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799 名前:一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 [sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:06:09 ID:Tg0dbotqO
「よし!自分の担当地区の五胡の調査終了しました、最近は彼等も考え方が変わってきて良い傾向です、三国の善政のおかげですね」
トテトテトテ…
「あっ!お猫さま!」
「にゃー(なんだい、いつぞやの孫呉の所の嬢ちゃんか)」
「はい、“大分ご無沙汰”してました」
「にゃー(そうだねー(遠い目)まあなんとか今のは書き上げたよ、多分滅茶苦茶なのは自信有るけど)」
「お猫さま?駄目なのに自信が有るのも如何なものかと?」
「にゃー(働くって大変なんだよお嬢ちゃん、まあちょっくら付き合ってくれい21+a桃香です)」
「質問の答えになってないような……お猫さま」
800 名前:三教一致 その後拠点イベント1-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:18:01 ID:Tg0dbotqO
こうして、それぞれが練習に入る。
しかし、2×2側は昼は公務が有る為に合同練習は早くて夕方からになる。
張宝曰く「良し!向こうは歌うのが本職でもないし練習もままならない、断然不利よ。一気に畳み掛けるわよ!」と容赦がない。
だが事実、2×2側は昼の公務次第では夕方からの合同練習はおろか、個人練習すら儘ならない時も有る。
だが、時間とは無情である取り決めた対決の日がやって来るのだった。
◇ ◇ ◇
しかし、いつの時代も熱狂的なファンがいるらしく既に情報が洩れていたらしい。
当日の朝、歌唱対決の告知を出すと、同時に会場の良い場所は隠れていた各親衛隊に埋め尽くされた。
今は正午前、コンサートが始まるのは早くても日が沈んでからなのだから彼らの忍耐力には恐れ入る限りだ。
最初の場所取りの際に多少揉めた程度で目立った混乱も無く、今の所は予想の範疇内である。
責任者にされ細かい指示を出していると忙しく、迷子に人の渋滞緩和等々で対応していると時間の経つのも早かった。
日も沈み舞台裏ではどっちが先に歌い始めるか?の、話し合いが始まった。
801 名前:三教一致 その後拠点イベント2-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:22:17 ID:Tg0dbotqO
「先陣は武人の誉!ですよね星姉様」
「そうだな」
星が思春の方をチラリと見る『もし異論が有るなら言ってくれ』とゆうような目だ。
「異存は無い」
それを口に出して答える思春。
明命も「歌えるのあればどちらでも構いません♪」と、すでにハイテンション気味だ。
「なら、先攻はどうぞ。私達は武人じゃあないからその理屈は解らないし興味な〜い」
つまんなさそうに素っ気なく答えた地和。
「(あれっ?地和やつ珍しく素直だなぁ?)」
地和のとりあえず噛み付く性格を考えると違和感を覚える一刀。
「(クックックッ、旅芸人たちの間では真打ちになればなるほど出演は後って相場が決まってるのよ、ましてや同じ公演で歌姫同士になればさらにその意味合いは濃くなる)」
「(あー地和のやつ善からぬ事でも企んでるな)」
あまりの地和の悪い顔に不安が過る。
「…ちょっとちぃ姉さん。顔、さすがに露骨すぎ…」
「…ごめんごめん、あの2×2が私達の前座かと思うと…」
803 名前:三教一致 その後拠点イベント3-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:28:05 ID:Tg0dbotqO
「…そう思っても顔に出さないのが一流の歌姫ってもんでしょう…」
「…了解…なら武将の誉ってやつで先攻を譲ってあげるわ、会場をおおいに盛り上げてちょうだい(わたしの為によ)」
こうして俺を差し置いて地和が仕切る形で順番が決まった。
◇ ◇ ◇
「それじゃあ行ってくるねご主人様」
ウインクするタンポポ。
「行って参ります一刀様」
お辞儀をする明命。
「それでは行ってくるぞ主殿」
投げKISSをする星。
「………フンッ」
相変わらずの思春。
それぞれがそれぞれの挨拶をしながら自分の横を抜けていく、それがまたそれぞれ自分達内側の何かを高める為の儀式でも有った。
そして、2×2姉妹S゛先攻でコンサートが始まった。
「それでは先攻は2×2姉妹S゛からでーす」
司会が喋るが途中から大歓声で何を言っているか分からない。
「「「ワワワワワワアアアアアァァァァ」」」
そんな中、2×2姉妹S゛側の各々親衛隊が秩序よく叫びだす。
「「「メイちゃ――――――ん」」」
どこからともなく空中前転をしながら現れる明命。
シュタ!と着地を静かに極め、そのままバク転をしながらステージ最前に出ると。
804 名前:三教一致 その後拠点イベント4-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:32:27 ID:Tg0dbotqO
「呼ばれれば現れる、それが私です」
「「「ワアアァァァ――――――」」」
「「「セーちゃ――――――ん」」」
「ハッーハッハッハッ 、私を呼んだのは貴殿達かな?トウッ!」
城壁から飛び降りた星は着地寸前一度だけ空中前転をまるで猫の様に華麗に極める、悠然にどこか面妖にステージ最前に歩いて着くと最近お気に入りらしい投げKISS。
「「「ワァ――――――――」」」
「「「シュンちゃ――――――ん」」」
何時もと変わらず舞台裏から現れたと思った思春だったが姿が消えた!気付くと既にステージ最前にいた。
「……たまにはな(////)」
「「「………」」」
次の瞬間!!
「「「ワワワワアアアアアァァァァ――――――」」」
思春のファンは元より初の思春によるパフォーマンスと少し照れた思春に2×2側のボルテージが一気に上がった。
「「「ポポちゃ――――――ん」」」
「…………」
「(?)」
「「「ポポちゃ―――――――ん」」」
「…………」
「(???)」
ザワッ、ザワワ。
タンポポが現れない、上がったボルテージが一気に冷める、ざわめきすら起き出す。
すると最前の特に大きな声のファンが不安を掻き消すかのように叫んだ。
805 名前:三教一致 その後拠点イベント5-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:37:48 ID:Tg0dbotqO
「ポポちゃーん!何処にいるのー!」
バンッ!
「ここに居るぞー!!」
かけ声と共に現れる!
飛び降りてきた訳でもなく、歩いてや走って来た訳でもない。
幻術か妖術か?一瞬の閃光の後に、いきなりステージ最前に現れたタンポポに。
「「「ワワワワワアアアアァァァァ――――――!!!!」」」
謎の演出に静まる以前より会場のボルテージが上がる。
種明かしはこうなのだが。
まず床に穴が有る、ステージ下の観客には見えない。
そこに以前、真桜に教えて再現させたバネを使っての一瞬で床下から舞台まで上がる装置を使ったのだ。
元は城攻め用の投石器に使えないか?と、考えたのだがいかんせん投石器としては威力が弱い。
だが、元は投石器として考案された装置の改造品である、タンポポぐらいなら簡単にそれなりに真上に吹っ飛ばすだろう。
その為、タンポポの体には皮で出来たベルトを肩と腰に巻く、外すのは容易でなおかつタンポポを吹っ飛ばさない頑丈な物を。
そのおかげでタンポポはかなりの衝撃を受け体に負担をかける。
正直俺は反対したが“今回だけは”と頑なにタンポポはこの方法以外の入場を認めなかった。
808 名前:三教一致 その後拠点イベント6-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:42:43 ID:Tg0dbotqO
期待している、自分の追っかけ達を決して裏切りたくないとの理由で。
最近のタンポポは武将よりも言うなればアイドルとしての素質と自覚が目覚めつつ有るのかも知れない。
とにかく熱気が最高潮のまま2×2側のステージが始まった。
◇ ◇ ◇
「侮り難いわね!彼女達、仕掛けをもちいた入場演出まで同じとは!」
「?」
意味が判らず首を傾げる一刀。
「判らないの?この細い縄を使った演出よ、もう鈍いわね一刀は」
怒りながらも縄を取り出して説明する地和に。
「……ああ!あれか、だけど縄なんて着けて無いぞ」
「へっ?」
と間抜けな返事をする姉妹上二人。
「だから縄なんか着けずに彼女等の身体能力だけの演出だって」
「「・・・・・・・」」
ようやく喋れた地和が。
「…飛び降りた二人とも?」
「そう」
「……甘寧の謎の瞬間移動も?」
「そう」
「………馬岱の出現も?」
「ああ、それは…」
「それはウチのカラクリやぁ」
現れた真桜にその場の全員が注目する。
「真桜!あなたねぇ敵に手を貸すの!」
突っ掛かる地和に真桜は。
「カラクリの知識に敵も味方も無い!そこに有るのは追求心だけや!」
809 名前:三教一致 その後拠点イベント7-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:48:02 ID:Tg0dbotqO
真桜の力説に思わず地和も怯む。
「なら真桜、私達の飛び降り用の装置、今から私の言う通りに改造しなさい」
「具体的にはどんなん?」
二人が頭をくっ付けて密談に入る。
「…ふんふんふん、それならいけそうや…楽しそうやし。ほんならいっちょ今から改造やってみるかいな」
天和と人和も呼び寄せアイデアを説明する地和。
「え〜そんなの、嫌〜」
「それはちぃ姉さん一人でやってよね、私は嫌よ」
「なんで?なんでよ?」
話の途中で天和と人和が反対の意を表した。
「どうしたの?」
そこまで嫌がる二人も珍しく思わず声をかけた。
「ちぃ姉さんがカラクリを使って空中で歌うって言い出したの」
「おぉ」
思わず日本に居た頃の若手男性アイドル達が使っていた空中舞台などを思い出した。
「いいんじゃない?」
「でしょ、でしょ。せっかくこのちぃが思いついた考えを二人がケチつけるのよ一刀」
「ちぃ姉さんが言っているのをやるのは大道芸人!私達は歌姫、それも最早この大陸では押しも押されぬ大陸屈指の歌姫よ!」
「(へーそんな考えなのか、時代と場所が変われば考え方も変わるか)」
810 名前:三教一致 その後拠点イベント8-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:52:35 ID:Tg0dbotqO
「なら二人は当初の予定通り舞台に降りるだけに使って、地和はどう改造するか分からないけどその空中舞台をリハー…ぶっつけ本番で平気か?」
心配で確認する俺だが。
「心配は無用よ、むしろぶっつけ本番の方が燃えるわ!」
「それなら後は言わない、程々な所で切り上げてちゃんと舞台で歌うように」
ここで向きを天和と人和変えて。
「上手くいったら今後三人同時も考えに入れてみような、ちなみに地和の考えは天の国では実用済だぞ」
一刀の後押しに機嫌が良くなる地和。
「でしょでしょ!やっぱり私は天の国でも通用する歌姫なのね!」
「ちぃ姉さん調子に乗りすぎ、でもまあ天の国でも使われてるなら考慮の余地も有りね」
「空中で舞いながら歌うのも有りかな〜」
既に二人は思考に入っているが。
「まあ上手くいったらだよ」
と、念のために釘を差しておく自分。
そうこうしている内に先手のタンポポ達が後、三・四曲で終わる所まできていた。
「じゃあ姉さん達、後真桜さんも準備はいい?行くわよ」
「こっちは準備出来てるで〜」
「私達も準備いいよ〜」
「じゃあ何時でも出れる様にしといて」
「了解だよ〜、れんほーちゃん」
「了解や〜」
812 名前:三教一致 その後拠点イベント9-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 13:58:09 ID:Tg0dbotqO
舞台に沿った城壁の上でスタンバイに入る三人と最終装備品チェックをする真桜。
「これが天和はんと人和はんの器具や、そこから腕に通してそこの金具をヘソの辺りで止める、そう。で注文の品物がこれや」
すると箱の中から三人分の衣を出てきた、試しに天和と人和が纏うと美しさに暫し呆けた。
「か〜ずと綺麗?」
「一刀さん似合う?」
言葉では返せずただ馬鹿みたいに頷きを繰り返すだけだか、何故その状態なのか理解している二人はご満悦だ。
「で、そこそこの速度で下ろすから羽衣も華麗に舞ってかなり綺麗なはずや」
「うん、さぞかし綺麗だろうな」
思わず言葉が漏れる。
その言葉に反応するかのように。
「でもその一番をいくのは私よ!」
ビシッと人差し指を俺に向けて喋る地和に。
「ハイハイ、わかったから動かんといてな〜」
冷静に作業に没頭する真桜。
「で、三人とも聞いてな。この器具を外す時はヘソのこの金具を押せば外れるから、後は万歳すれば巻き上げられて外れる寸法や」
ジェスチャーを交えて説明する。
「で、地和はんわ、しばらく空中で歌って満足したらこっちの金具を押す、次に着地したらこっちの金具を押す。ええか?」
814 名前:三教一致 その後拠点イベント10-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:03:04 ID:Tg0dbotqO
真剣な顔をして。
「順番間違えんなや、間違えたら真っ逆さまやで」
あまりの真剣さに唾をのむ地和。
「大丈夫よ、この地和様に間違いは無い……はずよ」
最後の方が怪しくなるってるが概ね自信満々だ。
「じゃあ俺は下で舞台脇で見てるよ」
「あ〜ん、本当は正面からちぃの晴れ姿を見て欲しいんだけどなぁ」
「ほら、ちぃ姉さんちゃんとする」
「ほんなら縄の調整入れるで」
皆の微調整の雑談を背に聞きながら城壁下の舞台脇に進んだ。

◇ ◇ ◇

「みんなーありがとうね〜」
城壁下に着いた頃、タンポポの挨拶が聞こえた。
「「「ワアアアァァァァ――――」」」
タンポポの声に声援が返ってくる、更に手を振って応えると声援が拡大した。
俺は舞台裏で四人を出迎える。
「皆、お疲れ様」
冷した水が入ってる竹の水筒を渡す。
受け取ると同時にタンポポが。
「見てくれたご主人様?」
「ああ、見てたよ。色々と仕度が有ったからゆっくりとは見れなかったけど可能な限り色んな方向から見た」
「で、どうだった?」
「正直凄かったよ、戦場とは別の動きに表情。笑顔が輝いてた」
「まあ戦場で笑ってる訳にはいきませんからな」
815 名前:三教一致 その後拠点イベント11-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:08:15 ID:Tg0dbotqO
「いや星は笑ってるぞ、怪しくやや悪い顔しながら」
「失敬な主、戦場では常に真剣ですぞ」
「あれが無意識なら相当な悪人だぞ」
「酷いですな、新しい強敵に当たるかも、と期待に胸が高まってるだけですのに」
「それがやや悪人顔なんだ(笑)」
「ぬぬぬ…主〜、今日の主は意地悪ですぞ」
「いつもやられてるから、こんな時ぐらいは少し返さないと」
星を抜かして一同皆が笑う。
「2×2姉妹S゛の演目が終了しました。続きまして、……
「彼女らも始まりますな」
「うん、だね」
……数え役満☆姉妹…ワアアアァァァァ―――」
大声援に司会の声が遮られる、舞台裏に居て目の前のはずの自分達の会話すら困難になる状況だ。
声援が落ち着きようやく会話ができるようになると。
「俺は彼女らの歌を見てくけど、どうする?」
「相手の実力知っておいて損はあるまい」
珍しく積極的な思春に。
「本業の方の動きを今後の参考に(////)」
「だよね〜メイちゃん」
すっかり歌に嵌まったのか研究熱心、明命と蒲公英。
「・・・」
無言で着いて行く星、そして更にその後を着いて行く俺だった。
816 名前:三教一致 その後拠点イベント12-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:13:23 ID:Tg0dbotqO
◇ ◇ ◇
しばらくして会場が大分落ち着いたと判断した司会が次の仕事に入る。
「2×2姉妹S゛の演目が終了しました。続きまして、数え役満☆姉妹…ワアアアアアァァァァ――――」
歓声で司会の声が途切れた。
しばらく大声援が止まなかったが歓声が止まないと歌が始まらない事に気が付いたファンが急速に静まっていく。
静まったのを確認して司会が再び口を開いた。
「続きまして、数え役満☆姉妹の出演です」
一斉に光が消える、急な暗転に視界が遮られる。
が、何処から現れるか知っている俺は上を見る。
他四人も俺の視線を追って城壁の上を見た。
一般のファンは視界が回復しないのと彼女らが何処にいるのか解らず視線をさ迷わせていた。
そこへ城壁の上が大量の光に照らされた。
光に照らされる張三人姉妹、羽衣も照されきらびやかになる。
先に地和が城壁から飛び下りる……いや違う舞うように見える、また途中から上に上昇するのだ。
天和と人和が少し遅れてこれも舞うように降りて行く、ただ二人は上昇することはなくゆっくりと下降する。
その速度が素晴らしくに絶妙で羽衣が華麗に舞う。
817 名前:三教一致 その後拠点イベント13-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:18:37 ID:Tg0dbotqO
その姿に観客席から。
「天女様だー」
「オオオォォォ――――」
「アアー」
様々な声が聞こえ、拝む者・泣き出す者・奇声をあげる者といろんな反応が見える。
「効果有りすぎたかな、不味いかも?」
以前の知識無からの三姉妹のプロデュースに比べ一旦帰国の際、芸能界のアイドルの売り出し方を軽く勉強。
記憶に残ってた知識を星達に披露したら効果覿面、なら本業の歌姫の張三姉妹に試したらどうなるかと思ったが、今は黄巾の乱が再来するんでわないかと思う程怖い。
着地と同時に無駄のない自然と思わせる動作でヘソの部分の金具のボタンを押す、また自然に手を上げると器具が上がっていった。
すると演奏が入り三人が歌いだす、依然として地和は空中を舞っている。
「ワワワワワワアアアアアアアァァァァァァァア―――――」
目の前のあまりの幻想的な出来事に歓声が凄い事になっている、ちゃんと歌が聞こえるかと疑問も抱いたがどんな歓声にも三姉妹の声は芯が通っているのか不思議と聞こえた。
これを神聖化されるかもと不安感も拭えなかったが三人とファンを信じるしかない。
819 名前:三教一致 その後拠点イベント14-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:24:32 ID:Tg0dbotqO
ボルテージが落ちないままに二曲の歌が終了した後に事が起こった。
「ちぃ姉さん、いつまでも空中じゃ立ち回りの演出にも限りがあるからそろそろ降りて頂戴」
タイミングをみて人和が地和にだけ聞こえるように呟く。
「え〜もう少し楽しみたい」
すっかり気に入った地和がゴネルと。
「姉さん……打ち上げの食事抜くわよ」
「う〜…分かったわよ、人和の意地悪」
真桜に言われた通りに金具じゃない木製のボタンを押すた瞬間。
ガコン!
奇妙な音の後、動きが急速に不規則になる。
「え?え?え?」
不測の事態に呆気にとられる地和、天和と人和も一瞬観客に背を向けた時に心配そうな顔をするのが見えた。
視線を城壁上の真桜に向けると、視線が合った真桜が謝る仕草をする。
粗方、急遽改造したもんだから調子が悪いといった処だろう。
案の定、ジェスチャーで直してみると訴えてからカラクリに向き合いだした。
これでしばらく真桜とは城壁上に昇らないとコンタクトが取れない。
こうしてる間にも三曲目の演奏が入る、仕方なしに地和が文字通り振り回されながら歌に入った。
820 名前:三教一致 その後拠点イベント15-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:29:16 ID:Tg0dbotqO
「なんとかしないよ〜一刀!」
自分が歌わない時に観客には聞こえない様に抗議の声をあげる地和、プロ根性に恐れ入る。
「今、真桜が直してるからしばらく我慢しろ」
「早くしなさい!(怒)………♪〜♪♪〜」
途端に自分の順番が来ると営業スマイルになる、本当プロ根性に恐れ入る。
しかし三曲目終盤、元々気が短い地和に我慢が出来るはずもなく順調?にキレた。
「たかがカラクリの分際で(怒)」
ガシガシ、とデタラメに叩きだす。
カチッ。
ハッキリと何か金具が外れる音が聞こえた。
上昇中に外れた器具は地和を放り出す形で何の支えも無い空中に解放した。
「へ?」
その後は自由落下が始まる、さすがに天和も人和もステージを忘れて固まる。
「くそ!ここか?」
ステージから見えないギリギリのラインで落ちて来る地和を待ち構えていると。
「主、そこでは有りませんぞ。後三歩は前に出ませぬと」
ドンッと背中を押されヨロヨロと前に出る。
「なっ…」
何か喋ろうとした瞬間。
「「気張らぬか!北郷!」」
激しい叱咤に全身気合いが入る。
更に次の瞬間、ズボッ!と降って来た地和を見事キャッチしていた。
822 名前:三教一致 その後拠点イベント16-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:37:56 ID:Tg0dbotqO
真ん中の姉妹の無事を確認した上と下の姉妹が再び歌いだす、幸いサビの部分が大半で支障は無かった。
観客のざわつきも大した事は無い、精々デモンストレーションの一環だと……ざわ……ざわざわ…ざわ…あれ?
大した事有る?
「ちーほうちゃんを抱き抱えているのは誰だ!」
その言葉に我に返る、地和と視線が合うとお互い顔が真っ赤になり慌てて腕から降ろす。
…ざわ…ざわ……ざわ…
ファンのざわつきが止まない。
「ちーほうちゃんが」
視線に殺気が混じりだしたころ、素っ気ない蜀側の役満ファンの一言で片付いた。
「ああ、あれが御遣い様だ」
「「「・・・・・・」」」
「ああ、あれが御遣い様か。初めて見た、じゃあしょうがないか」
あれ?じゃあしょうがない?何やら酷い誤解を受けてないか俺?
まあ俺が蔑まされるだけで大事に至らないなら我慢しなきゃ、しなきゃ………。
「姉さん」
「ぁ!♪〜♪〜♪♪〜」
人和の呼び掛けにアイドルの顔に戻り歌いだす地和、無事だと判断し舞台裏に戻る俺。
「しかし、なんで俺なら仕方ないんだ?」
その疑問に答えてくれたのは同じ舞台裏に居た各国の裏方の方々だった。
823 名前:三教一致 その後拠点イベント17-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:43:22 ID:Tg0dbotqO
「いくら歌姫と言っても魏の国民的人気の歌姫、更に蜀呉の有名武将と歌合戦が出来る時点で既に一般市民には雲の上の存在」
「それが同じ雲の上の存在の御遣い様となら、立場が違い過ぎて腹も立ちませんよ」
「まあ、身をわきまえてるって処ですか(笑)」
なんでだろう?理解出来ても納得いかないな〜。
「それに御遣い様の噂は魏でも有名ですし、大方三人も既に…」
「何?」
「御遣い様に愛されるんでしょう?」
「ブッ!」
思わず吹く!だがそんなことはおかまいなしに続けるおやじさん。
「時代を作りあげてくことが出来る方、またはその方を傍で補佐等が出来る方は御遣い様に愛され添い遂げる、と」
「待ってよ、俺はそんなに凄くないし地上の人間だよ」
「それを決めるのは本人ではなく今の時代に生きてる市民だと思いますが、現に国を問わず御遣い様との噂の有る方は各国の重要人物ばかり、
 あの三人も御遣い様に愛されてるなら何かしら天から与えられた重要な役目が有ると思うのが自然じゃあないですか?」
「それにあの三人だって元は…」
含んだ物言いに咄嗟に心を身構える。
826 名前:三教一致 その後拠点イベント18-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:50:21 ID:Tg0dbotqO
「何?」
「知らないと思いますか?皆までは言いませんし、どうこうしようとも思いません。ですが初期からの熱烈な追っかけは少数ながら今だに存在しますよ」
照れながら喋るおやじさんは少し不気味だが悪意は感じない。
「彼女等三人の注目を集める力は並大抵じゃない、そう言う意味じゃ三人は天命を与えられた存在でしょう。なら御遣い様と何か有っても不思議でもなんでもない」
「むしろ追っかけとしては天命を与えられてると、喜ぶべきだよな」
「それなら皆だって、今共にこうして…」
「いやいや御遣い様、重要度の差ですよ、うちらは替えが効きますがあの三人や各武将は替えが効きません。解りやすく言えば俺らわ歩兵なら勤まりますが将軍や軍師は無理でしょう」
「そりゃそうだ、お前が軍師じゃ軍も全滅だ(笑)」
「「「わははははは」」」
明るい雑談にあえて真剣な口調で割って入った。
「でも、皆の家族にとって皆は替えの効かない存在だってことは知っていてほしい」
「ええ、それは分かってますよ」
「ならば良し、何か有っても無茶はしないで」
「了解ですよ、御遣い様」
827 名前:三教一致 その後拠点イベント19-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 14:54:47 ID:Tg0dbotqO
さて三人の歌も終盤だ、後で怒られない為にも可能な限り見ないといけない、裏方の人に残りを頼むと快く了承してくれた。
◇ ◇ ◇
役満☆姉妹の演目も終了し舞台脇で差し入れを持って出迎える。
「一刀?どうだった?」
上目遣いで尋ねる天和。
「凄く良かったよ」
冷えた水を差し出しながら答える、今の三人を前とは違い初めから良い点・悪い点が判っているから変な癖が着かずに良い修正を可能とした。
「一刀さんの指摘が的確だったから、おそらく今までで最高の演出だったと思う」
人和には珍しくやや興奮気味に語る。
「・・・」
「どうした地和?」
「・・・失敗しちゃった。二人共上手くやったのに、私一人勝手に動いて普通にやっていれば最高の演出になってたのに……グスッ」
後半は少し涙声に。
「何言ってるんだよ地和。地和らしさが出た最高の演出だろ?明らかな失敗なんかなかった、強いて言えば俺が舞台に出ちゃった事ぐらいか?いやそれは明らかな失敗だな」
「違う!あれはちぃが悪いの、第一に受け止めてくれてなかったら今頃は……」
それは考えると正直背筋が寒くなった、他二人も同じ思いらしく顔色がやや優れない。
829 名前:三教一致 その後拠点イベント20-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:07:25 ID:Tg0dbotqO
「なんとなく結果オーライだと思うし」
「結果往来?」
「違う、天の言葉で結果オーライ、最終的に結果が良かったって事、色んな意味で迫真だったからな。第一に畏まってる地和なんか地和らしくないしぞ」
暗い雰囲気を払拭する為に明るく話す、改めて地和をお姫様抱っこをした事を思いだすと肌の温もりも思いだし赤くなる俺。
それを見た地和もお姫様抱っこをされた事を思いだし真っ赤になる。
「ぶ〜、な〜にこの雰囲気。れんほー、次は二人で一刀に受け止めてもらおうね、モチロン空中から飛び降りてお姫様抱っこで」
眼鏡を掛け直すながら。
「それはいい考えね、天和姉さん」
「ちょっと待ってくれ、地和一人で全身ガクガクなのに二人同時は死んじゃうから」
「ちぃ姉さんと雰囲気が良くなった罰です、覚悟してください一刀さん」
無理だから、と抗議をする俺を笑って誤魔化す二人。
「なにやら、楽しげですな主」
咄嗟の声に思わず身構える役満姉妹。
「星、…皆も気配を消しながら近づくのはあまり感心しないな」
「それは悪かった、なんせ殆んど無意識なのだからな、許せ」
「結して良い雰囲気だから驚かせようなんて思ってなかったから」
831 名前:三教一致 その後拠点イベント21-21[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:13:05 ID:Tg0dbotqO
…………タンポポ。
わざとだろうな、天下の名武将が揃って大人げ無いなあ、もう。
かろうじて明命が申し訳なさそう顔をしているが同時に複雑な表情もしていた。
「そろそろ投票の段階に移ると思うのだが」
「そんなのちぃ達が断トツのぶっちぎりに決まってるでしょう」
早くも復活した地和が啖呵を切った。
うん、地和はこれでこそ地和だと思う。
すると司会の声が聞こえてくる。
「お待たせしました、今から約一時間!投票を受付ます!先に10票到達した方の勝ち!届かない場合は投票数の多いの勝ち!同じIDの連続投票は一票目以降は無効、○○側に一票と示してください。
 集計は漢王朝野鳥の会・白帝城支部の皆さんが行ってくれます、ご協力ありがとうございます。では投票開始です!」
手に汗握る、闘いが今始まった?
832 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:19:32 ID:GT37ik520
これは俺らの投票で決まるって事かい?

もしそうだとしたら「数え役満☆姉妹」側に一票だ
833 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:23:44 ID:Mz34Jzdf0
ああ、そういうことか。なら
2×2姉妹S゛に一票
834 名前:漢王朝野鳥の会・白帝城支部[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:23:52 ID:Tg0dbotqO
数え役満☆姉妹
一票
VS
2×2姉妹S゛
835 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:28:52 ID:VRhvun6I0
数え役満☆姉妹
836 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:32:44 ID:R4+1BBUf0
地和がんばったと思うし、地和好きなんだけど、今回は思春がんばったので、
2×2姉妹S゛
837 名前:名無しさん@初回限定[] 投稿日:2009/09/06(日) 15:33:58 ID:tVhGDlvT0
2×2姉妹S゛に一票
838 名前:漢王朝野鳥の会・白帝城支部[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:36:09 ID:Tg0dbotqO
数え役満☆姉妹
二票
VS
2×2姉妹S゛
三票
840 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 15:48:35 ID:3L4kSvv70
2×2姉妹S゛に一票 です。

841 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 16:14:57 ID:exy3IIGi0
思春・明命ファンなので2×2姉妹S゛に一票
842 名前:三教一致 その後拠点イベント結果1[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 16:16:27 ID:Tg0dbotqO
「勝者!2×2姉妹S゛!」
高々と勝者の宣言が伝えられた。
「やったね!」
「皆さん、おめでとうございます」
「いやいや、メイ殿もだ」
「・・・」
それぞれが喜びをあらわにする。
心境が複雑なのか表情が読み難い方が若干一名。
「うそ…」
「嘘よ、ちぃ達が負けるなんてなにかの間違いよ!」
「ふう、大陸は広いわね、天の才には敵わないってとこかしら。姉さん達負けは負けよ」
そんなことを呟きながら下を向く人和、次の喋ったセリフが勝者達の何かに火を付けた。
「せっかく一刀さんが、天の知識を授けてくれたのに……ううん、それだけじゃない私達を興味本位とか歌姫だからとかじゃなく一人の女性と見てくれて、そして接してくれた」
この発言に勝者側四人周辺の気温が下がる。
が、人和の話は終らない。
「そんな風に接してくれた人は一刀さんが初めてで私達を心身共に大人にしてくれた成長させてくれた…その感謝の気持ちも込めて今日の舞台に立った。だから負けないと思ったのに…」
「途中から呼び方が真名に変わったのはそういうことなのですな」
「どうせ、そんなことだろうと思ってはいたが…この種馬が」
844 名前:三教一致 その後拠点イベント結果2[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 16:20:29 ID:Tg0dbotqO
「いや苦労して伸び悩んでるみたいだから、アド…指導を少々」
「で、深い仲になったと…こやつは蓮華様や雪蓮様が居るとゆうのに…」
チャキ!
理解不能な感情が支配し得物を構える、それが嫉妬とはまだ気が付かない思春だった。
「とにかく今晩の祝賀会では根掘り葉掘り聞きますぞ主」
「祝賀会?本当に祝賀会?」
混乱している頭に一筋の活路を見い出した。
「星!星は以前一人の女性しか愛せない様では困ると言っていたよな?」
「確かにそう言いました、別に私は彼女等に手を出した事等を問うておりませぬ、他の者は知りませぬが」
「なら?」
一刀の言葉を遮り。
「しかしこうも言いましたな、“等しく皆に愛を注ぎ込みなされ”と。少なくともこの五日間、我等の相手はしておりませんな?」
「…えっと、…ほら。昼間仕事で忙しい上に夕方から夜は歌の練習、そんで夜中まで押し掛けちゃいけないじゃん」
「私は一向に構いませぬが?」
後ろで、タンポポも〜と声が聞こえるがとりあえず無視。
「それに、彼女等も内容が違うだけで時間的には同じ、むしろずっと歌って踊る練習なのですから、どう考えてもあっちの方が運動量は多いのですが?」
845 名前:三教一致 その後拠点イベント結果3[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 16:25:13 ID:Tg0dbotqO
「うっ言い返せない!」
同じ事をしている彼女等に想像して憶測するなという方が無理であるのだか、今の一刀にそんな心の余裕が無く更にドツボに嵌まる。
「で、どの様な言い訳を?」
「分かった!言い訳なんかしない、自分が不甲斐ないばかりに皆を寂しい思いをさせた事を謝る」
「さすが主、成長致しましたな」
「この後の祝賀会で何でも言う事を聞こう、ただし出来る範囲でだよ」
その言葉を聞いた瞬間四人の目が光る。
「それは重畳」
「あれ?なにその妖しい目は?言ったよね出来る範囲だって」
「ええ、寝ているだけでよろしいですから可能でしょうぞ」
「良い機会だ、蓮華様の好みを身体に刻み込んでおこうか!」
「待て、星と思春の会話噛み合ってないよ!」
「安心しろ、北郷一刀。噛み合わせてみせる!」
「安心出来るかぁ〜」
「あの〜私達、明後日から巡業に出ちゃうの」
場の空気を読まずに天和が発言する。
「それで」
「出発前にもう一度一刀さんと…」
「負けたちぃ達が言える立場ではないのは分かっている、でも…」
「一度は女性に目覚めさせられて、このままじゃ出発出来ないの……」
846 名前:三教一致 その後拠点イベント結果4[sage] 投稿日:2009/09/06(日) 16:29:25 ID:Tg0dbotqO
「なら、一晩待たれい。ならば明日一日を貸し出そう、そして明後日返してくれればそれで良い」
「負けた私達にそれ以上の好条件はないわ、呑みましょう」
「なら明日は明後日の準備だな」
「うぬ」
「後…副業とはいえ同じ歌姫なのと、感謝の意味も兼ねて真名を授けたいんですが?」
「ならば真名を交換しようではないか役満姉妹よ」
「姉さんもそれが良いと思うよ〜」
すっかり俺を話題に和気藹々の七人、自分が原因で七人の結束が強くなるのならば嬉しい限りだ……この状況でなきゃ。
こっそり抜けようとすれば星と思春の殺気に腰が抜けてしまい動けないでいる。
今晩四人を相手した後、女性に目覚めた三人を相手し、更に準備万端な四人を相手………
生きていられるか?
……無理だな、さようなら俺の人生!悔いは多分無い?いや有る誰か助けてー!
そしてまずは四人の言う祝賀会に連れられる一刀だった。
847 名前:一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 [sage] 投稿日:2009/09/06(日) 16:39:31 ID:Tg0dbotqO
ぐったり…
「大丈夫ですか?お猫さま?」
「にゃー(お嬢ちゃん、とりあえず勝利おめでとう)」
「あ、ありがとうございますお猫さま」
「にゃー(しかし、ネタは出てきたんだが時間?叩く気が足りないのよね)」
「はあ?」
「にゃー(とりあえず三本?ぐらいストックらしいのは出来たんだが)」
「お猫さまなら可能です、頑張ってください」
「にゃー(嬢ちゃんそれは買い被りすぎだよ。後、応援&支援&投票ありがとうございました)」
m(_ _)m
「にゃー(もう少し頑張ってみる。後、個人的に外史喰らい待ってます)」

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