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862 名前:ほ ◆toTB/4qYnw [sage] 投稿日:2009/09/22(火) 04:09:33 ID:7aEKYNQM0
思いついたら妄想妄想。
書き上げたら過去に同じ題材のSSあったのでどうしよーかと思いましたが。

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今は昔、在る所に盗賊を捕まえ生計を立てていた用心棒の関羽と、その姉分劉備、妹分張飛がおったそうな。
劉備の真名は桃香、関羽は愛紗、張飛の真名は鈴々といった。


不思議とはっきり光る流星が流れた晩があったそうな。
翌日、愛紗がいつもの様に盗賊を成敗に鈴々とともに出掛けていくと、光り輝いている着物があった。

不思議に思って近寄ってみると、中には三寸ほどの男の子が出て来たので、孤児と思い、育てる事にした。
その後、妙に謝礼の多い討伐が続き、桃香と愛紗、鈴々は豊かになっていったそうな。


愛紗が見つけた子はどんどん大きくなり、三ヶ月ほどで青年になっていた。

この世のものとは思えない程女性を惹きつけるこの青年に、名前を付ける事になった。
3人はあれこれ悩むも、「あまごろものかずと姫」と名付けた。


天の衣を纏った、何故か女子を惹きつけて止まないこの青年のうわさは都だけに留まらず、各地の貴族、豪族にまで伝わるようになったそうな。
863 名前:2[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 04:10:40 ID:7aEKYNQM0

天下に覇を唱えようとする勢力、武将、軍師などが、なんとかしてかずと姫を手に入れようと、三人の元へ訪れては愛紗に追い返されていたようだった。

諦めない者達は、近くに居を構え、隙あらばとかずと姫の寝所へと潜り込むようになった。


そのうちに愛紗の嫉妬にも、鈴々の嗅覚にも、桃香の天然にも耐え、諦める事無くかずと姫を求めた四人が残った。
その四人とは、名を諸葛亮、趙雲、馬超、黄忠といった。

彼女らが諦めそうもないので、かずと姫のなぜ一人に縛られなければならないのか、という言葉は無視し、四人に思いつく限りの難題を考えたそうな。

その晩、四人が集まった処で、桃香はかずと姫を与えるための言葉を伝えたのであった。
四人はかずと姫を得る為ならば、と意気揚々と難題に立ち向かって行った。


しばらくが経ち、流石に諦めたであろうと安心をしていた三人の元へ、四人が四人とも難題をこなし戻ってきたそうな。
これにはいかに関羽といえど認めざるを得なかったようで、その七名は互いに真名を許しあい、かずと姫を愛でておった。


そんな様子が曹魏の王、曹操、孫呉の王、孫策の元にも伝わり、両雄ともがかずと姫を求めた。
七名の画策により、この申し出を退けはしたものの、かずと姫は両雄とある約束を文に認め、送ったという。
864 名前:3[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 04:12:48 ID:7aEKYNQM0

かずと姫との約束を果たすが為、奔走した両雄により大陸に安寧が訪れようとした頃。

文の遣り取りが一年も経った頃であった。
かずと姫は月を見て物思いに耽るようになった。

八月の満月が近付くにつれ、かずと姫は激しく体調を崩すようになり、愛紗らが問うと「俺はこの国の人ではなく天の都の人であり、もう連れ戻される」という。

それを曹操、孫策が知り、桃香の嘆願を受けて、信用に足る部下と共にかずと姫を守る事となった。


その八月の満月の晩。
各国を代表する名だたる武将、軍師がかずと姫の元を固めておる最中であった。
一際明るい月が雲より覗き、青白く皆を照らしておった。

その中で、徐々にその存在が薄れ行くかずと姫を前に、誰もが何も出来ずに佇んでいたのだった。


大陸の平和を願い、皆への愛を語り、自身の役目が終えた事を伝えると、かずと姫は月に吸い込まれるように消えていった。


残された者たちは皆、かずと姫の残した想いを受け止め、寂しく思いつつも立派に大陸の平和を守っていったそうな…


今に伝わる、かずと姫〜今昔物語集より〜

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