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656 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 02:30:01 ID:goVRkyzd0
4分割いくよ。
657 名前:天の御使い御輿(1/4)[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 02:31:57 ID:goVRkyzd0

 翌日の三国太平を祝う祭りのためにいつも以上に厳重な警邏を終えた後の帰り道
北郷隊の三羽烏が肩を揃えて歩きながらふと空を見上げる。
 その状態のまま、真桜がふと口を開いた。
「なぁ、最近の大将……やっぱ元気があらへんな」
「仕方あるまい。隊長が……はぁ」
 凪は思わず深く息を吐き出して肩を落とす。隊長……北郷一刀。その少年はあるひ曹操の元へと現れ
様々な出来事を共に乗り越えてきた。そして、気がつけば姿を消していた。
 ――多くの少女たちの心にその大きな存在感を残したまま。
「でも、いつか帰ってきてくれるって信じてるの!」
「そうやな。そのためにも何か……せや!」
 沙和の言葉にはっとするやいなや、真桜が瞳を輝かせる。
 その様子を訝りながら凪は真桜に声をかける。
「どうした、真桜?」
「えぇこと思いついたでぇ!」
「ちょ、真桜ちゃーん!」
 急に駆け出した真桜に、凪と沙和は慌てて後に続く。
 そして、そのまま三人は真桜が使用している工房へと入ることとなった。
「ちゃんと説明しろ、真桜」
「せやから、隊長の帰還を祈願するんや!」
「意味がまったくわからないのー!」
「まぁ、後で教えたるさかい。今は一人にさせてもらうで」
「……わかった。くれぐれも妙なことはするなよ」
「それじゃあ、楽しみにしてるの」
 いたく真剣な表情で工具を見つめる真桜に凪と沙和は顔を見合わせて工房を後にした。
「だけど、何をつくるんだろうね?」
「さぁな。だが、隊長のことを想って造るのならば問題もないだろう」
 二人は真桜についての話をそこで切り上げて後はその日の警邏でのことから始まり、世間話へと話題を移動していくのだった。

658 名前:天の御使い御輿(2/4)[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 02:37:29 ID:goVRkyzd0
 真桜が作業に取り組んでから一日が経過した。
 様子を見に来た凪と沙和は思わぬ光景に息を呑んだ。
 城の中庭には強大ないちもつが天に向かってそそり立っていた。よく見ればその根本には
前後左右に向かって木の棒が伸びている。
「こ、これは一体」
「お、二人とも来よったな」
「真桜ちゃん。これなに?」
「ふふん、これはなぁ……天の御使い御輿や!」
「はぁ?」
 真桜の言葉に凪は思わず眉をひそめる。
「確かに、隊長の隊長にそっくりなの」
「た、隊長の隊長……ごくり」
 沙和の漏らした簡単の声に凪はいつの間にか量をましていた唾液を飲み込む。
「さっそく、この御輿を街にもっていくんや!」
「し、しかし、御輿を使うようなことなんて」
「何言うとるんや、今日は祭りや!」
「さ、三国の平定を祝う人々にこれを見せる気か!」
「すごい盛り上がりそうなのー!」
 凪はノリノリな二人に冷や汗をかきながらなんとか止めようと試みる。
 そうした騒ぎを聞きつけたのか、他の将たちがやってくる。
「お前ら、何をしている」
「ちょっと、警備の仕事があるのにこんなところで油売ってるんじゃないわよ!」
 春蘭と桂花がつかつかと歩み寄ってくる。どちらも怒りの感情を貼り付けている。
「実は、今日の祭りで使う御輿を造ったんや!」
「な、なによコレ!」
「これは、北郷の――」
「言わないでよ! 耳が穢れるわ!」
「なんやなんや、おもろいことになっとるみたいやな――って、なんやこれ!」
 天の御使い御輿を見上げて霞が仰け反る。
「こ、これはまた……はぁ」
 額を片手で抑えながら秋蘭が天の御使い御輿を見つめる。
659 名前:天の御使い御輿(3/4)[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 02:43:02 ID:goVRkyzd0
 そこへさらに人がやって来る。
「ちょっと、ちぃたちの警護はまだな……の?」
「もう約束の時間になります……が?」
 地和と人和までもがやってくる。文句を言おうとしていたようだが天の御使い御輿を見て固まっている。
「あぁ、これ一刀だぁ!」
 少し遅れてやってきた天和が天の御使い御輿をさすりながら愛おしそうに見つめている。
「なになに、兄ちゃんがどうしたってぇ−!」
「に、兄様が帰ってきたのですか?」
 天和の声を聞き取ったらしい季衣と流琉が駆け寄ってくる。
 その二人の進行を遮るように二つの影が現れる。
「はいはい、お二人は見るべきではありませんよ〜」
「何をしているのですか、貴女たちは」
 立ち止まった季衣の目を手で隠す風とため息混じりに一同を睨む稟だった。
「あ、あの一体何が?」
「特別見るようなものではありません」
 稟はそう言うと、風が季衣にするように流琉の視界を掌で遮った。
「それにしても、これはまた立派なモノですね〜。まさにお兄さん級」
「あ、あれだけ強大なモノが……あ、穴に……裂け――ぶーっ!」
 大量の鼻血を拭いて稟が倒れる。そんな彼女の首を風が叩く。
「おぉ、稟ちゃんとんとんしましょうねぇ」
 その拍子に、季衣と流琉の拘束が解ける。
「うわぁ、なにそれ? 御神輿?」
「うむ、これはだな――」
「春蘭!」
 眼を爛々と輝かせている季衣に説明しようとする春蘭を桂花が制止する。
「これって、兄様の――」
「言うな、流琉」
 呆然とした様子で指をさす流琉の口を秋蘭がそっと抑える。
 春蘭の暴挙を治めた桂花は憤慨の表情で真桜を睨み付けている。
「認めないわよ! こんなもの。華琳さまのお目が腐ってしまうわ!」
「桂花〜! どこにいるの」
 遠くから当の華琳の声がする。その距離は徐々に迫ってきている。
660 名前:天の御使い御輿(4/4)[sage] 投稿日:2010/04/29(木) 02:45:44 ID:goVRkyzd0
「華琳さまが来る……春蘭、これを斬り捨てなさい!」
「む、よくわからんが、わかった!」
 桂花の言葉に頷くやいなや春蘭の一閃。
 ズバァァァァアァアアッ!
 ボトッ
 天の御使い御輿のナニに線が走り、一部が落ちる。
「あ、あぁ! ウチの傑作がああぁぁぁ」
「た、隊長の頭部が斬られちゃったのー!」
「うわぁ……春蘭、アンタえぐすぎるで……」
「あ、姉者さすがにその斬り方はさすがに、その、惨いぞ」
「む?」
 僅かに苦い笑みを浮かべる霞と秋蘭に春蘭は首を傾げる。
 ガサガサ
 風もないの一部の草むらが揺れ動く。
 咄嗟に、武官の面々は身構える。
「何者だ!」
「イ、イタタタタ……」
 よろよろと前傾姿勢で姿を現したのは……
「か、一刀!」
 いつの間にかやってきていた華琳が驚きに眼を見開いている。
「……うぅ、ひ、ひどい出迎えだ」
 股間を両手で押さえたまま一刀が全員の顔を確認するように一通り見る。
 そして、脂汗すら浮かんでいるその顔を僅かに綻ばす。


「た、ただいま」


 少女たちがずっと見たくても見られなかった笑顔がそこにあった。
661 名前:投下率向上委員会 ◆vQDyzvqlHM [sage] 投稿日:2010/04/29(木) 03:01:47 ID:goVRkyzd0
以上です。いやぁ、今回は計算間違いなかったですよ。やったね!
ちょっと調子乗りました。ごめんなさい。

というか寝る前にちらっと覗いたら妙な話してるんだもん吃驚しちゃいましたよ。
しかも、そのせいでインスピレーションがズビビと来ちゃったしw

最近のこちらにはネタになる話があっていいですねぇ。
避難所はなんか総合となんら変わらない感じでFDの想像ばかりだから
いまいちSSのネタに直結しなくて困ってたから助かります。ありがとう!

「思いつきでも良いのです。咄嗟でもいいのです。あなたのSSには価値があるのです」

「だから、恐れず投下……してみません?」


提供:投下率向上委員会

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