- 58 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/11/16(月) 23:58:26 ID:BxqUteJ70
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規制解除記念で小ネタ桃香します
- 59 名前:1/4[sage] 投稿日:2009/11/16(月) 23:59:30 ID:BxqUteJ70
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「あー、美味しかった!」
「お姉ちゃん、お腹いっぱいー」
「ごちそうさま」
「……どういたしまして……はぁ」
洛陽市街のとある高級飯店で、大分軽くなった財布を懐にしまいながら一刀は小さくた
め息を吐いた。
今日は張三姉妹の公演が行われた日である。
舞台はいつもの様に大盛況で終わった。
そして一刀はこれも毎度の事であるが、天和と地和に打ち上げと称して奢らされていた
のだ。
しかも二人が選ぶ店は洛陽でも指折りの高級店ばかりである。
多少は人和が抑えてくれはするものの、あまりレベルを落とすと機嫌を損ねてしまうの
である程度のランクの店を選ばざるを得ない。
「はぁ……」
先ほどよりも大きなため息を吐き、懐の寒さを感じながら独り帰路に着く一刀だった。
- 61 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 00:03:59 ID:SnnWzCUU0
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「流石にそろそろきつくなってきたな。最近は稟も経費として認めてくれないし。何とか
しないと破産しちゃうぞ。でもなぁ……奢らないなんて言ったらアイツらすぐにへそを曲
げるしなぁ……。なんとかアイツらの方から断る方向に持っていけないかなぁ」
その翌日、ブツブツと呟きながら通りを歩いていると、前方に遊んでいる子供達の集団
を見つけた。
「くらえー」
「わー、やられたー」
キャッキャと騒ぎながら何かを投げ合っている。
その内の一つが一刀の服にぶつかってそのままくっ付いた。
「……オモナミか。俺も子供の頃はよくこれをぶつけ合って遊んだな」
懐かしむように呟く一刀だったが、唐突に頭にある事が閃いた。
「そうか!これならもしかしたら──」
一刀は踵を返すと、急いで城に駆け戻った。
「おーい、真桜ー!」
城に着くなり、一刀は真桜の工房に飛び込んだ。
「ん?なんや、騒々しいなぁ思たら隊長やん。そない息切らしてどないしたん?」
「ちょっと頼みがあるんだ」
一刀は真桜に自分の思いついた事を事細かに説明した。
「──と、こんな感じなんだけど出来るかな?」
「そんなん、何に使うんか知らんけど……、まあ出来ん事もないやろ。今夜中にはやっと
くよって、また明日来てや」
「恩に着るよ。今度何か奢るな!」
「ああ、楽しみにしとくわ」
真桜に手を振ると、一刀は工房を後にした。
- 62 名前:3/4 しょーもないオチなんで期待しないでね?[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 00:05:17 ID:SnnWzCUU0
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その翌日、真桜に依頼していた品を受け取ると、今度は沙和の部屋へと向かった。
「よう、沙和」
「あ、隊長、いらっしゃいなのー」
にこやかに一刀を出迎える沙和の周りには、何着も服が散らばっていた。
「何してたんだ?」
「古くなった服を改造して可愛く仕立て直してたのー。こうするとちょっと流行から遅れ
た服もまた着られるんだよー」
針と糸を見せながら沙和が答えた。
「へえ、沙和って結構器用なんだな。じゃあやっぱり沙和の所に来たのは正解だったな」
「隊長、沙和に何かご用だったのー?」
「うん、実はこれを──」
真桜から受け取った物を見せながら沙和に説明する。
「んー?それは良いけど……隊長、それあんまり格好良くないと思うのー」
「だから良いんだよ」
「そうなのー?変なのー。でも分かったのー。二、三日待ってくれたらやっておくのー」
「次の公演が五日後だから十分だな。じゃ、頼んだぞ」
「まーかせて、なのー」
沙和は満面の笑みで答えたのだった。
- 63 名前:4/4[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 00:07:34 ID:SnnWzCUU0
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そして張三姉妹公演の日。
舞台はいつもの様に大盛況で終わり、今回も一刀の奢りで打ち上げへ行く事となった。
「お姉ちゃん、今日はフカヒレが食べたいなー」
「なら蛇舞楼が良いんじゃない?ちぃ、あそこの鮑の姿煮大好きなんだよね」
「ちょ、ちょっと、ちぃ姉さん、幾らなんでも高すぎるわよ。せめて昆瓶塔くらいにして
おいたら──」
「いや、構わないぜ。どこでも好きな物食べさせてやるよ」
「だ、大丈夫なの?」
「任せとけって」
「やったー!一刀大好きー」
「フフン、ようやくちぃ達の下僕としての自覚が出てきたみたいね。──さぁ、今日は食
べまくるわよぉっ!!」
その言葉通り、三人は──最初は遠慮していた人和まで──思う存分食べまくった。
そして支払いの時──
「──になります」
当然かなりの金額が提示された。
流石に緊張する三人の前で、一刀はおもむろに財布を取り出した。
「支払いは任せとけっ!」
バリバリ。
『やめて』
この日以来、姉妹は一刀にたかるのを控えるようになったと言う。