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473 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:12:49 ID:jSJhxVm6O
「にゃー(バンニャーイ・バンニャーイ・バンニャーイ)」
「どうしましたバカ猫?」
「にゃー(俺生きてる(泣))」
「おや?死にかけたのですか」
「にゃー(ある意味…取り敢えず一月振りの携帯の感触になにもかもがあやふや〜…リハビリも兼ねての官途の戦い(後)を26桃香です〜」
「なんだか陽気ですね〜確か天の台詞ではい・てんしょん?…でしたか?まあ、そんなことはどうでもよいですね〜、ではではお楽しみください〜」
475 名前:官渡の戦い(後)1-26[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:19:53 ID:jSJhxVm6O
ヒュン!
ドスッ!!
「ぐっ!」
放たれた矢が夏侯惇の左目に刺さった。
「ぐっ……ぬ、ぬぅ……っ!ウオオォォ!」
ドスッ!
「ギャー!!」
左手は矢が刺さった左目部分を押さえながら右手をそのまま振り下ろし矢を放った兵を切り裂いた。
「か、夏侯惇将軍っ!」
「(くっ……まずい!兵が動揺を――っ!)」
咄嗟の判断で馬上にて体勢を整えると高々と声を張り上げた。
「聞けぃ!我が勇敢なる魏の精兵たちよ!これしきのこと、この夏侯惇の心胆を寒からしめるものではないっ!この身に受けた傷などで、猛った我が心が怯むことはない!私はただ名を傷つけることを厭う!
 魏の将兵たちよ!見よ!我が勇猛を!そして感じよ!魏武の想いを!」
すると左目を引き抜き。
「身体髪膚これ父母にうく!たとえ片眼を失ったとて我が武の猛りはいまだ冷めず!心中渦巻くは敵を叩き伏せんがための炎!将よ見よ!兵よ見よ!我が目と共にその身の惰性を飲み干して、
 魏の名聞を天に向かって高らかに名乗り上げよ!天は我らと共にあり!我が片眼は天への供物と心得るが良い!」
と、矢尻に刺さったままの左目を口に運び。
「ぐっ……んっ……んぐっ……」
ゴクッ……。
そのまま呑み込んだのだ。
476 名前:官渡の戦い(後)2-26[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:27:55 ID:jSJhxVm6O
「……供物は捧げられた!これより我が身を天兵と心得よ!起てよ将!起てよ兵!袁紹軍を撃破し、いざ疾く目指さん!曹操様の天下統一へ!」
「おお」
「さすが夏侯惇将軍だ!」
「戦うぞ!まだ俺たちは戦うんだっ!」
「ならば立て!剣を取れ!弓を構えろ!袁紹の軍勢を殲滅せよ!」
「「「応っ!」」」
「総員整列!鋒矢の陣のまま袁紹軍に突撃せよ!魏武の強さを天に見せつけてやるのだ!」
整列を整えると、部下と兵が袁紹軍に対して突撃を開始する。
「夏侯惇将軍、残りは我々が指揮を」
「うぬ、すまぬ…だがあまり無理するなさっきも言ったが戦いはまだあるのだからな」
「分かってます、ですから早く砦にお戻りください」
すると夏侯惇は周りを数名の部下に守られながら砦に戻っていった。
そして砦の門にたどり着くと部下が。
「開門!開門!夏侯惇将軍のお戻りだ!」
門が開き、そこには荀文若と張遼が待ち構えていた。
「春蘭。なに勝手に帰…えっ!どうしたのその顔!」
「いや、大事ない」
「そんな訳ないでしょ!ちょっと衛生兵、急いできなさい!」
待ちきれず呼びに行ったのか荀文若が姿を消した、程なくして衛生兵が遣ってくる。
478 名前:官渡の戦い(後)3-26[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:34:11 ID:jSJhxVm6O
が、夏侯惇が診察と治療を嫌がる為、出来ることといえば精々痛み止めを飲ませることと包帯を巻くことぐらいなのだが。
「ええいっ、薬は嫌いだし包帯など巻けるか!恥ずかしい」
それすら拒否をされ困る衛生兵、治療をしなければいけないのに治療をさせてくれないのだ。
そうこうしている内に荀文若が戻って来た。
差し出す右手には蝶をあしらった眼帯が握られている。
「案の定、治療も薬も拒否したわね…あなたって衛生兵の存在を全否定なの?まったく……ほらっ、これでも着けてなさい。その姿を華琳様の前に晒す気?」
珍しい態度に夏侯惇と張遼がキョトンとしていると。
「なによ!なにか変!要らないなら片付けてくるわよ」
「いや、悪い桂花。あまりに珍しいものを見たから…つい」
「つい、なによ!」
「惚けてしまった」
「やっぱ、しまって来る!」
「まあまあ、桂花はん。春蘭のあれはいつものことやん、せっかく出して来たんやからしまうやなんて野暮なこと言いなはんな」
本気で転進したのを張遼に諭されて渋々な顔で夏侯惇に眼帯を渡した。
「どうだ?」
「おっ!似合っとるやん、惇ちゃん」
「当たり前でしょ!私が選んだのよ」
「うぬ、ありがとうな桂花」
「!?」
479 名前:官渡の戦い(後)4-26[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:40:32 ID:jSJhxVm6O
これも見なれない夏侯惇の素直な態度に、今度は荀文若が戸惑っていると。
「純粋な感謝は素直に受け取り」
と、張遼の言葉に反応して。
「別に、ど…どうってことは無いけど。でも、礼の言葉は受け取っておくわ」
「うぬ、…ところで霞」
「なんや、春蘭?」
「すまぬが彼等の撤収の指揮、代わってくれぬか?」
彼等とは今尚、袁紹軍に適度な突撃を行っている出撃した部隊のことである。
「了解や、ほんならウチも二・三回突撃したら連れて帰ってくるわ」
「それで構わん、頼む」
「ほいな、ほんなら誰か!適当に付いてきい!」
すると、腕に自信が有る者が張遼の後をついて行く。
見送った夏侯惇は衛生兵の強い勧めも有り念の為に自分の天幕に戻る、張遼は宣言通り二度・三度の突撃の後に悠々と砦に帰ってきた。
◇ ◇ ◇
「…これは、どういうことなの!?」
まさかの烏巣攻略を失敗した曹操は官渡の砦に戻っている途中、再度頭をフル回転させて起死回生の策をねっていた。
だが官渡に戻ってみれば待ち受けていたのは武装解除し降伏していた袁紹軍七万の部隊。
後に烏巣の軍勢三万も武装解除の状態で現れるとの事。
この事態に不機嫌な声での第一声が先程の言葉だった。
480 名前:官渡の戦い(後)5-26[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:46:34 ID:jSJhxVm6O
砦内に並べられた袁紹軍の将校に文官たち。
相変わらず不機嫌な声で、
「勝っていたあなた達の降伏の理由説明をなさい」
曹操は内心であの袁紹が降伏する筈がないと思っていた、ましてや相手は自他共に認める犬猿の仲である自分である、しかもかなり優勢に戦っていたのである益々降伏する理由が見当たらない。
そしてこの場に袁紹の姿が見えないことから理由までは分からないものの、精々裏切りによる袁紹の排除・降伏だろうと思っていた。
「あなた達の処分はそれを聞いてからよ。……それと桂花、撃って出た春蘭は?前線の検分役として必要よ」
「春蘭はその……」
いつもなら夏侯惇がいなければ喜んでサッサと事を進めようとする彼女の歯切れが悪い。
「どうしたの?・・・!?、桂花、なにが有ったのハッキリと答えない!」
曹操の声に凄みが滲み出した。
「春蘭は怪我をしまして…」
「どこに居るの!」
「自分の天幕です」
すると何も言わず疾風の如く駆け出した曹操と夏侯淵、夏侯惇の天幕に着くや否や。
「春蘭!」
「姉者!」
二人の声の主に驚く夏侯惇。
「華琳様!秋蘭」
二人の真名を呼びながら布団を頭に被って伏せてしまう。
「どうしたの春蘭、姿を隠して?」
482 名前:官渡の戦い(後)6-26[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:53:40 ID:jSJhxVm6O
「姉者?」
「い…いえですね、よく考えたら傷付いた私の姿などを華琳様に合わせる価値も無―」
「春蘭!!」
「はい!?」
その怒った声に習性でベッド脇に直立不動で立ち上がってしまう夏侯惇、既にベッド脇まで来ていた曹操と夏侯淵は夏侯惇を挟み込んで再度夏侯惇をベッドに押し倒した。
「春蘭…あなたは本当に私がそんな考えを抱くと思っていたのかしら?」
など、喋りながら身体を弄る。
「そうだぞ姉者、華琳様がそんなお人じゃないのは姉者が一番知っているではないか」
と、こちらも喋りながら反対側から弄ってくる。
「そう思っていたなら再教育が必要ね、秋蘭」
「はい、華琳様」
「か、華琳様?秋蘭?…あぁっ」
こうして曹操と夏侯淵の二人が満足するまで暫くの間、曹操の部下も袁紹の捕虜も待たされる羽目に遭うのだった。
・・・
・・

◇ ◇ ◇
それから数時間後、待たされた彼等の聴取が始まった。
「――確かに、終始我々の方が有利に戦いを進めていました。ですがそれも烏巣から顔良将軍の戦死報告がもたらされてから全てが狂いだしました……」
・・・
・・

◆ ◆ ◆
「≠□*♀〆」
「ε£#&」
袁紹は配下達から何かを話し掛けられているがまったく興味なかった。
483 名前:官渡の戦い(後)7-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:01:02 ID:FTBnJZsMO
「〇ゝ◎▲※∋」
「〓♯¶?」
どうせ話し掛けてくる内容はおべっかだと決め付けていたし、事実大抵がそうであった。
文醜と顔良の二人が共に居なくなると決まって不機嫌な様子で酒をチビチビやるのが袁紹のかなり前からの習慣になっていた。
「Φ‡к煤刀v
「☆△〆¥」
「(・・・・)」
最早、耳障りとも感じない小さいころからの強制イベント。
それでもまだ私塾に通っていた時は極少数ながら、それぞれの理由もなんであれ家系を気にせず媚び諂わない者達と対等の会話を交わせてたり、一緒に無茶をする者も居て大分ましであった。
だがそれもそれぞれが親から領地や地位を受け継いだりまたは自力で手に入れたりして行き、お互いの立場がおいそれと会えなくしていった。
そんな中、遠慮なしに本音をぶつけてくる文醜とその文醜に振り回されながらも面倒見が良い顔良に出会う。
二人との出会いは嘗ての何かを取り戻せた袁紹。
故に、二人が同時に居なくなると素直なじゃない袁紹は近づく者達の排除してしまう。結果、場の空気を感じない為にも“酒でも飲んでないとやってらんなくなる”のだった。
そして“袁紹にとって、相変わらず雑音が中”で。
「◇×*」
484 名前:官渡の戦い(後)8-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:07:05 ID:FTBnJZsMO
「〃‖〇♀£」
「―注進!!」
「≠′*□▲」
「ご注進!?」
それでも進展を告げる言葉には反応する。
「報告はなんですの?」
以前と椅子にふんぞり、返り素っ気なく興味なさげな態度も心の中では『猪々子さんですの?斗詩さんですの?』と考えてる最中、無慈悲な報告は告げられる。
「顔良将軍戦死!」
『この時、袁紹は持っていた杯を落としたと云う』
袁紹は想像すら出来なかった報告に軽く混乱した、言われる内容が理解出来ていない、いやしたくないからだ。
「尚、烏巣の拠点・食糧共に健在。烏巣砦の将官から『念の為に代わりの将と少数でも追加の守備兵を派遣して欲しい』とのことです」
ガタッ!
と、その言葉に反応し荒々しく立ち上がると座っていた椅子を倒す。
慌てて侍女達が倒れた椅子を元の位置に戻そうとした時。
「代わりを寄越せですって!!斗詩さんの代わりなんて居るわけが無いでしょう!?自分の失態を棚に上…」
その報告を口に出すことを躊躇った袁紹が口を留めた。
「何かの間違いですわ!絶対に認めません!!…混乱を招いた烏巣守備の将官はこの戦が終わったらキツい刑罰が必要みた―」
そうこうしていると再度、
「ご注進!ご注進!?」
報告を告げる伝令の声が響くと、袁紹は内心胸をなで下ろす。
485 名前:官渡の戦い(後)9-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:13:24 ID:FTBnJZsMO
「…ほら、やはり先程のは誤報よ」
それから束の間、報告の内容を聞くまでは機嫌が治った。
「サッサと我が軍の勝利報告をなさい。で、猪々子さんですの?斗詩さんですの?」
その袁紹のご機嫌な態度に伝令は曇った表情で呟いた、
「文醜将軍、討ち死に…」
と。
一瞬、袁紹は視界が黒く染り何も見えなくなった。
そして産まれたての小鹿のように小刻みに震えながら袁紹は問う。
「…何を?…何を言ってますの?あの文醜さんが……シ?…シ……ありえる筈ないでしょう…」
「ですが私を含め、多数の者が文醜将軍の……最後を…。敵将夏侯惇に一騎打ちを挑まれ勇敢に応じました。数十回に渡る打ち合いの末に夏侯惇の渾身の一閃後、
 気付くと文醜将軍の姿は無く……夏侯惇からの勝ち鬨が……うぅ」
伝令の涙声が悲壮感を一層増す。
「お主ら!なにを悲しみに浸っておる!」
だがその時、文官の叱咤がその場の将官・文官を現実に引き戻した。
「報告にも有ったであろう。烏巣の拠点、食糧共に無事じゃ。官渡攻略部隊も痛い目に遭ったようじゃが被害は五千も出ておらん。いまだに我等の方が圧倒的に有利なのじゃ、さあ袁紹様!両将軍の敵討ちを討ちますぞ!?
 今は此処に要る全軍に官渡攻略のご指示を!!」
487 名前:官渡の戦い(後)10-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:18:20 ID:FTBnJZsMO
だが名を呼ばれた袁紹本人は夢遊病者の様にふらふらと天幕の外に出て行く、慌てて将官・文官が引き止める。
「袁紹様!如何なされました!早く攻撃の御命令を」
すると魂が抜けたような顔で振り返ると。
「……後は貴方達に取って一番都合が良いように好きになさい」
「いかがなされました袁紹様!両将軍の敵を討たなくてよろしいのか!」
「……カタキ?…敵を討ったら二人は帰ってきますの?」
問う声には精気がまるで感じられない。
「二人が居なくなったこの世界で、例え大地全てを平定したとしても既にわたくしにとってなんの意味もなさなくなりましたわ……」
だだ歩くが億劫なのか、以前力無く近くの馬に跨るとそのまま駈ける訳でもなく陣の外に出て行った。
「ええい、仕方がない落ち着かれるまで何人か付け!」
慌てて数人が袁紹の護衛に付いて行く。
約二時間後、説得を諦めた護衛が引き帰ってくる。
あのままでは曹操の陣に向かう可能性が大で有り、やはり我が身が大事で有る。
そして残された者達は今後をどうするのか検討に入る。
「まずは、袁紹様は全てを我々に委ねたと判断するがよろしいか?」
それに関しては満場が一致する。
488 名前:官渡の戦い(後)11-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:23:47 ID:FTBnJZsMO
そして有利に進んでいるこの戦いのこと、勝ったとして領地に戻ったその後、後継人問題等々を……
・・・
・・

◆ ◆ ◆
「そして話し合った結果。今この戦に勝ち曹操様を退いたとしても、次の戦にも勝てるのか?嫡子も居らず後継人問題も起こるでしょうし…ならばこのまま名君と名高い曹操様に降伏するのが一番の上策と結論付けました」
「戦を仕掛けといてなにを言うか!」
「それでしてたら此度の戦い“袁紹様の『曹操を私の目の前に跪かせますわよ』との独断と独裁で”始めたこと。少なくとも我等は曹操様に対して敵対心は有りませぬ」
そうは言うものの、この戦い曹操が負けていたならば彼等は袁紹の軍門に下る様に説得しただろうか?延命の処置を要求しただろうか?と考える。
だがそれも曹操が決して応じる訳がないと知っているのだから形だけは取り次ぐかもしれないわね……と、そんな考えも今は全てが無駄だと気付き頭の思考を切り換えた。
「…そう、ならば主が代わるとしても貴様等には問題無いと?」
「民の為に善政してくれると約束してくれるならば」
「自分達の身しか…」
と、言い掛けて止める。
489 名前:官渡の戦い(後)12-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:30:01 ID:FTBnJZsMO
「まあ良い、今後はあなた達の言う民の為に“私の下で善政を行う”と言うのなら『今回のことは不問にしましょう』けれども少しでも不穏な動きを見せたのなら…」
と、言い放ってから無言になる曹操。
こうして袁紹の部下の処置も決まると夏侯淵が曹操に話し掛ける。
「華琳様、気になる点が」
「分かっているわよ」
夏侯淵の言動を制し改めて元袁紹の部下に問う曹操。
「この戦の最中、顔良にその手紙を渡した間諜はいったい誰の差し金なのかしら?」
顔を正面に向けると。
「顔良が受け取った簡は有るかしら?」
「ですが顔良将軍が戦死してしまった今…」
事情を知らない一人が口を挟むも、挟まれた内容に更に曹操が口を挟む。
「あら?顔良は死んでなんかないわよ」
「「「―!」」」
袁紹軍の高官一同が驚きの表情に変わる。
「曹操様、それはいったい―」
「そんなことは“今のお前たちには全く関係のない事”日頃の訓練に因る伝達の正確性の無さが祟ったみたいね。で、有るの、無いの、顔良が受け取った手紙か簡は?」
複雑な顔で代表なる文官が懐から竹簡を取り出すと。
「これに…」
カラッ…
受け取った竹簡を広げて読み出す。
490 名前:官渡の戦い(後)13-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:38:10 ID:FTBnJZsMO
「…書の内容があまりに雑でない?…」
「…それはこの書の主も確信が無かったのでは?…」
「…それにしてはこの戦いの両軍の進行経路などがつい間近まで書かれている、明らかに書を手放した後の進行経路まで…」
「…ですが華琳様、そんなモノは進行経路が解っているのですからかなり予想が付きます…」
「…予想だけでここまで判るのかしら?…(それに烏巣の食糧の事、離叛者の事、私が烏巣の事を知ったら迷わず兵を引き連れて攻め込む事まで書かれてるのが気になる)」
曹操は更に考え込み暫くの後、不意に曹操の質問が飛ぶ。
「烏巣の食糧、何人が知っていた?」
「それは顔良将軍が皆の前で喋ってしまったので―」
「それ以前の状態でだ!」
質問の内容から察しろと言わんばかりに声を荒げる曹操。
「それでしたら袁紹様と文醜将軍、このお二方が覚えてたかは疑問ですが…それに顔良将軍と烏巣の守り付いた将官に私、先に下った許攸とこの場の数人…十人はおりませぬ」
その台詞を聞くやいなや。
「桂花、稟!!」
「ハッ!」
「この竹簡を渡したのがどこの間諜か、及びその主かこれ書いた者を必ず突き止めなさい!?」
「「り、了解いたしました、華琳様」」
491 名前:官渡の戦い(後)14-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:43:59 ID:FTBnJZsMO
「華琳様?」
「秋蘭、あなたが烏巣で言ってた事、あながち間違っていなかったのかも知れないわね」
「華琳様、それは烏巣でも話ましたが」
「なら改めて聞くけど、これを書いた者は近所にでも住んでるのかしら?」
「―!」
「そう、“近場から持って来た”として、どう逆算してもほぼこの戦が始まった直後でしょうね…近場だったとして」
摘んだ竹簡をヒラヒラさせながら語る。
「具体的な名前は無いけれど数少ない該当者の中から離叛者が出る事を当てて、袁紹側の重要機密烏巣の食糧の事も知っていた。更にそれを知った私が躊躇無く大半の兵を引き連れて烏巣を攻め込む事まで当てた」
呆れかえるように溜め息をはいた後。
「機密が漏れる可能性も低く、ただの“まぐれ当たり”で片付けるには常軌を逸脱してわ。ましてやかなり以前から書いてる、この密書…この地が私と袁紹の領地のほぼド真ん中の事実から考慮しても」
いまだに竹簡をヒラヒラさねながら話を続ける曹操。
「放っておくのはあまりに危険ね(それに私の思考も読まれてる?)」
「…確かに」
「ならば再度言う、この手紙の主を探し出しなさい、必ずよ!」
この時、曹操の心境は何故か複雑であった。
492 名前:官渡の戦い(後)15-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:49:29 ID:FTBnJZsMO
が、やることは山と有るので迷ったり悩んだりする暇は無かった、直ぐに振り向くなり。
「これよりあなた達の処遇、及び配置部署を言い渡す!」
・・・
・・

◇ ◇ ◇
こうして官渡の戦いが雌雄決してから数時間後、戦場だった場所を駈ける騎馬が一騎。
そしてそのだいぶ先で起き上がる者が一人。
「あ〜よく寝た……斗詩〜。飯なに〜?」
上半身だけ起こすと左右を見渡し。
「・・・あれっ?」
なにが起きたのか理解できない、なにをしていたのか思い出せない、な顔で起き上がった文醜。
すると、先程の騎馬が文醜に近づいて声をかけてきた。
「あっ、文ちゃん!」
「斗詩!やっぱあたい達通じ合ってるんだな〜、愛してるよ」
両手を広げながら顔良に近づく文醜。
「も〜文ちゃんふざけてないでよ!で、姫はどうしたの?」
「・・・・ハッ!麗羽様!!しかもよく見たら暗くなってるよ!?」
「そんなの見れば分かるでしょ!で、姫は?」
「姫?…姫は斗詩が出撃してから…官渡の砦に一万もいないって発覚して…あたいが四万の兵を引き連れて…出撃してきた夏侯惇と一騎打ちして・・・ハッ!」
先程の戦い、夏侯惇と文醜の過激な一騎打ちに乗られてる馬は堪ったもんじゃなかった。
493 名前:官渡の戦い(後)16-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 00:54:39 ID:FTBnJZsMO
特に文醜の馬に至っては通常の何倍もの重量の大剣を振り回されて戦う、しかも相手は『魏の大剣・夏侯惇』である。
そしてまさしくあの時、許容を超えた負荷をかけられた馬が事切れたのだ。
それが旨い具合に一瞬の内に真下に崩れ落ち、勢いで頭を打った文醜は気絶したのだ。
それを姿が見えなくなり気配も無くなったからと、文醜を討ち取ったと勘違いした夏侯惇が勝ち鬨を上げその戦いの雌雄が決したのだった。
「なにか思い出した?」
「思い出した!戦勝祝、食い損ねた!」
「文ちゃん!」
顔良の怒った声がこだました。
・・・
・・

そして二人が一頭の馬に跨って駈けていた。
「なんだそりゃ、斗詩?」
顔良の口から出た台詞の内容に文句を言う。
「だから烏巣の砦に停戦の使者が来て」
「だからなんでそれが曹操側で、しかも曹操が勝利の形で来るんだよ」
「そんなの私が分かる訳ないでしょ!停戦の使者の話だと『とにかく袁紹側が負けた、証拠はこれに』って、公式の調印が入った調停書を見せられて……心配したんだから!」
力一杯叫んだ後。
「…文ちゃんが討ち取られたって云う噂も聞いちゃたし…」
この時の顔良の声がやや涙声だった。
496 名前:官渡の戦い(後)17-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:02:33 ID:FTBnJZsMO
「ごめんな、心配させちゃたな」
その言葉に機嫌を多少良くした顔良が話を続けた。
「そして麗羽様の身になにか有ったとか。だから一緒の筈の文ちゃんに聞こうとしたのに…あんな所で一人で居るし・・・」
呆れた様な安心した様な顔で呟く顔良。
「だから、さっさと曹操を倒して斗詩を迎えようって麗羽様と話してたんだよ」
「それにしたって姫を一人にするなんて、もう!」
「それは、本当に悪かったって。で、この後どうするの?」
「どうにかして姫の情報を仕入れないと。麗羽様の軍勢は武装解除されて曹操さんの麾下に入れられたって云うから…難しいかな?」
そんな中、袁家の幸運力なのか?袁紹を思う二人の力なのか?
武装解除をするも手続き等で『最後まで残り、ようやく統治の為に華北に戻る途中の全く見張りの居ない元袁紹の軍勢』に出会う。
「どうどう…」
駆け寄ると馬を止めた二人に、
「文醜将軍!顔良将軍!よくぞご無事で!」
何人かの将軍が話し掛けて来た。
ある一人は兵士に指示を出し、指示された兵士はどこかに駆けて行った。
突如の報告に慌てて出迎えたのは元袁紹軍筆頭文官が、
「文醜将軍、顔良将軍。よくぞご無事で…やはり討ち死にの伝令は誤報、曹操の言っていた事は真実であったのか…」
498 名前:官渡の戦い(後)18-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:08:50 ID:FTBnJZsMO
そして状況確認の為の顔良からの問いを当人なりに順番を整理し経緯を話す。
そして分かる限りの全てを話し終えると始めに声をあげたのは文醜だった。
「二人共々、戦死ねえ・・・まあアタイの誤報は仕方ないとして斗詩も戦死って、そりゃ無いだろ」
その言葉に顔良がポツリと呟いた、
「私も…部下が守ってくれたんだけど、見た目的にはかなり厳しかったからちゃんと確認しないとやっぱ勘違いするかな?」
と、話した表情は何かを思い出したのかえらく曇っていた。
◆ ◆ ◆
「キャ!」
ドスッ!!
本命の獲物を仕損じた夏侯淵、彼女にとっては珍しい舌打ちをしながら『外したか…』と呟く。
今、顔良の足元には背中から肺を突き抜ける程に矢が刺さって将校が倒れている。
事態を把握した他の将官が叫ぶ。
「矢による狙い撃ちだ!」
「顔良将軍を守れ!」
「盾だ!盾を持って来い!!」
だが盾の到着を待つまでもなく人による盾が出来上がり顔良を守る。
こうなってしまっては高所からならともかく下からでは、いかに夏侯淵といえども狙い撃つのは不可能だ。
しゃがみ込んだ顔良は庇われて倒れている将校を抱き込むようにすると。
「医者を!早く医者を!」
501 名前:官渡の戦い(後)19-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:20:31 ID:FTBnJZsMO
だがその言葉も声を発している本人を守る為の騒動に掻き消される。
「顔…将軍…」
首を振り医者を拒否する将校、自分の状態を把握してのことだろう。
「どうして…」
『兵が将を守る』至極当然なことだが、たった今彼女を守った彼とて将校である。
いずれ彼女を越す将になる可能性もあるのだ、どうしても一兵卒が命を落とすのとは訳が違う事態に思わず疑問を口にしていた。
「なに、…袁紹様の軍勢に…残された唯一の良心、顔良将軍がいなくなったら…袁紹様の下でやってく自信…無くてね。身体が勝手に動き…ましたよ」
口の端から一筋の血が流れ落ち出したのを黙って見守ることしか出来ない顔良。
「…だから気にしないでく…さい。って言…ても無理でし…うがどの道、がんり…うし…うぐんが居なければ、いずれえんし…うさまのし…くせいに……」
「姫は、袁紹様はそんなに厳しいお方じゃないですよ」
「いいえ…あの人は二人がいて…はじめてゴポッ!」
口から大量の血を吐き出し会話が中断される、なんとか口からの吐血を吐き捨てると。
「どう…らじか…のようで、すいませんがお先にしつれ…………」
と、彼との会話はここで永遠に中断された。
502 名前:官渡の戦い(後)20-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:27:50 ID:FTBnJZsMO
「顔良将軍ここは危険です、どうか安全な場所まで」
暫し彼を抱き抱えたまま動かなかった顔良だが、彼の死を無駄にしないためと意を決したのか力強い返事を返す。
「うん、わかった」
人の壁に守られながら砦内深くに引いてく顔良、その両手には代わりに犠牲になった青年将校がしっかりと抱きかかえられていた。
この時、“袁紹軍の過ち”が一つ発生していた。
烏巣の砦の指揮官が顔良将軍の安否の確認をとろうとする。
だが人の壁で視認が出来ず、確認の者を出すも混乱が著しい上に伝令の流れ矢による不幸な事故も重なる。
そして多く情報を得る為に襲撃現場を確認させれば人一人が死ぬには問題無い量の血が現場に流れていた、念の為に『複数による怪我人の血じゃないか?』と確認も、『この場での負傷者は未だ先程の司令部の一人のみ』とのこと。
それで早合点した砦の将は本陣に戦況と顔良の戦死報告の伝令を出し、間に合ううちに訂正の伝令が出る事は無かった。
一方、顔良は撃てず、砦も落とせずの曹操軍も当初の勢いも失い、現状の戦力差では烏巣を諦め撤退を余儀なくされた。
その後、顔良が戦死してないことを知るもそれはもう正に『後の祭り』であった。
503 名前:官渡の戦い(後)21-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:33:13 ID:FTBnJZsMO
更にその後、曹操軍の停戦の使者にただ一人納得いかない顔良が単身で調停を無視して飛び出して行った。
◆ ◆ ◆
そして今現在に至る。
「で、今後どうなさるおつもりで?」
問われ悩む文醜を尻目に顔良が答えた。
「取り敢えず姫を、袁紹様を探し出します」
「だな!」
「して、見つけ出したら再起を計りますか?」
「それは、それを決めるのは…やはり袁紹様かと」
「確かに…そうでしたな(袁紹様がどうするにせよ今の袁紹様はお二人の声しか聞き入れませんでしょうし)」
「ではそろそろ行きますね、あまり長居してどんな迷惑をかけるか判りませんし」
「ならばこれだけでも」
と、目に飛び込んできたのは一目でかなりの名馬と分かる馬が二頭。
「え?」
「『え?』ではありませぬ、今のまま袁紹を見つけ出したとして一頭の馬に三人で跨るおつもりですか?」
「「あっ!」」
二人の返事がハモる。
「それと少ないですが路銀も」
「そこまでは…」
と、顔良は遠慮しようとするも。
「まあ私財から出したので構いませんが、文醜殿の食費と袁紹様にかかる費用を顔良殿が一人、裸一貫で養うのですか?」
「ハハハ…いただきます・・・」
乾いた笑いを出しながら受け取る顔良。
504 名前:官渡の戦い(後)22-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:38:53 ID:FTBnJZsMO
二人が新たな馬に跨ると。
「それではお二人共、お達者で」
「そちらもお元気で」
「おうっ、ちょっくら行ってくるぜ」
「ハハハ、文醜殿にかかればこれからの困難も楽しい旅と変わりませんな」
「あったりまえじゃん!人生楽しく生きなきゃ」
「「「アハハハハ!!」」」
こうしてひとしきり笑った後、各々一人を乗せた二頭の馬が自分の主を捜すために駈けだして行った。
◇ ◇ ◇
袁紹軍、野営跡地。
袁紹軍だった者達を武装解除させ自分達の軍に取り入れその後、華北に戻させていた。
そんな中、唯一片付けさせなかった袁本初の本陣の天幕、今その場所を曹操たちは訪れていた。
入り口から入る曹操と家臣、天幕の中は静まり返りかなり薄暗い。中央には派手で大きな机が一つ、机上には豪勢な料理が並ぶ、だが並び具合からまだ料理が追加される予定だった事を示唆していた。
だが、並べられてる途中の料理はとっくの昔に冷めて追加の料理が作られることも無かった。
ガシッ!
突如として机の端を掴んだと思いきや渾身の力でひっくり返した曹操。
ガシャーン!パリン!
ドンガラガッシャーン!!
ドカッ!?
「ハアッ…ハアッ…」
机をひっくり返しただけなのだが既に肩で息をしていた。
506 名前:官渡の戦い(後)23-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:47:27 ID:FTBnJZsMO
普段、いや過去に一度もこのような姿を見た記憶が無い家臣達は驚いて黙って見ている。
「なんなの…」
皆の視線に気付いた曹操がポツリと呟いた。
「今回の麗羽との戦い、厳しいと覚悟はしていた。実際は予想以上に辛く厳しかった。が、好機も訪れた、全ての形勢をひっくり返す様な好機が…私が覇道を目指しているのを、
 実は私の意思など無視した定められた天啓であるかの様に」
振り向きながら言葉を続ける。
「それがなに?謎の入れ知恵に勝利を阻まれたと思えば!結果的に麗羽が一部の部下を失ったとの勘違いからの戦意喪失!?そして失踪?どちらにしろあの麗羽に勝ちを譲られたのよ!!
 私と麗羽との長年の因縁に決着をつけるこの戦いに茶々を入れた人物を絶対に許さない、絶対によ!」
怒りからか?肩が微かに震えていた。
「桂花!」
「はいっ」
呼ばれたとはいえ、ここで初めて曹操以外の人物が天幕内にて声を上げた。
「風!」
「は〜い」
「稟!」
「はい!」
「もう一度!申し付ける!!あの手紙の主、なんとしても見つけ出すのだ!?これは上意である!この戦いにケチを付けた代償、必ず払わせてやる」
「「御意!」」
「御意〜」
曹操の決意に返事で返した三人。
508 名前:官渡の戦い(後)24-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 01:52:09 ID:FTBnJZsMO
「もうこの天幕も必要ないわ。さっさと片付けさせなさい」
「はい」
「明日は傘下に入れた袁紹の領土と兵、両方を協議しなくてはならないわ。今日まで皆連戦で疲れたでしょう、早く休んで明日に備えなさい」
そこには既に普段の覇王・曹孟徳に戻っていてみんなが安堵する。
「「「はい」」」
各々が天幕を出て行き自分の天幕に引き返して行った後。
「…しい…」
一人残った曹操が一言だけ漏らすと自分も天幕から出て行った。
◆ ◆ ◆
・・・
・・

「と、ここまでが報告になります」
周泰の報告にホッとしながらも複雑な心境になる一刀。
袁紹軍の動き方?戦い方が自分の記憶の官渡の戦いと大分違い、それが原因で曹操がかなりの窮地に追いやられたと確認させられた。
ましてや形勢逆転の烏巣も一刀がもたらした情報を元に、かなりの対策を打たれてしまい全くの手出しが出来なく成った。
袁紹本人には悪いと思いつつも、報告にあった袁紹のショック状態による行動がなかったらと背筋が寒くなっていた。
当初の一刀の思惑とは完全に外れていて、“たまたま結果が良かったのだ”と。
「しかし、話を聞き終えれば恐ろしいわね彼女」
「?」
雪蓮の言葉の意味が分からず頭からクエスチョンマークが宙を舞う。
510 名前:官渡の戦い(後)25-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 02:00:27 ID:FTBnJZsMO
「曹操が勝つであろう流れを外的要素のあなたの知識と遠家の強運が見事に融合して遠家有利に働いた天秤を、最後の袁紹の謎の行動で全てがおじゃん…」
ついでに溜め息も付け足してから。
「どうやっても抗えない流れが有るかしら、私達じゃ計り知れない力が?史実通りに働こうとする力とか?」
「それは無いと思う、それだと俺がいた以前の魏が赤壁で蜀呉連合に勝てない。俺の存在が外的要素としても今回俺はこちら側で少なくとも『華琳に有利』って働くことは無いと思う」
「正直、途中まで聞いてた感じだと、さすがに今回は曹操の戦略的不利により一時撤退。当座、官渡周辺は袁紹の物だと踏んだんだけど…本当に末怖ろしいわ」
「そうだね、途中経過もさることながら烏巣の守りがかなりに万全な上、更に官渡の砦にまで攻め込んだと聞いた時は肝を冷やした…」
「どの道、華北は曹操の手に落ちた。今後、飛躍的に勢力を増すわよ彼女」
「まあ、ほぼ前回の記憶通りで魏国の成長率を予想するしかないか・・・はぁ、大変だ」
一刀の顔を見つめてた雪蓮が口を開く。
「言葉の内容の割にはかなり顔は嬉しそうなんですけど、それはちょっと不謹慎じゃない?」
「えっ?」
511 名前:官渡の戦い(後)26-26[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 02:05:09 ID:FTBnJZsMO
と、慌てて両手で顔を触る素振りを見せたがそれもストップする。
「うん、不謹慎だね。でも正直、個人的には華琳が無事だったのが嬉しかったし…俺無しの魏国がどう発展して行くのか楽しみなんだよ」
「あ〜、これから大変な目に遭うかもしれないってのに。はいはいご馳走さま・・・ちょっとムカついてきたかしら」
「ごめん…」
「本当に悪いと思っているなら!曹操のことは心の隅に大事にしまって劉備達や私達、特に!今は江東に向かっているんだから私達を大切にしなさい」
「了解しました、お姫様」
少々わざとらしく返事をするも、本心には偽りがないことは分かっているから。
「分かればよろしい・・・」
「・・・」
「「アハハハハハ…」」
一緒に笑い出し、一緒笑いながら一刀も雪蓮も内心なにか新たな決意をした帰路の出来事であった。
513 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [sage] 投稿日:2011/02/04(金) 02:10:10 ID:FTBnJZsMO
「にゃー(終わり〜、ご静聴と支援ありがとうごました)」
「ました〜」
「にゃー(いや〜去年、大晦日の有明(笑)で携帯を落とし早一月、その間携帯は叩けずネットは見れず…若干ノイローゼ気味に(笑))」
「はあ〜、どうでもよい無駄な苦労をしていたと」
「・・・・・・・・に"ゃー」
「おや?図星でしたか、それでは改めてご静聴と支援ありがとうございました〜次も新作?改良?…あぁ走って逃げたんでしたね、解らないのでは仕方ありません。でわでわ、またの機会に〜」

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