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330 名前:貂蝉曰く、[sage] 投稿日:2009/10/30(金) 16:30:36 ID:tR30lubo0
>>329
やっぱ華琳様には様をつけたくなるよね。
というわけで華琳様のお話を桃香。
三つ使わせて頂きます。
331 名前:You've Got Mail(1/3)[sage] 投稿日:2009/10/30(金) 16:31:37 ID:tR30lubo0
雨煙り、若葉萌ゆるこの季節。傘からうかがい見れる紫陽花にも多々の栄えと少々の艶が。
今日も今日とて雨が続く。
……自分に物書きの才能が無いことを残念に思う。
今何をしているかと言うと、やっとこちらの生活に慣れた華琳がその多大なる好奇心を外に向けかけた矢先の長雨である。
「外出せずに、私を満足させなさい」
ベッドでうつらうつらとしていた俺にそんな鈴の音が降って来た。
外に出ずとは本人のみが有効なルールであったらしく、ならばと俺はレンタルショップに向かったわけである。
そこでちょっとした悪戯を仕込み、帰宅の途についている。
華琳には耐性がありそうだが、諦めたらそこで終わりとカーネル・3ダースも言っている。

さて部屋に帰ってきた俺を迎えたのはすでにソファーに座り、クッションを抱いた華琳からの催促の視線だ。
思わず苦笑いをこぼしてしまう。誰が見たらこの子を覇王と思うのか。
とりあえず視線を無視し飲み物を用意。華琳の許へ向かう途中カーテンを閉めて光量の調整もしておく。
遅いわよ。と呟きが隣から聞こえた気がしたが気にせず一枚目のディスクをプレイヤーに入れた。
タイトルは『燃えよ周々』
内容は白虎の化身である周々と主人公ブルー・3が大熊猫の聖地・上野で張々から功夫をマスターする
というハートフルなお話である。

……ワイヤーが見えているワイヤーアクションって初めてみた。
しかし華琳には好評であったらしい。目を輝かせながら「良かったけど、春蘭のほうが優雅に戦うわ」
なんておっしゃっておりました。
332 名前:You've Got Mail(2/3)[sage] 投稿日:2009/10/30(金) 16:33:31 ID:tR30lubo0
こんな映画を選んだ自分を呪いかけたか、幸いにも場は暖まったらしい。
これならば、と満を持して計画を実行に移す。
華琳が席を立っているうちに二枚目をセット。
タイトルは『警察から着信がありました』
巷を騒がせている重大事件。何も関わりの無いはずだった「私」
しかし警察から重要参考人と思われマークされてしまう日々。
そのことが犯人に知られてしまったのか自宅に送られてきた一個の携帯電話。
携帯電話を手に入れたその日、周囲に起こる不幸だけでは表現しきれない数々の出来事。
警察の勘違いから始まる新感覚ホラー。
犯人はいったい誰なのか。なぜ警察は「私」を参考人に選んだのか。
眼鏡をかけたメイドが鍵を握る!!
「今日あの日なのよ……」
という内容らしい。所謂和製ホラーっていうジャンルだ。それにしても主人公のツキ?って子可愛いなぁ
そんなにそわそわしないで〜
って幻聴が聞こえた気がしなくも無いが……

さて華琳も戻ってきたところでぽちっとな。
よし始まった。ふむ最初は普通だな、と。
なるほど主人公は「月」と書いて「ゆえ」なのか、「ツキ」と読んでましたよ。
おっ、これがキーアイテムの携帯かな?だからって初期設定の着信音が「ぶるるるるう゛ぅああ!」ってどゆこと?
と、だんだんホラー色が強くなってきたかなと思っていたら
−−−−きゅっ
見るとクッションに顔半分を沈めた華琳が俺の袖をつかんでいた。
「なによ」と呟くが手にはむしろ力がこもる。
……くらってきた。
にやけそうになる顔を引き締めソファーの上で胡坐を掻く。そして華琳を見ながら自分の膝を叩いた。
すると華琳は恥ずかし気に、しかし嬉しそうに「仕方ないわね」と言いながら俺の前にすっぽりと収まった。
俺が呼んだからここにいる。という大義名分らしい。
たまらなくなり腰に手を回すと小さな手が重なる。
333 名前:You've Got Mail(3/3)[sage] 投稿日:2009/10/30(金) 16:34:04 ID:tR30lubo0
しかし映画は止まっていない。油断をしていた二人の耳に絶叫が響く。
びくっと体全体で恐怖を表現した華琳が可愛く、よりいっそう腕に力を込める。
まさかここまで計画通りにいくなんて、戦場の死とホラーは質が違うのかね?
けどこのままだと良い雰囲気は無理かな?と考える。と同時に
ここまで怖がるならいっそ……
華琳に悟られないように片手を自分の携帯に伸ばす。
そして自分に空メール。

「ツ「ひゃぁ」ンツンツンツンツンツンツンデレ♪」
ひゃぁ?なんか目の前から聞きなれた声で聞きなれない台詞が発せられた気が。
と前を見るときっつい視線の華琳さん。
「一刀!今のはなんなの?」
と声を荒げて問われる。
「えっ、いやっ、急にメールが来たらしくて……」
しどろもどろになりながら何とか答えると、
「家だからとはいえ映画を見るときには電源を切っておくのがここの常識なのでしょう?
 それに私と二人きりなんだから、なおさらのことではなくて?
 ま、まぁ着信音が私の声なのは評価するけど……」
最後のほうが聞こえなかったが、悪戯が過ぎた自分が悪かったので素直にあやまる。
すると怒りが収まったのか前を向き完全に体を俺に預ける華琳。
「まぁいいわ」
そう言いながら俺の手ではなくクッションを抱きかかえる。
「あとで覚えておきなさい」
並のホラーよりも怖い台詞が聞こえた俺は、すぐさまクッションごと華琳を抱きしめたのだった。

結局最後まで映画を見た華琳は眠れなくなったらしく、俺は一晩中相手をさせられた。
……性的な意味で。
334 名前:貂蝉曰く、[sage] 投稿日:2009/10/30(金) 16:37:07 ID:tR30lubo0
以上です。
貂蝉か…

自分キーボードを打つのが苦手らしく『ちゃん』て打とうとすると『しゃん』ってなる…
そのせいで璃々しゃんってなって何回萌えたことか

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