嘘予告・おまけ
「あれ、私には言及なし? ほぼ一日経っても『仮面白馬いないのかよ』とかなしなの?」
「まあ、ほら、連者じゃないじゃないですか」
「だったら……えーと、仮面絶影とか仮面紫燕とか」
「そりゃあ、その面子なら十分強いですけど……誰と戦うんですか?」
「あたいらの新生むねむね団も潰されちゃったし……さすがにもう一度てのもねー……」
「あ、あいつらだって、別に誰と戦うとかなく、ひっかきまわしてるだけじゃないか! 特に華蝶
仮面とか、成都にいた頃から……」
ゆらり、とその背後に一人の女性の姿が現れるのを、熱弁する白蓮の対面にいた斗詩と猪々子は
見逃さなかった。彼女たち二人は、ゆっくりと後じさり、距離を取り始める。
「ほおぅ? おもしろいお話ではないですか、白蓮殿?」
「……え」
肩にかかる手。振り向けば、にっこりと微笑む趙子龍の姿。常山の昇り龍は笑みを崩さぬまま、
白蓮の腕をがっしりとつかんだ。
「詳しく聞かせていただこうではありませんか。特に華蝶仮面の活躍に対して、ご批判がおありの
ようですから、そこのところを、ひとつ詳しく」
「うわ、ちが、ちょっと、あ、斗詩、猪々子、逃げるな、ちょっと、いや、まて、まてーーーっ!」
ずるずると引きずられていく白蓮。猪々子と斗詩はすでにその場にはなく、もはや彼女を止めら
れる人間は誰もいなかった。
「さ、行きましょう。さあ、さあ、さあっ」
そして、星は実に楽しそうだった。
その光景を離れたところから眺めながら、北郷一刀はこう思うのだった。
「ああ、洛陽は平和だなあ」
と。