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704 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [sage] 投稿日:2010/05/05(水) 19:51:22 ID:gwzcq8GWO
「にゃ〜〜〜」
「あら調子悪そうじゃない猫」
「に゛ゃ(ゲッ!雪蓮様どうしてここに)」
「妹の晴れの舞台に姉である私が居ちゃいけない通りはないでしょ。ところで猫、前回はよくも逃げたわね」
「にゃー(蓮華様の晴れの日に血は御法度ですよ雪蓮様)」
「それもそうか…ところで猫」
「にゃー(はい?)」
「あなたメスだったの?」
「ブッー!にゃー(あんた何言い出すのよ)」
「だって、外史スレで、ほらここ」
「・・・」
?「残念ながらそこのバカ猫は超が付くぐらいの変態さんなので決して女性だから恋姫で目的使用出来なかった訳ではないのですよ」
「にゃ(風様!)」
「あら?風」
「はい…このバカ猫はド変態。故、ドノーマルな恋姫では目的使用が出来ません」
「にゃー(猫の趣味にケチ付けんといて下さい)」
「因みに過去最高に良い所まで逝ったのが、蒲公英ちゃんとシャオ殿だそうです」
「にゃー(何故それを!)」
「……孫呉の未来の為、ここで成敗しときましょう」
「ならばその役目を是非私に」
「あら?思春がなんで?」
「聞かないでください…」
「珍しい思春が隠し事なんて」
「そこ風殿!何がおかしいのです」
「いえいえ風は別に〜」
「元はと言えば…その馬鹿猫、そこに直れ!」
「にゃー(35桃香、※注意エロ有り、強制進行!スランプ中?グダグダです)」
705 名前:孫呉戴冠式1-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 19:55:29 ID:gwzcq8GWO
「……そして、今此処に孫伯符から孫仲謀に呉の王の座を譲り渡す」
雪蓮が南海覇王を差し出す。
「孫伯符から孫仲謀が、この身に呉の王の座を譲り受けいたします」
それを蓮華が両手で受け取る、すると男一人、女性二人が立ち上がり。
「魏の王、曹孟徳の名において呉の王の座の移行、確かに見届けた」
「蜀の王、劉玄徳の名において呉の王の座の移行、確かに見届けました」
「しょ…のフォ…」
ドスッ!
両脇から桃香と華琳によるエルボが入る。
「…一刀!違うでしょ!!」
「…ご主人様、台本と違うよ…」
「…言うの?…」
「…そう決めたでしょう!一刀…」
ここの三人の台詞にはちょっとしたエピソードが有った。
◆ ◆ ◆
「え!俺にも台詞有るの!」
「当たり前でしょう、私や桃香はそれぞれの国の頂点で、一刀に至っては三人の…ご主人様なんだから…」
「え〜そうなの?」
「そうなの!もう自覚が無さ過ぎよ一刀」
呆れかえりながら怒る華琳。
「すまない、一刀」
「あっいや!平気だよ。突然で驚いただけだから」
「あら?一刀!私の時と態度が真逆でなくて?」
「痛い痛い痛い痛い…痛いよ華琳」
抓られた手の甲をさすって痛みを緩和させる。
708 名前:孫呉戴冠式2-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:00:07 ID:gwzcq8GWO
「だからその三人が只“ぼっー”と、座っているだけ。なんて訳にはいかないでしょう」
何かを取り出す蓮華、どうやら台本の様だ。その本を捲りながらあるページで止める。
「で、ここが三人が喋る予定の場所なんだけど…雪蓮姉様から私に南海覇王を渡されるからそこで三人が立ち上がって」
「私と桃香と一刀が見届けたとの宣言、これだけでいいの?」
「ああ、華琳なら問題無いだろうが一刀と桃香にはあまり本格的にやってしまうと…」
「二人には荷が重いと」
「華琳、いや一刀、桃香決してその様な事は…」
「分かってるから、いいよ蓮華。華琳が恐らく正解だから」
「・・・・・すまない」
「ごめんね蓮華ちゃん頼り無くて…!あれ?ご主人様の所、台詞空白だよ」
「それなんだけど華琳は魏の王、桃香は蜀の王として…一刀の今の肩書きは何かしら?」
「えっ?俺って蜀で桃香と同じ立場じゃないの」
「いつの話をしているのよ!桃香は言うに及ばす私や蓮華、それに今現在現役の王、雪蓮も含めた夫になる予定の男が蜀ただ一国の王の訳無いでしょう!なに今日は私を怒らせる日なの?ならじっくり向こうの部屋で怒って差し上げましょうか?」
「あぁ、か・華琳さん落ち着いてください」
709 名前:孫呉戴冠式3-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:04:10 ID:gwzcq8GWO
桃香の呼びかけに冷静さを取り戻す華琳。
「ありがとう桃香…で、解ったかしら一刀」
「………はい」
縮こまっての返事。
「蜀が駄目ならどうするの?」
「一番候補が天の御遣いなのだが」
「それは…」
「ちょっと…」
ばつが悪そうな桃香と華琳。
「乱世の時はそれでも良かったんだけど…帝の事を考えると・・・」
「今となっては私も帝を立てて政治をしている以上…」
「なら、三国の王で良いじゃない」
不意に声をかけた女性が一人。
「姉様!」
「あら雪蓮」
「雪蓮さん」
「雪蓮」
四人が各々な呼び方をする、された方は気にしないで言葉を続けた。
「私や蓮華、華琳と桃香…その他諸々と名の有る将全てのご主人様なんだから実質三国の王でしょう。どうせ一刀には肩書きなんて腹の足しにもならないって程度しか考えてないんだから」
「待ってくれないか?なんだその酷い言われ方は、全員を差し置いてそんな御大層な肩書き恐れ多くて語れるか」
「なら多数決よね」
「そんなの汚いじゃん華琳、四人が賛成するんだから」
「なら説得しなさい」
「・・・出来ません」
「だったら諦めない」
「・・・くっ〜!(泣)」
・・・
・・

◆ ◆ ◆
710 名前:孫呉戴冠式4-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:08:16 ID:gwzcq8GWO
「三国の王…北郷一刀の名において呉の王の座の移行、確かに見届けた」
南海覇王の剣を抜いて弧を描くように振るうと、一刀は博物館での雪蓮を思い出し。
「…やっぱり姉妹だよなー…」
ポツリと呟く。
「「ん?………!」」
「…痛ッ!…」
桃香と華琳が一刀の足を踏んでいる。
「…痛タタタ…桃香、華琳、足、足…」
「「フンッ!」」
三人はさて置いてメインの進行は止まらない。
「今此処に、三人の王にも認められて孫仲謀が孫呉の王を宣言する!」
抜き身の南海覇王を高々と掲げると。
『『『孫権様万歳ー』』』
『『『新たな孫呉の王!万歳ー』』』
兵士と民の歓声が鳴り響いた。
・・・
・・

「それでは戴冠式に伴う本日の特別催し物、数え役萬☆姉妹の舞台会場は“英会場”。また呉最強の水軍、甘寧将軍が率いる部隊対天の知識で武装化した北郷一刀が率いる蜀の水軍の戦いは黄河水辺の“美意会場”となっておりま〜す。
 開始はどちらも二刻後、混雑緩和の為の同時開催ですのでどうかご了承ください。それではよく考えて悔いの残らない方をお選びください」
すると凄い数の人の流れが流れだす、一刀や桃香たちは無条件で美意会場に連れて行かされた。
712 名前:孫呉戴冠式5-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:12:21 ID:gwzcq8GWO
◇ ◇ ◇
ここは水上戦会場が一望出来るVIPルーム、雪蓮や蓮華、桃香に華琳といった重要人物が集まっている。
「無事に孫呉の王の就任おめでとう、戴冠式とっても綺麗だったよ蓮華」
「ありがとう一刀…」
「蓮華さん、就任おめでとうございます」
「おめでとう蓮華」
「ありがとう二人とも…」
言葉とは裏腹に心の中では、
「(ようやく私もこの二人と対等になれたのね……)」
そんな蓮華とは対照的なのが雪蓮で有った。
「あ〜やっと肩の荷が降りた〜、これからは自由奔放に生きていけるわ〜」
「そんな事有るわけ無いでしょう雪蓮」
「なんで?私、王様辞めて一般市民よ」
相変わらず冥琳のこめかみを押さえさせる動作を誘導するのが素晴らしい雪蓮である。
「で、私は一刀のお嫁さんになるの!」
「「「ハイ!?」」」」
三人の声が見事にハモる、三人とも微かにドスが滲み出ていた。
「雪蓮!火に油を注ぐな!お主たち三人も本気にするな!雪蓮が本当に暇に成るはずが無かろう」
言われればそうだと気付いて反省する三人。
「雪蓮駄目だろ、今日は大事な日なんだから」
「ごめ〜ん三人とも、お嫁はみんな一緒にだよね」
714 名前:孫呉戴冠式6-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:16:43 ID:gwzcq8GWO
この台詞に照れる三人。
すると一刀が雪蓮に近付く、
「あら?告白」
ギロッ!
睨む三人に、
「ち、違うって」
「雪蓮!」
冥琳の叱咤に条件反射で目を瞑って気をつけの姿勢、すかさず両手を取った一刀が。
「で、さっきの『甘寧将軍が率いる部隊対天の知識で武装化した北郷一刀が率いる蜀の水軍』について説明してもらえる…」
「思春と一刀が戦いますよ〜って意味だけど」
のほほんと答える雪蓮に。
「いや意味なんか聞いてない、どうしてこうなってるのかが聞きたいんだけど」
イベントの内容に流石に身の危険を感じてる為、真剣に問う一刀。
「あれ〜?以前亞莎が言わなかった、思春が復し…再戦を望んでるって」
「いや聞いたけど、あれ本気だったの?てか“復し”って何?どう考えても復讐だよね」
「ち・違うわよ一刀、福祉厚生施設よ福祉厚生施設」
「この時代にそんなもの無い!」
「これから作るのよ」
「今そんな話関係無い!」
「はいは〜い、出陣準備しましょうね〜」
「誤〜魔〜化〜す〜…な〜……」
雪蓮に引きずられてその場を後にした一刀。
「それでは蓮華様、私も準備が有りますので失礼します」
「「「!!」」」
驚く三人。
716 名前:孫呉戴冠式7-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:21:09 ID:gwzcq8GWO
「居たの!思春」
「ハッ、別段あやつに居るのを教えてやる必要性が見つからなかったので黙ってましたが」
「ならせめて私たちには教えて欲しかったわ」
「いえ、あなた方なら気付いてるかと思ってましたが…」
「気配を完全に消してたわよ」
「私でも気付かなかったわ…思春」
蓮華ですら気付け無いのだ桃香はもとより華琳でも無理だったろう。
「それは失礼をしました、以後気をつけましょう。では本当に準備が有りますので失礼します」
去って行く思春を見ながら蓮華が呟いた。
「珍しい…思春にしては浮ついているわね」
「「えっ?」」
「確かに普段と違うとは思っていたけど、あれで浮ついてるの?」
「ええ、今の思春では明命に間違いなく勝てないぐらい浮ついてる。獲物を見つけ出して狩れる高揚に酔っているような……狩る?ハハハ…まさかね」
「浮ついていながら、私や蓮華にすら気配を感じさせない…思春、なんて恐ろしいの」
「え?え?」
一人理解出来てないのは桃香のみで北郷一刀に襲いかかろうとしている危機にも気付いていなかった。
だが残る二人も『ひょっとしたら何かヤバいかも?』程度にしか思っていなかったので桃香に気付けと言うのは酷な話で有った。
718 名前:孫呉戴冠式8-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:25:02 ID:gwzcq8GWO
◇ ◇ ◇
「では司会は私、孔明と解説は程仲徳さん」
「・・・・・・」
「寝るなちゅうねん!」
「・・・・おお!今、ご紹介をいただいた程仲徳です」
「…あはは…と、たった今、見事なツッコミを入れました李典さんです」
「ども!たった今、紹介受けたウチが李典や」
「お二方には、戦力分析と新造船の解説をお願いしたいと思っています」
「戦力分析なら朱里さんがなさればよろしくないですか?」
「いえ、それですと多少でも公平な解説が出来ないかもしれないので…」
「・・・・・」
「だから寝るな!」
「・・・・おお!あてられてしまい、ついついうとうとと」
「では、気を取り直して真面目にお願いしますね」
「そうですね、お兄さんと…」
「程仲徳さん一般の方々にも理解出来る様に真名や親しい名称では無く名前で呼んでください」
「おやおやこれは〜失礼しました〜。では解説ですね〜北郷殿と甘寧将軍の戦力解析ならば2:8で甘寧将軍が俄然有利ですね」
「そんなに差が開くもんですか?両軍は」
「はい。一応は天の技術で強化しているらしいですが、所詮戦うのは人間ですから水上戦となると甘寧将軍の部下が圧倒的です。精々、天の技術でどこまで差を縮められるかですね〜」
719 名前:孫呉戴冠式9-35[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 20:29:12 ID:gwzcq8GWO
「それでは李典さんに訊ねますね、天の技術で北郷さん側の艦船はどこまで強化出来たのでしょうか?」
「・・・・・」
「李典さん?それと先程なにか北郷さんと少々声を張り上げて喋ってましたがあれはなんでしょう」
「さっきのは隊・・・一刀はんが『船の設計・製造に関わったから一緒に船に乗って指示と戦ってくれ』って言われたんやけどな、ウチの大・・・曹操様に乗ったらアカンとキツく止められたんや」
「はあ、それは何故でしょうか?」
「そんなん魏の将が負け・・・勝負の行方が分からへん試合に出る賭けには出とうなかったんやないかな曹操様」
「今、負けって言いましたよね?負けって言いましたよね!」
問い詰める朱里にしらばっくれる真桜。
朱里の猛攻な問い詰めについに観念した真桜が、
「あの船な技術的な強化は所々したけど武装強化はしてへんで・・・・・」
「おお!今日はお兄さんの命日なのですよ〜」
「はわわ!ご主人様逃げてー!」
時間にして五分後ようやく落ち着きを取り戻し、司会進行を再開させる。
「・・・大変失礼をしました、今から乗船を開始するようです。乗船後、準備が出来次第模擬試合を開始するとの事です」
492 名前:孫呉戴冠式10-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:10:51 ID:3mV25hkkO
ぞろぞろと、それぞれの船に乗り込んで行く兵士たち。
「では、試合開始までに決まり事の説明を。まず両軍ともに兵士数は100人ぴったしで、寄せ手・漕ぎ手の割合などは各々自由で良いらしいです。次に武器は全員布を巻いた木刀のみ、布には墨が染み込ませていて致命傷な所に墨が着いたら失格です。
 腕、足の場合には使用禁止。なお、不正防止の為に墨は周泰将軍の墨を使っています。更に両軍それぞれの大将が討ち取られた段階でいくら兵士が残っていても負けとなります、また川に落ちても失格になります。
 ………あ!準備が出来たみたいです。銅鑼の合図と共に試合開始になります」
ジャ〜〜〜ン☆
「開始しました。直ぐに動いたのは甘寧将軍の船、手漕ぎの強みですね」
「予想通りやね」
しかし一刀側の船が一向に進まない。
「李典さん。北郷さんの船が一向に進まないのですが…」
「あちゃ〜、やっぱ失敗やな」
「はわ!いったいそれはどういう事ですか」
「北郷はんの船は“すくりゅー”ちゅうもんで動いとるんや、それで力を一カ所に集中させて凄い力を出すんやけど…今回のは船の大きさと動かす力が合ってないねん。やはり20人が限界やったか〜」
最後は独り言になっていた。
493 名前:孫呉戴冠式11-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:13:13 ID:3mV25hkkO
「ならば漕ぎ手を増やして力を上げれば?」
「そうすればそれだけ船が大きくなるのですよ〜、本末転倒なのです」
「そうゆうこっちゃ、北郷はんが言う“えんじん”や“蒸気機関”ちゅうもんが有れば話は別なんやけど」
「無理なんですか?」
「一回聞いたんやけど、『いっかいの学生でエンジンや蒸気機関の構造を知っていて説明出来る方がおかしいから、第一ガソリンも無い』と超おおざっぱな説明だけで終わってしもうた」
「はあ」
間の抜けた朱里の返事。
「そうしてる間にも甘寧将軍の船がどんどん北郷さんの船に近付いて行く!船の先頭に立つ甘寧さん仕切りに何か喋っては人を走らせてますね」
「あれはですね〜船底の漕ぎ手に細かい指示を出してるのですが、刻一刻と変わる状況に先読みも加わってしまって指示出しがあんな状況になってしまうんですね〜」
「これは穏…陸遜さん、説明ありがとうございます」
「ところで一刀さん側の船は船底への伝令が出てないみたいです、それなのに凄く遅いなりにも一応反応はしてますね〜。これも天の技術でよろしいのでしょうか〜」
「まあ一応な」
そう答えたの真桜。
494 名前:孫呉戴冠式12-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:16:24 ID:3mV25hkkO
「よう見てみい船首を、なにやら棒に向かって叫んでるのがおるやろ、あそこに鉄の管が有って船尾・艦橋・船底に繋がってて会話が出来るねん。北郷はん曰わく、
 声や音は空気の振動やから囲って逃がさなきゃあのくらいの距離なら充分に会話は可能なんやと」
「あれですね、それなら蜀でも城壁の上と下とで試しています」
「へ〜それは良いことを聞きました早速取り入れましょう〜、後で詳しく教えてくださいね真桜さん」
「おっとそうしている間にも甘寧将軍の船が北郷さんの船の横っ腹に突っ込んだ!容赦ないですね甘寧さん」
「いいえ、真逆です」
「はい?」
「あんなに手を抜いてる思…甘寧さんを初めて見ました」
「と、言うと」
「あの状態からあの勢いで突っ込んで相手の船が転覆もしくは真っ二つに裂けない時点で大手抜きです」
「されたら困ります!」
力説する穏を退いて朱里から至極当然な意見が飛び出る。
「おっと甘寧将軍側が北郷はんの船に飛び移る様やで」
「はわわ!李典さん、私の仕事取らないでくださいよ〜」
◇ ◇ ◇
「お前たち!戦闘及び、飛び移る準備だ!これより北郷の船を乗っ取る!寄せ手は30で良い!漕ぎ手は変わらず50、残りは主に伝令で臨機応変にせよ!」
495 名前:孫呉戴冠式13-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:18:56 ID:3mV25hkkO
「…おい甘寧将軍やけに力入ってないか?…」
「…ああ…」
「そこ!無駄口を叩くな!」
「ハッ!失礼しました」
「副官、私が乗り移ったら船を北郷の船の前に移して動きを止めろ。それで方を付ける」
「了解しました」
「良しそのまま突っ込め!」
ドッカ〜ン★!
思春の船が一刀の船の土手っ腹に突っ込むと、
「お前たち!我に続け!!」
思春が先陣を切って飛び移った。
◇ ◇ ◇
ドッカ〜ン★
グラッと大きく船が揺れると。
「思春…容赦なさすぎだろ」
『甘寧将軍自らこちらの船に乗り込ん…ギャ!』
「どうした?」
船首からの応答が途絶えた。
『こちら艦橋。今、船首の伝令及び周辺の守備兵が全滅。甘寧将軍自ら筆頭に約30でこちらの船に乗り込みました』
伝声管から伝えられる戦況報告、あまりよろしく無い。
「たったの30だと!返り討ちにしろ」
伝声管に怒鳴り返す副官に一刀が、
「いや、あの思春がその数で良いと判断したんだ…艦橋、悪いけど数で押してなるべく有利に事を運んで」
『了解しました…お前たち出ている兵を全てま…‥』
指示を終え、伝声管から声が聞こえなくなるとしばらく船底は自転車風のペダルを漕ぐ音に支配された。
496 名前:孫呉戴冠式14-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:21:41 ID:3mV25hkkO
すると、
ドッカ〜ン★
二度目の衝撃が来た。
「艦橋、状況報告!」
『甘寧将軍の船が我らの船の前に!進路を塞がれて航行不可に!新たな乗り移りは無し…!!』
「どうしたの?」
『甘寧将軍自らがこの艦橋に!お前ら迎え撃て!ええい、でゃ!…ギャア』
「大丈夫?おい大丈夫か?」
伝声管に必死で艦橋の人の安否を確認しようと呼び掛けた一刀。
『…ん?ここから北郷の声が…なるほどこれで会話をするのか…場所は…船底か、北郷聞こえているか?…
手洗いは済ませたか?…
蓮華様にお祈りは?…
船底の隅でガタガタ震え命乞いする準備は良いか?…
 今からそこに行く…首を洗って待っていろ…パタン…』
「(キャー!)」
ガクガクガクガク…
「北郷様、お気持ちは分かりますがあまり情けない姿をさらすのは」
「す・すまない、けど・震えが止まってく・れなくて」
「仕方ないか…最早この船は動かん、お前たち漕ぐのを中止!武器を手に取って追撃に迎え!ここは北郷様と副官の私達二人だけで構わん全員出ろ」
「「「ハッ!」」」
バタバタ★ドタバタ★
「…すまない」
「仕方がありません、甘寧将軍にあんな凄みある声で脅迫されれば…正直対象でない私達も少しビビってますから。だからと言って兵士達にその姿を晒す訳にもいきませんし」
497 名前:孫呉戴冠式15-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:24:24 ID:3mV25hkkO
「流石、凄いよね。俺なんか震えてばかりで情けないし」
「そんな事ありません、北郷様が震えているのは決して本当に危険じゃないからですよ」
「いやいや、思春のあれを聞いただろ。命の危機だろ、今の俺」
「北郷様、それは私達にはノロケですよ」
「え?」
「北郷様は、本当に危険の時は声も姿もまるで別人のように変化して兵士達を鼓舞します。今までがそうでしたし、おそらくこれからもそうでしょう。ですから変な言い方ですが北郷様が震えてるのは安全な証拠なのですよ」
「それは誉めてるの貶してるの?」
「いえいえ私などが北郷様を貶せる筈がありませぬ、実績を伴った確信ですよ」
一刀の震えが自然と収まり場の空気が若干緩みだした時。
……ドタ……
騒音の片鱗が聞こえた。
……ワァー……
『…防げ…なんと…も防げ…』
「北郷様、ここに隠れてください」
「分かった」
…ドタバタ!…『…うぐっ…』…
『…防げ…先頭は甘寧将軍だ!…倒せば勝ちだ…ぎゃ!…』
バタッ☆
再び静まり返るのも僅か。
『…お前たちここはもういい、討ち漏らしがいないか再度確認してこい。私が出て来るまで誰も近づくな』
『了解しました』
タタタタタタ……‥
498 名前:孫呉戴冠式16-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:26:32 ID:3mV25hkkO
三度静まり返って、おそらくその場に居るだろう四人が息を殺す。
だが今回の静寂も直ぐに消された。
…コツ…コツ…コツ…コツ…
一人廊下を歩く音が響く、扉の前で止まって。
ギイイイィィィィ〜〜〜…
嫌な音を立てながら扉が開いた、当たり前だがそこにある姿は思春。
コツ・コツ・コツ…
部屋に入って来た事によって足音がより鮮明になる。
コツ・コツ・コツ!
「甘寧将軍!」
「お覚悟!」
両側から二人掛かりで思春に挑んだ蜀側の副官、だが思春は慌てる事なくクルリと一回転したかと思えば遠心力を利用しての攻撃に二人とも一瞬で気絶させた。
「闇討ちをするなら声を出すな……さて北郷」
「ハイ!」
思わず裏返った情けない声で返事をしてしまった。
「そこか、覚悟は出来ているか?」
「思春、俺は今回まだ何もしてないぞ!」
あまりの恐怖に開き直ったのか強気で返すと結果的に思春の怒りに触れたらしい。
「まだ何もしてないだと!貴様舐めているのか!」
更に来た恐怖に再び弱気に。
「まだ蓮華には何もしてないです」
「違う!蓮華様の事では無い!」
「では何でしょう?」
既に一刀の姿勢は正座であった。
「これだ!」
499 名前:孫呉戴冠式17-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:33:03 ID:3mV25hkkO
と、同時に船を叩く。
「この船?」
「そうだ」
「以前の三回勝負、まだ怒ってるの?」
「そんなくだらない事でいつまでも怒るか!」
「じゃ何?」
「貴様の多少のお蔭でこの大陸も三国からなる平定がもたらされた。大きな戦もそうそう無いだろうし、軍備もそれなりに縮小されるだろう。だが人は食っていかなきゃならない」
「うん」
「職を解かれるだろう者達が今更江賊などに戻れん、実戦や経験等を強みに船に関する仕事でなんとかしようしてた矢先に貴様の新式の船の案、結果は素人に惨敗…なにか恨みでも有るのか北郷!」
「そっちなの、あれ蓮華に聞いてない?」
「何をだ」
「取り敢えずその試合って足漕ぎ対腕漕ぎだったんでしょう」
「だからなんだ」
「だったら同じ足漕ぎだったらどうなってたんだろうね?」
「…だがしかし本来我らは腕漕ぎが主体だ」
「だから雪蓮が訓練兼ねて競艇を取り入れたんでしょう、あれなら賞金も出るから中にはそれで食ってける奴も出て来るだろうし」
「!?」
「それに素人は足だけ、ちょっと見てて…まだ試作段階だから見てくれ悪いけど」
と言いながらペダルの脇に腰をかけ、何かを踏む場所に被せてその場所を握る。
500 名前:孫呉戴冠式18-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:35:31 ID:3mV25hkkO
「ほら、こうすれば腕でも漕げる。素人たちの倍?じゃすまないよね、足が疲れたら腕で漕いで、腕が疲れたらまた足で漕げるだろうし」
「・・・」
「それにこの大きさの船は孫呉の水軍ここに健在!って天の知識なんか全然かなわないって派手な宣伝になったしよな実際。……思春、任務だと言われても各々単身で火種抱えて曹魏の船団に突っ込んで貰ったんだよ。
 そんな赤壁の時の影の立て役者の彼らを蔑ろになんか出来ないよ…本当にさ。いざとなったら元々無い技術なんだからこちら側で暫く独占してその間に商売として確立させちゃえばいい、ぐらいまで考えてたし」
「その様なやり方は蓮華様のあまり好まれぬ。だが北郷、お主がそこまで考えてくれていたとは正直驚いた…だが同時に感謝する」
「これでもそれなりに考えてるだよ俺」
「自分でそれなりと言っては駄目だろう」
「駄目か(笑)しかしこの模擬戦、完膚無きまでに思春たちの勝利だよな…みんなにも悪い事したな〜」
場の空気が和みかけるが最近の流れがそれを許さないらしい。
「・・・・!、所で北郷、蓮華様にその話をいつしたのだ?蓮華様がこの様な大事な話いつまでもしないはずが無いのだが」
「え?……え〜と、いいじゃん解決したんだからそんな事」
501 名前:孫呉戴冠式19-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:37:37 ID:3mV25hkkO
「…北郷、答えろ」
「……当初は着いたら直ぐに言うつもりだったんだよ」
「……北郷」
「……今朝です」
「今朝?」
「でもねほら…」
顔を上げた一刀が意識を手放す前に目に映った光景は目を赤く輝かせ不敵な笑みを浮かべながら回転して真っ直ぐ突っ込んでくる思春だった。
◇ ◇ ◇
「あ〜これは失敗ですね〜」
「せやな〜、開始直後はまだ良かったけど戦いの場が船内になってからすっかり様子が分からへん?」
「その割には私の仕事を奪う勢いでよく喋ってましたよね、お二人とも」
「せやかて黙ってるのは性分やあらへん…」
「あ!今、船内から日の光を受けたご…北郷さんの“ぽりえすてる”が見えました」
「なんや逆転勝利かいな、やるやん隊長」
「真桜ちゃん、戻ってますよ。それにしても正に奇跡の勝利でしょうか?」
「見て下さい、だんだんと出入り口へと近づいて来ます。そして今出まし・・・あ」
出て来たのは一刀の上着、ポリエステル製のフランチェスカ学園の制服を高々と掲げた思春だった。
「やっぱそんなオチか〜」
「御首の代わりですかね?やはり奇跡は起きないから奇跡なのですね〜」
「と、言うことは、甘寧将軍率いる呉水軍の勝利でーす。はうう〜」
502 名前:孫呉戴冠式20-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:39:49 ID:3mV25hkkO
『ワアアアァァァァ〜〜!!』
粗方予想通りだったのか思いの外、盛り上がりに欠ける歓声。
この間にも孫呉水軍の船が蜀の船を引っ張って岸に寄せて行く。
「続いて…呉の兵隊さんたちが出てきますね」
「ほ〜凄いですね〜、出て来る兵士ほとんど無傷です。それどころか岸に寄せる準備手伝ってますね……ようやく左腕に負傷を示す黄色い布を巻いた二人が出て来ました」
「なあ、孔明はん蜀の人出て来いへんけど」
「はわわ…今、救護班の人が担架を担いで大量に入って行きます」
すると直ぐに担架で運ばれて行く気絶した蜀の兵士たち。
「孔明さん、魏もあまり偉そうな事言えないと思うのですが、一応蜀の水軍がお相手したんですよね?」
「面目ありません…」
「やはり水軍に関しては今後、魏蜀共通の課題みたいですね」
「はわわ…」
「しかし、よう派手にやられたなあ。ひょっとして全滅?」
すると担架に運ばれる兵士たちに混じって三人だけ意識が有る蜀の兵士が出て来た、しかし頭には死亡を示す赤い布が巻かれていた。
「これは全滅を免れたん?」
「戦的には全滅ですね、訓練的に全員の気絶を免れただけと言った処でしょう」
風の痛評が朱里を叩く、が真実の為言い返せない。
503 名前:孫呉戴冠式21-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:41:52 ID:3mV25hkkO
最後の担架に一刀が乗せられて船から出て来ると、
「こっちこっち!一刀はここで介抱するからこっち運んで来て!」
声を上げたのは雪蓮、『姉様恥ずかしいです』の声に『じゃ一刀が誰だか知らない人に介抱されていいの?』と反撃、『……ここに呼んで下さい』とあっさり陥落。
「了解」
と言って去る雪蓮と入れ替わりで思春が入って来る、堅苦しく片膝をつき頭を下げながら。
「只今、戻りました」
「お帰りなさい思春」
「蓮華様の戴冠式にあの仇敵から見事勝利を得る事が出来てこの甘寧、責任を果たせました」
「大げさよ思春、それにいつから一刀は仇敵なの?」
「昔からです」
迷い無くハッキリと答えながら顔を上げた思春に。
「・・・あら?思春」
「ハッ!何か?」
「…いえ…なんでもないわ」
奥歯に何か引っ掛かったような曖昧な返事。が、君主がよいと言う以上、臣下としてはそれ以上食い下がる訳にもいかず引き下がる。
「完全にのびてるわ、情けないたりゃありゃしない」
と、運ばれ来たのは気絶している一刀。
付き添った雪蓮が、
「思春、容赦ないわね…」
「それだけの事をその男はしました」
台詞を吐き捨てる。
「見て見て蓮華、鈴音だったら真っ二つよ」
504 名前:孫呉戴冠式22-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:43:40 ID:3mV25hkkO
そう言いながら既に簡易ベットに寝かしつけられている一刀の上半身を起こす雪蓮。
蓮華の目に写ったのは顔面中央に木刀で殴られた後がクッキリと残った一刀の顔だった。
すると蓮華なりに何かが解決したらしく、
「プッ、ハハハ」
「れ、蓮華様?」
「どうしたの蓮華にしては珍しく大笑いして」
驚く呉の二人の反応に桃香と華琳は、確かに微笑む姿は多々見るが笑った姿をあまり見ないと。
そしてどう見ても控え目の笑いが蓮華に取っては凄く笑っている部類に入るらしい事に驚いている。
当の蓮華の笑っている原因は思春に有った。
普段良く、本当に良く見ていないと分からない微妙な態度の変化、そしてこちらも普段良く見ていないと分からないうっすらとした墨が唇に。
墨は今回の模擬戦に使われた、そして一刀の顔面中央にもクッキリ残る墨、この結論と普段の態度と見えない処での思春の取ったであろう態度の予想に思わず笑わずにはいられない蓮華だったのだ。
個人的に得るものが多かった蓮華は大変ご機嫌で戴冠式の初日を終えたのだ。
「思春、大義で有った」
「ハッ!ありがたき御言葉」
だがこの事が後のある出来事の要因に成るのだった。
505 名前:孫呉戴冠式23-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:45:59 ID:3mV25hkkO
◇ ◇ ◇
一刀は不機嫌というか鬱憤が溜まってるというか…まあ溜まっているのはあちらなのだが・・・。
白帝城から移動に新型船で四日間、着いて色々な準備の手伝いに追われ暇なし、戴冠式初日にさる事情で会う女性出会う女性に笑われる目合った一刀。
別段、笑われるのは慣れているので問題無いのだが(それはそれで問題有りだが)一刀も身体は健康体で若い青年である。
戴冠式初日から六日目、移動日数も入れると約十日間以上誰とも閨を共にしてないのである。
顔面中央に墨の線が縦一本、大抵の女性が笑って対応出来ない。
一部の女性が普段はなんとか対応出来るように成っても夜、閨に入ると雰囲気と顔のギャプに笑ってしまってナニが出来ないでいた。
やや久し振りの呉勢、雪蓮・蓮華・小蓮すら駄目で残りのメンバーも基本的にやはり笑ってしまい駄目だった。
桃香や華琳でもアウトで一刀は悶々としていた。
◇ ◇ ◇
「思春」
「ハッ!」
「初日の出来事の影響が色々と出始めている、責任を持って対処しなさい」
「蓮華様?お言葉ですが何故私が北郷の相手など」
「そうね…初日の模擬戦の褒美と罰と言った処かしら」
「蓮華様、それは私には罰でしかないのですが…」
今回はやや弱々しく答える。
506 名前:孫呉戴冠式24-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:48:20 ID:3mV25hkkO
「本当に?まあいいわ、戴冠式初日の勝利の褒美と今や三国に居なくてはならない一刀に対しての過剰な危害を加えた事に対しての罰として一刀を静めなさい。いいこれは国王命令よ、思春」
「・・・ハッ!その命令しかと仰せつかりました」
納得はいかないものの任務だと割り切ってさっさと終わらせる事にした思春がいた、しかし国王になられた蓮華からの初の任務が一刀の相手とは、内心で少し戸惑っていた。
◇ ◇ ◇
深夜でもあり一刀は呉に用意せれている専用の部屋にいた。
コンッコンッ☆
「北郷居るか?」
『居るよ』
部屋の中から一刀の返事が返ってくる、声で『なるほど確かに機嫌が悪そうだ』と思った思春。
キィー…
普通に扉を開けて中に入るとベット中央にアグラをかいて陣取っている一刀がいた。
「何か用?思春」
相変わらず不機嫌ぽいっ声で聞いて来る。
「機嫌が悪いな」
「誰のせいだろうね…」
ふざけてる時でも無いのに思春に責任追及してこないのは、普段問題や責任をハッキリさせようとする一刀には珍しい事だ。
“これはやはり相当溜め込んでいるのか?”と考える。
「で、本当に何しに来たの思春?」
507 名前:孫呉戴冠式25-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:50:14 ID:3mV25hkkO
「蓮華様の命令で荒れてるお前を静めろとの事」
「ふ〜ん」
枕を抱き抱えて顔をうずめながら適当な返事、顔を上げればやはり顔面中央に墨の一本線。
「ふっ」
やはり思春でも面白いのかほくそ笑む、それを見て更に少し機嫌が悪く成った顔をして。
「それでどうやって静めるのさ」
その台詞に持ってきた獲物鈴音を突然構えてから『切り落とす』ボソッと呟いた。
流石に顔面蒼白で、
「待て待て待て待て!流石にそれは、第一に蓮華“も”悲しむ」
「“も”!やはり切り落とすか…」
「あ〜それは雪蓮やシャオとかもだぞ!」
必死の叫びに。
チンッ☆
鈴音が鞘に戻った。
安堵のため息をついた後、
「で、どうするさ」
「誠、不本意だが蓮華様の命令だ。正攻法で行くしか有るまい」
「って言うけど、さっきからほくそ笑んでるよね?それでどうするのさ」
「いやよく見ると思いの外、その間抜け面が更に間抜け面で面白いのでな」
ご立腹の度合いが少々から多少になった一刀がちょっとした悪戯心が芽生えた。
「そう言えば蓮華からの命令なら今や国王命令だ、おそらく初の国王命令……失敗するわけにはいかないよな〜」
思春的に痛い処を突かれる。
508 名前:孫呉戴冠式26-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:52:26 ID:3mV25hkkO
「しかしその状態では任務遂行は大変困難だと思うよ、そこで俺にめい案が有る」
「名案?」
「そう、めい案だ」
「どうするのだ」
「はいは〜い、先ずは目を閉じてください」
他に思い付く方法も無く仕方なしに言われるが儘に目を閉じる思春。
瞼の辺りがもぞもぞするのに対して、
「北郷、何をしている」
「まだだよ、もう少しじっとしてて」
「何をしているのかと訪ねているのだ!」
我慢が出来なくなった思春が目を開くが何も見えない。
「!?」
一瞬の動揺、だが一瞬である、直ぐに顔に何かを巻かれたと気付いて取り除こうとする。
「駄目だろ思春、それじゃ意味無くちゃうだろ」
と、思春を軽く肩を突く、するとバランス感覚は問題無いのが如何せん視界が無いので二・三歩後ろによろめくとベットに躓いて仰向けに倒れる。
「北郷、貴様!」
しかし、こういう時の一刀の動きは一目置くものがある。
恐らく暴れると判断していた一刀は既に思春に覆い被さっていてベットの上に有った包帯で両手を縛りベットに括り付けた。
「北郷・・・後で覚えておけ」
「おお〜恐っ!じゃ今は自由にさせてもらいますか」
509 名前:孫呉戴冠式27-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:54:23 ID:3mV25hkkO
「待て北郷、何時ものお前ならここで交渉なりが……」
「悪いけど思春、今の俺は我慢の限界なんだよ」
それを聞いた思春が最後の砦、足での抵抗を試みる、一発が脇腹に良い感じに入るもやはり視界が零では攻められ方が分からないのであっさりと両足を包帯で開脚状態で縛られて陥落した。
何故、一刀の部屋にこんなに包帯が有るかといえば顔面の墨を隠すのに正月の時と同じように包帯で隠そうとしたからだ。
しかし今回はおでこではなく顔面に縦一本、隠そうとすると顔面包帯になり笑われるか驚かれるかどちらかだった。
だから巻き方とか色々と頑張ったが全てが徒労に終わりその名残が無残な包帯で有った、しかし今ここに意外な形でその存在理由をアピールした。
「北郷、本当に貴様と…」
「思春、あまり噛みつかないでくれよ。俺も蓮華の事が凄く大事だし、同時に雪蓮やシャオだって大事なんだ」
「貴様はどうしてそう気が多いのだ」
「そして蓮華の事を一番に思ってくれる思春も大事なんだ、その気持ちに上も下も無い」
「…本当に貴様はそんなに気が多いのだ…」
「だから本当は…本当にこんな手荒な真似はしたくないんだ。少し悪戯が過ぎた、嫌なら止めるよ」
510 名前:孫呉戴冠式28-35※エロ有り[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:56:50 ID:3mV25hkkO
「・・・これも私に取って任務の一環だ」
「任務なんて言うなよ」
「本当に嫌なら…とっくに引きちぎって貴様の首をへし折っている。だが自由になると反動で何をしでかすか解らん、このままの状態で好きにするがいい」
「え?」
「こんな恥ずかしい台詞、聞き逃したとは言わせんぞさっさとしろ!」
予想外の思春の台詞に驚く、だが一刀も自分でやったとはいえ思春の今の状態に正直我慢の限界が来ていた。
先ずは服を脱がし出す、完全には脱がせないので半分着た半裸状態だ。
先ずは右乳首をしゃぶる。
「くぁ、あ、は」
一刀の行動が見えない思春はいきなりの乳首への愛撫に声を洩らしてしまう。
ペロッ☆
「はっ、う…くっ!」
次は左耳朶が舐められ甘い声と直後に不覚を意識した声。
耳朶が終わったかと思うと別の場所を舐められ、終わると次の場所へ。
一刀の動きが全く見えない分、触ったり舐めたりする全部が思春に取って不意打ちで有った。
次第に身構える“次はどこだ!”から別の意味の“次はどこ?”に変化していく。
右足付け根、女性の象徴ギリギリ脇を舐める。
「んむううぅぅんっ、ふっ、はぁ、はぅ」
大分、甘い声に変化している思春、そのまま右足を足首まで舐められ続け、止めたと思った瞬間、右足指の間を舐められ足の指をしゃぶられる。
511 名前:孫呉戴冠式29-35※エロ有り[] 投稿日:2010/05/05(水) 21:58:49 ID:3mV25hkkO
「な!?っふ、む、んんんぅっ!」
殆どが初体験の思春は戸惑っていたがそれら全てを吹き飛ばす衝撃的な愛撫。
ようやくにして、思春の下着の褌に手をかけられる、器用に脱がすと湯気が見えそうなぐらいの蒸れ具合。
思わず一刀は息を呑んでから深呼吸、その息遣いを思春が意識すると。
「北郷!匂いを嗅ぐな!」
「無理だよ、思春のここ凄い匂…」
喋っている最中に思わず我慢出来なかった一刀が思春のそこを舐めると、思春に取って思い掛けない不意打ちになり。
「はっ、はああぁぁぁうっ!?」
一度目の気を放ってしまう。
「はぁ、ハァ…」
人生初めての絶頂に肩で息をする思春、だがそんな事はお構い無しに次の段取りに移る一刀は既に思春のそこに自分の息子をあてがうと。
「入れるよ」
「まて北郷!今入れられては!」
即答されるも答えを望んでた訳でもなく、完全に無視され侵入される。
「ふはあぁ〜、は…ぁ、はっ、う」
目が見えない為に普段の戦い等の癖で感覚で周囲の状況を感じようとしてしまい、ゆっくりとゆっくりと入って来る一刀のそれの大きさ・長さ・熱さを初めてながら自分の女性のそれで感じてしまっている。
512 名前:孫呉戴冠式30-35※エロ有り[] 投稿日:2010/05/05(水) 22:00:53 ID:3mV25hkkO
だがその甘い感覚も直ぐに一時期中断される。
「あ、はっ、痛!〜〜〜っ、う!」
破瓜の痛さに我に返った思春、だがもう一人我に返った奴が一刀だった。
「☆えっ!?あれ?思春ってまだだっけ」
「だからどうし☆…たっ」
一瞬、痛さに表情が歪むも直ぐに殺気が伝わる様な睨みが返ってくる。
「なら、ごめん…初めてなら本当は凄く優しくしなくちゃいけないんだけど…」
と言いながらも一刀の動きは止まらない。
「構う、な」
破瓜の血で滑りが滑らかになると一刀の動きが一層速くなり、暫くすると一刀のモノが少し膨らむような感覚に襲われると一刀が一度目の精を放つ。
感覚が敏感になっている思春は自分の中に出されるのが良く伝わってくる。
思春のそこからは混ざってピンク色に成った体液が垂れ出す、がそれも直ぐに動きを再開した一刀のモノで掻き出される。
「はっ、…あぅっ、北郷、は、はっ、まだ動くの!か、うン」
「駄目、我慢出来ない、なにせ約十日振りな上に…今の思春凄く魅力的…だから」
「何を、うん。言う…動けなく、ふっ、て強姦紛いな、くっ」
必死に抗議らしきものを口に出すも押し寄せる痛みと快楽に上手く喋れない。
513 名前:孫呉戴冠式31-35※エロ有り[] 投稿日:2010/05/05(水) 22:03:20 ID:3mV25hkkO
やがて痛みが徐々に引くと快楽の度合いが増して行く思春、歯を食いしばり必死に抵抗を試みるも敏感な体が反応してしまう。
益々甘い声が混じり始めると、
「あれ?思春、もう本番で感じてる?」
「そんなわ…けあるか…」
「そう?」
体を捩って女性なら大概敏感な場所を攻めてみる一刀。
「……く、〜〜〜んん!」
一瞬だが更なる甘い声が漏れる、自分の声に驚き殺気が籠もった視線をぶつける思春。
「北郷!本当に後で覚えておけ」
「了解…なら今は可愛い思春を堪能しますか」
「誰が可愛いなど軟弱な事を抜かすか!」
「いや、思春は可愛い。普段の蓮華に付き添う凛々しい思春が…抵抗出来なくて弱々しいのが凄いギャプなのが物凄く可愛い!」
溜めすぎておかしく成ってるのか?かなり変な事をほざいて思春をなすがままにする一刀、暫くしたのちお互いに二度目の絶頂を迎えた。
一度抜かれると自分のそこから一刀の子種がたれ落ちるのを感じ取れる、そこからひっくり返されうつ伏せにされると腰だけ持ち上げられた。
「北郷!それは、その体位は」
「大丈夫、華琳も最初は嫌がってたけど最近じゃちょっとお気に入りみたいだから。思春みたいに気の強い女性は案外とハマるみたいだよ」
514 名前:孫呉戴冠式32-35※エロ有り[] 投稿日:2010/05/05(水) 22:05:59 ID:3mV25hkkO
「そんな事を聞いているの…あぁ!」
返事もせずに自分のモノを挿入する一刀、反転して絡まった両手・両足に腰が高く突き上げ目隠しのかなり特殊な状態の後背位。
荒々しいが何故か体の芯が熱くなって来る様な気もするがそれを決して認めたくない思春。
そのまま特殊な後背位で暫くしたのちお互い三度目の絶頂を迎える、すると思春から。
「北郷、そろそろ解かぬか?蓮華様ご興味有られると聞いた事を実績して…報告したい」
「平気?いきなり首の骨折らない?」
「ああ、大丈夫だ“いきなり首の骨など折りなどしない”」
「本当に平気?」
「ああ、蓮華様に誓って…」
思春が蓮華に誓っての宣言に安心して包帯を解いた。
「ならば北郷仰向けになれ」
「なに?蓮華の興味有る体位って…」
「皆まで言うな、私には不本意だが蓮華様は大変お前の事を気にしている。桃香や華琳、ましてや雪蓮様までにも負けまいと日々、お前に少しでも注目されたいと努力されているのだ」
言いながら両肩を掴んで押し倒す様に一刀を寝かし付ける、そのまま一刀にまたがり今だいきり立つ一刀のモノに自分からあてがいそして腰を沈める。
515 名前:孫呉戴冠式33-35※エロ有り[] 投稿日:2010/05/05(水) 22:08:43 ID:3mV25hkkO
「なっ、は…ん、あ、あっ」
ぎこちないながらも一刀の上で動く思春。
「思春、無理するなよ」
「無理、などし…ていない。なるほど、んっ・な…こうして支配、す・る様に」
慣れて来たのか動きがスムーズになり一刀を絶頂に導く為に動いている。
「思春、そろそろ…」
「そうか、なら好きにしろ…可能なら合わせてやる」
強気で喋っているもイクのをこらえる状態。
「クッ!思春!」
「く…あ、う!?っはぅ、あ、あはああぁぁ!!」
なんとか同時に果てた思春は一刀の胸に手を当てて姿勢を保つ、自分の中で一刀のモノがようやく縮小していくのを感じ取って息を整えてのち。
「フウー、ようやく義理を果たしたな…」
その台詞に寒気を覚えた一刀が訪ねる。
「どうしたの思春?急に」
「急にではない、蓮華様の願いだからお前を鎮めたのだ。事を成し得た今、何の遠慮が有ろうか?言ったよな後で覚えておけと」
思春自ら求める様な仕草にすっかり考えが甘く成っていた一刀は面を食らう。
「ちょ、思春?冗談だよね?」
「フンッ!」
一刀に騎乗位の為にまたがっていた思春が内股に力を込める、途端に破瓜の痛みが少々再生されるも眼下の男の表情でそれすらも心地よい痛みの様子だ。
516 名前:孫呉戴冠式34-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 22:10:49 ID:3mV25hkkO
ピキッ★
「―――――――!!!!★」
声に成らない悲鳴を上げたのち失神した一刀、身支度を整えると一刀をそのままに部屋を後にする思春だった。
情けかどうか、その後に医者は呼んどいたらしい。
◇ ◇ ◇
医師による診断結果は。
あばら骨、右側二本・左側一本に罅のみ。
「酷い、骨折だなんて…」
「なにを大げさな、骨折などと。ただの罅ですぞ」
「天…自分がいた世界じゃあ、骨に罅が入ったら骨折の認識なの」
「なんとも虚弱ですの、天の国やらとも」
「なんとでも言ってくれ」
「では、ご主人様…」
ギクッ!
声をかけてきたのは今回の戴冠式に護衛武将筆頭として着いて来た愛紗。
「診察も終わりしたので私はこれで…」
「うぬ、ご苦労であった」
なんとなく早く出ていくように急かしているような愛紗の声。
「では、お大事に」
そう思うなら見捨てないでー!と心で叫ぶ一刀。
「で、この怪我の原因は?…」
「名誉の負傷?」
その台詞に対して愛紗はスッと骨折しただろうあばら骨の位置に手を当てると軽く力を込めた。
「―――――――★!!!!★」
声に成らない悲鳴を再度上げる羽目に成った一刀、しかし今回は失神させてくれない。
517 名前:孫呉戴冠式35-35[] 投稿日:2010/05/05(水) 22:12:24 ID:3mV25hkkO
「★!?☆〜…酷いよ愛紗(泣)愛紗だって笑ってさせてくれなかったじゃ!痛タタタ」
「それに関しては…しかしこのような手を込んだやり方は余程の事が有りませんと」
仕方なく自分の正当性を理解してもらう為に経緯を話してみた一刀、しばらくしたのち。
……ボキッ★!
・・・
・・

診断結果追加。
あばら骨左側一本骨折追加。
帰路、基本的に船だったが馬の間はずっと骨折による痛みに悩まされた一刀だった。
518 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2010/05/05(水) 22:15:18 ID:3mV25hkkO
「それにしても今回は遅かったわね猫」
「にゃー(スランプ中なんですよ)」
「猫がいっちょ前に言うわね」
「にゃー(猫だって大変なんです)」
「それに関して…」
「にゃー(風様!余計な事は)」
「おや?バカ猫事実は余計ですか?」
「にゃー(時と場合に寄ります、軍師の貴女が知らんはず無いでしょう)」
「ですか…まあ結局は喋りますが」
「にゃー(鬼ー)」
「バカ猫は携帯叩かないでスロット・バイオハザードばっか叩いてたらしいですよ。因みに双頭龍(前)はリメイクしたものの(後)が行き詰まって(前)が寝かせ状態。
 本ルートリメイクも若干行き詰まりでストップ、まさに猫の屑ですね。風上は無論風下にも置けませんね」
「にゃー(暦りにしか休暇がなくて…それはいい、それはいいけれど仕事がおじいちゃんの介護みたいになっちゃてるのが嫌なんだー!風様のペチャパーイ!………)」
「今サラッと酷い事を、後で覚えて置いてもらいましょう。ではでは支援、応援ありがとうございました。因みにバカ猫の名前が入った風のバナーが超大元の本家に有るらしいですよ〜」

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