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628 名前:清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 [sage] 投稿日:2010/07/31(土) 01:50:59 ID:piCETKNT0
4レス程度のショートものを投下します。

†注意†
・萌将伝から持ってきたネタなのでネタバレがあります。
・少々独自路線に走ったので読んでも得がないかもしれません。
・ネタとして少々パンチが足りないかもしれません。
629 名前:○女教師との個人授業[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 01:54:34 ID:piCETKNT0
 それは慌ただしくも色々と面白いものが見れた健康診断の数日後のことだった。
「俺も?」
「当たり前だ」
 一刀の言葉に判然と返すのは三国中においてその名を知らぬ者はいないと言われる程の名医、華佗。
「一刀。お前だって彼女たちと変わらない……いや、それ以上に大事な身なんだぞ。健康についてはよく調べておくべきだ」
「そ、そうか?」
 軽い気持ちの一刀に対して真剣な表情の華佗、少々気後れしそうになる。
「ちなみにこれは、三国共同の意見でもある」
「はぁ、……わかったよ。でも、試験に関しては俺は無理だぞ。字書けないし」
「それなら、安心しろ。お前には個人授業を受け手貰う手筈になっているからな」
「こ、個人授業?」
 いつの間にそこまで話が進んでいたのだろうかと思ったが、三国共同で意見が纏まっている以上、一刀への対策も十分なのだろうとすぐに察して肩を竦める。
(なんだか、全て見透かされてる気分だな)
「とりあえず、予定に関する説明からしていこう」
「ああ、よろしく」
 個人授業に関する説明を受けながら一刀は一人、この先のことに想いを馳せるのだった。

 †

 華佗からの話を受けた数日後、一刀は個人授業ということで他の勉強が苦手な諸将が教えを受ける際に使用するところとは別の部屋を宛がわれていた。
 広さで言えば一刀の部屋より少し狭いくらいか。それでも、十分な広さがある。
 少なくとも一刀と女教師役の誰かが入っても余裕たっぷりだ。
「……しかし、誰がくるのかねえ」
 そう呟きながら一刀は一人妄想を膨らませていく。紫苑や桔梗、それに祭ならば色気むんむんなエロ教師になる。
 朱里や雛里などがなるなら、ちびっこ先生ということだ。
「ううむ、フェロモン女教師とロリっ娘先生か……どちらも捨てがたい」
 そんなことに思案を巡らせていると、一刀の耳にこつこつという足音が部屋の外から届いてきた。どうやら、ようやく教師が来たらしい。
 開かれる扉を胸躍らせながら見つめる一刀は、入ってきた人物に硬直する。
「はぁい、ご主人様」
「がっはっは! 待たせたな。ご主人様」
「は?」
 徐々に動き始める身体と現実を認識し始める意識。一刀は、その復活し始めるなかで瞼を何度もぱちぱちと瞬かせる。
630 名前:○女教師との個人授業[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 01:57:26 ID:piCETKNT0
「さぁて、お勉強はじめちゃうわよぉん」
「うむ。さっそくかかろうではないか」
「……え、えぇと」
 部屋へと入ってきたのは貂蝉、そして卑弥呼。
 どちらも、どこで仕立ててきたのかわからないスーツ、ただし、下は腰布……スカートを着用している。そのうえ、ちゃっかりと眼鏡までかけている。
 しかも、明らかにおかしいサイズのハイヒールまで履いている。
 貂蝉が履いている方の黒のハイヒールが窓から差し込む太陽の光でテカテカとしているのに目を向けていると貂蝉がすっと足を一刀の方へと伸ばしてくる。
「うわぁっ!?」
「ふふ。可愛らしい反応ねぇ」
 そういって可笑しそうに笑みを零しながら貂蝉は教卓として用意してあった卓へと腰掛ける。グレーのスーツが僅かに皺を造るが気にした様子はない。
「始める前からこれでは、きっと孕まされてしまうぞ」
「…………」
 頬を染めながら貂蝉の隣に腰を下ろす卑弥呼、その脚はぴんと伸ばされゆっくりと組まれる。その動きに合わせてタイトスカートと合わせになっている白色のハイヒールが円を描く……本来ならそそりそうな動きだが、今はただただ不快でしかない。
(とういか、ハイヒールなんぞはいてるから一層でかいんだよ、お前ら!)
 今は座っているため、軽減されたが、立っていたときの二人の圧迫感は半端無かった。おそらくは熊ですら出会った瞬間に姿を消すだろう。
「それで、なんでお前らなんだよ?」
「うふ、ご主人様ってばわかってるく、せ、にぃ〜」
「だが、その照れ具合も可愛いさがあってまた良し!」
「いや、マジでわかんないんだって」
「あら? ホントに知らないの?」
 そう言うと貂蝉は僅かに眉尻を下げて首を傾げる。
「そうだよ。教師がくるってこと以外は何も聞かされてないんだ」
「ふむ。よろしい! それならば、我らが説明するとしよう」
「頼む」
 徐々に重さを感じ始める肩を気にしながら一刀は二人の説明へと耳を傾ける。
「ホントはね、みんながみんな、ご主人様にお勉強をお教えしたかったのよ。でも、それぞれ忙しいし、誰が担当するかで荒れそうになってね」
「そこで、我らの出番である」
「なるほど。みんなにとって後腐れ無く、それでいて時間もあるがゆえに選ばれたと」
「うふふ。ご明察」
631 名前:○女教師との個人授業[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 02:02:09 ID:piCETKNT0
 微笑みながら貂蝉は足を組み替える。正直なところ、弧を描く強靱な脚部によって放たれる強風を受ける度に一刀に痛みが走っている。
(もう少しでかまいたちを発生させられるんじゃないか……)
「まぁ、そういうわけだから、この漢女教師がご主人様の担当をするわよん」
「がっはっは! 女教師、それは男の子がみる夢の一つ! ご主人様も興奮が抑えきれぬだろう?」
「…………ノーコメント」
 答える気がない……というよりは、気分が悪くなってきたせいで返答する気力がない。
「そうそう、文字が書けるようにしてくれとも言われているのよね」
「なあに、我らが親身になって教えればあっという間のこと。さあ、存分に頼るがよい!」
 そう言いながら二人は教卓代わりの卓の上で足を組みなおす。それによってスカートの裾がずれたり動いたりしてチラチラとピンクと白の見たくない種類の何かが見える。
 そして、その度に視界に飛び込むどう見ても特注のハイヒールが一刀の癪に障る。
「そうかい……」
「まあ、文字を書けるようになる、さらに試験勉強間で……というのは大変よね」
「いや、ご主人様ならばそれくらいこなすであろう。それが男なるものなり」
「えっと、そのだな」
 二人の間で話が進み一刀には入りこむ隙がない。
「でも、卑弥呼。それだけじゃ、可哀想でしょ? だから……」
「……な、なんと。それは、さすがのワシも胸がうずいてきおるわ」
 頬を染めてちらりと一刀を見やる卑弥呼と貂蝉。視線を受ける一刀は背筋を寒気が走るのを感じ、全身に鳥肌を立てていた。
「うふふ、もし、ご主人様が試験勉強の方で正解したら、ご褒美にわたしが」
「そして、不正解ならば、元気づけにワシが一枚ずつ脱いでいくことになった」
(逃げ道がないっ!?)
 反論よりも、思考によるリアクションのほうが早かった。
「ちょ、ちょっと、待てよ……」
「どぅふふふふ、ご主人様。遠慮なさらずに」
「漢女が勇気を持ってあたるだぞ、男は男気の心をもってそれを受けるべし!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
 ほんの刹那のときを縫って、二人が一刀との距離を詰め寄ってきた。しかも、両手を一刀の机について顔を突き出していて、視界を二人の顔が埋め尽くしている。
632 名前:○女教師との個人授業[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 02:06:07 ID:piCETKNT0
「さあ、ねっぷりどっぷりと教えて上げるわぁん」
「ぬはは、手取り足取り教えてしんぜようぞ」
 二人は快活な笑みを浮かべながら再度教卓へと戻る。一刀は既に自らの魂が半分抜け駆けているのを自覚していた。
 そんな一刀を余所に二人はきゃいきゃいと騒いでいる。
「あとあと、腰も取ってね。……うふふ」
「貂蝉、貴様も言うではないか」
「だって、ご主人様と一つの部屋にいるんですもの……期待せずにはいられないわぁん」
「うむ。我らの漢女教師姿を見ればご主人様も辛抱たまらぬに違いあるまい」
「…………やばい、絶対にやばい。ここは地獄だ、このままだと俺の命がやばい」
 盛り上がる二人を余所に廊下へ向かってこそこそと歩き出す。
「あらん。ダメよ、逃げたりしちゃ」
「その通り。だぁりんと約束したのでな、甘やかすわけにはいかぬのだ」
「だ、だれか……」
「さぁさぁ」
 先程までは十分過ぎるほどに広く感じていた部屋が今は異常に狭苦しい。いや、暑苦しい。
「密着して教えようではないか。……べ、べつにご主人様と触れあえることが嬉しいなど思っていたりなどはせぬぞ。そこのところ、か、勘違いするでないぞ」
 迫り来る二つの巨体。肉薄する恐怖。少年はこの世界に来てから一番の絶望を体験することになるのだった。
「誰か、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 この後に個人授業がどうなったのか、そして、一刀の健康診断の結果がどうなったのか……それは推して知るべし。
633 名前:清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 [sage] 投稿日:2010/07/31(土) 02:16:34 ID:piCETKNT0
以上となります。

萌将伝一週目終了の勢いで書いたのですが、我ながらひどいですね。
それにしても、今作のおかげで呼称関連も大分纏められました。
ネタもストックが出来ましたし非常に助かりましたね。

連載もののほうは近々本編か拠点かはわかりませんが更新予定です。
しかし、萌将伝で満足してしまった感もあるので筆が定まらず
ふらふらと泳ぎまわって困っていますw
萌将伝が面白すぎたので何だか拙作なんぞをSSとして出すのって
どうなのかなと思ったりするわけですよ……ええ。

それでは、失礼しました。

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