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735 名前:地和曰く、[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 19:03:47 ID:PtEpbLVo0
うーんなんか微妙になった。
初め何を考えてたのか書いてて忘れて最後は投げた
全キャラ出さないととか考えたからかな。少ないキャラでやっておけば良かった。
名前欄のちぃを見るまで三姉妹の存在忘れてたなんてことはない

http://koihime.x0.com/bbs/ecobbs.cgi?dl=0296
※オリキャラあり
流れとか設定は少し考えると無理矢理だけどそこは短編なんで見逃して欲しい。

オリキャラいるんで外史スレではなくこっちに投下。



袁紹の大規模な軍を動かした偵察から数日、戦に向けて無限に湧き出す仕事に戦略的撤退を己へと命じ、
警備も兼ねてぶらぶらと街を散策している。

「たいちょー、逆なのー」
「そうやで隊長。息抜きも兼ねての警備やで」

まさか真桜と沙和につっこまれるとは……
普段はサボりまくってる癖にこんな時だけ真面目にやりおって。

「2人とも、隊長はここ最近仕事続きなんだぞ。
 申し訳ありません、隊長。本来なら警備は私たちだけで済ませ、隊長には休んで頂くべきなのですが」

ありがとう、凪。やっぱり俺の味方は凪だけだよ。

「凪ちゃん一人だけ良い子ぶってずるいのー。凪ちゃんだって隊長が一緒じゃないと嫌だって言ってたのー」
「おまけに隊長が執務室にかんづめになってる間ずーっと隊長隊長言っとったしなぁ」

「なっ、二人とも!」
「きゃー凪ちゃんが怒ったのー」
「うちの所為ちゃうでー、自業自得やー」

顔を真っ赤にして二人を追いかける凪と、逃げ回る真桜と沙和をのんびりと見る。
なんだかはしゃぎ回る孫を見る爺さんの心境だ。
終わりのない政務は色々と俺から奪っていったらしい。主に寿命とか若さとか。
そんな感じでのほほんとしてると声をかけられた。

「すみません」

はい、と振り向くと栗色の長髪の美人さんがいた。
なんというか凄いふんわりした雰囲気の人だ。
いいなぁ癒されるなぁ。うちの面々はみんなキツイからなぁ。
こういったおっとりした感じの女性は貴重だ。
そう言えば洛陽であった子もまさにお姫様って感じだった。今頃元気かな。

「あの……」

ちょっと困った様に首を傾げる女性。いかんいかん。思考が飛んだ。
その首を傾げる姿も可愛らしい。うちの面々だと睨まれてるはずだ。桂花なら罵声が飛んでくる……じゃなくて

「あ、はい。何でしょうか」
「お城への道をお伺いしたいのですが」

城か。それなら御安い御用だ。毎日通ってる道だしな。
わかりやすい道順で城への道を教え、ぺこりとお辞儀して去っていく女性に手を振りながら見送る。
いやあ癒された。

「隊長、警備中に鼻の下伸ばすのはどうかと思うで」

なっ、真桜。いつの間に。

「何時の間にも何も最初からや」
「そうなのー。隊長が綺麗な女の人に道聞かれてだらしなくけつの穴までにやにやしてるところ全部見たのー」
「……」

痛い。何よりも無言の凪の視線が痛い。
視線に気を乗せて実体を持たせてるんじゃないかってぐらい痛い。

「そ、そういえばもうすぐ昼時だな。あー腹減った。お、あの屋台美味そうだな。じゃあ俺先行ってるから」

じゃ、と声をかけて屋台へと逃げ込む。
どうせすぐに追いつかれるんだから意味はないんだがあのままは俺には無理だ。
結局30秒と経たずにやって来ておまけに奢るハメになった。




からかわれながら昼食を食べ終え、残りの区画を見回った後に城へと戻る。
久々に外を歩き回れて良い気分転換になったな。
門兵に挨拶をして城門をくぐり城内へ。3人と分かれて執務室へと向かう。
途中に肩を怒らせふーふーと息をつきながら歩いている桂花と出くわした。
何を怒ってるんだ?と疑問に思う隙もなく「今日夜に評議の間へ来なさい!!」とだけ告げられた。
はて、何か問題でも起きたのだろうか。今の時期なら袁紹の線が大きいが。
それにしては夜にと言うのは随分悠長なものだ。
そう大した事ではないのだろうと当たりをつけて再び執務室へと向かった。




俺が評議の間についたときは既に華琳と桂花以外全員が集まっていた。
珍しいことに張三姉妹もいる。
誰も張り詰めた顔をしていないのでやはり何か問題が起きたというわけではないらしい。
全員が思い思いに談笑をして、風はいつもの如く船を漕いでいる。

「なぁ秋蘭。集められた理由って知ってるか?」
「いや、何も聞いていないな。これだけ時間を空けたと言うことは緊急のことでもあるまい」

秋蘭でも聞いてないのか。
おそらくここにいない桂花と華琳が関わってるのだろうが、あの二人が関わって小事で済むはずも無いと思うんだが。
ま、考えても意味ないか、と思考をほっぽりだして風につっこんだり「おおっ」春蘭で遊んだりして時間を潰す。
しりとりで春蘭が3度目の敗北を喫したところで華琳と桂花が連れ立ってやって来た。
華琳の横に並び立っているにも関わらず桂花の顔は苦々しい。
そんな桂花を意地悪そうな笑みを浮かべつつ眺める華琳が口を開く。

「待たせたわね。
 つい先日に風と稟を軍師として迎えたわけだけど、もう一人加わえる事となったわ。
 入ってきなさい、荀攸」

華琳の声に促され入ってきたのは栗色の髪の女性。
昼に城下で道を尋ねてきた人だった。
ん? 荀攸って言ったか?

「初めまして。
 姓は荀、名は攸、字は公達、真名は柊花と申します。
 これより華琳様の一軍師として我が身命の全て、覇道の贄と捧げさせて頂きます」

優雅に一礼をして穏やかに微笑む。
人当たりの良さそうなその笑顔にみんな満更でもなさそうだ。ただ一人桂花を除いて。

「気付いた者もいるでしょうけど、柊花は桂花の姪よ。
 彼女の方が年上だけれどね。
 前々から迎えようとは思って書状を送っていたのだけれど、今日やっと洛陽に到着したのよ」

随分待たせてくれたわね、と嬉しそうに華琳が言う。
あれはよっぽど機嫌が良いな。それに反比例するかのように桂花の機嫌は悪化の一途を辿っているけど。

「それと軽い酒宴を用意させたわ。この先麗羽との戦になるでしょうから今の内に互いを知っておきなさい。
 稟と風もね」






みんなで自己紹介をして真名を許し合っている内に酒や肴が用意された。
霞は嬉しそうにぱかぱかと酒を空けているし、桂花もやたらとハイスピードで飲んでいる。というか呑まれてるなあれは。
始まってまだ十数分だというのに耳や首まで真っ赤だ。
季衣や春蘭は凄い勢いで食べている。夕飯食べたばかりだろ……。毎度の様に流琉が季衣の世話をやいているのが微笑ましい。
そんなこんなで重きを置いているものは人それぞれながらみんな和気藹々と酒を飲み、話に花を咲かせている。

お昼はどうも、いえいえ、何?貴方たち知り合い?、相変わらずお兄さんは手を出すのが早いですねー、……ぷはっ、とんとんーといった感じで話が進み、
真桜達ににやついてたのをばらされ華琳の冷たい視線に晒されたり柊花さんのあらあらといった仕草に癒されたり天和地和人和が歌を披露したり。
そんな事をしている内に、一切会話に入ってこなかった桂花がガタンと音を立てて立ち上がった。

「ちょっとあんた……何時まで猫被ってるのよ。背中が痒くなるから止めて頂戴」
「何を言っておるのだ?」

春蘭が解らんという風に首を傾げる。
他の面々も不思議そうな顔をする中、華琳だけが面白そうに笑みを浮かべている。

「ですって、柊花。私はその貴方も好きだけれど、どうするのかしら」
「別に演技なんかしてないわよ。どこぞの癇癪持ちの猫耳軍師と違ってみんないい人だから楽しんでただけじゃない。ねー華琳」

豹変、という程でもないけれどその変化に皆が目を丸くする。
穏やかさはそのままに、上品さがどこかへ飛んでいって急にフランクな雰囲気になった。

「ちょっと、華琳様を呼び捨てにするんじゃないわよ」
「あら、華琳が良いって言ってるんだから良いじゃない。それに一刀だって呼び捨てよ?」

急に名前が出て驚いた。というかさっきまで一刀さんだったのに……急に呼び捨てにされると気恥ずかしい。

「ふん、そんな脳内精液無礼男なんか知った事じゃないわ。
 ……ああ、そうよね。似たもの同士同じような思考回路って事かしら。この万年発情女」

「あーら、どの口が言うのかしら。
 嫌ね、女の嫉妬は。
 ねー一刀だってあんなぺたんこ娘より私の方が良いわよねえ?」

流し目を送ってくる柊花に頬を赤くする。
確かに服の上からでもそれとわかる身体のラインは桂花とは比べものにならない。
むむむ、あれは春蘭達と同レベルではあるまいか。

「たいちょ、何がむむむやねん」

真桜、昼から思ってたけど思考を読むのは止めてくれ。

「わかったのー」

だから止めてくれって。

「隊長は顔に出すぎです」

凪まで……。

気がつけば桂花と柊花は身を乗り出して口喧嘩を始めていた。
大分ヒートアップしているんだが止めた方が良くないだろうか。
しかし桂花がまともに言い合うのを見るのは初めてだ。
春蘭だとすぐに言いくるめられるので口喧嘩にならないし。

「あれも愛情表現の一つでなんでしょ。以前からあんな感じよ」
「ん? 昔からの知り合いなのか?」
「昔って程でもないけどね。宮内で少し。よく文句言いながら手紙を書いていたわ。
 その相手が桂花だって事は後で知ったのだけれど」

華琳曰くのじゃれ合いを眺めながら杯を干す。
視線の先では天井知らずに激化して、桂花が酒瓶から柄杓を取り出して構えている。
そろそろ桂花の頭の血管が切れるんじゃ無かろうかと少し不安になってくる。

「何よ、私だってあと数年もすればあんたなんか追い抜くわよ。
 その時になって泣いたって許さないからね」

「人の夢と書いて儚いって言うのよ、桂花。
 現実を見つめなさい。あなた数年前から身長殆ど変わってないでしょ」

うぐ、といったふうに桂花が口ごもる。
……自分でも解ってたんだな。
まぁ同じ姉妹でも結構差はあるからなあ。春蘭秋蘭は変わらないけど天和達は……うん。

「ちょっと一刀!、今何か考えたでしょ。ちぃの目は誤魔化せないわよ」
「ちぃちゃん、お姉ちゃんみたいになれなくても怒らないでね」
「天和姉さん、ちょっとずれてる……」
「えー、だってぇ、一刀は私が一番だって」

ちょ、天和のやつ何を勝手に言ってるんだ。
だがここで口を挟むと厄介なことになりそうだから聞こえないふりをしておこう。
こら霞、にやにやするんじゃない。

「えーやないか。一刀も解りやすいなぁ」

むにっとただでさえ目につく胸をことさら強調させる霞。
色々と危うい。サラシから零れそうな胸とか酒で緩んだ俺の理性とかが危うい。
本能との鬩ぎ合いを征しなんとか視線を逸らすと柊花と目があった。
酒精によって桜に色づいた肌や、桂花との攻防で荒くなった息遣いが艶めかしい。
ぼんやりと見惚れていると柊花がとんでもないことを口にした。

「ちょっと待っててね一刀。
 すぐにこの猫耳軍師を沈めるからその後に閨でゆっくりしましょうね」

口に含んでいた酒で咽せる。
いきなり何を言い出すんだこの人は。
げほげほと咽せているといつの間にか隣の華琳の放つ空気が変わっていたのに気付く。
恐る恐る視線を向けると、見るからに不機嫌そうな華琳の顔があった。

「あの、どうかなさいましたか、華琳さん」
「どうにもしないわよ。……それと、もし怪我しても明日の休みは認めないから」

……は? 怪我ってどういう……

「ほんごお、きさま、よくもやってくれたのらな」

肩に置かれた手、骨よ砕けよと締め付けるそれ、ぎぎぎと首を捻り、声のした方を向けば怒りに露わにする春蘭の顔。
はて?顔が随分と濡れているがどうしたのだろうか。
よくもやってくれた? 俺の所為?

「それにしてもさっきは良く飛んだわねえ……、一刀の吹き出したお酒」

口元をつり上げ邪悪な笑みを浮かべる華琳の言葉で状況を把握した。
そして逃げ道のないことも理解した。
軍師二人の互いへ向けられた罵詈雑言をBGMに春蘭の復讐を受けながら、俺は意識を手放した。

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