雪蓮「ふーん。言うようになったじゃない」
蓮華「姉様! 見ていたのですか」
雪蓮「途中からね。春蘭がやけに上機嫌だったから、秋蘭にも話を聞いて、それから
こっちに来たのよ」
蓮華「もう、人の悪い……」
雪蓮「ねえ蓮華。私が羨ましい? 呉の前王とはいえ、無位無官で自由な私が」
蓮華「……私の口からは言えません」
雪蓮「言ってるようなものよね、羨ましいって。王の立場なんて、時には投げ出したく
なるって」
蓮華「そのようなつもりはありません。私は、王としての誇りを忘れたりはしません」
雪蓮「王じゃなく、一人の女としては? 挫けそうにならない? 寂しくならない?
一刀に愛してもらってる?」
蓮華「それこそ、私から申し上げることではありません。姉様も一刀と通じ合うことを
望まれているのですから、どこから出し抜かれるやら」
雪蓮「ふふっ、本当に立派になったわね、蓮華。でも……私は寂しいわ」
蓮華「姉様? お怒りにならないのですか、不遜な口をきく私を」
雪蓮「なあに、怒ってほしいの? そういうところはまだ子供ね」
蓮華「いえ、そんなことは……」
雪蓮「いいのよ。……私には、あなたの孤独がよく分かる。王としての孤独が」
蓮華「姉様……」
雪蓮「あなたの寂しさが伝わってくる。あなたには一刀が必要よ。思春や冥琳、
亞莎たちも」
蓮華「……はい」
雪蓮「同じ一人の男を求めているけれど、あなたが王の誇りを失わない限り、私は
あなたの味方でいられる。そうさせてくれる?」
蓮華「はい。姉様のお心に、きっとお応えします」
631 名前:不臣の礼は誰がために(5/5)[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 22:51:31 ID:u8kNfmz+0
春蘭「秋蘭、なぜ止める。久しぶりに北郷の相手をしてやろうと思ったのに」
秋蘭「霞と一緒でも良ければな。私は遠慮しておく」
春蘭「うん? まあ、私と霞が揃っていては、北郷がすり潰されてしまうな。今日は
愛紗にでも声をかけてみるか」
秋蘭「姉者、調練の話か?」
華琳「待ちなさい、春蘭。愛紗は私のものよ」
春蘭「はっ、私も華琳様のものです。愛紗には負けません!」
華琳「えっ? ……そう、頑張ってね」
終