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41 名前:清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 [sage] 投稿日:2011/04/25(月) 05:13:48.70 ID:S5SLTd+D0
夢を見ました。更なる恋姫†無双シリーズの夢を。
その夢の中で無印風ED美羽バージョンが流れていました。
この感動を少しでも伝えられればと思い投下させて頂きます。
慌てて書いたので多少雑かもしれません。

あと、拙作のまとめへの掲載は修正などをしたら
改めてお願いすると思うので、管理人さんには
それまで掲載をお待ち頂けると幸いです。

7分割ほどいきます。
42 名前:偽・恋姫†無双 美羽END(1/7) [sage] 投稿日:2011/04/25(月) 05:17:02.37 ID:S5SLTd+D0
 その時、俺は……

  皆の事を思い浮かべた
  七乃の事を思い浮かべた
 >美羽の事を思い浮かべた

 淡い光を放ち始める鏡。
 その光はこの物語の突端に放たれた光。
 白色の光に包まれながら、俺はこの世界との別離を悟る。
 自分という存在を形作る想念。
 その想念が薄れていく事を感じながら、それでも俺は心の中に愛しき人を思い描く。

 美羽――――。

 ずっと傍に居てくれたとても純粋な少女。
 この戦いの物語の中、俺を支え、時には励ましてくれた大切な半身。
 その少女との別離の刻が迫ってくる。
 このまま……もう美羽と蜂蜜入りのお茶を飲むこともできなくなってしまうのか?
 もうあの笑顔を見ることはできないのか……。
 自分という存在の境界線があやふやになっていく恐怖の中、俺はただ愛しき人のことだけを強く思う。
 ただ……笑った顔が見たい。
 俺を癒してくれたあの笑顔が……みたい。
 寸刻の間だけで良い、俺に満面の笑みを――――――。
 俺のささやかな願いに応じるように耳朶を叩く愛おしい少女の声。
「ぬしさまー! ぬしさまぁー!」
 この世界から切り離されていく中、動かなくなりつつある手を俺は一生懸命に愛おしい人へ向けて伸ばす。
 ただ、傍に居たい。彼女の笑顔を見たいと願う一心で。
 白光が俺を包んでいく、俺という存在が滅されていく。
 美羽を置いて消えるなんて……絶対にしたくない。
 心を引き裂かれるようほどの痛み。
 逃げることの出来ないその光に飲み込まれながら、俺は必死に手を差し出す。
43 名前:(2/7)[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 05:23:40.43 ID:S5SLTd+D0
「み……う」
「ぬしさまぁ……妾を置いて行くなんて許さないのじゃ!」
 意識すらも薄れゆく中、俺はたった一つの感情だけを爆発させてより強く手を伸ばす。
 なのに力なく腕は垂れ下がる。

 離れたくない――――。

 美羽と離れたくない――――。

 美羽をもっとたくさん感じたい――――。

 その言葉は口からは出ずにただいたずらに悲哀をかき立てる。
「……いつもみたいに、妾をぎゅってして安心させてたも! 主様ぁっ!」
 今すぐにでも抱きしめたい彼女との日々が脳裏を過ぎる。
 共に笑った記憶。
 共に泣いた思い出。
 そして今まで抱いていた想いが消えていく。
 そんなことは絶対に嫌だ……。
「俺は……美羽との思い出を無くしたくない」
 自分の存在が消え去る運命だとしても。
 俺が美羽を愛し、そして美羽が俺を愛してくれたという事実は厳然としてあるのだから……!
 例えそれが決められた物語であったとしても。
 今、俺の心の中に渦巻くこの感情が、仕組まれたものだとは思わない。
 何よりも大切な少女の想いを欲し、俺は己の存在全てを賭けて声を絞り出した。
「み……う、みう、美羽!」
45 名前:偽・恋姫†無双 美羽END(3/7)[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 06:01:26.93 ID:S5SLTd+D0
――
――――
「主様! ぬしさまー!」
 まだ世の中というものを考えていなかった妾を導いてくれた人。
 楽しかった日々を一層素敵なものにしてくれた人。
 そんな大好きな主様が消えていこうとしている。
 妾の前から消え去ってしまう……はじめからいなかったかのように。
 悟ってしまったその事実は、妾の心にギリギリと爪をたてる。
「……そんなのは嫌じゃっ!」
 愛しい主様――――。
 全ての者を見下していた妾が初めて全てを捧げ尽くそうと思えた人。
 頭を撫でる優しい手のひらが好きで。
 慈しむような朗らかな笑みが好きで。
 凄く大好きで、大好きで、大好きで――――。
「いやじゃあっ! 妾はこんなのいやなのじゃー!」
 こんなとき、早く動かぬ脚がもどかしい。
 その悔しさも力に変えて妾は走る。
「妾にとって主様がいなくなるなんて……認めぬ……認めぬぞっ!」
 がむしゃらに走る。
 逃げるとき以外でこれ程力を込めて走った覚えはない。
「ふん、無駄なことを。ここで死ぬがいい!」
「お嬢さまの邪魔はさせませんよー」
 ちらりと背後を見れば左慈を相手に七乃が戦っている。
「雑魚のくせにしゃしゃり出てくるか!」
「きゃっ!?」
 七乃がよろめき、妾は足を止めそうになる。
 だけど、七乃は妾に目配せすると左慈をきっと睨み付けた。
 構えた剣はまるで七乃の意思を表しているかのように一切の揺れがない。
「すみませんね。……お嬢さまが初めて大切な方へ素直に想いをぶつける大事なところなんです……それを台無しになんてさせられません!」
47 名前:偽・恋姫†無双 美羽END(4/7)[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 06:06:26.55 ID:S5SLTd+D0
 七乃が戦っている。
 どんなときも安全を重視していた七乃が強敵を相手取って必死に食らいついている。
 その姿は悲しみに打ちのめされそうな妾の心を勇気づけてくれる。
「七乃……すまぬのじゃ!」
 七乃から顔を背けると、妾は主様へ向けて一心不乱に走る。
 妾も戦わねばならない。大切な人と離れないよう運命と戦うのじゃ!
 乱れる息、もつれそうになる足。
 全てを無視して限界を超えて全身を動かす。
「ぬしさ……まぁ、ぜったいにはなしたくないのじゃ!」
 白い光が主さまを覆い、その姿をかき消そうとしている。
「み……う」
「だめ、だめじゃ! きえないでたもー!」
 意味はないかもしれない、それでも……妾は主様へと腕を伸ばす────。!


 ――
 ――――
「み……う、みう……美羽!」
「ぬしさまぁ……ぬ、しさま……主様!」
 少女は自然とあふれ出る涙を拭い去り、その腕を賢明に伸ばし届かぬはずの少年へつかまろうとする。
 少年は悲痛な叫び声を上げる少女の顔が願ったものでないと知り、いつものように撫でようと腕を伸ばす。
 互いの中にあるのは素晴らしく輝いていた日々。
 何もかもが楽しかった。
 互いの好意を伝えあった瞬間が今も胸に残っている。
48 名前:偽・恋姫†無双 美羽END(5/7)[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 06:13:08.90 ID:S5SLTd+D0
「主様――――!」
「美羽――――!」
 離れまいとする二人の思いは永遠ともいえる距離を縮めていく。
 砕けるはずのない運命の壁にひびが入る。
 ただただ、欲しいと求めるだけの感情。
 どこまでも純粋な二人の心は一つになっていく。
 そして――――――。
 ついに絆は強く頑丈な鎖となり結ばれた――――――。

 ――
 ――――
 白い光が消えていくのを感じながら薄れていた俺の意識が戻り始めていく。
「ん、んん……」
「主様……主様……っ!」
 うっすらと開く瞳には美しい長髪と可愛らしい顔。
 俺が全身全霊をかけて存在を望んだ少女がそこにいる。
「……み……う……?」
「うう……よかったのじゃ。主様、ご無事かや?」
「あ、ああ……ここは一体?」
 へたりこんで俺に身体をまかせている美羽の肩を抱きながら辺りを見る。
「分からぬのじゃ……おそらくは、あの貂蝉とかいうのが言っておった別の世界かもしれんのう」
 首を捻りながらそう答える美羽。それも仕方ないだろう、俺だって何が何だかわかっていないわけだし。
 それでも美羽の顔に悲観の色は見られない。
「どうしたのじゃ?」
「いや、なんでもないよ……あれ?」
 美羽の言葉に曖昧に頷きながら周囲を観察してみると、見覚えがあることに気がついた。
 よく見慣れた風景。それは懐かしさすら覚える。
50 名前:偽・恋姫†無双 美羽END(6/7)[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 06:35:33.03 ID:S5SLTd+D0
「どうしたのじゃ……主様?」
「ここは……聖フランチェスカ?」
「む? なんなのじゃ、その『せいふらんちぇすか』というのは」
 きょろきょろと辺りを見回した美羽が、興味深げに俺を見上げてくる。
「俺が以前いた学校だよ」
「なんとっ!? では、ここはもしや天の世界なのかや!」
「俺にもよくわからない」
 首を振りながら俺は貂蝉の言葉を思い出す。
『新しい外史の扉が開かれる』
 きっと、ここは俺の知る外史でも美羽と出会った外史でもない。
 ――――そう、ここは
「新しい外史?」
「それは要するに七乃のおらぬせかいってことなのじゃな……」
「多分ね……もしかして」
 俺の中にはもう一つ、考えていることがあった。
「のう、主様。もしかして、妾たち以外の皆は……消えてしまったなんてことは?」
 落胆しきった様子で潤む瞳を向けてくる美羽の頭をそっと撫でる。
「きっと、消えてはいないと思うよ」
 新しい世界に俺たちが来られたんだから、七乃たちが別の外史に存在してる確率だってあるはずだ。
「うむ。確かにそうなのじゃ。七乃のことじゃからな、以外としぶとくやっておるかもしれんのう」
「ああ、そうだな。きっと、美羽を求めて走り回っているかもな」
 外史の垣根を越えて美羽を捜す七乃の姿を思い浮かべて俺は吹き出す。
 美羽も同じ想像をしたらしく少しだけ笑顔が戻っている。
 美羽にはやっぱり笑っていて欲しいというのが俺の望みなのだろう。
51 名前:偽・恋姫†無双 美羽END(7/7)[sage] 投稿日:2011/04/25(月) 06:40:57.14 ID:S5SLTd+D0
「にしても、これからどうしようかな」
 二人だけになってしまった今、まず何をすればいいのか。
 考えながら辺りを見渡して俺はあることを思いつく。
「そうだ、帰ろう。もし、ここが俺の知る世界と似ているなら、きっと俺の家もあるはずなんだ」
「かまわぬのじゃ、妾は主様以外頼れる相手はもうおらぬからのう」
 そう言ってすり寄る美羽に微笑みかけると、俺たちは立ち上がり寄り添うようにして歩き出す。
「七乃もきっと俺たちに追いつく」
「それまで、二人で頑張っていくのじゃー!」
 もっとも無に等しい可能性を信じて俺たちは歩き出す。
 今にも七乃たちが追いかけてくるような気がする。
 もしかしたらそれは直ぐにでも実現するという虫の知らせかもしれない。


 仲間たちと別れた悲しさを乗り越えて俺たちは新たな道を歩き始める。
 美羽の笑顔があれがいつだって笑っていられるのだから――――。
52 名前:清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 [sage] 投稿日:2011/04/25(月) 06:56:42.85 ID:S5SLTd+D0
以上となります。
勢い任せで申し訳ありません。
無性に書きたくなったので……ホント馬鹿ですみません。
もし楽しんで頂ける方がいましたら幸いです。
また、この程度でも投下していいのなら挑戦してみようかな?
なんて思って頂けたら更に幸いに思います。

それにしても連続投稿にひっかかり安くて朝は辛いですね。
まあ、待ち時間で出掛ける準備などいろいろ出来たのでいいですけど。

では、これにて失礼します。

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