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516 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:26:16 ID:s3EEjxb20
恋姫†無双の2週目で関羽(愛紗)を無視しまくりごめんなさい。
そんなわけで偽END風味SS書いてみた。

条件1・愛紗を1回も選択しない
  2・他キャラ全員最低1回選択しておく
  3・最後の拠点、最後の選択で愛紗を選ぶ
517 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:27:17 ID:s3EEjxb20
擁いてはいけなかったのだ。
常に自分を律し続ける。
それが武人として、そして人としての高みに上がるための方法だと信じていた。
だから、このような想いは擁いてはいけなかったのだ。
その瞬間から、私は醜い獣となってしまったのだから。


「全く………ご主人様は一体何処に居られるのだ?」

今日何回目かの呟きは誰もいない廊下の奥へと吸い込まれていった。
昼過ぎに虫の知らせを感じたので部屋へと様子を見に行ってみれば案の定そこはもぬけのから。
ついでに鈴々も調練に来なかったので2人して市にでも行っているのだろう。

「あのお方ももう少し、ご自分の立場というものを御自覚していただきたいものだ………」

鈴々はまだ良い。
あれは強い。そこらの奴らでは触れることも叶わぬだろう。
だが、ご主人様は違う………
天の世界ではいざ知らず、刃に毒でも塗ってあれば一掠りで死に至る。
いくら鈴々が強いといっても絶対などということは無い。
ご主人様が死んでしまう………………ッ!

「おいっ!星は何処だ!?私はご主人様を向かえに行く!調練は任せたぞ!」
518 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:28:22 ID:s3EEjxb20
「んっんっんぐ。美味いのだー!美味しすぎて鈴々のほっぺたが落ちないかどうか心配なのだー!」
「こっちの財布の中身も心配してくれよ………」

見つけた!
まったく、私の気苦労も知らずに買い食いなど、毒が入っていたら………はさすがに無いか。
いやいや、ご主人様が買い食いが好きだとばれたら行商に化けた白装束共がやってきて毒を………!
くっ、やはりここは私がご主人様の食事を用意するしか無いのか?うん、無いな。

「あれ?愛紗が居るのだ」
「え?マジ?うお!本当にいた!」
「うお!とは失敬な。こんな所にいて申し訳ありません」
「愛紗………怒ってる?」
「怒ってません。ただ護衛も連れずに歩き回る主の悪癖をどうすれば良いのか悩んでいるのです」
「それが怒っていると………」
「何か?」
「いえ、何も」

本当にこの人は………
…………………………………私の気も知らずに
519 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:29:12 ID:s3EEjxb20
「いや、勝手に市に行ったのは本当に悪かったと思っているよ」

私のすぐ後ろには罰の悪そうなご主人様と鈴々の姿。
鈴々は何も言わず、逆にご主人様は積極的に謝罪の言葉を吐いている。
だがしかし、やはりご主人様は私の気持ちを分かってくれていない………

「ご主人様?私は何も市に行くのが悪いと言っているのではありません」
「え?じゃあ、何で愛紗怒っている………いえ、何でもありません」
「私はただ、護衛を連れずに出かけたことを怒っているのです。せめて2人、万全を期するならば最低5人は欲しい」
「いや、それじゃ堅苦しくて楽しめないと言いますか、その」
「それが無理なら………せめて鈴々だけでなく、私も連れて行ってください」
「いやー、愛紗は仕事が忙しそうだったからさ。こっちの我が儘に付き合ってもらうのも悪いと思ってさ」
「あー、それって鈴々が暇そうだったってことー?」
「いや、その、ノーコメントで」

分かってくれていない。
仕事なんか後でどうとでもなるというのに。
鈴々とも朱里とも翠とも星とも紫苑とも、さらには敵国だった捕虜とも出かけているというのに………
そんなはずは無い。主を疑うな。疑心を持つな。


私が避けられているなど。
520 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:30:35 ID:s3EEjxb20
日は夜の闇に包まれ、月が輝く空の下で私は溜息をついていた。
そういえば主が言っていたな。溜息をつくと幸せが逃げると。
なるほど、最近の私は溜息ばっかりついている気がする。
そんな時でも、考えるのは主に関する事ばかり………

「思えば、遠くまで来たものだな………」

始めはたった3人だけだった。
すぐに朱里が加わり4人になった。
それからしばらくは、その4人で頑張ってきたのだったな。
そして次々に仲間が蜀にやってきた。
それも女ばかりが。
そして………そして、主は次々に関係を持った…………………

「何故、私は」

最近、何かが分からなくなっている。

「何故、私は」

思い出せない。思いつかない。

「何故、私は」

主しか想えない。

「人々のために闘うと決めたのだ」

分からない。
521 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:31:10 ID:s3EEjxb20
会いたいと思った。
気がつけば主の部屋の前にいた。
やれやれ、無意識にここまで来てしまうとは鈴々を笑えんではないか。
………主はまだ起きているのか?

「………ぃ……………ぇ」

………声?
主の部屋の中から?

「お兄ちゃん!あっ!そこっ、らめなのだ!」
「ご主人様、の、あつ、や!」
「2人とも、すごく、気持ちいいよ。最高だ!」

………ああ、『今夜も』。
『昨夜も』、『その前も』。
主は誰かと交わっていた。
蜀の皆と、魏の者と、呉の者と、董卓の者と。
ずっと一緒にいたのに。
最初から一緒にいたのに。
これからも一緒にいたいのに。
………部屋に帰ろう。
そして自分を慰めるのだ。
『今夜も』。
522 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:35:12 ID:s3EEjxb20
「ご主人様。起きてください、ご主人様」
「ん、んー。………ぅ、ん?あ、愛紗!?」
「おはようございます、ご主人様」

どうしても話がしたかった。
聞きたかった。
でも、やめておけばよかった。
そうすれば、そのままでいられたのに。

「あの、ご主人様。少し、聞きたい事がありまして」
「ん?何?」

懐に忍び込ませた小刀。

「え?愛紗のこと?んー、そうだな」

それは研ぎ澄まされた牙。

「世話になってばかりだね。誇りに思うぐらいだ」

それは想いを伝える文。

「ああ、そうさ。愛紗は頼りになる『部下』だよ。最も、おれ自身は『仲間』って思ってるけどさ」

それはまるで今の私。
523 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:36:03 ID:s3EEjxb20
「ご主人様、少し聞いてくれますか?」
「ああ、良いよ」
「私は、常に立派に生きようと思っていました」
「うん。愛紗は立派だよ。俺なんか全然駄目なのに」
「私は、武人として、人として誇れる生き方を送ろうと思っていました」
「う、うん。………それで?」
「でも、それで私が『部下』でしか、『仲間』でしかいられないのなら」

牙を。
衝きたてた。

「獣で構わない」
「………愛、しゃ………………?」
「もう、それでいいのです。我が主」

膝が折れ、体重が私にかかってくる。
心地よい。久しく触れていなかった重みだ。
この重みは、もう私だけの物。

「お傍にいます。私がお傍にいます。
 いつまでもお傍にいます。他の誰でなく、私がお傍にいます。」

そして私は、自らの牙を、心の臓に、衝きたてた。
524 名前:関羽ENDの外史[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 00:37:57 ID:s3EEjxb20
実際のゲーム内では愛紗はめっちゃ忠犬です。
こんな怖い子ではありません。


愛紗BAD END「ヤンデレ愛紗」


これで終わります。

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