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666 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 18:51:08 ID:QOAOfatv0
雑談と言ってもネタ投下とか、感想なんかは良いだろ
こんなのが見たいとか要望も、SS書くのには良い刺激だと思うし…

というわけで誰か海水浴ネタ書かない?
「夏だ!海だ!スイカ割りだ!」とかいう感じで
何故か落とし穴に落とされてスイカ役として浜辺に首だけ出して埋められる一刀
その一刀に目隠しをし、「死ねぇぇぇ!」と叫びながら自慢の大剣を振り下ろす春蘭
剣が外れたのを見て「チッ、死ねばよかったのに。」と呟く埋めた張本人の桂花
助け出そうとして頭を掴んで引っ張るが危うく首をもぎ取りそうになる季衣
みたいなのをお願いします
669 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 19:42:10 ID:BJvz7Ur80
>>666
で、桂花がニヤニヤ見てる前で一刀がひっこ抜けるけど、
海パンは埋まったままで、桂花の前でモロだし、と
670 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 19:52:53 ID:keRuHKQo0
華琳様が砂に覆われて寝てる間に「とある部分」に砂が盛られてて、起きた華琳様激怒とか。
671 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 20:15:38 ID:2SGCCZsT0
昼は海水浴
夜は肝試し
672 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 21:10:30 ID:pCtBDSks0
>>670
誰がそんな恐ろしい事をw
673 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 21:29:43 ID:vUyDdBUDO
スイカの代わりに一刀が埋められてたら、
大半の人間は気配でわかるんじゃないかな。特に呉は全員が。

わかってる上でどうするかは別として。
674 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/06/23(火) 22:15:58 ID:aouRzqMq0
>>672
魏陣営内部の犯行なら俺的には天和が最有力容疑者、動機はなんとなくw
次点で風、動機はその後の混乱(主に一刀の受難)を楽しむ為に。
三国全員だったら候補は数倍に跳ね上がるなあw
532 名前:清涼剤[sage] 投稿日:2009/07/24(金) 01:27:04 ID:s/MJR7yr0
風鈴氏乙です。
オリジナルの勢力なので表というのはありがたいものですね。



ちょっとした報告を。専用板に一本短編UPしました。
前スレの670及び、前後を見て思いついて書きました。
URL:http://koihime.x0.com/bbs/ecobbs.cgi?dl=0354

魏√のifの設定なので、出てこないはずの人たちが出てます。

話題が出てから一ヶ月……orz
もしよろしければ、どうぞ。



とある夏の一幕  前編




 とある夏の日、私たちは海に来ていた。
「しかし、日差しが強いわね」
 先日の三国会議の後、雪蓮が出した提案によってここに来たことを思い出しながら、私
は声を上げた。
「そうだな、すっかり夏って感じだな」
 日差しを手で遮りながら太陽をにらみつける私の横で陽気な表情を浮かべる男――天の
御使いこと北郷一刀が同じように手で日差しを遮りながら太陽……ではなく、青く澄み渡
った空を見上げている。
「かーずとっ!」
 そんな彼の背中に小さいお子様が抱きつく。
 孫呉の末女、孫尚香。
 三国会議に出席した一刀と出会った際、一目で気に入ったのだそうだ。
「おっとと……びっくりするからいきなり抱きつくのはやめてくれないか」
「にゅふふ、ごめんねぇ。そ、れ、じゃ、あ〜お詫びにイイことしてあげるぅ」
 猫なで声でそういうと、彼女はさらに体を密着させ体を上下に動かし始める。
「…………小蓮、何してるんだ?」
「わかってるくせに〜」
「あ、あのなぁ……」
「ふん〜ふふん」
 一刀の抗議を気にもとめず尚香は、胸をこすり続ける。
 正直言って……おもしろくない。
「はぁ、一刀わかってる? あなたの顔……緩んでるわよ」
「えっ!? そ、そんなことはない……と思う……ぞ」
「やっぱり〜! 一刀ったら、ホントは嬉しいんでしょ〜」
「い、いや、そんなことはないぞ」
 顔を高揚させた尚香に尋ねられて一刀がまるで何も感じていない風を装っている。
 でもね、一刀。あなたの声、裏返っているわよ。
「も、もう止めろって」
「え〜!? やだぁ」
「…………」
「ちょ、華琳! どこに…………うぉ、蓮華! か、顔! 怖い! げっ! し、しゅ…
…ぎゃああああ!」
 鼻の下を伸ばしている一刀に呆れた私はその場を後にする。一刀が何か言っているよう
だけれど聞く気にはなれない。
(何よ! あれくらいなら私だって…………はぁ)
 一刀たちの姿がだいぶ小さくなったところで砂浜に腰掛ける。
「あれ? どうしたんですか?」
「……別にどうもしないわ」
 気がつくと、すぐ横に桃香がいた。
「横、いいですか?」
「かまわないわ」
 特に視線も向けず返答をすると、失礼しますと返事をして桃香が腰掛ける。
「それで……何かありました?」
「別に何も無いわ」
 的確に突っ込んでくる彼女の方を向きたくなくて、海ではしゃぐ季衣たちの方へと視線
を向ける。流琉や、馬岱と水のかけあいをしている。
 三人ともまぶしいほどの笑顔を浮かべている。
「もぅ、いつもそうやって一人で悶々としてますよね」
「…………そうかしら?」
 桃香の言葉に思わず彼女の方を向きそうになるが、それも癪なのでなんとか抑える。
 代わりに、視線を春蘭の方へ向ける。
 なにやら岸辺で城のようなものを砂を使って作っている。どうやら、一緒にいる孔明と
鳳統に的確な助言を貰っているようだ。
「そうですよ。あ、でも打ち明ける相手って言ったら一刀さんだけですよね」
「…………そうかしら?」
 桃香が何かを言っているようだが、私は瞳をらんらんと輝かせている春蘭から目が離せ
ず適当に答える。
 どうやら砂の城が完成したらしく、春蘭の元へと歩み寄った秋蘭が何かを言っている。
 それを聞いた春蘭が満面の笑みを浮かべて自信満々に胸を張っている。
 春蘭を見つめる秋蘭の顔が緩んでいる……あの娘は本当に春蘭が好きね、と思うのと同
時に私の口角が上がる。
 そして、そんな二人を見る孔明と鳳統もなんだか和んでいるように見える、意外と言い
組み合わせなのだろうか?
 私が、そんなことを考えている間も桃香は、話を続けているらしく言葉を連ねる。
「てことは、一刀さんのことで何かあったんですね」
「…………そうかしら?」
 向こうの様子が気になり桃香に対しておざなりに返答をする。
 春蘭が立ち上がりこちらへ手を振る。どうやら私に見せたいようだ。こちらへ歩み始め
る。その瞬間、目の前を犬が……それに驚いた春蘭が後ろへ転ぶ。そして、そのまま砂の
城を崩壊させる。
「…………聞いてます?」
「…………そうかしら?」
「……………………」
 尻餅をついた衝撃でつむっていた目を開いた春蘭がおそるおそる座り込んだ位置を見や
る。そして、砂の城の惨状に気づいた瞬間、うなだれる。両手を目元へ添えているのを見
る限り泣いているのだろう。
(ふふ……やっぱり、春蘭はかわいいわね)
 どうやら、秋蘭も同じことを思ったのか、緩んでいた顔を一層緩ませる。その上、春蘭
の頭を撫でている。よく見れば、孔明と鳳統も肩に手を添えて励ましているようだ。それ
ぞれの外見を考えるとすこし面白い光景だ。
「もう! 聞いてるんですか?」
「……え? あら、ちゃんと聞いてたわよ」
「……そのわりには、返答が変でしたよ」
 やかに低い声に驚き彼女の方を向く。
 そこには頬をふくらませこちらを睨み付ける桃香の顔があった。

 結局、私は機嫌を悪くした彼女から逃げるように一人、浜辺へと向かうのだった。
 とはいえ、することもなかった私は横になった。
 軽く横になって休んだら、すぐにみんなの顔でも見に行こうと思っていたのだが、徐々
に瞼が落ち、気がつけば私の世界は暗闇に覆われていた――。



 どれくらいの時間が経ったのだろうか、身体に違和感を感じ、意識が覚醒する。
 そして、閉じていた瞼を開き、周囲を見渡す。
 太陽は先程と比べ、大いに移動していた。どうやら、長時間寝てしまったようだ。
 そんなことを思いつつ上体を起こそうとするが、何故か上がらない。
 不思議に思いつつ、自分の身体を見る。
「あら? いつの間にこんな」
 気がつけば、体を覆うように砂が盛られていた。それもどうやら人の体に似せて形作ら
れているみたい。なかなか質の高い出来で思わず感心するように見渡す。
「へぇ、誰が作ったのかしら…………!!」
 とある一点だけ異様に砂が盛られている。まるで、足りない分を補うように…………。
「おっ、華琳起きたのか?」
 異常な程に砂の盛られた部分を睨み付けていると一刀が声を掛けてきた。
 どうやら、ずっと私の側にいたようだ。そこで一つだけ尋ねることにする。
「……一刀、ちょっといいかしら」
「ん? 何だ?」
 妙ににこやかな顔でこちらを見てくる。
 そんな彼をわなわなと震える身体も幸いなことに砂で隠れている。
「私のそばにいたのはあなただけ?」
「まぁ、そうだな」
「ふぅん、そう。まぁ、いいわ。さっさと出たいから手伝ってくれないかしら」
「そうだな、よし」
 一刀は、何の疑いも持たずに私に近づいてくる。後三歩、二歩、一歩、そして射程範囲
内に入る。
「え? うぉ!」
 一刀が目的の箇所を踏みしめたのを確認した私は砂から手を出して、彼の足を思いっき
りつかんでやった。そして、すでにもろくなっていた砂をどけながら出る。
「あ、あれ? 何だ一人で出れたんじゃないか」
「あら、そうみたいね。気づかなかったわ。それよりも……さっきのアレはどういうこと
かしら?」
「へ? い、いや待て俺は知らないぞ。華琳に似つかわしくないモノなんて」
 彼が、早口で何か申し立てをしてくる。
 でも、それが自分の首を絞めていることに気づいていないのだろうか。
「…………そう、なら他の者にも聞いてみるとしましょう」
「あ、あぁ」
 青い顔をしている一刀を引き連れて私は各々の話を聞くことにした。
「春蘭、秋蘭ちょっといいかしら?」
 まずは、春蘭と秋蘭に尋ねることにした私は二人に声を掛けた。
 そこには、座り込んでいる春蘭とそれを見る秋蘭、そして孔明と鳳統がいた。どうやら、
まだ一緒にいたようだ。
「おや、華琳さま。お目覚めになられましたか」
「か、華琳さま! これをご覧ください! ようやく完成したんです」
 私に気づいた秋蘭が、春蘭から目を離し、こちらへ振り向いた。
 そして、春蘭もこちらに振り返る。その背後には立派な砂の城が建っていた。
 どうやら、崩れた後、再度作り直していたみたいだ。
「ふふ、随分立派な出来ね。すごいわ」
「えへへ、そ、そうですか? ふふふ」
 春蘭にしてはよく出来ていたので褒めて上げると、彼女は嬉しそうに笑みを見せてくれ
た。
 でも……迫り来る波に対抗するための城壁として七星餓狼を使うのはどうかと思う。
(春蘭、あなたの大切な武器なんじゃないの?)
 そう思って、春蘭を見るが相変わらずにこにこと笑顔を浮かべている。
 ならばと、秋蘭を見るがただ微笑んでいるだけだ……きっと、彼女は止めなかったのだ
ろう。
「うふふ、あれ? どうしました華琳さま? あぁ、これですか?」
 私の視線に気づいたのか七星餓狼を指さす春蘭。
 なんとなく頷いて返すと、彼女は胸を張る。
「実はですね、秋蘭が助言してくれたのです! それに秋蘭はこの城の制作に手を貸して
くれたんです」
「そう、それは良かったわね」
 瞳をきらきらと輝かせて私を見つめてくる春蘭を見ているとこちらの頬もゆるむ。
「それに、諸葛亮と鳳統もとてもためになる助言をしてくれました」
「ふふ、二人とも悪かったわね」
「い、いえ、そんな。わたしたちも楽しかったですから」
「あわわ……夏侯惇さんの笑顔を見てたら手伝いたくなったんです」
 孔明と鳳統に礼を告げると二人はわたわたと慌てながら謙遜の言葉を述べた。
 二人とも見た目に合わずしっかりとしているものだ。確かにこの二人と春蘭ならば、ち
ょうど良いのかもしれない。
「それで、華琳さま。我らに何用かあったのでは?」
 その言葉で私は"犯人捜し"をしていたことを思い出す。
「そうそう、あなたたちは私が寝てるあいだ側に来たかしら?」
「いえ、我らはここでコレを造っていましたから」
 秋蘭の言葉に春蘭、それに孔明と鳳統が頷く。
 どうやら、彼女たちにはしっかりとした証拠があるようだ。
「そう、ありがとう。変なこと聞いて、悪かったわね。それじゃあ、私たちはまだ行くと
ころがあるから」
 それだけ告げると、先程よりも顔を青くしている一刀を連れて彼女たちの元から立ち去
った。
 次に向かったのは、季衣と流琉のいる休憩所だ。
 そこでは、休憩できる空間と、料理人がいろいろと料理を振る舞ってくれる屋台がある。
 一刀が、何気なく言った"海の家"とやらを元に造ったらしい。
「季衣は……寝てるわね」
 休憩所の中を覗くと、休憩室で季衣が寝ていた。
 きっと、遊び疲れなのだろう。随分と可愛らしい寝息を立てている。起こしてしまって
はかわいそうだと思い、流琉の姿を探しに行く。
 彼女の姿は予想通り屋台の調理場で見つかった。
「あ、華琳さまに兄様。どうしたんですか?」
「えぇ、ちょっと聞きたいことがあって」
 流琉にそう告げると、彼女は、そうだ、といって手を鳴らした。
「それなら、何か造りますので食べながらにしませんか?」
「そうね。いただこうかしら」
 ちょうど、小腹も空いてきたところだったため流琉の提案に乗ることにした。
 それから、私は相変わらず表情の優れない一刀を連れて席へと向かう。
 そして、流琉の造った料理がすぐに私たちの前に運ばれてきた。
「相変わらず美味しそうね。流琉の料理は」
「あ、ありがとうございます」
 環境が変わっても衰えることのない流琉の腕前に感心すると、彼女はぺこぺこと頭を何
度もさげてくる。
 一刀が同じように褒めるが、それに対しては頬をそめて笑顔を浮かべるだけだった。
 ちょっと、本当にちょっとだけムッとしつつも私はすぐに平然となり料理に手を伸ばそ
うとする。
「にゃ〜、とっても美味そうなのだ〜じゅるっ」
「ひっ!」
 手を伸ばした料理の真横に唐突に現れた顔に思わず奇声をはっしてしまった。
 はっと、一刀と流琉の方を見ると何とも言えない微妙な顔をしている。
 そんな二人に視線を向けると急に身体を縮こまらせてしまった。
 二人の不思議な行動に首を傾げつつ唐突な来訪者のほうへ視線を向ける。
「あなた、たしか……張飛だったわね」
「にゃ?そうなのだ」
涎をだらだらと垂らしている張飛に声を掛けると、ようやくこちらに気づいたようで頷
き返してくる。
「もしよかったら、一緒にどうかしら?」
「いいのか?」
「ふふ、そんな顔されたら誘わないわけにはいかないわよ」
 可愛らしい両眼をキラキラと輝かせてくる張飛に思わず笑いそうになりつつ促す。
 私の言葉を聞くやいなや張飛が手を伸ばす。すると、その手が別の手と重なる。
「にゃ?」
「むむ!」
 いつの間に来たのか、そこには季衣がいた。
 まぁ、大方張飛のように料理の香りに引き寄せられたのだろう。
 相変わらず似ている二人だと思っていると、二人が睨み合い唸っている。
「う〜、これは鈴々が先に目をつけていたのだ!」
「そんなのわかんないだろ! 証拠でもあんのか!」
 互いに口を開けば、険悪さをどんどん増している。
 そんな二人の間に一刀が入っていく。そのせいで更なる一悶着が起きようとしたみたい
だが一刀がそれをも食い止めたようだ。
 そして、ようやく二人は食事に戻っていった。
 そんな様子を視界の隅に抑えつつ、私も料理を口へ運ぶ。
「あら、とても美味しいわ。すごいわね、流琉」
「本当ですか! よかった〜」
 よくこの小さな規模しかない小屋でこれだけの料理をつくれるものだと感心しながら感
想を告げると流琉は先程のようにぺこぺことするのではなく明るい笑顔を見せてくれた。
 それからはそれぞれ、ただ食事に従事していった。




 食後、季衣と張飛が膨らんだ腹部をさすっているのを横目に私は用件を済ませるため流
琉へと声を掛けた。
「ところで……流琉、ちょっと聞かせてもらえるかしら?」
「もう、季衣ったら……あ、はい、なんですか華琳さま?」
「あなた、ずっと季衣と一緒にいたのよね?」
「? はい、そうですけど」
「それならちょうどいいわ、二人は私のもとへ来たかしら?」
「いえ、私たちはずっと遊び回ってたので華琳さまのもとへはいってませんよ」
 首を傾げながら答えてくれた流琉に、そう、とだけ返す。
「それがどうかしたんですか?」
「ふふ、何でもないわ。ごめんなさいね意味の分からないことを尋ねて」
「いえ、構いません」
「ありがと。それじゃあ、私はいくわ。ほら、一刀も来なさい」
 流琉にそう告げると私は、いつの間にか季衣たちのように腹部をさすってまったりして
いる一刀の腕を掴み引っ張る。
 後ろから聞こえる一刀のわめき声を無視して次の場所へと向かう。




 しばらく歩き、木陰に集まっている集団を見つけた私はそちらへと赴く。
「ここにいたのね、何をしているのかしら?」
「おぉ? これは華琳さまにお兄さんではありませんか」
「ちょっと! 何でまだあんたが華琳さまと一緒にいるのよ!」
 気持ちよさそうに日向ぼっこしている風と、一刀の姿を見た瞬間に全身の毛を逆立てる
ように威嚇する桂花。
 そんな二人を見て、姿勢は違えどどちらも猫の様だと思いつつ、桂花を嗜める。
 桂花がおとなしくなったところで二入にも先程までと同じ質問をする。
「ところで二人はずっと一緒だったの?」
「う〜ん、ずっと寝てたのでわかりませんね〜」
「はぁ、一緒だったじゃない。あなたが寝る前までは呉の軍師たちとも色々話しをしてい
たんだから」
 そういって桂花は隣で寝ている陸遜に眼をやる。
 それを追うように私も眼を向けると、相変わらず規格外なアレが上下に動いている。
 横で同じようにソレを見ている馬鹿の尻をつねってやると、飛び上がった。
 それを見た桂花が一刀を罵り始めたが、それを無視して私は風の方へと向き直る。
「で? 結局二人は一緒だったのね?」
「そうですねぇ〜、桂花ちゃんがそう言うならそうなのではないかと」
 相変わらず飄々とした雰囲気を放ちながら答える風。
 彼女はしばらく私の姿を見るとぽつりと呟く。
「しかし、今回、稟ちゃんはお留守番で正解だったかもしれませんねぇ」
 確かに、稟が今の私の姿を見れば、いつも以上に赤い花をさかせることとなったのだろ
う。
 そんな事を考えつつ、二人に別れを告げ次なる人物の元へと向かうことにした。




「ふひひ、ほらほら、凪も飲まんかい」
「い、いえ、私はその……」
 少し外れにある岩場を覗くと、そこでは凪が酔っぱらいたちに絡まれていた。
「まったく……霞、あまり羽目を外しすぎては駄目よ」
「ん? おぉ、華琳やないか! それに一刀もおるんか。よっしゃ二人も飲みぃや」
「それにしても、海に来てまでお酒とは……まぁあなたらしいと言えばらしいのかしらね」
 もの凄く上機嫌な霞を見ながらため息をはく。
 まったくこんなになるまで飲み続けてるなんて思わなかった。それに趙雲、黄蓋も一緒
になって楽しそうに飲むだけで止めようともしていない……まさに、三国の飲兵衛の集ま
りと言ったところだと思う。
 でも、一番問題だと思うのは――
「何であなたまでいるのよ、雪蓮」
 そう、一国の主たる彼女までもがこの集まりに参加していた。
 その顔は、朱に染まり、目も蕩けきり口からは怪しげな笑い声がこぼれている。
「うふふ、華琳も一緒に飲みましょう?」
「あなたね……仮にも臣下たちをまとめる立場にある者がそれはないんじゃないかしら?」
「ぶぅ〜、ならいいわよ。か〜ずと! 一緒に飲みましょ!」
 私の文句にあひるのような口で文句を垂れる雪蓮。
 そんな彼女に呆れていると、彼女は目にもとまらぬ速度で一刀を捕まえていた。
「ちょ、ちょっとひとの部下を勝手に引き込まないでもらえるかしら」
「え〜、だって華琳は私たちに付き合ってくれないんでしょ。だったら、せめて一刀くら
いはおいていってよ」
 そう言って、雪蓮が一刀の腕をその巨大な胸に挟み込む。
 一刀も一刀で鼻の下を伸ばして……すごく不愉快ね。
「駄目よ、一刀は今、私と行動を共にしているんだから」
「でも、一刀自身は私たちと飲む方がいいんじゃない? これだけ美女が揃ってるんだか
ら肴には困らないし、ね?」
「だ、か、ら、そうやって誘惑しないでちょうだい!」
「ぶーぶー、横暴よ! どうするかは、一刀の自由でしょ」
「むー!」
「ふぅー!」
 と、つい熱くなり彼女と睨み合いを続けていると、とつぜん辺りに小気味いい音が響き
渡る。
 その発信源をみると頭を抱えて蹲っている。
「いった〜い、何するのよ! 冥琳」
「雪蓮よ、仮にも一国の王なのだぞ。まったく……頼むから、情けない姿をさらさないで
もらいたいものだな」
 そんな周瑜の言葉に反論しようとする雪蓮を引きずりながらこの場から離れていく。
「あ、そうそう」
 急にこちらへと振り返る。
「大事な思い人をうちの酔っぱらいが誘惑して申し訳なかったな」
「!? そ、それは別にそういう意味じゃ……」
「ふっ、まぁそういうことにしておこう。では……おっと、忘れるところだった」
 反論する私など気にもとめず、周瑜は思い出したように飲兵衛たちへと視線を向ける。
「祭殿、くれぐれも飲み過ぎることの無きよう……頼みますよ」
「お、応、大丈夫じゃ。だからあまり儂のことは気にするでない」
 それだけ聞くと周瑜は再び前を向き歩き出した。
 その手に引かれていく雪蓮が何か叫んでいる。裏切り者? 一体なんの事かしら?
「まぁ、それはいいとして、霞……は駄目そうだから凪、ちょっといらっしゃい」
「は、はい。何かご用でしょうか?」
「えぇ、少し尋ねたいことがあってね」
 そこで、やはり私が寝てる間のことを聞いてみることにした。
「そうですね……、私ははじめは二人――沙和と真桜へ何か持って帰ってやりたいと思い
、浜辺の貝殻などを見てました。それでこの岩場にも来たのですがそしたら捕まりまして」
「なるほど、その後はどうだったの、凪?」
「その後は、ずっとここにいました。霞さまはほとんどここで飲んでいたみたいです。た
だ、私が来てから何度かお酒をとりにたっていますのでその時は分かりません」
「そう、ありがとう。助かったわ」
「こ、こんなことでよろしかったのでしょうか?」
「えぇ、結構よ。それじゃあ、私たちはこれで」
 私は凪に礼を告げるとすぐに、一刀を引きずりながら元の場所へと戻った。




「さて、この辺りを見る限り手がかりは何も無いわね」
 私が寝ていた辺りを見るが足跡があったと思われる箇所が踏み荒らされて見る影もなく
なっている。これではもうお手上げだ。
 仕方なく、私は最後の仕上げとして、一刀からも話を聞くことにした。
 一刀曰く、私が寝ているのを発見したらしい。しばらくは、私の寝姿を見ていたものの、
ふと、天の国での面白い遊びを思い出し、私の身体に砂をかけたのだそうだ。
 ただ、その際には余計なことはしなかったというのが、一刀の主張。
 その後、気がついたら自分も寝ていたらしい。
 でも、他にそれを証明する者が一切いない。
「やっぱり、あなたが一番怪しいわね……一刀?」
 震えながら一刀が反論してくるが、それを一刀両断する。
 そもそも、砂をかぶせるなんてことを知っていたのが一刀だけだという時点でかなり怪
しい。そんなことを考える私を一刀が青い顔で見てくる。
 そんな一刀の様子に笑みをこぼしそうになった私は、彼から顔を背けた。
「まぁ、いいわ。罰は帰ってからにしましょう」
 その言葉に一刀は呆気にとられたらしく、間抜けな表情を浮かべている。
「ほら、大分時間も経ったみたいだし、行くわよ」
 そう言って彼の手を取る。気がつけば日は沈もうとしている。

 もう、明日はここを立って魏に、忙しい日々に戻らなければならないのだ。

 そんなことを思いつつ、既に集まっているみんなの元へと向かった。


 帰ってから彼にやらせる罰のことを楽しみにしながら――――。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これで、前編は終わりです。
ミステリー調にしようとしたのですが……これが限界です。
あ、ちなみに推理のしようがありませんのであしからず。

後編では、犯人の正体と罰が何なのかを書くつもりですのでお待ちください。

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