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136 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 00:40:47.83 ID:E3HOKROh0
過剰なネタとか削って修正してたけど疲れたもういいやw
とくに問題ないようなら2時頃から投下したいと思いますが
全部で12レスほどです
138 名前:麗羽END 1/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:12:54.53 ID:E3HOKROh0

淡い光を放ち始める鏡。
その光は物語の突端に放たれた光。
白色の光に包まれながら、俺はこの世界との別離を悟る。

自分という存在を形作る想念。
その想念が薄れていくことを感じながら、それでも俺は
心の中に愛しき人を思い描く。


麗羽―――。
なんだかんだ言いながらも、ずっと傍に居てくれたような気がしないでもない。
この戦いの物語の中、俺を助け、稀によく励ましてくれたけど
それ以上に大変な苦労をさせられたなぁ。

このまま……麗羽のデレも見ずに、
俺はこの世界から消え去るのだろうか……。

自分という存在の境界線があやふやになっていく恐怖の中、
俺はただ愛しき人に会いたいと願う。
ただ……会いたい。
ただ……声が聞きたい。
刹那の時でも良い。
愛しき人の温もりが欲しいと―――。


「一刀さんっ!?」
「……っ! 麗……羽……っ!」
139 名前:麗羽END 2/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:15:24.27 ID:E3HOKROh0

外史を終演へと導く光。
その白光に自分という存在を侵食され、徐々に機能を失っていく身体。
そんな状況の中、耳朶に響く麗羽の声が、
消えかけていた俺の意識を現実へと呼び戻す。

「しっかりなさい、一刀さん!」

その声が俺の名を呼んでくれているのに、
俺は少しも動けずにいた。
喪失しようとする自分という存在。
その存在に付随する概念の消失。

この世界での役割を終えようとしているのか、
俺の頭の中からは、今までの記憶が次々と薄れていく―――。
自我が薄れていくと共に、
心の中に仕舞っていた記憶が徐々に消えていく

今まで過ごした時間。
今まで過ごした記憶。
そして今まで抱いていた想いが消えていく。
まるで擦り切れたフィルムのように、とぎれとぎれになっていくんだ。
だけど……

「ははっ……ろくな……思い出が、ない……な……」
140 名前:麗羽END 3/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:17:27.17 ID:E3HOKROh0

視界はぼやけ、叫びたいのに声さえ出ない状態で、
すでに痛みさえ感じない自分の身体に恐怖を覚えていたはずなのに
そう思ったら、ふと笑えてきて、
けれどなんだか心も身体も少しだけ軽くなったような気がした。

まだ俺はなにも知らない……
麗羽が何を考えてるのかも、どうして俺を助けてくれたのかも
本当の心も、いや、本当はやっぱり俺になんか興味はなかったのか、
それとも俺のことを……わからない
ずっと一緒に居たのに、何も知ろうとしなかったんだ。

できれば迷惑が来ないよう少し離れたところで、
笑って見守っていられればいいと思ってた。
苦労ばかりなのは、俺が麗羽から離れることも、本気で踏み込むこともせず、
中途半端な距離に留まっていたからかもしれない。

そんな思い出の中にも、僅かにだけど輝きを放ってる記憶もある
バカバカしくてしょうもない出来事ばかりの中に、
いや、だからこそなのか、ささやかな幸せと、
ほんの少しだけ垣間見せてくれた麗羽の気持ちが……
俺の思い込みかもしれない、本当はなんでもない勘違いかもしれない、
だけど……俺はまだ、それを確認してないっ……!

なのに……なのに、あぁ……ダ……メだ、もう、意識が……
れ……は……ご、め……
141 名前:麗羽END 4/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:21:42.36 ID:E3HOKROh0

俺という存在を飲み込もうとする無慈悲な光。
逃げることの出来ないその光に飲み込まれながら、
それでも俺は辛うじて手を差し出す―――。


……………………

…………

……


「なにこれ……こわい、どうなってますのっ!?」

白い光に包まれて、消え去ろうとしている一刀さんの姿に、
心に深く、鈍い痛みが走る。
一刀さんがいなくなる―――。
それに思い至った途端、私の足から力が抜けてしまう。

「え?……ええ?……あ、ありえませんわ、わたくしに限ってそんな……」

それはまるで大きなヒビのように広がり
巨大な岸壁が崩れ落ちるように心を駆け巡っていく

大切な人が居なくなるかもしれない―――。

「お待ちなさいっ! そんなの許しませんわよ、一刀さんっ!?」
142 名前:麗羽END 5/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:24:36.35 ID:E3HOKROh0

今までずっと一緒だったのに?
これからもずっと一緒に居られると思っていたのに?
私の前から消え去ってしまう?

「……だ、だからなんなんですのっ!? ありえませんわっ!
 ……み、みすぼらしくって、使えない男が、居なくなって清々しますわ!
 おーっほっほっほっ!」

……?、顔が濡れて……、これは雨……漏り
……安普請、ですわね、そうに決まってますわっ!
なのになんで……こんなにも、胸が、苦しくって、足が、震えてっ……
おかしいですわっ……、こんなはずありませんわよ、わたくしがこんな……

「こんなトーヘンボクの、下働きごときが……、死のうと、き、消えようとぉ……、
 わ、わたくしには、どうってこと……ありゅっわふぇえ……」
嫌、嫌、嫌、いやあ……
雨が……、雨があふれてとまりませんの
これまでに一度だってこんなことなかったですのに。
なんでですの?、どうしてですの?
なんで一刀さんがこんな……
他の人ではいけませんの?二番ではダメなんですの?
私が代わりになることはできませんの?

わ、わたくし何を言ってますの? 考えてますの?
もうわかりませんわ、なんにもわからなくなりましたわ……

私、こういうときどんな顔したらいいかわかりませんのっ。
今、どんな顔してるかもわかりませんのっ。
あぁっ!そうこうしてる間にもどんどん一刀さんがぼやけて―――。
143 名前:麗羽END 6/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:29:19.32 ID:E3HOKROh0
「ダメえぇーーっ、ダメですわっ、あぁんっ!そんなこと……いけませんわっ!
 あっ、熱いですわ、鼻がつーんとして、目頭が熱くてっ……
 あっあああっ!だめえぇ、熱くって、しゅごく真っ白になっでぇ……
 ゃああっ、はあっあっぁんっ、消えちゃうっ、消えちゃいますのぉっ!
 いやぁそんなっ……ああっ、一刀ざんっダメぇっ!!
 消えちゃらめえぇぇーー……っ!!」

…………

「……おいぃぃ?。な、何をやってるんだ、あいつらは……」
一刀を追う道士―――左慈は聞こえてきた声に
つい足を止めて、呆然とつぶやいた。

「あー……、ああいう人なんです、すいません」
「……ちょっと猪々子、一刀さんのこと麗羽様に任せて大丈夫なの?」
そこに追いついてきた、お揃いの鎧に身を包んだ二人組の少女は、
それぞれ別の意図で互いに困ったような顔を交わす。

「んー、よくわかんねーけど、大丈夫だって、麗羽様、運だけは強いんだからさ
 それに麗羽様が無理なら誰でも無理っしょ?」
「う〜ん……そうなのかなあ。心配だなぁ……」
「じゃあやっぱ、アタイらも行く?」
そう言いながらも、まんざらでもない様子で問う
「うん、そうしたいのはやまやまなんだ、け、ど……」
その瞬間、鋭い攻撃が二人に向けられる―――。
「させるかっ、ふんっ!」
「おおっと!危ないじゃんかー、……こりゃどーも行かせて貰えそうにないね」
「だよねぇ……、でも、二人の邪魔は、させないからっ!はあぁぁーっ!」
小柄な少女がその身の丈を超えようかという大きな剣で攻撃を受け流すと、
もう一人の少女がそれに合わせるように、やはり巨大な金槌で反撃する。
144 名前:麗羽END 7/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:32:18.36 ID:E3HOKROh0

「ふん……、こんな茶番劇が俺の終端とはな、せいぜい楽しませてみせろよ!」
大仰な攻撃を軽々と避けた左慈はそう言いながら一歩下がると腰を落とし、
手刀を目の前に拝むような形で構え、一呼吸、
途端に全身から強い力が溢れ出すような大きな威圧感が放たれる。

「おっ、やる気?いいねいいねー、じゃあ斗詩、またいつものお願い」
「うん、絶対に負けないんだからっ!」
「早くこいつを倒してアニキに追いつかないといけないもんなー」
「よく言う、出来もしないことをっ!!」
「どぅっふふ♪」

…………

背後から聞こえる仲間たちの声。
二人のことも心配でないといえば嘘になる。

いいえ、本来ならこんな時、私はこんな「ごぼう」みたいな男なんか放って、
大切な二人と一緒に逃げないといけないのではなかった?
でも今の私には……

「斗詩さん、猪々子さん、よくごらんになっでなざい。ゴシゴシ
 わたくし……、やってやりますわっ!」

麗羽は意を決したかのようにそう言うと、
もはや輪郭だけになった人影……一刀に向かって身体ごと飛び込んでいく、
金色の長い巻き髪が大きく波打って広がり、光を受けて煌めく。
145 名前:麗羽END 8/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:36:14.25 ID:E3HOKROh0

「一刀さん、いえ、わたくし決めましたわ、ご……ごひゅりんさま……、
 んんっ……きっとわたくしが助け出してみせますわっ!」

蜃気楼のように揺らぎ、自分という存在の境界線が
あやふやになってきていた一刀だったが、
それでも無意識にだろうか、微かに反応して手を伸ばしてくる。

すでに無心に近い、諦めの境地にあって
一刀が何故消えないでいられたのかはわからない
二人の想いが特別なものだったのかもわからない
決して失いたくない思い出があったのか知れたもんじゃない

けれどもどうにかこうにか紆余曲折をしながらも
お互いの気持ちは一つになることが……、できたのか、どうなのか

「れ……麗……羽……」
「一刀さああぁぁーーーーんっっ!!」

なんにせよ、二人は愛しい相手を求めて手を伸ばし
そして――――――。
ついに絆は偶々運良く結ばれた―――――――――?

……………………
…………
……
146 名前:麗羽END 9/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 02:39:14.31 ID:E3HOKROh0

「……んっ……か……とさんっ!」
「ん、んっ……うーん……」
「まだ寝てますの……もう……ちゅっちゅぅぅ」
「!?……もがっもごっ?……ぷはあっ!ゲホッゲフン」
「……なんですの、もう。よだれが顔にかかってしまいましたわペロペロ」
「なん?れ、麗羽?、にゃっにをして!……げほげほ」
「失礼ですわね、乙女の口づけですのに」
「いやいやいや、また何か企んで、あ、誰かに変な入れ知恵でもされたか?」
「そんなこと、してませんわ」
ぷいっと他所を向いた麗羽のほっぺが赤い

「あー、えーっと? すまんがどういうことだかさっぱり……」
「覚えてませんの? わたくしが貴方を……ええと、
 ”白き漆黒の堕天使”?の運命から命懸けでお救いしたんですのに、
 つまり貴方がわたくしのご、ご主人様に……」
「あーっとちょっと待った、今思い出してきたからすこし黙っててくれ」

于吉から渡された瞬間、鏡は光を放ちはじめ、
その光に飲み込まれた俺は―――。

「……ああ、もしかして麗羽……が、助けてくれた?のか?」
「だからそう言ってますのにっ!」
顔を赤らめて言い寄ってくる麗羽に困惑しつつ、
でもこんな麗羽の表情見たことない、新鮮だし可愛いかも……
148 名前:麗羽END 10/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 03:17:10.05 ID:E3HOKROh0
そんなことを思いながらも、ようやく周囲を見回す余裕が出てきたけれど、
この景色、どこかで見……た、よう……な?
あれ? もしかして、けどまさか……、いや、でも―――。

「ここは……聖フランチェスカっ!?」
「……?? ご主人様はこの場所のことをご存じですの?」
「ああ……。 ここは聖フランチェスカ学園って言って、
 俺が通っていた学校……
 ってことは、もしかしてここ、元の世界ってことなのか?」
「元の世界……。
 ご主人様が言ってらした天の世界とかいう胡散臭い話の……?」
「……分からない、っていうか麗羽、今なんつった?」
「あらごめんなさい、胡散臭い話と思ってましたのに、本当だったんですのね」
「いやそんな、じゃなくて、その前、俺の、俺を……」
「……あぁ、そう、貴方はわたくしのご主人様になったんですの」
そういって俺の手をつかむとにっこりと微笑んで
胸に押し当て、やわらかいやぁらかあい……
ハッ!ブンブンッ、今は雑念に浸かってる場合ではなかった!

「だからなんっ、で?……、いや、それに、一体なにがどうなって、
 どうして俺たちはフランチェスカ……元の世界にいるんだ??」

「……」
「まあ、麗羽に聞いても無駄だとは思った」
「奇跡も天の世界もあったんですもの、そのくらいはありますわよ♪」
「ふぅ……もうなにがなんだか、わけがわからないよ」
150 名前:麗羽END 11/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 03:22:51.46 ID:E3HOKROh0
次々湧き上がる疑問と目前の信じられないような現実に混乱させられ、
理解することを半ば諦めながら溜め息をつくと、
頭の中に貂蝉の言葉が蘇ってくる。
「新しい外史を作ることができる、か……」

あのヘンテコな三国志の世界で過ごした時間と記憶
そのすべてが夢だったのではないか、そんな気もしてくるけれど
腕に巻きついてくるぬくもりと圧がそれを否定し、股間が反応しそうに……
「そ、そうか……ここは多分。聖フランチェスカであって、
 聖フランチェスカ、では無い世界……なのかもしれない(キリッ」
「どういうことですの?」
「斗詩も、猪々子も、美羽たちもみんないない……
 今まで、俺たちが居た場所とは、違う世界ってこと、だよ……っ」
だからぐいぐいおっぱい押し付けないでください麗羽さん。
せめて前屈みにならせてください。
そんな不思議そうな目で見つめないでください。

「そう、なんですの?、……でも斗詩も猪々子も居るような気がしますわ」
「……えっ?」
あまりにあたりまえのように自然にそう言うので、
本当にいるような気がしてくる。
151 名前:麗羽END 12/12[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 03:28:01.42 ID:E3HOKROh0
「そう、かもしれないな、もしかしたらあの二人も、いや他の皆もそうなのか?
 俺たちだけがここに居るなんて、そのほうが嘘みたいだもんな」
そう笑って、目を閉じた俺の視界の端に、
見なれた二人の少女の姿が見えたような気がした―――。

「ええ、わたくしの辞書に不可能なんてありえませんもの、
 さあ、一緒に……来てくださいますわよね?」

そうか、俺はこんな麗羽を見たかったのかもしれない。
だけどその想念が新しい外史を生んだのだとしても、
今ここにいる麗羽の存在や心が、その感情や言葉が嘘だとは思えない。

「ああ。 どこにでも、いや、こちらこそ着いて来てくれよ、麗羽」
「ぁ……はい、ご主人様っ」

差し出した手を掴む麗羽を確認して、その感触が熱が伝わってくる。
ちっぽけな後悔なんて気にすることはないのだろう。
思い出はこれまでの日々の上にまた作ればいい、
例えそれが決められた物語であったとしても、
俺は麗羽と共に生きてみたい。
そしてその日々こそが、新生した物語となって紡がれていくのだろう。
ここが物語の終端にして、新生した物語の突端。

愛しき人の手をひいて、俺は歩き始める。
今から始まる新しい物語に期待と、微かに不安を抱きながら―――。
152 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2011/05/03(火) 03:45:48.90 ID:E3HOKROh0
これにておしまいです、ご清聴&ご支援の程サンクス。

しかしまあ、麗羽様から一刀へのデレはゲームにもないもんで
ほぼすべて想像するしかなくて、そうなった理由とか経緯も
参考やら指標になるものも少ないので大変でした
なので、たぶん気に入らない人もいるでしょうし
それ以前に全然ダメダメかもしれませんが、ご勘弁くださいませ

ではでは、お粗末様でした。

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