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291 名前:馬ニラ[sage] 投稿日:2009/08/16(日) 00:25:29 ID:cjiXdiZC0
今きづいたら、北郷帝の方と同時期にうp・・・(大変しました><
こほん・・。
はじめまして。馬ニラ(ばにら)と申します。
こういうSSを書くのは、久々のことであり
達筆とは程遠いかもしれませんが、お暇な時間に読んでくだされば幸いです。
以下、現状等です。(今後、現状等は付随していきます)

・蜀ルートEND後より一年後の話です。
・キャラセリフ増大阻止のため、忙しいことを理由に純粋な蜀軍以外はお休みです。
・エロは一切なしのプラトニック仕様。

結構、長くなると思いますのでスレではなく、こちらのほうにあげて行きます。
あげましたら、そのつどスレのほうにご報告いたしますので
よければごらんくださいませませ。
うp頻度は、一週間を予定しております。
それでは、また!

URL:http://koihime.x0.com/bbs/ecobbs.cgi?dl=0380



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一刀の校長物語

第一話「一刀、提案するのこと」

「・・・以上が、五胡についての報告だ。」
星はそう締めくくると、静かに席に着いた。
「ご苦労様です。五胡の動きは今後も魏と呉とで連携を取って監視するということで。」
我らが、筆頭軍師・諸葛孔明こと朱里が付け加えるように、桃香に報告をする。
「うん、お願い。それじゃ今回はこの辺で会議は終了・・・かな?」
一通りの報告や議題についての話し合いが終わり、桃香は会議出席者たちを見渡す。
と、そうだ。
「桃香、ちょっといいか?」
「・・・ご主人様?」
俺が手を上げて発言するとは思わなかったのだろう、少しキョトンとした格好でこちらを見た。
「まえにさ、みんなで食事をしたときのこと覚えてるか?」
そう、その話しは一月前までさかのぼる。


―一ヶ月前 城内・中庭

全国が3分割され、それぞれ蜀・魏・呉という3つの国による統治が始まって1年が経っていた。
おのおの、まだしこりのあることや共通の敵である五胡の存在など問題は山積みで
また三国のバランスを維持させるために、他の肥沃な土地に比べ、蜀という国の土地自体が
農作などにあまり向かない土地ということで、
主要な取引品は塩・鉄鉱という我らが蜀はその生産・発掘作業による監督などで忙しさを極めていた。
そんな中、偶然にもこの日だけみんなが勢ぞろいする会議の日があった。
といっても、これから仕事のあるものたち・・・。
翠、蒲公英、桔梗、焔耶、鈴々、雛里などはもう出立しておりここにはいない。
ちなみに、白蓮、麗羽、恋といったものたちは今、それぞれ魏や呉にいる。
文化交流的な意味合いも兼ねて、それぞれの土地でその生活ぶりというものを経験するという一種の
ホームステイのような感じで、月と詠は恋の供として恋についていってるはずだ。
そんな感じで、忙しさのために人が集まらない昨今だが、
それでもこれだけ集まることは最近なかったため、
桃香の提案で中庭に集合して食事をしようという話になった。

「しかし、みんな大変そうだな。この中で最近まともに話したのって桃香、愛紗くらいだぞ?」
俺は、ホイコーローをもぐもぐしながらそう言った。
「まぁ、それも仕方なかろう。私もここ最近は五胡の牽制目的で建てた砦にいることのほうが多い。
主のように、のほほーんとする暇がありませぬからな。」
そういうと星は意地悪そうな顔でメンマに箸を伸ばしてつまんでいた。
「星ちゃんたら〜。・・・私も、塩生産の監督官ということもあってあまり、
お城に帰ってくる暇もなく・・・璃々にも寂しい思いをさせてますね。」
「大丈夫だよ、お母さん!璃々は寂しくないよ!だって、
ご主人様が遊んでくれるし、鈴々ちゃんもたまに遊びにきてくれるし!」
璃々ちゃんはそういうと、紫苑のほうを見ながらえへへと笑いかける。
紫苑のほうも、そんな璃々に母親らしい優しげなまなざしを送っていた。
「私のほうでも、なんとか3日に1度はお城に帰ってこれるようにとは考えてるんですけど・・・なかなか。」
申し訳なさそうに、朱里はお茶に口をつけていた。
「朱里。それは仕方がない。我等は我等の人数でできうること、できないことがあるのだ。
いまだ、盗賊団と呼ばれるものも跋扈して鈴々のように帰ってきても、すぐに出撃ということもあるくらいだからな。」
愛紗は、朱里をかばうように厳しくも優しい言葉で慰めた。
「ね、こういう愚痴っぽいのやめよう?せっかく、みんなでこうやって食事ができるんだから。
楽しく食事しようよ。仕事は仕事!食事は食事ってね!」
桃香はそういうと、豚まんをおいしそうにほおばった。
「そうですな。桃香様ののほほーんとした顔を肴に食事も風情がありましょう。」
「むー。星ちゃんひどーい。」
とたんに、みんなからの笑い声が聞こえてくる。
さっきまでの微妙な空気がいっぺんに桃香のフォローで変わるから
この徳高い王様はすごいよ。
てか、そんな空気にした俺、反省。

「ねぇねぇ、そういえばご主人様の天の国でもこういう風にみんなで食事するって風習あったの?」
風習か。風習とは微妙に違うんだがまぁあったといえばあったような・・・。
「んー。まぁ、ちょっと違うけど、学校上がりで友達と遊びにいったりとかはしたかな?
部活あってそれも中々難しかったけどね。」
「学校?部活?」
あーそういえば、今の時代そういうのってないよな。
「学校っていうのは、みんなで学問を学ぶところなんだよ。で、部活っていうのは
その学ぶところで専門的に活動するところ・・・っていえばいいのかな?そんな感じだよ。」
んー、ちょっと説明しにくいなー。
「学問を学ぶところが学校、その学校の中で専門的に活動するところが部活というのですか?」
朱里は興味深そうにそう尋ねてきた。
お、朱里には伝わったか。さすがは、諸葛亮だな。
「まぁ、部活っていうのも部活動っていう部という組織の中で活動するからそう呼ぶんだけどね。
俺が所属していたのは、剣道部なんだけどそこは主に竹刀と呼ばれるもので・・・。」
俺は、その後自分の所属していた部に置き換えてみんなに説明をした。
「ほう、精神鍛錬の一環とな?われわれにとって見れば、ただ敵を倒すそれが精神修養とはいやはや・・・。」
星は関心したように、そうつぶやいた。
「まぁ、俺がいたところはこっちのような争いはなかったからね。あと、部活は
他にも運動を専門としたところ、文化を学ぶってかんじのところとかいろいろ部はあるんだよ。」
その全てを語れといわれても困るけど。
俺は苦笑いを浮かべながら、お茶を飲んだ。
「私が通ってた私塾には、そういうのがなかったなー。それに私勉強も苦手だったし・・・。」
てへへと桃香は苦笑いを浮かべていた。
そっか、私塾ってのがあったっけ。
「私塾ってさ、個人が経営してるんだろ?俺が通ってた学校っていうのは、国が運営してたりして
ある一定の学問を修めるまでっていう基準もあったんだ。義務教育っていうんだけど、そこからは
働きにでたり、そのまま進学ってことでもう一つ上の学校に通うんだよ。それこそ、そういう風習があるっていうか。」
「国が経営ということは、結構大規模ということかしら?」
紫苑は不思議そうにたずねてくる。
「うん。500〜700人くらいの規模かな?1クラ・・・1組40人として、それが5組あると200人で
学年が1年、2年、3年ってあって600人って感じかな?まぁ、1組にどれくらいの数かとか
その組がどれだけあるかによって規模も変わってくるんだけどね。」
俺は、必死に思い出しながらそう説明した。
「国が運営するということは、それほどの規模にもなるんですね。」
愛紗も俺の話にふむふむと関心しながら聞いていた。
「まぁ、個人経営ってところもあるけどね。私立っていうんだけど
そこもだいたい似たような規模だけど、国から補助金とかも出てるし完全な
個人経営の私塾とはまた全然違うんだけど。」
塾という言葉自体、もうすでに学校とは領分が違うと思うし。
そんなこんなで、学校についてこの日の食事会は幕を閉じたわけだが、
この学校制度について、この後実は、俺の中でふつふつと考えが練られていた。
そして。一ヵ月後のこの会議の場でそれについての提案を考えていたわけだが・・・。

「鈴々、その時にはいなかったからわからないのだ。」
その時の食事会に出席できなかったのを思い出したのか、鈴々はむーっとふくれていた。
「学校のこと?たしか、ご主人様が天の世界にいたときに通ってたっていう・・・。」
桃香は鈴々をなだめながら、そう聞いてきた。
「そうそう。あの時から実は考えていたんだけどさ、蜀にも学校って作れないかなって。」
俺はあのときにいなかった人たちのために、その時のことも説明した。
すると、朱里が言いづらそうにこう言ってくる。
「ご主人様、たしかにあの時は私も学校建設について一考しました。ですが、現在の蜀の実情では
それも難しいと思います。」
人員不足、先生への給金、など朱里は色々と問題点を挙げる。
「もし仮に建設できたとして、先生への給金のメドが立ったとして、人員不足が解消されたとしても
蜀に学校を作れば、三国の均衡は崩れることになります。そういった概念を蜀のみが実行するというのは
他の二国にとって脅威に感じることが一点。もう一点は、蜀の内部においても、そういった知恵者が後々、蜀に仇なすことを
起こさないとも限りません。」
朱里は俺にわかりやすく、問題点からそこにいたる自分の考えを述べてくれた。
んー。三国の均衡が崩れるのは考えてたけど、さすがに自国から悪巧みするとかは考えてなかったな。
「は、はわわ〜。申し訳ありません、ご主人様。でも・・・でも・・・。」
ずばりと言いすぎたと思ったのか、朱里はあわてたようにぺこぺこと頭を下げた。
「いや、そんなに謝らなくていいよ。うん、じゃあその問題点頑張って克服するように考えるよ。」
「え・・?」
俺の前向きな意見を意外に感じたのか、朱里はぽかーんとした顔で見ていた。
「朱里のいいたいことや、問題点とするところも理解できるんだけどさ。なんていうか、
学校ってところはいいところなんだよ。同年代のヤツと一緒に勉強したり、運動もしたり、帰りには友達と寄り道したり
友達を作りやすいっていうのもあるからな。」
俺は言葉にしない言葉を胸の中につぶやく。
それに俺は、きっと帰れないと思うから・・・せめて、あっちにいたときのような雰囲気っての感じたかった。
これは俺のわがままでもあった。でも・・・。
「頑張るよ。朱里に有無を言わせない問題点ってやつの解決とかそういうのさ。うん!」
俺は自分に勢いをつけると、
「愛紗!俺の仕事って今日はもうなかったよな?」
俺は、席を立ちながら愛紗にたずねた。
「は、はい。明日の視察までは・・・」
突然の質問に愛紗はあわてながらも、そう答えてくれた。
「よし、じゃあ悪いけど、俺、自分の部屋で色々考えることがあるからこれで失礼するな!」
そういいながら、俺はかけ出して自分の部屋へ向かっていった。
・・・。

「ご、ご主人様、いっちゃった。」
その場には、北郷の急な行動についていけない武将の面々のぽかーんとした顔があった。
「・・・はは、なにやらわからぬが、楽しそうでしたな。主殿は。」
星は、自分の主がああも楽しそうにしてるのが滑稽だったのか、くっくっとノドで笑っていた。
「ふふ。あんなに生き生きしてるご主人様、私初めてみましたわ。」
紫苑も星につられたのか、愛しいものを見るように優しい笑顔で主人の去ったほうを見つめていた。
「はぁ〜。ついていけてねぇのあたしらだけだな、蒲公英。」
「だねぇ〜。」
「き、桔梗様〜。桃香様が私を見てくれません・・・。」
「おぬしは、やっと喋ったと思ったらそれだけか!」
翠、蒲公英は全くついていけてない今の状況にため息を、
焔耶と桔梗は漫才をしながらそれぞれ、主の去ったほうを見ていた。
「ま、なんにしても、あんなに楽しそうなご主人様だもん。きっとなんとかするよ!」
そして、蜀の王はそんな主の楽しそうな笑顔とともに、がんばってご主人様!と心の中で応援するのであった。

                             〜つづく〜

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