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758 名前:一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 [sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:07:26 ID:85kQyn2OO
よし誰も居ない、ひっそり約五分後に桃香します。
759 名前:三教一致拠点風イベント ハロウィン祭[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:13:19 ID:85kQyn2OO
シュタ!
「にゃー(お帰りお嬢ちゃん)」
「ああ、お猫さま、一時的にただいまです」
「にゃー(一時的?)」
「はい、何故か帰ってこなくてはいけない気がして」
「にゃー(強制力かな?とにかく24桃香です)」
三教一致【拠点風】イベント
波浪印災!昼ノ部
762 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭1-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:18:08 ID:85kQyn2OO
事の発端の発言は珍しく鈴々だった。
「ねえ、お兄ちゃん。10月は天の国では催し物はないの?」
「(10月?10月、何か有ったな?何だっけ?)」
考え込む俺に痺れを切らして飛び付きかけた鈴々に女性が話掛ける。
「有るわよ、鈴々。それも鈴々が好きそうな催し物が」
「おぉ、雪蓮なのだ。で、好きそうな催し物って何なのだ?」
今やすっかり仲良くなって、三国首脳陣は真名で呼び会えるまでに成った。
「ハロウィンよ、鈴々」
「波浪因?」
「・・・発音が、(まあ有る意味間違って無いかも)ハロウィンよ。発音はあまり重要ではないかも知れないけど正しく言えるなら言えた方が良いはずだからね。鈴々、ハロウィンよ」
「ハロウ印」
「その調子」
「ハロ…ハ…ハロウ…ウィン……ハロウィン?」
「あら?上手く言えたじゃない、鈴々。じゃあご褒美に催し物の内容はお菓子を貰えるのよ」
「お菓子を貰えるのか!」
既に目を輝かせてる鈴々。
「そう、催し物に参加している普通の格好をしている人に『トリックオァトリート』って言うとお菓子を貰えるの」
「鳥っくおあ盗りーと?」
763 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭2-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:22:08 ID:85kQyn2OO
「トリック・オァ・トリート、意味は『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』で、合ってるわよね一刀」
「概ね喋っておいて今さら確認ですか?雪蓮さん」
「今さら鈴々の期待を裏切る訳にはいかないもの」
期待させてるの貴女ですが?
「お兄ちゃん、ハロウィンをやるのだ!トリックオァ盗りードなのだ。皆に広めてくるのだ」
食べる事になると覚えが良いのか、雪蓮の教えが良いのか?ほぼ片言英語を覚えた鈴々は執務室を飛び出した。
「雪蓮、鈴々の教師やらない?」
「教師?ご冗談を私には向かないわよ」
「いや、立派にやれると思うが…で、何でここに居るの?」
「あら?酷いわね、月の定期報告じゃない。忘れたの?ブーブー」
「忘れてないよ、でも今月は四ヶ月ごとの大報告の月ではないから下士官か通常の文官じゃない?」
「ますます酷ーい、わざわざ私が会いに来たのに嬉しくないの?」
泣き崩れる格好をする雪蓮。
「嬉しく無い訳が無いけど、けどさ国王がそうそう国を空けていいの?」
「それなら問題無いわよ。私、近々引退して蓮華に国王の座明け渡すから」
「なら安心だね・・・・・エェ―――!」
驚いて叫ぶ。
「一刀、急に五月蝿い」
765 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭3-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:26:34 ID:85kQyn2OO
「だって、国王辞めちゃうんだよね」
「基本、漢の国内での戦が無くなった今、政治的には蓮華が呉の国王に成った方が上手く機能するのよ。
 そりゃ相談役としては残るわよ、本当は完全に引退して一刀の傍に居たいけど許してくれないのよ、ねえ冥琳」
雪蓮の発言に驚く。
「冥琳も!?」
姿を現しながら。
「それは自分だけ引退して愛しい男の傍らで酒を飲みふける等誰が許すか」
眼鏡を直しながら。
「私も第一線からは退く、下が育たんからな。だが引退はしない、雪蓮もだ」
後ろで、“冥琳の意地悪、イーだ”とか叫んでいる雪蓮はこの際ほっとこう。
だが次の瞬間、もっと驚く羽目に会う。
「任せられる人が居るのは羨ましいわよ正直」
「華琳!」
「「曹孟徳!」」
余りの驚きに本来真名を許しあっている雪蓮と冥琳が字で呼んでしまうぐらいだ。
「あら?雪蓮に冥琳。真名は許したわよね?」
「うぬ、すまぬ華琳。あまりに驚いて」
「あんまり貴女が脅かすからでしょ、華琳」
謝る冥琳に反発する雪蓮。
「まあここまで驚くとは思わなかったわ、私もやり過ぎたわ許して雪蓮、冥琳」
「じゃあお互い様で」
「了解した。しかし何故、今ここに貴女が?」
766 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭4-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:31:02 ID:85kQyn2OO
「気分転換よ、只の。流石にずーっと机に向かっていると突然黙って旅に出たくなるのよ。で、思えば今は定期報告の時期、これを利用しない手はないわと行動に移っただけよ?」
何かいけないのかしら?と本気な目で悩む華琳にため息一つ漏らす自分。
「ああ、早く私も後継者が欲しいわ、第一候補はやはり自分の子供かしら?」
「……なら早く出来ると良いね」
惚れた女性の子供と聞いて少し気が荒れたのか素っ気なく答える。
すると近づきながら。
「馬鹿ね」
次に人差し指を喉から顎にかけて滑らせて。
「お父さんは貴方に決まってるじゃない」
惚れた女性の顔が面前まで迫る。
この場に蜀義三姉妹が居たら一波乱有ったで有ろう。
華琳の突然の告白に顔を真っ赤にする俺、その事が恥ずかしくなり顔を真っ赤にする華琳。
「……で、何かしら?ハロウ…印、……ハロウィンって」
流石は華琳、照れ隠しの話題変更と聞き慣れない英語の発音をほぼ一発で成功した。
「羅馬の方?外国の風習で確か魔除けだっけ?」
「一刀、羅馬より上、イングランドやアイルランドの風習だって教えくれたじゃない一刀。魔除けなのはほぼ合っているわよ」
769 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭5-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:35:04 ID:85kQyn2OO
「(今のところ全部俺から聞いた事にしてるけど、雪蓮の奴本当に記憶が曖昧なのか?疑わしくなってきた)」
もちろん俺は教えてない、第一ハロウィンなんて風習、日本ではまだそんなに馴染んでないのだから。
「どう華琳?せっかく知ったのだから体験してみたら?子供達にお菓子も配るのよ、将来の一刀の子供の予行練習だと思って」
照れた事を掘り返され“五月蝿いわよ、雪蓮!”と叫ぶ華琳を笑いながらたしなめる雪蓮。
結局は。
「やっても良いわよ、いい気分転換に成りそうだし。喜びなさい季衣、お菓子食べ放題だそうよ」
華琳の台詞にギョっとすると。
「本当ですか?華琳様」
柱の影からひょっこり顔を出す季衣。
「ええ、本当よ」
「やったー!ありがとな兄ちゃん」
「季衣が居るなんて聞いてないぞ」
「あら、言って無いもの聞いてないのも当たり前じゃない」
いえ、そんな事、しれっと言われても…
「それに一刀、いくらお忍びでも私が単身で行動するなんてのは極稀よ」
稀にならば完全単身行動するんだ、とか内心で思っていると華琳は更に言葉を続ける。
「流琉、あなたはお菓子作りに…そうね、いい機会だから私とお菓子作りを競いましょう」
772 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭6-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:39:08 ID:85kQyn2OO
「か、華琳様と料理勝負ですか?」
季衣の現れた柱の反対側から姿を現す流琉。
「またにはいいでしょう流琉。それに凪、あなたもいい機会だからお菓子作りにも挑戦しなさい」
「わ、私がお菓子作りですか?」
「えぇ、凪も居るの?」
「私はお邪魔ですか……」
やや暗い顔で姿を現す。
「いや…」
言えないよな、元々北郷隊で仔犬の様になついてたから気になるなんて。
「やはりお邪魔なんですね…」
「一刀?」
「違う!違う!…そのなんだ、首都の警備隊を筆頭で真面目に勤める凪なら子供達が喜ぶお菓子を真面目に考えて作ってくれるだろうと思っただけ」
咄嗟に考えた事を口走ると凪の表情が明るくなった。
初めて見た時から華琳様に対する忠義心とは別の不思議な感情を抱いてた、最近それが恋心らしい事に気付かされ今回会う機会を得た。
当然、凪としては真名を預けたが自分の様な下っぱは忘れさられてるだろうと思っていた、しかし自分の真名で反応してくれてた時点で半分は舞い上がっていた。
だが他の誰かと勘違いしている可能性も考えて登場時あの様な不思議な態度での登場となったのだった。
773 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭7-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:43:12 ID:85kQyn2OO
それも警備隊をしている事とそれに対して評価をしてくれた事にそうは見えないが、既に凪は完全に舞い上がっていた。
「わ…解りました!全力で取り掛からせていただきます!」
「凪、肩の力抜いて」
「ハッ!」
ますます肩に力が入る。
「ふう、どうなる事やら?一刀。責任をとりなさい」
「俺?」
「あなたしか居ないでしょう、これで結果的に凪に自信消失な事になったらただじゃすまなさいわよ、警備隊での有一の生真面目なんだから」
鋭く華琳の目が光る。
ビクッ!!
「…解ったよ」
半場脅迫にうなずく俺。
「ならこちらは確実な祭と将来有望な亞莎を出しましょう」
いままで黙っていた雪蓮が口を開いた。
「孫呉は料理関係が極端に弱いのよね〜」
「しかたないだろう雪蓮、孫呉復帰に向け皆ガムシャラで料理等している暇は無かったのだから」
「それは儂が暇に託つけて料理の腕を磨いたと言いたいのか?冥琳よ」
「祭殿!城下の視察はもうよろしいので?」
「うぬ、旨い酒も店も見つけた。酒等の娯楽品、街が豊かでなくてはそうそうこの様な上質な物は並ばぬ」
街のレベルを酒で図るのは流石は祭といったところか。
776 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭8-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 20:47:25 ID:85kQyn2OO
「で、話を反らすな冥琳よ。料理の旨い儂はなんじゃっと?」
普段やられてばかりだからか、ここぞとばかり攻撃に入る。
「…それは…祭殿の…日頃の努力の賜物かと」
「そうじゃろう、策殿も飲んでばかりでなく冥琳も本ばかりではなく、少々料理でもたしなんでは?男は胃袋から支配すると中々楽ですぞ」
祭の言葉に思う処があるのか沈黙の雪蓮、代わりに冥琳が喋る。
「遊びで来た訳でわないのだ、その波浪印とやらの料理は祭殿と亞莎で。私達二人は蜀での本来の仕事をさせてもらうぞ」
行くぞ雪蓮!、と雪蓮を連れ出す冥琳。
内心“ちょっとつれないなあ冥琳”は何て思っている自分がいた。
こうしてハロウィンの日時は華琳がお忍び行動での色々な意味での限界やや越えの三日後の三十一日、各々いろんな思惑を忍ばせ準備に入る。
ちなみにハロウィン衣装はいつもの仕立屋に特注、街には城で子供達にお菓子を配るとだけ知らせる。
魔除けだとか子供達を妖精・小悪魔に見立てる等、余計な事を言って要らない不安・不信を買っても特は無しと朱里と雛里の判断だった。
779 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭9-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:01:50 ID:85kQyn2OO
◇ ◇ ◇
で、今日はハロウィン当日の朝。
実は今忙しい、しかも政務である。
お菓子の新天地の開拓として朱里と雛里に天のお菓子ケーキを朧気な記憶で教えていた。
すると偵察に来た華琳と巻き込まれた流琉、好奇心で訪れた祭さんも入れて伝授していてその間政務が疎かになった。
それを愛紗に見つかり説教を喰らう。途中で、自分も前日は皆にハロウィンの配り用のお菓子を作りたいと提言。
ますます怒られたが、ハロウィン当日には今までの遅れてる分を取り返せるならと前日のお菓子作りの許可を得て現状に至る。
◇ ◇ ◇
コンッ!コンッ!
不意にドアを叩く音に。
「誰かな?どうぞ」
仕事量が意外と多く返事だけで机から動かずに対応した。
すると、
「「トリック・オア・トリート」」
姿を表したのは小悪魔姿の鈴々と璃々だった。
「ああ、璃々と鈴々。はい、じゃあお菓子ね」
「ああ!これご主人様のクッキーだー!」
「本当なのか璃々?おお!本当にお兄ちゃん特製クッキーなのだ」
「特製ってそんな大袈裟な」
初出のホワイトデー以来やたら人気が有る俺のクッキー。
783 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭10-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:06:39 ID:85kQyn2OO
出来は素晴らしく良いというわけではないのだが食感が良いのか中々人気が落ちない。
何度か作っているのでコツも分かり腕もだいぶ上達はしているだろうが、朱里あたりが作れば王座はいとも簡単に譲り渡す羽目になるのだが製作を頑なに拒否する朱里や雛里である。
何故なんだろ?
とにかく竹篭に入れたお菓子を渡しながら。
「湿気っちゃうと、味が落ちちゃうから早めに食べろ〜」
「分かったなのだ〜」
「ご主人様、ありがとう」
既に目は竹簡に向かい見送る事もせず、返事だけで送り出す。
璃々たちの後、数十人の子供達にお菓子を渡し送り出す。
無論、服装は普段着だが。
午前が終わるかな?そろそろ昼かな?と思ったころ一人の来訪者が来る。
「……トリック・オア・トリート」
不意の言葉に視線を上げると狼の姿をした狼男ならぬ、狼少女。
意外と…いや、かなりハマっている姿に見とれてしまう。
「……トリック・オア・トリート」
もう一度、恋の言葉に我に帰り。
「はい、お菓子」
竹篭を一つ差し出す。
仕事の為、視線を竹簡に戻すが視界の端に写る竹篭が一向に消えない。
すると、
「……トリック・オア・トリート」
785 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭11-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:11:13 ID:85kQyn2OO
???
流石に不思議に思い恋を見ると、恋の視線は俺の脇のクッキーの山に注がれていた。
「・・・流石に駄目だぞ恋、まだ子供達も来るから足りなくなるだろ」
「……大丈夫、追加のクッキーもう出来てる……はず、…それにそのクッキーそろそろ湿気って美味しさ半減……だから恋が処分する」
ぬぬ。事、食べ物に関しては鋭くなる恋さんだな、手強い。
「でも、まだ届いて無いだろう、その間に子供達が押し寄せたら足りなくなっちゃうぞ〜」
この間、ずっと竹書に目をやり恋とは会話のみ。
「……トリック・オア・トリート」
再度恋が訴え出る。
「………駄目だよ〜」
幾ばくか時間が過ぎたかな?仕事に夢中で分からなかったのだが。
「……じゃあ、トリック」
「え?」
恋の言葉に驚く、意味分かっ…
ペロッ!
ほっぺを舐められた。
「恋?」
「…トリック」
ペロペロペロッ!
ほっぺから耳たぶに。
顔が真っ赤になる俺に追い討ちをかけてくる恋。
ペロペロッペロペロペロペロッペロペロペロペロッ!
耳たぶから首筋に移る。
「アハハ、れ・恋ちょっと」
ペロペロペロペロペロペロ……
789 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭12-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:15:24 ID:85kQyn2OO
「ヒャハハハハハハハハ…、恋!わ、分かったよ降参。ヒャハハハ、降参するお菓子渡すから、止めてくれ〜」
すると、ピタッ!と愛撫攻撃が止む。
「ハ〜ハ〜」
肩で息をする俺だった。
「でも、念のために十個は置いとくよ。恋」
「……………必要無いけど、分かった」

必要無い?
意味が分からないが承諾は得た、クッキーの戦果に満足気な微笑みを作る恋を見て自分もつい顔が緩む。
「…ご主人様。…クッキー大事に食べる」
クッキーを抱える恋を見送り、何時までもにやけてる訳にもいかないと思った矢先。
「相変わらずご主人様は恋にお甘いのですね」
ギクッ!
やや怒気をはらんだその声の主は愛紗。
ぎごちない動作で後ろを向くと、両手で追加分の焼きたてクッキーを持っていた。
「愛紗さんいつからそこに?」
「恋が執務室に向かうのを見たので、もしやと思い追加を持って来たのですが」
ダンッ!
割れ物のクッキーを叩きつける訳にもいかない愛紗は少々強めに足を踏み込み俺を睨む。
「ちなみに、………駄目だよ〜からです」
殆んど最初からじゃないか!背筋に嫌な汗が流れてしかもやたら寒い。
793 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭13-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:20:09 ID:85kQyn2OO
話を反らそうと話題をふる。
「愛紗はお菓子を作らないの?」
不機嫌なのが更に不機嫌になり。
「先日ようやくチャーハンが形になったばかりなのにお菓子などと高等技術を要する物など」
溜め息を一つ吐いたのち。
「朱里や雛里、華琳殿や流琉はご主人様が教えになった、“形喜”とやらが子供達に大好評で休み無く働いているというのに………ご主人様は」
恋に渡したクッキーが有った場所に追加のクッキーを置く愛紗。
「仕事もせずに恋とその、………イチャついてるなんて…もういいです」
扉に向かい歩き出す、そのまま扉に手をかけた瞬間。
「愛紗!」
「はい!」
反射で返事をして振り向く愛紗に。
「トリック・オア・トリート」
ギシッ!
左の手のひらを扉に押し付け。
「え?…ですが今しがた、お菓子はそこに置いてしまい、今の私は…」
カチリ!
右手で扉の鍵を掛ける。
「…ならトリックだね…」
愛紗の耳元で呟くと唇を重ねて舌を絡めたディープキスをする。
「んっ……チュッ…んん、はぁ、……んふぅ……チュルッ、んむっ!?んっ、ルロッ、チュルッ、んん!!ん〜〜〜!」
体感的にはおそらく五分、ようやく愛紗の唇から自分の口を放す。
797 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭14-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:24:34 ID:85kQyn2OO
「機嫌直してくれた?」
「知りません!」
声は怒っていたが目がちゃんと笑っているのを確認する。
「それでは、朱里達の手伝いがまだ有るので失礼しますご主人様」
鍵を開けて部屋を出る、その時に顔を見ればすっかりご機嫌の様子に一安心して政務戻った。
時折来る子供達の相手が程好い気分転換になり政務は捗る、気付くと昼を周り陰の位置からおおよそ三時だろうと推測する。
流石に小腹も空き体も動かしたいと思い朱里達の様子を覗き行った。
◇ ◇ ◇
念のための筈の玉座の間が狭かった、軍議の時でもかなりの大人が入れる筈なのだが今や子供達に占拠されていた。
「はう〜、あっ!ご主人様」
たまたま俺に気が付いた朱里が声を掛けてきた。
「大…盛況だね」
「はい…それはもう目が回る程、あわわ〜」
朱里と雛里の目を覗くと実際目が回っている、そろそろ限界なのかな?
「一刀!あなたも手伝いなさい!」
華琳の叱咤が飛ぶ。
「へいへい、手伝いますよ。朱里何をすればいい?」
「すいませんご主人様に手伝わせて、何時もならお断りするのですが本当に忙しく…」
「いいから、何するの」
「はわ!すいません、それでは……」
801 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭15-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:29:02 ID:85kQyn2OO
それからケーキを運び・子供達を並べ・多少盛付けも手伝った。
「しかし、凄い数だね」
呆れ返りながら喋る俺、ここ白帝城に首都を移動してから日は浅いはず、大人ならともかく子供がここまで集まるとは正直驚いている。
「それはご主人様と桃香様の善政で家族を連れてでもこの地を訪れる者が後を断たないのですから」
手伝いながらも誇らしげに説明する愛紗。
「まあ俺はともかく、桃香や朱里の善政は間違いないからな」
「そんな、ご主人様も…」
「ハイハイ、ノロケはいいから愛紗も一刀も口じゃなく手を動かす」
「うう…」
会話を華琳に中断され呻き声をあげるも手伝いの作業に戻る。
「他でもお菓子配ってるよね?」
「そういう企画なのでしょ」
「いやこの数を見てると全員ここに居るんじゃないかな、と」
「おそらくほぼ全員居るんじゃない?」
「え?」
「それは只でさえ普段口に入らない菓子を、ましては見たことも聞いたことも無い菓子が有れば真っ先に食してみたいと思うのは子供はおろか、大人でも思うでしょう」
「そんな……もんだよな。ごめん皆、周りを喜ばせ様と…考え無さ過ぎた」
806 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭16-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:33:25 ID:85kQyn2OO
「大丈夫ですよ、ご主人様。お菓子でも知らない知識を得て生かす、それで子供達も喜んでる。問題有りません」
「朱里ちゃんのおっしゃる通りです…ご主人様」
「子供は国の宝なのよ、その宝達が喜んでるならそれでいいんじゃない?」
ここに居る皆がこの催しを肯定してくれたことに感謝する。
「ですがご主人様…そろそろ“けいき”の残りの数が…並ぶのに制限を掛けませんと」
「分かった、貰えてない子供はいないよね」
「ほぼ間違いなく、今居る子供達は二週目もしくは三週目かと」
「よし、愛紗!一旦並ぶのを中断させて」
分かりました、と返事をして最後尾らしい所に向かって行く。
「早く頂戴なのだ!」
「ああ待たせてごめんね、はいこ……鈴々何してるの」
「わわ、ばれたのだ!」
ばれたじゃないだろう、第一こんな目立つ仮装してたら……いや仮装が目立ち過ぎて中身が隠れたのか。
「こら!鈴々居ないと思ったらサボるはおろか子供達のお菓子を…」
「にはゃ〜、鈴々は子供なのだ!」
「都合のいい時だけ子供になるんじゃない!待て鈴々、反省が無い様だお仕置きしてやる」
こうして愛紗と鈴々が玉座の間から姿を消したのだった。
809 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭17-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:37:13 ID:85kQyn2OO
そうしてる内にケーキが無くなる。
「ごめんな、ケーキは品切れだ」
「「「えー」」」
子供達の抗議の声が木霊する。
「城内にお菓子ならまだ有るから、貰っておいで」
すると、
「「「はーい」」」
と、元気な返事が返って来て各々が新たな宝探しに出向いて行った。
静まった玉座の間の扉を閉めて労いの声を掛ける。
「お疲れ様」
「もう、本当に疲れたわよ」
「その割には嫌な顔してないよね」
「誰も嫌だったなんて言ってないですから」
その時残ってた朱里・雛里・紫苑・音々音・華琳・流琉・俺が一斉に笑いだす。
「見ましたかご主人様、子供達のあの笑顔」
「ああ」
「魏でもやろうかしら、ねえ流琉?」
「検討の価値は有ると思います。なによりこの新しい知識と技術をもっと試してみたいのも事実です華琳様」
「そうね、それも有るわね」
月と詠が持って来たお茶を飲みながら話が拡大する、華琳と流琉に至っては予算の割当てまで話が進んでいる。
「(二人共どこまで話大きくする気なのだろう?)」
これだけ女の子が集まれば話に花も咲くもので邪魔しちゃ悪いのと残りの状況確認も兼ねて玉座の間を後にする俺だった。
◇ ◇ ◇
813 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭18-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:41:05 ID:85kQyn2OO
先ずは亞莎と祭さんがいる部屋に向かった。
「一刀だけど入るよ、平気かい?」
「どーぞ一刀さん」
祭からの返事が無いが亞莎からは承諾をもらったので部屋に入る、部屋には亞莎だけで祭さんの姿が見えない。
「祭さんは?」
極々普通の疑問を亞莎にぶつけてみる。
「それが、その。自分が作ったお菓子が配布中止になって、ふて腐れて自分のお部屋へ」
「何かしたの?」
「さあ?そこまで存じてません。唯、朱里さんと揉めていたのは確かです」
「朱里と?」
「はい」
この組合せ事態珍しいが、揉めるとは尚珍しい。
だが今は詳しい事が解らない以上後回しだ。
「で、亞莎が作ったのわ」
「ゴマ団子です、一刀さん!」
俺が喋っていたのを遮ってまで説明に亞莎。
「それにしても、大分上手く出来上がっているね」
「ありがとうございます、一刀さん。お世辞でも嬉しいです」
「お世辞じゃないよ」
この言葉に顔を真っ赤にする。
「食べていい?」
「どうぞ、あっ!でも台詞を言わないと」
「ああ、トリック・オア・トリート」
「はい、どうぞ」
亞莎から手渡されるゴマ団子、食べる前にもう一つ質問。
815 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭19-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:45:05 ID:85kQyn2OO
「何でゴマ団子なの?」
「何故でしょう?」
質問された側が真剣に悩んでいる、だが答えらしきものは有るらしくあっさりと答える。
「物心ついた時から既に…いやゴマ団子の存在を知った時から興味を惹かれ、何故かいつか来る日までに上達してないといけない気がするのです」
「それで、いつか来る日って?」
「分かりません」
「何でそう思うの?」
「解りません」
「だったらいつかその日が来ると良いな、亞莎」
「はい」
パクッ!
「おぉ!すっごく旨いぞこれ、早く子供達に教えてやらないともったいない」
ツー…
亞莎の右目から人知れず流れ落ちる一筋の泪、気付いたのは当人の亞莎のみ当然一刀が気付く事などない。
咄嗟に袖で顔を隠すと。
「どうしたの?」
心配する一刀。
気配で涙が残ってない事を確信し、腕を動かし顔を出す。
「一刀さん、ありがとう!」
「ん?俺何かした」
「いいのです、ともかくありがとうなのです」
そうして、魅せてくれた亞莎の笑顔は今までで一番輝いていた。
◇ ◇ ◇
818 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭20-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:49:06 ID:85kQyn2OO
「確かここは凪だったな、入るけど平気かい?」
「あぁ、一刀殿」
恐らくはケーキを襲撃していた子供達が目標を失い次に凪のお菓子に目を着けたのだろう、そして今しがた襲撃を終え去ったんだろうなとやつれた凪の姿と疲れた声から想像が出来る。
だが、しかし。
「一刀殿は恥ずかしいなあ、もう少し軟らかく」
「では、一刀さん?」
凪には隊長と呼ばれてたのが慣れ過ぎて、改めて“一刀さん”と呼ばれると色々と強力すぎる。
「やっぱり駄目です、その出来たら慣れるまではやはり一刀殿でよろしいですか」
顔を真っ赤にしながら凪の方から断りが入った。
恥ずかしくも有り少し悲しいも有った。
「分かった好きにして」
「ありがとうございます、しかし子供達は元気ですね」
「まあ元気が一番だよね」
「全くです」
いい雰囲気の中、残ったお菓子に目をやる。
「これ凪が作ったお菓子?」
「はい、初めてなので定番の物をと」
確かに定番だがそれだけに人気も高い残り僅か数個、タダで食べれるとあればここまで減るのはほぼ瞬殺だったのだろう残りの一つを掴むとヒョイとつまみ食いする。
「あっ!一刀殿……」
822 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭21-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:53:02 ID:85kQyn2OO
「うん、初めてのお菓子がこのできなら問題無いよ、良いお嫁さんになれるよ」
「なっ!なっ!」
耳まで真っ赤にして振り向いたまま動かなくなる凪を素直に可愛いと思った。
すると棚に木箱が見える、好奇心に駆られて手に取り蓋を開けるとケーキが出てきたことにビックリ。
「なんだ凪、ちゃんとケーキも作ったんじゃん」
凪の作ったケーキに対して好奇心の方が勝った、一つ摘まんで一口。
俺の声に我に還った凪が叫んだ。
「一刀殿それは駄目です!」
だが既に時は遅し。
「★〆±§◆¶ж〜!!」
口の中で火がついた!
よくよく考えれば隠していたということはこれは凪個人用のお菓子、そして凪の味覚の趣向は激辛。
ならばこのケーキの味付けもビタビタで有って然るべきだと気付くべきだった。
「う〜う〜」
情けない呻き声をあげて二口目等噛めずにどうにか舌で少し押し上げる以外何も出来ない俺。
水なんか少量しか用意しておらず、それも子供達に撃墜済み。
あまりの辛さに半場涙目で本当に何も出来ない。
すると決心した顔の凪が話掛けてきた。
「一刀殿失礼します!」
すると口から少しはみ出ていた激辛ケーキを巧くくわえて自分の口に。
827 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭22-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 21:57:09 ID:85kQyn2OO
口に運んだ激辛ケーキを噛んだ凪の顔が緩みだす。
「(あ、甘い、辛いのに甘い?)」
一刀の唾液を含むだろう激辛ケーキを食べてる凪の顔はその真逆の激甘の物を食べてるかの様な顔をしている。
「う〜う〜」
今の状況の元凶で有った激辛ケーキが口から消えるも、今だ辛いエキスか何かが残っているのか?口が麻痺して相変わらず情けない呻き声しか出せない。
そこに陶酔した顔の凪が再度覆い被さって来た。
「重ね重ね失礼します。か、一刀、殿」
「「んぅ…ちゅっ、…ン…んむ…れぅ、れろ……ぇろれるぅ……」」
まず、舌の先を丹念に自分の舌でなぶる、次に舌全体をやはり自分の舌全体を使って丹念に絡める。
やがて麻痺が解けた俺が自分から凪の舌に絡め様として自分の歯に舌が当たると。
「○Å&ヰω!!」
辛さが復活する、歯の裏にでも辛子エキスが残っているのか?
「一刀殿、じっとしていて」
「……コクッ」
最早舌すら動かせず凪にされるがままの状態だ。
歯を裏まで凪の舌でなぶられる、凪の顔がますます赤く陶酔していく。
口の中をすっかり凪に凌辱され、既に辛さなんか微塵も感じない。
831 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭23-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 22:02:57 ID:85kQyn2OO
今では自分からも積極的に凪の舌を絡める。
最早、俺も頭がのぼせているのか夢中に凪の口を貪る。
そして俺の手が凪の胸に伸びて突起物を摘まんだ瞬間!
「んんっ―――!!!」
凪が気をやった。
凪の声に我に返った俺は直ぐ様に謝った。
「ああ、ごめん凪!途中から解らなくなってきて……本当にごめん」
「はぁ、はぁ…、大丈夫です…一刀、殿。むしろ今は…何故か嬉しいのです。一刀殿に女性だと認められたと思えて本当に嬉しいのです。謝らないで戴きたい」
「凪は充分魅力的な女の子だよ」
この言葉に凪が再び顔を赤くする。
「それから…一刀殿、あの…その…」
「何?」
「一刀殿の方は…よろしいのでしょうか」
「何故が」
「ですから……」
凪の視線が下半身に向かう、俺も釣られて下を向くと……そこにはそそり立つ息子の姿が・・・
「アハハハハは…はぁ、今はいいや。配る物は無くなってるけど誰がいつ入って来るか分からないし」
「そうですか、少し残念ではあります」
「そう言ってくれるのは嬉しいよ…その内機会を作って二人きりでね…」
呟いた俺の台詞に凪が思考停止する、全く反応が無い様なので仕方なく部屋を後にした。
837 名前:三教一致拠点風イベントハロウィン祭24-24[sage] 投稿日:2009/10/28(水) 22:07:45 ID:85kQyn2OO
その後やや前屈みでも自分の部屋まで悠然と見せ掛けながら帰る、何人かにはバレてるみたいだったが……。
夜の華琳や雪蓮をもてなす宴会までにいきり立った息子を鎮めるのは大変苦労をした。
ちなみに我に帰った凪が目の前に一刀が一口だけ食べた激辛ケーキを確認すると小さくガッツポーズを取ったのだった。

ハロウィン祭昼ノ部終了。
夜ノ部ニ続ク?。
845 名前:一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 [sage] 投稿日:2009/10/28(水) 22:16:55 ID:85kQyn2OO
「にゃー(まずは多数様の支援本当にありがとうございました)」
m(_ _)m
「しかし、お猫さま?双頭の龍(後)は?」
「にゃー(お嬢ちゃん、疲れてると激甘な話を書きたくなるんだよ、双頭もちゃんと構想は出来てるよ、多分)」
「多分ですか?第一お猫さま?激甘を書きたいなら、アイドル達の続き三国アイドルをお書きになれば」
「にゃー(あれは甘いじゃなくエロイだから……ちょっと待て何でそれを知っている)」
「お猫さま、私の特技は情報収集ですが?」
「にゃー(・・・このバカ娘が!トップシークレット?を喋るな!)」

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