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453 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/07/21(火) 22:50:57 ID:0miib/g40
わたしの名はメーテル……またまた遅刻してきた女。
二日遅れだけれども、土用の丑の日短編を11時から4レス分投下するわ。

それと、今回は割と勢いで書いているから、多少のアレっぷりは見なかったふりをしてくれると助かるわ、鉄郎。
454 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃とうなぎ」(1/4)[sage] 投稿日:2009/07/21(火) 23:01:19 ID:0miib/g40
 都市の急速な発展に伴い、寿春周辺の河川資源の利用が活発化した。
 しかしそれは、魚の乱獲による生態系のバランスの崩壊によるものか、はたまたそれ以外の
理由によるものか、何故かうなぎの大量発生という未曾有の大災害を引き起こした。
 これに対して天の御使い*k郷一刀は、うなぎを暑い日に食べるということを奨励し、
『連日暑いから夏バテ防止にうなぎを食べようの日』を設立してこれに対抗した。
 通称『土用の丑の日』の誕生である。

「はーい、というわけで、今日のお昼はうなぎですよー」
「うむ、うなぎじゃのぅ! ……だが七乃よ。なにかこう、妾たちがこうして話すのが、えら
い久しぶりの気がするのじゃが……気のせいかのぅ?」
「えー、なに言っているんですかお嬢さま? 昨日もこうやって一緒にお話していたじゃあり
ませんかぁ?」
「確かにそのはずなんじゃがのぅ。うーむ、何故か久しぶりな気がしたのじゃ」
「もー、やですよぅお嬢さま。トンチンカンなことを言うのは政務の場だけにしてくださいよ
ー」
「そうじゃな、気のせいじゃな。わははははー!」
「あはははー」

 笑い合う二人は、ご存じ美羽と七乃である。
 彼女たちが前にした円卓の上には、蒲焼きにされたうなぎを白いご飯の上にのせて甘ダレを
かけた、所謂『うなぎ丼』が置かれている。
 暑い日にはうなぎを食べる。それがここ最近、寿春で密かな流行となりつつある風習であっ
た。

「で、……なんで今日は私まで呼ばれているんだ?」
「うむ、そうじゃな普通よ。どうしてそなたまでこの場におるのじゃ?」
「普通って言うな!」
458 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃とうなぎ」(2/4)[sage] 投稿日:2009/07/21(火) 23:04:26 ID:0miib/g40
 卓を囲んでいるのは美羽と七乃だけではない。
 対面に座るのは、白馬長史こと公孫賛伯珪、白蓮である。
「ああ、白蓮さんでしたら、私が呼んだんですよー」
「なるほど、七乃が呼んだのか、ならば普通よ。妾と同席することを許すぞ!」
「あー……はいはい、分かった分かった……。で、急に呼びつけるなんてどういった用なんだ?」
「はいー、それはですねぇ。白蓮さんに一つお仕事を頼みたかったからなんですよー。あ、お
嬢さまは先に食べちゃってていいですからねぇ」
「うむっ!」
 七乃のその一言を待っていたらしく、美羽はその言葉を聞いて箸を持った。
 そうやってお行儀よくうなぎ丼を食べ始める美羽の横で、七乃はにこにこ顔を白蓮に向ける。

「えっと、白蓮さんをお呼びしたのはですね、うなぎの宣伝で一肌脱いでいただこうかと思っ
たんですよぉ」
「宣伝? 私が? なんで?」
「ほら、白蓮さん、普通普通って言われると嫌がるじゃないですか? だからここは一つ、大
陸一のうなぎ娘として大成していただこうかと思いまして」
「う、うなぎ娘!?」
「はいー。ちょうどこんな具合にですねー……」

 言うが速いか七乃は机の上に予め用意していた紙に、これまた用意してあった筆を使ってさ
らさらーっとなにかを描く。
 そうしてあれよあれよという間にできあがったものを見て、白蓮の顔色が羞恥で赤く染まっ
た。
「なっ、なっ、なっ!?」
「おお、七乃は絵を描いても上手じゃのぅ、褒めて遣わす!」
「えへへー。それほどでもー」
「って! なんなんだこの絵は!?」
 できあがった絵を指さして白蓮が叫ぶ。
 それはそうだろう。そこには一見して自分と分かる少女が、あられもない姿でうなぎにアレ
でナニされている姿が描かれていたのだから。
460 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃とうなぎ」(3/4)[sage公子……] 投稿日:2009/07/21(火) 23:08:04 ID:0miib/g40
「えー? 似てませんかぁ? 白蓮さんですよぅ?」
「いや、似てるけどさ……。っていうか、なんでこんなに上手いか分からないくらい上手いけ
どさ!」
「とっても似合うと思いますよぅ? 名付けて『うな恋†乙女 〜らめぇ、穴という穴からう
なぎ入って来ちゃうっ!〜』ですよ〜」
「だ、だだだ、だめだだめだ! 大体、なんで私が裸でうなぎとくんずほぐれつしなくちゃい
けないんだよっ!?」
「いやですよぅ。普通脱却のためってさっき言ったじゃないですかぁ。付け加えるなら、裸で
うなぎとたわむれる女の子の姿を街の男衆に見てもらって、ついでにたわむれたうなぎも買っ
てもらおうって算段なんですよー」
「殆ど後ろの理由しかないだろうそれっ!?」
 白蓮が怒鳴ったところで箸を動かしていた美羽が顔を上げた。
「うるさいのぅ普通は。食事中くらい静かにしなさいと母上から習わなかったのかや?」
「誰がうるさくさせてると思ってるんだ誰が!」
「あらら、お嬢さまー。ほっぺにご飯粒がついていますよー」
「んっ」
 美羽がすました顔で目を閉じて七乃に顔を向ける。すると七乃は懐から手巾を取り出すと、
嬉しそうにその頬を拭った。

「えっと、……えー、それでなにを話していたんでしたっけ?」
「うなぎだ! うなぎの件だ! 私は……こんな、こんなふうに裸で、うなぎに、その、こん
なことをされるなんて絶対に御免だからな!」
「ああ、思い出しました思い出しました。白蓮さんはこれから白馬長史・白馬将軍改め、うな
ぎ長史・うなぎ将軍として活躍し、人々の記憶に鮮烈に焼き付けられることになるんですよー?
おまけに我々はうなぎの宣伝と小銭が稼げて一石二鳥。どこに悪いことがあるって言うんですか
ぁ」
「あるだろ私の方に!? そんな末代までの恥をさらせるか!」
「そう言わずに、ここは一つお願いしますよぅ、全裸で、かつうなぎで」
「絶対にお断りだ!」
「もー、困った人ですねぇ。でもでも、こんなこともあろうかと、こちらは強力な助っ人を一
刀さんから貸してもらっています」
「な、なに?」
461 名前:真・恋姫無双 外史 「美羽と七乃とうなぎ」(4/4)[sage] 投稿日:2009/07/21(火) 23:12:10 ID:0miib/g40
「はーい、あとはお願いします天和さーん」
 そう言って七乃が手をパンパンと叩くと、

「はーいっ!」

 元気よく声が上がり、ちまたで大人気の偶像、『役満三姉妹』の一人、長女天和が扉から勢
いよく入ってきた。
「なっ、なっ、なっ!?」
 突然現れた天和の姿を見て、たちまち白蓮が目を白黒させながら身を固くする。文字通り硬
直する。それこそヘビに睨まれたカエルのようにである。
「確か白蓮さんは、何故か天和さんのことが大の苦手でしたよねー」
「き、貴様ーっ!?」
「それじゃあ天和さん、あとはよろしくお願いしますねぇ」
「はいはーい、わっかりましたー。白蓮ちゃーん。うなぎとお客さんが待ってますよー」
「や、やめろっ! 私は絶対にそんなものに……」
「あと道中行きがてら、この間の夜に、一刀さんと二人きりでなにをしていたのか聞かせて貰
おっかなー」
「ひうっ!?」
「はいはい、ないすぼー、ないすぼーっ!」
「だ、誰か、誰かー!?」
 手を伸ばして叫び助けを求めるものの、白蓮は無慈悲な執行者と化した天和にずりずりと引
きずられていってしまう。
 そうやって白蓮が連れ去られ部屋が静かになったあと、美羽は白蓮が座っていた席を見なが
らこう言った。

「うなぎは美味しいのぅ」
「そうですねぇ、お嬢さま」

 このあと裸に剥かれた白蓮がうなぎ風呂に放り込まれ、それを北郷一刀が助けるのだが、彼
女がうなぎ恐怖症になってしまったのは言うまでもない。

 おしまい
465 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/07/21(火) 23:21:26 ID:0miib/g40
2レス目の2行目、「白馬長史」を「白馬公子」と間違っているわ……まとめさん、まとめる際に直しておいて下さると助かるわ……
また、前回投下の七夕テキストのときの>>278の指摘通り、12行目、月とするべきところを詠と間違ってしまっているので、それも直して下さると嬉しいわ……

というわけで、遅れてしまったけどうなぎテキストよ、避難所>>858の鉄郎。

どうでもいいけれど、今年も丑の日にうなぎを食べるのを忘れたわ……

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