流れぶったぎって小ネタを投下しよう。
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三顧の礼
※三国志演義において、劉備が無名の孔明の草庵を三度訪れて軍師にしたという故事
ある日、鈴々にせがまれた一刀は、つい政務をサボって街へ遊びに出かけてしまった。
散々遊び倒して戻ったのだが、そのようなことをすれば、愛紗の逆鱗に触れるのは言うまでもないだろう。
その日も戻った所で愛紗と鉢合わせしてしまい、雷が落ちるのを覚悟した一刀であったが、
戦々恐々としながら構えていても、一向に怒鳴られる気配がない。
恐る恐る伏せていた目を上げると──
「…………………」
物凄く冷めた目で一刀を見据える愛紗が居た。怒鳴られるより余程怖い。
そして愛紗は、そのまま踵を返すと、さっさと部屋に帰ってしまった。
北郷一刀、これには焦る。
その日から、一刀の苦難の日々が始まった。
翌日もその翌日も──
廊下ですれ違った愛紗に声をかけるも、最低限の礼をされただけで通り過ぎられ、
愛紗の意見が必要な政務の間も、最低限の会話のみで眼も合わせてくれず、
食事に誘うも「結構です」の一言で片付けられ、
夜部屋を訪ねるも、出てきてくれる事は無く──