>>580
おっしゃる通りで。やっちまってますね。ちとブラックなお詫びネタ投下です。
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「ところで、蓮華?」
「何、一刀?」
暑くも寒くもない、春と夏の端境期にあたる麗らかな午後。縁側の猫みたいに、蓮華とふたりきりでまったり過ごしていると、
ふと先日のことが思い出され、気が付くと、俺は、蓮華に疑問をぶつけてしまっていた。
「この間、部屋に飛び込んできた時さ、「い、一刀(かずと)」って言ってたけど、
何で、「い」なの? 「かずと」なら「か」じゃない、普通」
「げほげほげほげほっ!? な、何よ藪から棒に」
「藪から棒じゃないよ。ずっと気になっていたんだ」
「そ、それは……」
キョロキョロと蓮華の目が泳ぐ。やはり何かネガティブなネタなのだろうか。……呼び間違えそうになったとか。
「聞くと後悔するかもしれないわ。だから……」
「いいから。言って欲しいんだ」
話をなかったことにしようとする蓮華を押しとどめて逃げられないようにする。
「どうしても?」
「どうしても」
蓮華がこの話題から逃れようとすればするほど、疑念が強くなっていく。
「判ったわ。では、その1」
「え、その1?」
「い、(やらしいのよ、この変態っ)一刀、の()部分を省略した」
えええっ!? 何、それ。めちゃくちゃ脈絡がないんだけど?
「その2」
「続くの?」
「い、(ンキンタムシの一刀、何故生きているの、死ねばいいのに)一刀。()が省略されていたのは先ほどと同じね」
「同じね……とかじゃなくてさ」
一刀を2回言ってまで「何故生きているの、死ねばいいのに」を言う理由が判らない。
「3つめは……」
「すみません、もうお腹一杯です」
「そう? じゃどちらかで選らんで」
どちらか……。先ほどの蓮華の台詞を反芻し、どちらがマシか考えてみる。……どちらも嫌すぎて、微妙に泣けてきた。
「もっとマシなのはないの?」
「う〜ん、もっとヒドイのならあるのだけれど」
その台詞そのものがヒドイと思う。
「やはり選べません……」
「そう? じゃこの話は終了ね」
♪ などと鼻歌をうたう蓮華。その様子が可愛かったので、思わず、「ま、いいか」なんて思ってしまっていた。
(蓮華、恐ろし子!!) と思わざるを得ない俺だった。
<了>