瞼を開けるとおよそ想定し得ない状況にあり、桂花の頭脳は一時的に停止を余儀なくされた。
自分の頭はあろうことかちんこ…もとい北郷一刀の膝の上で仰向けに寝かされており、
さらにあろうことか
『ナデナデ』
そう、ナデナデである。ナデナデをされていたのである。
桂花が目を開けたことに気づくと一刀は手を止め、心配そうな表情をする。
そしてナデナデが止められたことで桂花は一瞬残念そうな表情をするが、すぐにいつもの怒り顔になった。
一刀「大丈夫か?桂花」
桂花「大丈夫って何がよ!離れなさいよ全身精液男!」
桂花が一刀から離れようと頭を上げようとすると、一刀は慌ててそれを止めた。
一刀「駄目だって!いま凪に医者を呼んでもらってるんだから!」
桂花「医者ぁ?医者って何…ったい!」
ズキンと痛んだ頭に顔をしかめると、桂花は現状に至るまでのことを思い返していた…
桂花「くっくっく♪今日こそあの歩くわいせつ物に思い知らせてあげるわ♪」
今日も今日とて楽しい穴掘り。
もはやその道の匠と言っても過言では無いかもしれない桂花の落とし穴だが、今回はかなりの出来栄えである。
研鑽に研鑽を重ねた擬装を施したそれは、もはや桂花自身にも見破れない。
本来なら自分だけには分かる目印などを付けるのだが、それが元で本郷一刀に見破られてしまっては台無し。
ということで敢えて目印は付けなかった…決して付け忘れたわけではない、断じて、絶対。