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629 名前:一刀十三号曰く ◆MdZ3m.jCpw [] 投稿日:2010/01/05(火) 16:53:00 ID:+a1zdxQwO
「ぬう…酷い、グダグダです。よもやこれ程とは……しかも今は正月、連載はクリスマス…グダグダです」
「それにおかしいです、いつもなら復活しているころなのですが………とりあえず14桃香なのですよ〜」
630 名前:クリスマス1-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 16:55:48 ID:+a1zdxQwO
◇ ◇ ◇
クリスマス・本番?の朝は雪蓮への苦情から始まった。
「雪蓮!昨日、雪蓮が言っていた宿り木。何処にも無いのだ!」
「そうだよ、全く無い訳じゃあ無かったけど…場所的にちょっとなあ……って所ばかりでさあ」
文句をたれてるのはある程度夜中まで彷徨いてた連中である。
「ごめんなさい、多少手違いと不幸な事故も重なってね。今ぐらいから常時設置されてるから安心して」
“まあ、間違いなく設置されるなら”と、渋々苦情組が解散する。
皆、口々に“今晩こそは!”と呟いていた。

◇ ◇ ◇

今朝は普段と違う雰囲気で会議が始まる、それは蜀の将だけでなく、魏と呉の主要な将も参加しているからだ。
“こんな時にやらなくてもよいのでわ?”と意見も出たが定例会議なのでやる事になった。
そして魏・呉の将の参加には始めは反対者も出たが“今の状態で政治的に隠し事する意味が有るのか?有るのは個人的の恥ずかしい話だけだよ”と、桃香と一刀の鶴の一声で参加が決まった。
ちなみに、鶴の一声に愛紗だけが『恥ずかしい話はご主人様の話だけです!』と、少々むくれていた。
631 名前:クリスマス2-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 16:58:14 ID:+a1zdxQwO
いざ会議が始まると、別に探る訳ではないが今の蜀の状態を把握しようと、特に軍師勢がしっかりと話を聞いている。
「それでは、愛紗さん……」
と、朱里の司会で始まった会議だが、ものの十五分程度で我慢出来なくなった桂花の突っ込みで中断する。
「あなた達!隠す必要が無い、とか言って!『みっしょん』『すけじゅ〜る』『とっぷ』等々、皆目見当もつかない暗号使って!何て意地悪なの!」
「桂花、止めなさい」
「ですが華琳様!」
「桂花…」
「はい……」
華琳に軽く睨まれ大人しくなった桂花。
さすがに周りが少し不憫に思ったのだが、当の本人は顔が紅潮し出していたのでまんざらでもない様子だ。
「はわわ!す・す・す・すいません、いつもの癖で。ここ最近、ご主人様に教えていただいてる『えいご』を乱発しちゃて」
「ぬ〜、私達も朱里の『えいご』には始めは戸惑ったが慣れたせいか気にしてなかった、すまなかった皆の者」
「いいえ、配慮が足りなかった私が悪いんです。愛紗さん」
「あら〜?一番悪いのは決まってるじゃない」
この発言に一同、発言者に注目する。
632 名前:クリスマス3-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:00:43 ID:+a1zdxQwO
「朱里に英語を教え、日頃の行動を見ていて、かつ性格も判断出来ていて。この事態を予測出来たにも関わらず対処を怠り、今だにのほほ〜んとしているこの国の頂点の一人!」
この台詞に。
「えっ?私!」
自分を指しながら答える桃香。
ドサッ!!
豪快に転ける者多数、華琳・雪蓮・冥琳ですら首だけの軽いコケだが、してしまう程だ。
「桃香、あなた『えいご』は教えられるの?」
「うん、最近は結構覚えたんだよ。『みるくてぃー』『ぴーち』『うえでぃんぐ・どれす』でしょ、それから『ばーじん・ろーど』」
指を折りながら英語を答える桃香、だが直ぐに緊急事態がやってきた。
「『ぱいずり』に『ふぇらち《わーわーわー》
大声で桃香の声を掻き消す一刀だが時既に遅し。
「ご・しゅ・じ・ん・さ・ま!」
「か〜ず〜と〜!」
「か〜ずと♪(氷の微笑み)」
「後で!話があります!」
「後で!話があるわ!」
「後で、私の部屋にいらっしゃい♪」
「……………ハイ」
小さな声で答えた一刀。
「それと桃香」
「ナニ?ナニ?」
呼ばれて反応する、仕草は相も変わらず可愛いのだが結果が一刀を窮地に立たせてる。
633 名前:クリスマス4-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:03:18 ID:+a1zdxQwO
「さっきの英語は知っていたんじゃなくて、最近覚えたんでしょ」
「うん」
うなずく仕草も可愛い。
「じゃあ桃香に教えたのは誰?」
「…………あぁ、ご主人様だ!」
「正解、なら朱里に『えいご』を覚えさせたあなたの国の偉い人は?」
「ご主人様!」
「正解、大変良く出来ました。(だから後でたっぷりお仕置きね)」
震えが収まらない者が約一名。
「では、改めてまして。『えいご』を使わないで会議を初めから再開しようと思います……」
さて、次からが大変だった。
言葉と話の内容は解る様になった、が。
行う行動や理論、考えが理解出来なかった。
試験的段階らしいが。
先ずは裁判『陪審員制度』とかでは、なぜ一般市民が関わらせるのか理解出来ない者多数。
勉学も私塾ではない、国運営の学校とかもそうだ。
通行税廃止の実地・障害の理由以外は最低三年の徴兵の義務化。
簡単に、本当に簡単に取り上げただけでこれだけ国家単位の問題が上がり二国の軍師達の顔が険しくなっている。
「質問はいいかしら?」
怖いもの知らずか、初めに噛み付いた意地か、発言する桂花に。
「手短なら」
と答える一刀。
634 名前:クリスマス5-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:05:34 ID:+a1zdxQwO
「なら、とりあえず二つ“陪審員制度”北郷一刀、あなたの考えを聞かせて頂戴」
「う〜ん、簡単だよ。陪審員の方は、天の国で専門家の知識は大事だけど、一般市民の考え方・世論も大事だよね?ってだけ」
「それだけ?」
「それだけ。でも結構重要だぞ、時には市民の感情も考えに組み込まないといけない時も有る。
 天の国の時でさえ、一市民だった俺が上の決定・考えに“そんな、馬鹿な?”って思った事結構有ったし」
なかなか面白い意見だと二国の軍師勢が感心する。
「そう、なら良いわ。では徴兵制度については?これは商人達からとか相当の反発くらうわよ」
「俺がこの世界に来た当時に比べれば著しく平和に成った。そして基本的に平和が続くだろうし、続けるつもりだ」
「当たり前でしょう、この為に数え切れない程の血が流れてるのよ」
「だが、それはそれで弊害が出てくる」
「へえ?どんな弊害?」
「また例えが天の国での話になるだけど。あっちじゃ“平和ボケ”とか言ってたな」
「平和ボケ?」
初めて聞く単語に理解出来ずどう反応すれば分からない皆。
「平和過ぎてね逆に刺激が欲しくなって犯罪に走る、解りやすく説明するばこんな感じかな?」
635 名前:クリスマス6-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:07:37 ID:+a1zdxQwO
「せっかくの平和なのに、それを理由に犯罪に手を出す?何を言っているのだ北郷」
そんな体験の無い将官・文官、皆が困惑な顔をする。
「平和期間が長過ぎるとね、有るんだよ実際。前兆として既に、一部の商人達に金さえ出せば何でも出来る・あえてご禁制の品を扱う所が出始めてる。
 確かに戦中の彼等の資金提供は凄く助かった。だからこそ彼等のお金が間違った使い方をされたくないのも有る」
「だからって、徴兵と何の関係が有るの?」
「これも単純だよ。商人達には『世の中、愛紗達みたいにお金じゃ動かない人も居るよ』と。市民には彼女等の覇気にあてられれば考えも変わるなかと?
 まあ、緊張感のある適度な運動をすれば不健全な考えも生まれないだろうって、俺の甘い考えだよ」
「一刀の心配がただの懸念になれば良いけれど、平和で豊ゆえに生じる障害……確かに考えとく価値は有るかもしれないわ。桂花、帰国後に議題に上げとくように」
「はい、華琳様」
「…冥琳。今の話、私達も帰国後に検討するわよ…」
「…なんだ雪蓮。深刻か?…」
「…場合によっては最悪、国を滅ぼしかねない心の病よ…」
「…分かった…」
636 名前:クリスマス7-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:09:43 ID:+a1zdxQwO
一部、密談も有ったが取り組む姿勢に変わりはないようだ。
「それでは、ここまで民の事を思う一刀と桃香の国が、どこまで民の為に貢献出来てるか!どこまで民に慕われているか実際に目で確認しに行きましょう!」



魏・呉勢「「「オォー!!」」」
「また、いきなり唐突だな。まあ、かまわないよ、華琳と雪蓮は来るとして、残り誰が行く?」
「一刀と決まってるじゃない、ぜ・ん・い・んよ、全員」
「あっ!決まった?で全員ね」
素っ気なく答えたが言葉の意味を理解すると顔を少々青くして。
「………相変わらず、無茶するね…皆」
◇ ◇ ◇
そして昼過ぎ、白帝城々下は珍しく賑やかではなく騒がしかった。
三国の重鎮が来た!位では驚かなくなった住民も。実際、目の前を総員で歩かれれば、ざわつきもする。
まあ、実際はざわつくだけで状態は普段と別段に変わらない。
桃香の周りに子供達が集まって遊び、恋に屋台や飲食店のオヤジにオカミが食事を振る舞う、鈴々と翠がおこぼれを頂戴する、といったような光景だ。
「呆れた、これが普段の光景?……でも嫌いじゃあないわ。そうね洛陽ではあまり見掛けない光景だからかしら」
637 名前:クリスマス8-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:11:33 ID:+a1zdxQwO
その台詞に華琳の部下と一刀は。
「(恐らくそれは、華琳<様>の前だけでは無いでしょうか?)」
と、心の中で呟いた。
だが実際、白帝城々下街は良く栄えていた。
国内、東西南北はおろか、国外の品も結構見受けられる。
本来、地理的に良くない筈なのに人は溢れ賑わっているし、かといって騒動類いは起きていない。
華琳の城下、洛陽も決して栄えていない訳ではない。
むしろ、世が乱れてた頃に比べれば比べ物にならないぐらい栄えている。
準インチキ気味の雪蓮の建業でも、ここまで栄えていない。
先程、二国の軍師勢が無謀とも思える政策が正しいのだろうと証明する片鱗を垣間見ている。
一刀曰く、まず民が何を欲しているか?
そして、それに対して国はどれだけ応えれるか?
が、重要だと言った。
民は、一ヶ月後の豪華な食事より今晩の質素な食事を求めると。
どんな素晴らしい政策も求められていない・理解されてないのでは民のやる気も落ちる、やる気が落ちればあらゆる面で不具合が生じ更に効率等、総合的に不具合が生じる。
これではいけないと。
638 名前:クリスマス9-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:15:23 ID:+a1zdxQwO
まずは民に多少でも安定の生活を。その後、難しい政策の説得や理解を求める。
民と接するこのやり方でだいぶ効率的に動けたと一刀が二国の者達に説明する。
既に、真桜がカラクリ面での相談・技術者として引っ張られて雑談にまでにいたってた。
国と民の一体化・協力関係、おそらく華琳や雪蓮が求めてる最終的な答えがここに存在していた。
こうして蜀との差を見せつけられる事になったが、得られた物の方が大きいと思った二国の者達。
こうしてまた夜の宴会に突入して行く…
◇ ◇ ◇
やや、重い空気の宴会場。
基本、食べた料理・飲んだ酒は自腹の枷が箸を重くする。
お酒組がチビチビやる中、鈴々が先陣をきって料理を一口食べると怒濤の如く食べ出した。
それを見た翠・ねね・猪々子・季衣が一口その料理を食べるとそのまま鈴々と同じ行動に入る。
ちなみに恋は始めから全力全開である。
今、出ている料理、調理は華琳・流琉・秋蘭・朱里・雛里・月・斗詩・祭と豪華な面々。
そこそこの食材なら一流の料理に変貌させてしまうだろう、これを食べなければ何を食べるの?の勢い。
639 名前:クリスマス10-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:17:34 ID:+a1zdxQwO
こうして、昨日の宴会の初頭を再現し、駆け続ける侍女さん達。
「(ああ、今日の分も臨時ボーナス出してあげないと…)」
宴会が始まりだいぶ時間が経った頃賑やかな宴会場を一人の女性が立ち上がった。
愛紗である、時間は現代時間で21時ぐらいだ。
「おや?愛紗。厠か」
「違う!お主はいつもいつも。コホン…魏、呉の彼女等は休みでも我等は休みでわないのだ。皆の者も明日の仕事に支障が無い様に程々にしておけ」
「愛紗は相変わらず固いのだ」
「フン、言っていればいい。私は寝るので失礼する」
バタン。
「愛紗の事は気にしないで宴会を続けて、でも確かに愛紗の言うとおり蜀の皆は明日に差し支えが無い様に」
「なんだよ、ご主人様まで愛紗みたいに小言、言うのかよ」
「愛紗のは皆を心配しての忠告だよ、無下にしちゃ駄目だと思うけど」
それを解っている蜀勢の皆は自然と勢いにセーブが入る。
それから半刻後。
「さすがに俺も限界近いかな、…アフッ」
欠伸をしながら立ち上がり扉に向かう。
「悪いけど俺も席外すね、皆は続けてかまわないから」
やはり欠伸をしながら扉を開けて宴会場から出て行った。
640 名前:クリスマス11-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:19:18 ID:+a1zdxQwO
パタン、扉が閉まると宴会場の空気がガラリと変わった。
“今夜こそ獲物を狩る”と狩人の目に変わりるが顔は平静を保つ、一刀が宴会場を出てから一刻後、次々を席を外す各国の武将達。
更にそれから半刻後、嘆きがあちらこちらから漏れ出した。
「居〜な〜い〜の〜だ〜」
「おかしい、部屋にもどこにもいない。どこ行った!」
堂々と探す者・散歩のふりして探す者・こっそり探す者と色々別れてたが結果は皆同じで発見出来ない。
おおよそ見当が付く場所は全て調べた“もしや自分の部屋に?”と一回は各々自分の部屋を確めてる。
既に寝ているだろう愛紗の部屋以外を調べると一部の人は“城下町・城外?”と疑念を抱き、探しに行くかどうか迷っていた。
ここで一人の女性が切り札を切った。
「明命」
「はい、ここに」
姿はなく声だけが聞こえる。
「一刀の位置、把握している?」
「はい」
「どこかしら?」
「それは……」
一瞬のためらいの後にキッパリと答えた。
「お答え出来ません」
「明命、貴女」
なにか言おうとする雪蓮の言葉を遮って自分が言葉を続けた。
641 名前:クリスマス12-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:21:36 ID:+a1zdxQwO
「雪蓮様、これは任務ですか?そうでなければ雪蓮様と私は一刀…様を勝ち取ろうとする者同士の云わば好敵手です。一刀様に関する事ではお答え出来かねます」
「明命、貴女…」
再度同じ台詞を吐く雪蓮、その声は驚きの色を隠してない。
ゴクリ。
息を飲む明命、主に逆らったのだ斬られても仕方がないと覚悟をしていたが。
「アハハ、明命。成長したわね、それとも惚れた男の為に斬られるのも覚悟の上ってとこかしら?」
「両方と取ってもらって構いません」
「あら、本当に成長したわね。仕方がない、自分で探しますか」
ボヤク雪蓮に。
「それですが、発見してもおそらく無駄かと…」
「なんですって?」
「…」
既に明命の気配は消えていた。
◇ ◇ ◇
「はぁ」
深刻なため息を吐いた桃香を見つけ声をかけたのは翠。
「桃香様、ご主人様見つか……る訳ないよな。その様子だと」
「ううん見つかったよ、ご主人様」
「本当なのか、桃香様!どこ、どこ!」
「それが……ちゃんの部屋」
「くっそ〜……の奴ちゃっかり抜け駆けかよ、ちくしょう」
全力で駆け出す翠に、
「翠ちゃん、行っても無駄だ…よ…」
と、桃香の声は翠に届かなかった。
642 名前:クリスマス13-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:23:17 ID:+a1zdxQwO
バタン!
扉を開くと翠の目に目標の一刀の姿が映った、その北郷一刀が今や愛紗の抱き枕化していた。
「翠、危ないから帰って」
ゴチン!
愛紗の拳骨が一刀に落ちた。
「なんだよ、危ないのはご主人様の方だろ…」
やれやれのポーズで近づいてた翠が不意に直感で止まる。
チャキ☆
目を開くと、目前に青龍偃月刀が眉間をとらえている。
「あれ?愛紗、起きてる?」
「寝てるよ、寝ててこの状態。全く手出しが出来な…」
ゴチン☆
「ご主人様、平気かよ」
喋りながら横に移動してみる。
ツツツツッ…。
青龍偃月刀も移動する。
「本当に寝てるの?狸寝入りじゃないの?」
ブンブン、喋らずに首を横に振る。
反対側に移動。
ツツツツッ…。
青龍偃月刀も相変わらず翠の眉間をとらえている。
「ふぅ、駄目か。しゃあない諦めるか…ご主人様、愛紗をよろしくな」
「分かってるよ、すまないな翠」
ゴチン☆
翠が訪れてから三度目の拳骨が落ちた。
その後、諦めて帰る翠を凪が見つけ愛紗の部屋に向かう、その連鎖でかなりの人数の愛紗の部屋を訪れ、かなり数の拳骨が一刀の頭に落ちた。
643 名前:クリスマス14-14[] 投稿日:2010/01/05(火) 17:25:14 ID:+a1zdxQwO
こうして、クリスマスの聖夜の一刀は愛紗の抱き枕化で終わったのだった。
◆ ◆ ◆
★おまけ★
「ふー、あのペースにはついていけない。酔い潰れちゃうよ」
すると、一刀でも分かる気配が背後に。
「だ…」
ドスッ、ズルッ…
腹に鈍痛が走ると意識を手離した一刀。
…………
「ピチャ…ン、ペロ」
「ん……!愛紗」
「!…ご主人様、お目覚めでしゅか…ンンッ」
「……愛紗、酔ってる?」
「酔ってませぇんよ」
「酔ってるだろ、その証拠に宿り木のキスは一回だけだろ」
「はい、一回ですよ。長い長〜い一回ですから無問題でしゅ」
確かに愛紗は唇を一度も一刀から離していなかった。
「第一、一回ぐらい終わっても」
ボトボトボト、キスを続けながらの愛紗の右手から大量の宿り木がこぼれ落ちる。
「愛紗?」
「雪蓮は“宿り木を移動しては駄目”とは一言も言ってませんでしたよ。ヒック☆」
一旦離れるが、新たに宿り木の木の実を引き千切り。
「さぁ、ご主人様。今晩は離しませんよ、ンン…ペロッ」
満足するまでキスをした愛紗が一刀を抱き枕にすると寝息を立て出した。
「ご主人様のバカ…」
可愛い寝言に苦笑しか出来なかった一刀がそこにいた。
645 名前:一刀十三号曰く ◆MdZ3m.jCpw [] 投稿日:2010/01/05(火) 17:29:04 ID:+a1zdxQwO
強い風が吹くと。
バリッ。
「おぉ!中身が空なのですよ!」
「これはウツセミの術?」
「知っているのですか、明命」
「はい、ここからはるか東に有る国のニンジャたる者が使う術だとか。一刀様に教えていただきました」
「ぬ〜逃げられましたか、仕方がありませんバカ猫の出方を待ちましょう。それでわ皆さん近いうちにまたまた〜なのですよ」
「近ければよろしいのですが風殿」
「それは言わないのがお約束なのですよ、明命ちゃん。でわでわ〜」

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