「おや？これは以前、風殿とご一緒だった。お猫様では(////)」
「にゃー(ああ、孫呉の処のぺったんこ娘か)」
チャキ！
「胸なんて飾りですよ、お猫様」
「にゃー(ぎゃー殺さないで・・・・何！言葉が解るのかい！嬢ちゃん)」
「そう言えば解ります、素晴らしいですお猫様。お猫様の言葉が解ります」
「にゃー(じゃあちょっくら付き合ってくれよ、７本桃香です)」

その出来事は張宝の叫び声から始まった。
その日“国民に適度な娯楽の提供を”に関する議会の為、事前調査を済ませていた明命と話し合っていた処に娯楽提供者になるだろう待たせていた張宝と鉢合わせた。
「あああああぁぁぁぁぁ！！！その格好！貴女！」
明命に詰め寄ると首のネクタイ擬きの布を取り一度広げる、そして三角に折ると明命の口元に当てると。
「やっぱり！貴女２×２姉妹Ｓ゛のメイ！ここで会ったが百年目、積年の怨み今こそ晴らそうぞ！」
飛び掛かる張宝、さらりとかわす明命。
ムキィーと叫ぶながら尚も飛び掛かるが全てかわされている。
「ちょっと張宝、やめろよ」
「無理よ北郷さん」
ふと気付くと背後に張梁が居た。
「何で？」
しかし、俺の問には答えず。
「あら？本当にメイなのね。ならあながち『私達に対抗する為に結成された』と言う噂間違ってないのかな？」
問うように答える。
「否定はしない、だけど何が有ったか知らないけど―」
と言った瞬間。
「『何が有ったか？』ですって！とんでもない事が有ったわよー！」
胸ぐらを掴まれブンブン振られる。

「北郷さん、もう遅いけどその辺に関しては触れるの禁止。徴兵等の効果が悪くなった時に一度私達は」
と、言って親指を立てて、首を横に掻き切るポーズを取ってみせた。
「まあ、本当は気合いを入れるつもりだったんでしょうけど、半分は本気だったと思う。
　以来姉さん達、曹操様のあの目にはすっかり脅えて、ちぃ姉さんは自分達の人気を脅かすもんには攻撃的なのよね」
揺さぶられながらも張梁の方を見ると、後ろで頭を抱えてしゃがみながら震えている張角が見える、当の張梁も微かに腕が震えていた。
「ほ〜ん〜ご〜う〜、悪の根源は貴方だったのね！なら貴方を殺す！」
「待ってちぃ姉さん！そんな事したら、働き関係無く首が飛ぶわよ！」
泣きながら張梁に向き訴える。
「なら、れんほー(泣)どうやって怨みを晴らすのよ〜」
「怨みなんか晴らせないわよ、私達の実力不足が招いた結果なんだから」
「でも悔しいー！」
その間も俺は揺さぶられたが、しきりに手を放す張宝、勢い余って後ろに放り出され倒れこんだ。
「そうよ！れんほー、２×２姉妹Ｓ゛を、私達の実力で倒すのよ！」
と、明命を指差す、明命が多少驚いてた。

「そして曹操様とファン達にどっちが上かを明白にして表もまともに歩けないように辱しめてやるのよ〜、そうすることであの！怨みを晴らすの！流石、私！」
「おいおい」
「ちぃ姉さん………そうね、怨みうんぬんはともかく人気向上・回復の効率を考えるとそれが早いわね、やるわよ天和姉さん」
震えている張角を促しだす。
「待て待て待て！何話を勝手に進めてるんだよ？こっちの……相手の都合も有るだろう？」
「よいではないか主」
振り向くと、そこに星とタンポポがいた。
「セーにポポまで！」
「そうだよ、ご主人様。売られた喧嘩は買わなきゃ西涼武将の名がすたるよ」
「そういう問題じゃないだろ、なあ明命？」
「いや、…その私は歌えるのでしたら………やっても良いかと」
「………！」
顔を赤くしながらも答える、少なくとも否定の返事ではなかった。
「ふっ、残念だな皆。今ここに居ないけど、こんなバカ騒ぎを思春が許す訳がない。思春の反対で中止だよ」
「ほう、何時もなら率先して祭りを仕立てる男が、えらく消極的だな？」
向いていた星達の反対側から思春の声、凄く嫌な予感がした。

「思春ならこんなバカげた事は反対だろ？」
外野からの“バカとはなんだー”との抗議は無視して会話を進める。
「生憎だが北郷一刀、“火事と喧嘩は江賊の華”と言って話が違ってくる」
「江戸っ子かい！」
「えどっうこ？それも天界の言葉か北郷一刀」
「もういい………でも先ずは国主の承諾は必要だよな」
「何を！２×２が揃っている一大の好機を潰す気なの！」
無視。
「三人の承諾取るだけでいったいどのぐらいかかるのやらねー♪〜」
わざとらしく口笛まで吹き出す俺。
「キィー！北郷！」
「それは愚問ですな主、お忘れか？」
「あっ」
星の言葉に思い出し間抜けな声を出す。
「そうね間抜けね」
背後から華琳の声がする、ガックリ首を項垂れる。
「アハハ、一刀ったらカッコ悪い〜」
続く雪蓮の声。
「どうしたのご主人様？項垂れて」
尋ねるような声の桃香、すっかり忘れていたが三国の当主が揃っていたのだ。
「で、何の話？」
「そうねこの場ではあなたが一番でしょうから。人和、的確に正確に説明をお願い」
クイッ、とメガネを直しながら。
「了解しました、曹操様」
と、説明に入った。

張宝が明命を見つけて、過去の出来事の八つ当たりに始まり・元凶を俺にしての矛先を変更したこと・いろんな思惑が混じり歌謡対決を申し込んで・
　俺が必死に止めてるのに、普段ブレーキ役の人がアクセルに代わってて、てんやわんやだった処に三人が来た、と。
「なんで止めるの？」
「何故止めるのよ？」
「問題無いよね？星ちゃん」
三人とも疑問符付き、駄目だ！敵しか居ねー、と内心吠える。
「駄目だろ、仲良くなった三国が争っちゃ」
「一刀、今回の集まりの課題は？」
「民衆への娯楽の提供について」
「なら、争うのではなくて、競うと考えなさい」
「それは言い方を変えただけだろ」
「あら？勝手にやらせないでしっかりと監視下に置く、主催側として状況を逆手に取って国民への娯楽の提供になるかの実験と反応と情報の収集。
　ほら一刀、あなたの言う無益な争いが有益な場に変化したわよ」
自信満々に告げる華琳に感心する桃香。
「さっすが華琳さん、素晴らしい考えだよ」
万歳をしながら答えた。

「桃香、私達の間での戦は終わったのよ。なら当主たるもの戦がないはないで、常に考え動き自分の領民をいかに幸せに導くのが義務みたいなもの。
　あんまりボケッとしていると一刀を頂いちゃうわよ」
「・・・・・ハッ！駄目、絶対に駄目！ご主人様は私達全員の者であって独占禁止です！華琳さん」
俺に抱きついた桃香がしっかりとした口調と眼差しで答える。
「分かっているわよ、少なくとも今は無理ね」
「そうね、まだ時期尚早ってとこね」
「ですから禁止です！華琳さん、雪蓮さん」
俺と桃香を抜かした全員が笑う中、本題が抜けていると冷静に判断な俺。
「で、楽しい会話の最中に悪いんだけど具体的にどうするの？」
空気を読まずに冷静発言の俺。
「一刀〜、場の雰囲気考えなさいよ」
「この場合、わざと空気を読まなかったんだよ」
「くうきをよむ？」
「凄いんだご主人様、天の人は空気に何が書かれているか読めるんだ」
今はタンポポが感心してる。
「ああ、天の言葉でこういう場の雰囲気を無視するのを空気を読まないって言うんだよ」
「へえ〜」
「で、再度聞くけどどうするの？」

「どうするもなにも、彼女等が暴走しない様に、こちらでお膳立てするだけじゃない。その際、考えられるあらゆる事件・事故の想定、対処の準備、実際に起きたら実地による行動。
　また、収益はもとより、得られる情報は全て回収。今後、この分野が有益かどうか見極めるつもりで動けばいいんじゃない？」
張宝を見るといまだにやる気満々だ、なら確かに暴走されるよりある程度こっちで手綱を握った方がましか。
「場所はここ白帝城、日時は私と雪蓮の滞在期間も考えて五日後。決着は当日に演奏会後、視聴者による投票の結果。
　公正をきっする為と余計な混乱を避ける為、また突発的な講演の情報収集として発表は当日までしない。これでいい？」
「分かったそれでやろう」
どうしても拭えない嫌な予感を無理矢理捩じ伏せ承諾したのだった。

「にゃー(ご支援ありがとうございます、ところで嬢ちゃん。野宿は大変かい？)」
「お猫様。慣れれば平気ですよ？しかし何故？」
「にゃー(家賃滞納で本当に野良猫になりかけた？いや現在進行形で今だ危機だ)」
「ならその時は私が面倒見ましょうか？外で」
「にゃー(意味無いし……昼間電波来たんだけど呉√老衰後に魏√に真・三教一致←待て。お目汚し失礼しました)」