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625 名前:不臣の礼は誰がために(1/5)[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 22:39:51 ID:u8kNfmz+0
萌将伝の状況で、一刀の都に皆が集まってます
女の争いとニセ関西弁に注意です

蓮華「おのれ、またも私の邪魔をするつもりか!」
霞 「せやかてウチ、征東将軍やし。呉の王様に一刀を譲ったりしたら、怒られてまうしー」
蓮華「それなら、今すぐ東に向かえ! 果てまで行って、戻ってくるな!」
霞 「ふん。あの女たらしをウチが征するまでは、ここから離れるわけにはいかへんな」
秋蘭「二人とも落ち着いてくれ。喧嘩など、本来の任地を放り出してまですることか」
霞 「妙ちゃんかて征西将軍やんか。人のこと言えるかい」
秋蘭「今や、蜀との最前線はこの都だ。北郷がいるからな」
霞 「ええこと言うた! 妙ちゃん今ええこと言うた! せやから、ウチもここにおるんやで」
蓮華「むむむ……」

春蘭「ところで秋蘭。その何とか将軍だが、私は何だ? 北か、それとも南か?」
秋蘭「どれでもない。姉者は、魏では無官だからな」
春蘭「そうか。ならば私は、何処へでも行けるのだな。はっはっはっ!」

蓮華「……言い返せなかった。私は孫呉の王。国と幼子を放り出して、男に会いに
  来ていると思われても仕方ない……いや、私とて母なのだ。どう思われても、
  何を言われても、一刀を支えることが三国の平和に繋がるなら……しかし、その役目は
  私でなくても良いのではないか? 一刀はきっと受け入れてくれる。でも、一刀が
  本当に望んでいるのは……」
626 名前:不臣の礼は誰がために(2/5)[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 22:42:26 ID:u8kNfmz+0
霞 「なあ、蓮華はん」
蓮華「しっ、霞!?」
霞 「何を悩んどるのか知らへんけど、さっきは言い過ぎたわ。ご免してや」
蓮華「……私も、あなたが何を怒っていたのか知らないけど、もう忘れたわ」
霞 「そうかい。ほな、今から言うことも、とっとと忘れたってな」
蓮華「……」
霞 「ホンマはな、アンタが羨ましいんよ。すぐに子供ができよったで」
蓮華「それは……」
霞 「一刀が孫登を抱き上げとるのを見てな、どうしても敵わへんと思ったわ。一刀の
  あんな顔見たことないし、ウチもあんな気持ちは初めてや。どうしてウチには
  子供ができへんのやろうって。ひょっとしたら、お腹を揺らすとあかんのやろか。
  けど、馬に乗らんわけにはいかへんし……」
蓮華「霞……あなたは」
霞 「慰めるつもりやったら勘弁してや。余計に惨めやわ」
蓮華「あなたは、一刀を一人占めにしたくはないの?」
霞 「はあ? そんなん無理やろ。どうせ今も、誰かと乳繰り合っとるに決まっとるわ」
蓮華「さすがに、午前中は仕事だと思うけど……」
霞 「甘いなあ。甘々やで蓮華はん」
蓮華「……ともかく、私はしたいの。一刀を一人占めにしたい」
霞 「子供がおるからか? 一刀を、父親やから必要やと?」
蓮華「それもある。だけど、もっと大切なことよ」
霞 「ほー。母親のアンタが、その立場よりも大切なことがあるっちゅうんか」
蓮華「ええ。その気持ちが無ければ、孫登の母親にはなれなかったから」
霞 「何やねん。勿体つけんとぶっちゃけや」
627 名前:不臣の礼は誰がために(3/5)[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 22:45:29 ID:u8kNfmz+0
蓮華「あなたも分かってるんじゃない? 一人占めにしたいと思ったこと、あるでしょう?」
霞 「無いな。ウチはこう見えてもいい子やさかい。じゅんじょーな乙女や」
蓮華「そう感じたことも無いの? 今だけは、一刀が自分のものだって。一刀に
  抱かれているときも?」
霞 「……何が言いたいんや」
蓮華「一刀は思ってたはずよ。あなたを一人占めにしたいって」
霞 「……!」
蓮華「あなたは思わないの?」
霞 「お、男と女では事情がちゃうやろ。仮に思っとったらどうやっちゅうねん」
蓮華「私は思ってる。一刀がそばに居てくれなくても、いつもそばに居たいと思ってる。
  好きだから、諦めたりしない」
霞 「ウチが一刀のことを好きやないっちゅうんか!」
蓮華「そうじゃない。一刀が求めてくれたときだけじゃなくて、あなたからは求めてる?
  もしも、一刀があなたを忘れてしまったら、あなたも一刀を忘れるの?」
霞 「そんなわけあるか! ウチは……」
蓮華「それなら、どうして……」
霞 「……どうして、ウチはこんな所におるんやろな。一刀のおる所に行くわ」
蓮華「そうね」
霞 「止めへんのか?」
蓮華「今回は、あなたの勝ちだもの。さっきまでのあなたは、戦うことを諦めてた」
霞 「アンタの言う通りやな。せやけど、アンタがウチのせいでヘコんでまったら、孫登に
  悪いことしたとか、もう思わへんで。次に会うたら覚悟しときや」
蓮華「あなた、純情なんじゃなかったの?」
霞 「……そら、一刀が相手ならな」
蓮華「はいはい」
霞 「余裕かコラァ! ほなな!」
629 名前:不臣の礼は誰がために(4/5)[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 22:48:46 ID:u8kNfmz+0
雪蓮「ふーん。言うようになったじゃない」
蓮華「姉様! 見ていたのですか」
雪蓮「途中からね。春蘭がやけに上機嫌だったから、秋蘭にも話を聞いて、それから
  こっちに来たのよ」
蓮華「もう、人の悪い……」
雪蓮「ねえ蓮華。私が羨ましい? 呉の前王とはいえ、無位無官で自由な私が」
蓮華「……私の口からは言えません」
雪蓮「言ってるようなものよね、羨ましいって。王の立場なんて、時には投げ出したく
  なるって」
蓮華「そのようなつもりはありません。私は、王としての誇りを忘れたりはしません」
雪蓮「王じゃなく、一人の女としては? 挫けそうにならない? 寂しくならない?
  一刀に愛してもらってる?」
蓮華「それこそ、私から申し上げることではありません。姉様も一刀と通じ合うことを
  望まれているのですから、どこから出し抜かれるやら」
雪蓮「ふふっ、本当に立派になったわね、蓮華。でも……私は寂しいわ」
蓮華「姉様? お怒りにならないのですか、不遜な口をきく私を」
雪蓮「なあに、怒ってほしいの? そういうところはまだ子供ね」
蓮華「いえ、そんなことは……」
雪蓮「いいのよ。……私には、あなたの孤独がよく分かる。王としての孤独が」
蓮華「姉様……」
雪蓮「あなたの寂しさが伝わってくる。あなたには一刀が必要よ。思春や冥琳、
  亞莎たちも」
蓮華「……はい」
雪蓮「同じ一人の男を求めているけれど、あなたが王の誇りを失わない限り、私は
  あなたの味方でいられる。そうさせてくれる?」
蓮華「はい。姉様のお心に、きっとお応えします」

631 名前:不臣の礼は誰がために(5/5)[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 22:51:31 ID:u8kNfmz+0
春蘭「秋蘭、なぜ止める。久しぶりに北郷の相手をしてやろうと思ったのに」
秋蘭「霞と一緒でも良ければな。私は遠慮しておく」
春蘭「うん? まあ、私と霞が揃っていては、北郷がすり潰されてしまうな。今日は
  愛紗にでも声をかけてみるか」
秋蘭「姉者、調練の話か?」
華琳「待ちなさい、春蘭。愛紗は私のものよ」
春蘭「はっ、私も華琳様のものです。愛紗には負けません!」
華琳「えっ? ……そう、頑張ってね」


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