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171 名前:□ボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2009/09/19(土) 15:40:28 ID:+dLyC/Gj0
スレの様子を覗いてみたら、何だか賛否両論と言うか
しかも残念なことにそれを原因に荒れてしまってますね

面白いと褒めてくれる人が居るのは嬉しいですし、
批判も受け止めようとは思っているのですが、
荒れることに対して何も思わない訳ではありません

実際、自分達(□ボは現在二人組)は原作の設定や表記の隙間を縫うように
書いていますし、ストーリー、作風、文章のスタイルなどは好みがバッサリ
分かれるものだという理解はあります

自分たちが書く一刀の性格が原作と微妙に違う
中身が某作家のオマージュなのではないか
そう言われることも覚悟して投下したものです
その内容を不快に思う人も居るかもしれませんが、覚悟済み
そのような意思で、書いています

じゃあ、何故前回の投下の際、荒れたのに説明をしに出てこなかったのか?
という話になりますが、これは自分達の最初に決めたスタンスの為です
なるべく投下以外にはレスを残さない、と決めていました
理由は、現状で自分が出てきても更に荒れると思ったということと、
あとは単純に、ネタバレを防ぐためです

例えば『亡霊』についての話ですが、最初にオリキャラ扱いされたとき
「正体は祭です」と言えば済んだ話です
ですが話の展開上、あの時点で読んで下さっている皆さんに正体を明かした結果、
果たして五話を現在と同じような感覚で読めたでしょうか?
それに話が進んでいけば自然と分かる部分や、展開がどうなるのかをネタバレして、
面白く読めるでしょうか?
そこを考えていただければ嬉しいです
172 名前:□ボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2009/09/19(土) 15:41:06 ID:+dLyC/Gj0
一刀の性格の変化の理由に背伸びと言って下さった方が居ましたが、
確かにそれは一部正解です
ですが他にも理由があり、それが話の確信に関わっていると言ったら
素直に説明する訳にはいきません
そういうことです

先が分からない、現状に妙な部分が残っている
そのようなことに不満を言われるのは、理不尽と考えています
書くべきところは書いています、現状分からない部分も、後々判明します
なので出来ることなら中身を読んで貰い、自分達の書いたストーリーで納得して貰おう
そう考えていたのです

ですが前述した通り、荒れている現状に何も思わない訳ではありません
自分が出てきても荒れるかもしれないと思いながらも、避難所の方での意見も参考にし、
自分なりに結論した結果、当初のスタンスを破り、遅まきながらレスを致しました
当方、謝罪の用意あり
ですが、それだけで納得して貰えない部分もあると思いますし、
今から明日の朝まで質問を受け付けることにします
ネタバレにならない程度に全力で返答しますので、上記の文を読み、
それでも質問をしたい、ここが良くないと言いたい方が居ましたら遠慮なく言って下さい
返答はまとめてするつもりです

長文乱文、失礼致しました
レスが二つに分かれているのは、文字制限の為です

追伸
『W.E.S.209』の幕間、投下しました
ttp://koihime.x0.com/bbs/ecobbs.cgi?dl=0410



 ―― 人世・一夜の夢の中
 ―― 瞳・人見の華が咲く

『W.E.S.209』Interlude:01「夢見る指輪」

 は、と吐息して、俺は座り込んだ。
 時間は既に深夜を回っており、明日には蜀呉同盟と接敵するとの予想が立っているので、
この時間に起きているのは形式的に配置された少数の兵士のみだ。お互い完全な状態での
勝負を望んでいるので、その夜番の兵すらもローテーションを組んで仮眠を取っている。
こうして完全に起きているのなど、俺くらいのものだろう。
 理由は緊張して眠れないだけだが。
 見る物すら何も無く、遠くで燃える篝火の音を聞いていると、明日には最終決戦をする
という現実が遠く感じられる。
 ここは夢の中の世界で、目が覚めたらフランチェスカの男子寮だった、なんて想像が頭
の中を横切り、その考えに苦笑した。
 そう言えば華琳と最初に会ったときも、そんな話をしたなと思い出す。
 華琳が探していた南化老仙の本は結局失われてしまったが、このタイミングで思い出す
というのは何か運命じみたものを感じる。
「一刀?」
 背後から声が掛けられ、振り向くと、華琳が立っていた。
「どうしたの? 今日はなるべく体を休めなさいと言った筈よ?」
「緊張してさ、寝れないんだよ。華琳こそ、どうしたのさ?」
 同じよ、と言って、華琳は俺の隣に座った。
 記憶に馴染んだ華琳の香りが俺の鼻孔をくすぐり、自然と穏やかな気分になる。
「さっき、さ」
 敢えて華琳の方を見ずに、俺は喋り出した。
「華琳と初めて会った日のこと、思い出してたんだ」
 言いたいことは、それこそ山ほどある。
 だが上手く言葉に出来ずに、ただそれだけ言って口を噤んでしまった。
 普段なら余計な言葉まで色々と出てくるのに、肝心な場面で役に立たない口だ。
 何を言おうか、何をしようか。
 散々考え、悩み、最終的には俺は華琳を抱きしめ、
「今夜は、一緒に居よう」
 言って、短く口付けを交わした。

? ? ?

 俺が一度出したことで一区切りがつき、現在は二人でじゃれあっている状態だ。
 俺の胸板の上、夜気に冷やされた華琳の素肌の感覚が快い。
「なぁ、華琳」
 華琳の柔らかな髪を撫でながら、俺は何ともなしに呟いた。
「これが終わったらさ、結婚しようか」
 そんなことは無理だと分かっている。
 華琳も同様に、理解していることだ。
 俺がこの世界に残っていられる時間は、もうそんなに長くないだろう。
 だが華琳は笑みを浮かべ、
「魏の王様にでもなるつもり?」
 そんなんじゃないが、
「皆で宴会開いてさ、馬鹿騒ぎして」
 想像の中での結婚式は、ひたすらに派手だ。
 皆が騒ぎ、はしゃいで、歌って、踊って、それでも足りないと盛り上がる。
「指輪の交換のときとか、妨害されまくって情けない状態になったり」
 容易に想像出来る。
 桂花とか春蘭が俺に襲い掛かってきて、俺が逃げ回っている滑稽な姿だが、これもアリ
かもしれない。むしろ、その方が俺と華琳の結婚式らしい。
「指輪?」
 問われ、気付いた。
 こっちでは指輪の交換とか、そんな習慣はまだ浸透していない。
「向こうの習慣でさ、神様の前で永遠の愛を誓うときに、左手の薬指に指輪を嵌めるんだ」
 恋愛を司る血液だか何だかが流れていて、それを封印するとか何とか。
 うろ覚えだが、そんな感じだった気がする。
 ふむ、と華琳は少し黙り、
「一刀、ちょっと手を出して」
 右手は華琳の髪を撫でているままなので左手を差し出すと、ぬるり、とした感触が薬指
を包み込むように来た。
背筋が震え、成すがままになっていると、
「痛ッ」
 何故か突然、指の根元を噛まれた。
 慌てて指を引き抜くと、皮膚の一部が切れたのか薄く血が滲んでいる。
「何すんだよ」
 傷跡が残るのとかは特に気にしないが、明日のことを考えると少し心配になる。
 俺の場所まで敵兵が来るということは華琳のところに来るのと同じ意味なので、その際
に剣を握るのに影響が出るかもしれない。華琳は俺よりも遙かに強いし、そのような状況
には出来るだけなってほしくないが、もしもそうなった際、命を張る覚悟は出来ている。
どうせこの世界から消えるのならば、最後は愛した人を守って死にたいと、そんなことを
言ったら華琳は怒るだろうか。
 だが意地があるのだ、男には。
 恨みの視線をぶつけると、華琳は小さく笑い声を漏らした。
「そんな顔しないの」
 それより、と唇の端を持ち上げ、
「良いわね、考えておくわ、結婚式」
 今ので大きさも覚えたし、と言われ、華琳の行為の意味に気が付いた。
 胸の中が温かくなり、何かに安心したからだろうか、睡魔もやってきた。
 もう寝よう、これ以上起きていると照れて眠れなくなる。
「おやすみ、華琳」
「おやすみなさい」
 目が覚めても、きっとフランチェスカではない。
 体温が、そう伝えてきた。

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