ご主人様、先程の台詞の意味は何でしょう?」
祭とのちょっと感動な雰囲気など微塵も残っていない。
代わりに背中に氷の柱を突っ込まれた気分の一刀、顔には出さないが背中は汗でびっしょりだった。
「それは、紫苑でも冷や水にはびっくりするよって意味……」
裏返った、裏の裏は表になったのだ。
「まあ、ご主人様。私でなくとも、誰でも冷や水にはびっくりしますわ。それと先程、璃々がお世話になったそうで、改めて私からお礼を申しあげます」
そして、まだ用が有るからとその場を去った。
「(た、助かったー)」
心底安堵する一刀をよそに歌留多は続く。
「次、蒲公焔(タンエン)の仲」
バンッ!
同時、今度は二人同時で札の端と端を掴んだ。
「放しなさいよ、脳筋」
「お前こそ放せ、小悪魔」
- 956 名前:謹賀新年9-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:33:27 ID:6LBGBUeEO
-
そして焔耶が力任せに引っ張ると。
バキッ☆
と、札が割れる。
力一杯引っ張っていた二人は転がり部屋の壁に頭をぶつけて気絶した。
「この勝負、引き分け!」
札の数は圧倒的にタンポポの勝ちなのだが桔梗の独断で引き分けにしてしまった、確かにある意味間違ってはいなかったが。
「ねえご主人様、今の札の意味は何?」
桃香が訪ねて来た。
「仲が悪い様に見えてその実、息がぴったりなのを言うんだよ」
勿論デタラメだが。
「なるほど、流石ご主人様」
のびてる二人を見て、納得する桃香だった。
「では、次に移ります」
一刀の掛け声に一同が移動しだした。
◇ ◇ ◇
「次は、羽根突きです。今は星と翠に実践してもらってます」
見ればかなり高い水準の羽根突きが展開されている、○やら×やら□やらと顔の墨を見ると若干、星が優勢と見える。
「でゃ!」
「しまった!」
掛け声と共に速度による直球勝負に翠に軍配が上がった。
「よっしゃー♪鈴々。墨、墨」
受け取った墨と筆で星の鼻の先端を黒く塗る。
「ギャハハハ!こいつは思ってた以上に傑作だ」
鈴々も腹を抱えて笑っている。
- 957 名前:謹賀新年10-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:35:45 ID:6LBGBUeEO
-
「翠よ、どうやら私を本気にさせた様だな。後悔するがよい」
自尊心に触れるなにが起きたらしく、星の目が若干細くなった。
「なんの返り討ちにしてやるよ」
勢い良く返答する翠。
「待った!」
これからの決戦にストップをかけたのは、雪蓮だった。
「雪蓮殿、止めてくれぬな」
「そうだ雪蓮。水を指さないでくれよ」
本来、迫力ある星の台詞も顔の悪戯書きで威力半減である。
「いえね、接戦も悪くないんだけど。折角のお遊びじゃない、ならもっと遊ばないと。ニヤリ」
「(あれは…)うぬ、雪蓮殿の考えも一理ある、この場は引くとしよう」
雪蓮の悪い顔に何か感じたのか、蜀代表の悪い人、星があっさり身を引いた。
「えっ?いいのかよ星…」
「ああ、構わん」
「まあ、星が構わないなら私は反対しないけど」
「して、遊び方は?」
「その前に、顔を洗ってきなさい。二人とも」
「うぬ、それもそうだな」
・・・
・・
・
二人が顔を洗って帰って来た。
「じゃあ一刀、お手本になって」
「(やはり、その辺で来たか)了解」
「で、明命。相手してあげて」
「「はい?」」
- 958 名前:謹賀新年11-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:38:42 ID:6LBGBUeEO
-
「雪蓮様、それでは全く遊戯にならないのでわ?」
「なんの罰ゲームだよ、雪蓮」
「そうね、一刀には罰かな?でも皆には楽しいお遊びになるから」
「ヘイヘイ、どうせ俺は皆のオモチャですよ」
「ぼやかない、普段良い目にあってるんだから」
「良い目?どこで?」
「明命、手加減無しでいいわよ」
「ですが雪蓮様……」
「とりあえず始めなさいよ」
「ほんなら、審判は公正的にウチがしたる」
「よし決まったな、なら始めよう」
「始め!」
スン…
・・・
「どうしたの明命、早く始めなよ」
「あのな一刀……明命に一点」
「なんだよ霞、明命まだ始めてないだろ」
「一刀、足元よう見てみい」
「ん?………あ!」
一刀の足元には羽根突きの羽が地面にめり込んでいた」
「ほな一‐零な」
「墨の罰は?」
「もちろん有りに決まっててるじゃない」
墨と筆を取り出す明命、何か書こうとした時。
「明命!」
「はい」
「文字を書くなら一勝利に一画な。仮に中の字なら四回勝利しないと駄目だぞ」
一刀にしてみれば延命処置や画数が多い文字は諦めるだろうと考えての行動だったが、それは裏目で地獄を引き延ばしただけであった。
- 959 名前:謹賀新年12-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:41:57 ID:6LBGBUeEO
-
「そうですか、ならそれだけ勝てとの試練なのですね、一刀殿。不肖ながらこの明命頑張らせて頂きます」
バスン!
「明命、五。一刀、零」
バスン!!
「明命、十三‐零」
バスン!?!
「明命、二十四」
「霞、ちゃんとやろうよ。審判」
「せやかて、さっきから点数入るの明命だけやん」
バスン!!1!
「明命三十以上」
「霞〜」
零点の一刀を無視する霞、だが一刀の額を見た瞬間、大爆笑する。「大変だ、霞がおかしくなった」
皮肉を込めて、振り向きながら皆に語りかけると、見物人皆も爆笑の渦になる。
「何?なに?」
額に何か書かれてた文字が完成したらしく、まだ皆が笑っている。
「なにが書かれてるの?」
「お兄さ〜ん、胸に手を当てて考えてみましょう。自ずと答えが見えてくる筈ですよ〜」
「身に覚えが在りすぎて判らない」
「なら、全部だったりして〜」
「はぐらかさないで教えてよ〜」
「処で明命、よく筆と・・・あなた、その墨ひょっとして!」
「・・・・・?」
問われて首を傾げる明命の仕草が可愛い。
「・・・・アァ!!」
明命の反応に呉勢の将、皆が更に笑い声を高める。
- 961 名前:謹賀新年13-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:45:12 ID:6LBGBUeEO
-
「なに?明命」
「な・な・なんでも無いですよ一刀様」
「今、『アァ!!』って言ったよね?なんでも無いなら『アァ!!』とは言わないよね?それにあからさまに動揺してるよね?」
「大丈夫です、人体に害は有りませんから」
「じゃあなにが害有るの?」
「・・・失礼します」
シュ!姿を眩ます明命に。
「逃げるな!そしてなにを書いた〜!」
クルッ。
「プッ」
クルッ。
「ププ」
笑いを耐えるのに必死な全員。
「この勝負、明命の逃亡により。一刀の勝利!」
「嬉しくないんですけど」
◇ ◇ ◇
顔を洗ってきたが含み笑いが一向にとれないので、包帯による応急処置をする。
ちなみに一刀はこれから一月頭の包帯が取れなかった事をここに明記しておこう。
次はコマ、まあ精々不器用な春蘭がコマを壁にめり込ませたぐらいだ。
そして凧上げ、これも春蘭が引っ張る際に凧糸を引き千切ったぐらいだった。
「で、次が福笑い。やり方はこの華琳の顔の枠の土台に目隠しして、目・鼻・口・眉毛、これだとクルクル髪の毛と耳も付いてるね。難易度高いよこれ」
「これを全て目隠しでやるのですか一刀殿」
魏の軍師の一人が質問する。
- 962 名前:謹賀新年14-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:47:37 ID:6LBGBUeEO
-
「そう全部、目隠しでやるの。大丈夫、失敗するの前提でやるから、それを笑うんだから。これは魏の誰かにやってもらおう」
魏の将達はお互いの顔を見合う、誰がやるかで。
失敗前提だとはいっても自分等が君主華琳を笑いのタネに出来るわけがない、もし笑いのタネにしようもなら後でどんなお叱りが……
そんなのを悦ぶのは春蘭と桂花ぐらいである。
「北郷、それを私にやらしてくれ!名誉返上したいのだ」
「姉者、それを言うなら汚名返上だ」
「おお、それだ。流石は秋蘭」
「恥の上塗りよ…しまったわ!本命はその後のお仕置きね」と桂花。
「ならやってみなさい春蘭。けど次は無くてよ」
「はい、華琳様」
準備に取り掛かる、目隠しをし、座る・秋蘭に手を取ってもらい顔の輪郭を丁寧になぞってもらう。
「よし良いぞ」
「姉者、右側の髪の毛だ」
受け取ると迷い無く置く、それがあまりにピッタリと置かれる。
「なんて正確なんだ、難易度を更に上げる。渡す順番をバラバラにして秋蘭」
「私は構わないが、どうだ姉者?」
「解ってて聞くな秋蘭、私は一向に構わん」
「だそうだ。では次は口だ」
- 963 名前:謹賀新年15-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:51:48 ID:6LBGBUeEO
-
一刀の難易度上げなど、無意味だと言っているかの様な動き。
口もピッタリ理想の位置に着く。
「(忘れてた、春蘭は華琳が絡むとレベルが出鱈目に底上げするんだった)」
かくして文句の付けようのない完璧な福笑い華琳が完成した。
「良くやったわ、春蘭。今夜は私の部屋に来なさい」
「ハッ」
「しまった、どちらにしろ春蘭に今夜の権利を取られたわ。悔しい!」
「で、一刀」
「なに?」
「どうして失敗すること前提の遊戯に私の顔を使ったり・す・る・の」
「(やっべ、声がちょっと怒ってるかな?)いや、ちゃんと桃香と雪蓮のも作ってあるよ。出したのがたまたま華琳だっただけ」
「じゃあ、一刀。あなたのは?」
「無いよ、なんで?」
「か〜ずと。失敗するのを前提で笑う遊びに私達三人の顔は作っておいて自分のが無きゃ」
「私達三人を笑う事を前提だったって、考えられても否定出来ないと思うなご主人様」
「あっ!」
言われて気が付く。
別にそんな気も無かった、男の福笑いを作ってもしょうがない。と、ぐらいにしか思っていなかった。
第一に本来の福笑いはオカメで一応女性だ。
- 964 名前:謹賀新年16-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:57:17 ID:6LBGBUeEO
-
だがそんなことを言った所で聞いてくれるか?などと考えていたが。
「どうしたの…そんなに近づいて、恐いよ」
「別になんでも無いわ、それより桃香」
「なに、華琳さん」
「一刀の福笑いを作っておいて。今度、三人で遊んで見ましょう」
「了解だよ、華琳さん。雪蓮さんも遊ぶよね?」
「もちろんよ、桃香・華琳。…でも一刀には少し罰が必要かな…」
なにやら恐ろしい結束が出来てしまったと思う一刀がため息を漏らす。
そして粗方、遊びの説明が終わり解散になった。
星と翠が早速再戦に入っているが、一刀を抜かせば無事に説明会は終了したのだった。
そう、この時点では一刀以外は……
◇ ◇ ◇
その夜、一刀の部屋をノックする音がした。
ガチャ。
扉をあけるとそこに詠の姿が。
「どうしたの詠?」
「ちょっとあんたに聞きたい事が出来てね」
「なにを?(嫌な予感がするかも)」
「昼間のカルタの件だけど、意味を知りたくてね」
「だから、言った通りだって」
「まあね、あんたが作った言葉だから意味もあんたが作った通りでしょう。ボクが知りたいのは元になった言葉と意味よ、知らないとは言わせないわよ」
- 965 名前:謹賀新年17-21[] 投稿日:2010/01/11(月) 00:59:12 ID:6LBGBUeEO
-
ギクッ!
「ナンコトデスカ?元ノ言葉ガ仮ニ有ッタトシテモ、出来タ言葉トハゼンゼン関係無イヨ」
「それをこれからボクが判断しよ…あんた、その口調……今、思えば昼間もそんな口調だったわね……嘘ついてるでしょ」
ギクギクッ!
「ソンナコトナイヨ」
「なら皆にも同じこと言うのね、このち●こ太守!」
「皆!?」
扉を全開すると人が入ってくる、麗羽・猪々子・斗詩・桂花・愛紗とネタにされた各面々。
……終わった、なにもかもが終わったと思った一刀に急激な寒気が襲いかかった。
「・・・シ・怨?」
一番後ろにいた紫苑が一気に禍々しい存在感を出すと一緒に抗議に来た者達も震えだす。
「ご主人様」
「ハイ!」
「本来は璃々のお礼に来たかったのですが、どうしてもお聞きしたい事が出来まして……よろしいでしょうか」
否定を絶対に許さない威圧感での質問、どうしたって逃げられない。
「…………はい」
がっくりうなだられて答える一刀、地獄は始まったばかりだったのだ。
- 966 名前:年末余談1-4[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:01:34 ID:6LBGBUeEO
-
☆余談☆
「たいちょー」
「隊長〜」
「隊長」
真桜・沙和・凪にそう言われて感動している一刀。
「(やっぱ三人にはこっちの方がしっくりくるな〜)なに?」
「いや〜ちょっと呼んでみたかっただけなん、かんべんして〜な、たいちょー」
「そうなのー、勘弁なのー隊長〜」
「二人とも不謹慎だそ」
「だったら凪はなんでたいちょーのこと呼んだん?」
「それは……すまん、私も隊長とお呼びたかっただけだ」
あっさり降参した凪。
「なら凪ちゃんも不謹慎なのー」
「なら皆お互い様でいいじゃないか」
「そうでんな〜」
と、和みムードが終始続いた。
ことの発端は数日前。
◆ ◆ ◆
「ねえ、一刀」
「なに、華琳?」
「白帝城の街の警備の立案・提案、あなたがしたって本当」
「ああ、本当だよ(華琳の元でびっちり叩き込まれたからね)それが何?」
「そのね、決して治安が悪い訳では無いのだけど。ここの治安の良さは群を抜いてるのよ、出来たら見習いたいの」
「なら教える?」
「そうしてくれるなら助かるわ、でも長安の警備担当はそこの三人、三人に直接ご指導願えるかしら」
「了解」
- 967 名前:年末余談2-4[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:03:53 ID:6LBGBUeEO
-
こうして一刀は魏で体験し、戻った現代であの時代に有効で効率的なやり方を再構築、そしてまたここで実践しながらの微調整を入れたほぼ完成版を三人に教えていた。
「うひゃ〜凄いな、一刀はん」
「本当なのー、これなら人を減らせて他の地区に回せるのー。さっすが天の御遣いなのー」
「流石です、一刀殿」
「あー凪、まだ駄目なんだ」
「はい、一刀殿をさん付けで呼ぶにはまだ抵抗が…」
「まあ、それじゃあ仕方がないよね」
少し寂しげな顔をした一刀を見た凪が意を決した。
「一刀殿、一つ提案が」
「ん…何?」
そこそこの迫力に一刀も真剣に聞き返す。
「一刀殿は我等が警備隊に教える身、事実上警備隊の長。ですから隊長と呼ばせてください!」
「そりゃアカンやろ、凪!相手は蜀の頭の片翼」
「または天の御遣いにして、華琳様・桃香さんや雪蓮さんとタメ口を張れる。ある意味、本当に天上人なのー」
「それをだたの隊長呼ばわりって、どんだけ格さげる気やねん。謝り、いくら凪でもアカン謝り」
「いや私は確信した。今、一刀殿に向かって『隊長』と言った事でこれしかないと。例えこれで斬られる破目になっても後悔しない、誇って死ねる」
- 968 名前:年末余談3-4[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:05:36 ID:6LBGBUeEO
-
「凪〜!一刀はん、えらいすんまへん。凪の奴ちぃーと混乱してるみたいで…」
「かまわないよ」
「「へっ?」」
さてどうやって誤魔化すか必死に考えてた真桜と沙和が面を食らっている。
「今なんて言ったなのー」
「かまわないよ、って。けど公式の場や民の前では要らぬ誤解を招く恐れがあるから勘弁して」
「ほんまかいな〜」
「凪ちゃん凄い〜」
「あ・ありがとうございます。では……」
「どうしたん凪?」
「いや誰が初めに言うかで…」
「その呼び方、勝ち取ったの凪やん。凪が最初にいい」
「そうなの凪ちゃん、初めては凪ちゃんのものだよ」
「すまん二人とも…言葉に甘える。では改めて一刀殿、今後は隊長と呼ばせていただきます」
「よろしくな凪」
自然に応える一刀に凪の反応が見受けられなかったが次が動き始める。
「真桜ちゃん、私たちは同時に言おうね」
「そうやな〜ほんなら沙和」
「了解なのー」
「「隊長!」」
こちらは元気な声が響きわたった。
「こっちはみっちりシゴクから覚悟しろよな」
「早速ヒドッ!たいちょーのイケず〜」
「隊長〜意地悪なのー」
一刀・真桜・沙和の笑い声が響く中相変わらず凪が黙っている。
- 969 名前:年末余談4-4[] 投稿日:2010/01/11(月) 01:07:41 ID:6LBGBUeEO
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心配で凪の顔を覗いた真桜が。
「ちょっ!凪、なに泣いてん。大げさな〜」
「えっ!?」
真桜の言葉に呪縛から解けたかの様に慌てて頬に手をあてると確かに濡れている、何故だか解らないが泣いている自分がいると凪は認識した。
そしてある意味呪縛から解いてくれた真桜の方を向いた凪が言い返す。
「だが真桜、それに沙和、お前達も泣いてるぞ。大げさなのはどっちだ」
「「えっ!?」」
凪と同じ動きを二人が繰り返す、そして同じく頬が濡れてるのを確認した。
「なんや、これは…笑い泣きや、そうさっき笑った時の笑い泣きや。なあ沙和」
「そうなの、これは笑い泣きなのー」
必死に誤魔化す二人。
「解ったよ二人とも、それでかまわない。だから次は三人で呼ぼう」
「かまわへんとは、ちと納得せ〜へんけど、三人同時に呼ぶのは賛成やな」
「それじゃ三人同時なのー、せのー」
「「「「隊長!」」」
「よろしくや」
「よろしくお願いします」
「よろしくなのー」
「ああ、三人とよろしく頼むな」
今ここに、北郷一刀に取って四人だけだが北郷隊が再結成された。
この事は一刀に取って心底嬉しい出来事の一つであった。
- 970 名前:一刀十三号 ◆MdZ3m.jCpw [] 投稿日:2010/01/11(月) 01:12:33 ID:6LBGBUeEO
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「ハッ!先程までお猫様がいた場所に針鼠が!……いえ、あれは針鼠状態のお猫様!よく見ればこれは祭様の矢、こちらは紫苑殿の矢が!大変です早速抜かなぬくてわ!」
ドスッ!
「これは祭様のが、抜くなとの警告!仕方ありません、お二人の怒りが治まるまで暫し待ちましょう。(一度やってみたかったです)
それでは皆さん不肖明命がお別れの挨拶をば、さようならごきげんようです!」