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646 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:12:28 ID:QWZlFiBKO
「にゃー(あのさ)」
「なんでしょう?お猫様?」
「にゃー(それ、口調は相変わらず丁寧語なのに接する態度がだいぶ変化してない?)」
「それは、お猫様の事をかなり把握したつもりですから…それにモフモフさせてくれませんし」
「にゃー(モフモフに関してはそれは…なんだ大人の事情だ)」
「ですから気にしてません」
「にゃー(逞しいのね)」
「そうでなきゃ敵地で一人、諜報活動なんか出来ません、では七本桃香です」
647 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中1-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:21:06 ID:QWZlFiBKO
場所は両側が上に絶壁の山道、道幅はだいたい3〜4メートル、時は昼頃、そして前方に盗賊がおよそ約300・・・
「久々の獲物だ」
「見ろよ女もいるぜ」
『逃げた方が良いですよ』と言いたげな一刀だがそれは彼らを逆上させるだけだと分かっているから仕方なく黙っていた、代わりに喋ったのが珍しく恋だった。
「…通さない?」
「あんたは無理だな、後ろのチビも含めて全員身ぐるみ全て置いてけば命だけは助けてやろう」
“誰がチビなのです!恋殿、こんな奴ら生かしていても世の為にならないのです。切り捨てるです!”とねねの怒鳴り声で交渉は決裂する。
『おいおい軍師が話を拗らせるなよ』と、内心ぼやいている一刀。
振り向きながら恋が、
「…ねね、あれ」
「はいです、まさか本当に使う時が来ようとは」
「あれ。って何?」
疑問をねねにぶつけると。
「これです」
ねねの馬から取り出す箱二つ、蓋を開けて出てくるは…
「それって!」
驚く一刀を後目に折り畳み式の棒を伸ばし持ってきた物に付ける。
完成したそれを三人の内、前二人に渡すと。
648 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中2-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:26:00 ID:QWZlFiBKO
「お前たち、これは北郷一刀の牙門旗と恋殿の深紅の呂旗です。よって例え六人でも今からここが蜀の片方の君主、北郷一刀の本陣なのです!
 我らの敗北は蜀の敗北!恋殿が着いててそんなことは許されないのです!」
ポカッ☆
「痛いのです、なにをするかヘボ主人」
「本気で叩いてないだろ、それにあんまり脅すな、見ろ緊張してガチガチじゃないか」
「なにを〜気合いを入れただけなのです!」
「逆効果だって言ってるんだよ」
二人の会話を余所に恋が喋る。
「…お前たち心配しない、恋が全部片付ける…お前たちは堂々とご主人様と恋の旗を掲げる…それだけでいい」
恋の言葉に三人の腕の震えは止まり旗を高々と天に突き出す。
「やっぱり〜!御遣いと呂布だ!」
悲鳴があがったのは有利に見える盗賊団からだ。
既に何名かは震えていたがその叫びに半数の顔から血の気が引いていく。
「呂布だからなんだってんだ!呂布とて人の子だろ」
「なあ、お前は呉での出来事を聞いているか?」
「あれだろ、盗賊200がそこの呂布と呉の孫策二人で全滅したって話」
「なんだ知っていたのか」
「しかし、今は一人!こちらの数は一.五倍だぞ」
649 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中3-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:33:45 ID:QWZlFiBKO
「お前……今までよく生き抜いてこれたな」
そんな盗賊団のやり取りなど一刀の牙門旗の横に自分の旗が翻った事で上機嫌な恋の耳には届かない。
ヒュン!肩慣らしに方天画戟を軽く振ると。
スーッ
山道の木が一本、重力という絶対の力に逆らえなくなりスライドして…
ドッスーン★
やはり重力にしたがって地面に落ちた。
もはや肩慣らしで常人には理解出来ない領域に後ろの盗賊は一部逃げ出していた。
“これは巧く行くかな”と思い始めた時、盗賊側から声があがった。
「お、お頭!」
盗賊の頭領のお出ましでまたどっちに転ぶか分からない展開か?お頭と呼ばれた者が先頭に出ると。
「ああ止めだ!止めだ!引き上げんぞテメエ等」
現れるなりいきなりの号令。
「お頭!久々の…」
「バカ、俺ですら相手の力量が分かるぐらい差が開いてるのにやれるか、無駄にテメエ等を失う訳にいかねえからな引き上げんぞ」
引き上げようとする盗賊に何を思ったか声をかけた一刀。
「ちょっといいかな?」
「なんだ?逃げるのを仕掛けてくるってんなら駄目元で殺り会うぜ、こいつ等を一人でも逃がす為にな」
651 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中4-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:41:29 ID:QWZlFiBKO
「違う、違う。聞きたいことが合ってさ…三国が平定した今なんでいまだに盗賊なんかしてるんだろうと…」
「それはこいつ等が人間として駄目だからに決まっているからです!」
「なんだと!」
盗賊側から怒号が飛び出る。
「ねね、今は真面目な話をしてる、野次なら黙って」
「ムー」
珍しい一刀の真剣な物言いにふてくされながらも黙る。
「まあ、そこオチビちゃんの言うことは半分合ってるな」
チビの言葉に反応しかけたねねの口を恋が塞ぐ。
「半分?」
「大まかに別けると盗賊は二種類いるんだよ、一つはいろんな理由で人の輪に打ち解け難くて、結果人の輪からはみ出て食う為に盗賊に落ちる奴。
時間でも掛ければなんとか一般人としてやってけるだろうが、まだ平和になったばかりの世の中で向こう側が受け入れられる体制になってねえ。見た目もこんなんだしな…」
その者が言う通り戦の傷や片手・片腕無しだったり不衛生等で見た目がお世話にも良いと言える者が少ない。
「そしてもう一つが本当のろくでなし共で、働くが嫌だ・楽をしたいだけ、中には殺戮が辞められないで盗賊をやってる奴までいる」
654 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中5-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:45:48 ID:QWZlFiBKO
「ちなみにあなた達はどっちなんですか?」
「今のこの状況じゃ、何を言ったって助かる為の嘘になるんじゃねえか?」
「どうでしょうね?」
真っ直ぐ見据えて喋る一刀に“ありゃ〜試されてるよ俺”と思うも不思議と怒り等の感情は沸いてこない。
一度の瞬きで応えた答えは。
「ここにいる者達は前者だ」
「なら時間があればあなたを含めあなた方は更正しますよね?」
「何が言いたいんだ?」
それには今答えず、もう一つの質問を続ける。
「盗賊…他の盗賊達には詳しいんですか?」
「そりゃ縄張りの問題とかあるから多少は詳しくねえとよ」
「あなた達みたいな方から駄目な人達まで」
「まあ、ある程度までならな」
「そうやって横に繋げて行けばほとんどの盗賊団を把握可能でしょうか?」
「まあ…不可能じゃねえと思うけど、本当に何をしたいんだ?」
「いやね思いだしたんだよね、昔読んだ漫画に」
「まんが?」
「いやこっちの話、で盗賊を把握するのに元盗賊の人を活用するって話」
「盗賊を把握?」
「そう、簡単に言えば街に凶悪な盗賊が忍びで来ないか、来たなら何しに来たのかを掌握する。更正可能な盗賊団なら引き込むってとこかな?」
656 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中6-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:52:43 ID:QWZlFiBKO
「俺達に可能か?」
「そりゃ最初は大変だろうけど、やらなきゃ一歩も前に進めないだろ」
「・・・俺達はなにをすればいいんだ」
もし今からでもまともな生活が送れるのなら賭けてもいいのかも、いや真っ直ぐに見られたあの時にこっちも見たあの目を信じてみたいのかも、と考える頭領。
「先ずは蜀の白帝城に来てもらっ…あっ」
話に夢中で今自分が何をするために何処に向かっていたのかすっかり忘れていた一刀。
「すまない、今俺達はある所に向かっていて…」
「こやつ等だけでは盗賊が襲って来た様にしか見えないのですな、愛紗辺りに討ち取られるのがオチなのです」
「一端戻るか…でも愛紗に捕まったら……」
微かな希望が消え失せたに思えたが。
「ならば北郷様、私がこの者達と白帝城に戻りましょうか?」
名乗り出たのはお供の一人。
「私が一緒に赴けばいきなり斬るような事はないでしょう、事情を説明し北郷様が帰って来るまで待ってもらえば」
「いいの?」
「当初は四人で私が抜けてもいまだ五人、まだ一人余裕が有りますから私が抜けたぐらい問題無いでしょう。それに北郷様が思い描いている構図は旨くいけば凄いことになるかと、
657 名前:三教一致拠点風イベント 純白への道・道中7-7[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 21:58:25 ID:QWZlFiBKO
 その足掛かりに携わったとなれば誉でこそ有り、悔い等がある訳がありません」
「そう、なら悪いけど頼む。愛紗には帰ったたら詳しく説明すると、朱里にはこの人達を足掛かりに盗賊を掌握するって伝えて」
「解りました、関羽将軍と孔明殿に伝えればよろしいのですね」
「頼むよ」
すると頭領に向いて。
「話はついた彼と一緒に白帝城に向かってくれ、着いたらそこでしばらく…俺が帰って来るまで待っててほしい」
「それでいいのか?」
「そのかわり俺が帰って来たら大変だぞ」
「こいつ等が日の当たる場所で生活出来るならかまわないさ」
「あなたもだよ」
「そうか俺もなのか…なら今から元山賊だな、よろしく頼むぜ」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
こうして毒を盛って毒を制すのでなく、毒を薬に変えて毒を制す試みが偶然的に開始された。
目指す洛陽は今暫くかかる距離にいる一刀達が彼等に見送られ移動を再開させたのだった。
660 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [sage] 投稿日:2010/03/09(火) 22:01:40 ID:QWZlFiBKO
「にゃー(モフモフに関してだけと、お嬢ちゃんはオイラをモフモフするよりお兄さんにモフモフされる方が良いんじゃない?)」
「やだ!お猫様!もう恥ずかしい!」
ドスッ!ドスッ!ドスッ!
シュタ!
「にゃー(し・死ぬかと思った……あっ!支援ありがとうございました)」

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