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635 名前:外史喰らい編投下予告[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 02:27:19 ID:vpjAkdA50
外史喰らい編第2話


・一刀は無印決戦後
・左慈、干吉がメイン扱いで登場
・オリ真名として、左慈:光(コウ)、干吉:雲(ユン)を設定。ネタ元は中の人
・左慈、干吉がデフォルトでチートな上、一刀も乱世1回分というチート経験値なので、メアリー・スー気味

〜あらすじ〜
気がつくと真っ暗な空間にいた一刀。
そこで、左慈・干吉と再び出会う。左慈は一刀を殺そうとするが、干吉がそれを止め、とある話を始める。
曰く、『外史喰らい』という、外史を喰らう存在が発生していて、その対処を手伝え、という。
外史喰らいを止めるには外史の存続を願う想いが必要で、そのための想いは一刀への想いを変換して集めるらしい。
前回と似た外史で想いを集めると聞き、再び愛した彼女達に出会えると感じて、手伝いを了承する一刀。
彼を主として立てるために、左慈と干吉は真名を預ける。
そして、新たな外史の発端が開かれた。

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657 名前:外史喰らい編第2話(1/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:01:32 ID:vpjAkdA50
前方の部隊から勝ち鬨が上がる。
どうやら今回も追撃無しで終わったようだ。
と言っても、手加減している訳ではなく、逃げたられて追いかけなきゃならない程敵がいないだけだ。
そりゃ、人数が何倍も違うんだから、普通にやればこちらが圧倒的に有利だ。加えて、相手にはまともな指揮系統は無く軍師も将軍もいない。
補足すれば、こちらの兵士が実戦慣れしてきたおかげで、ここ十日間は損耗ほぼ0だ。
「………」
ふと、浮かんだ単語があるけど、口にしないでおこう、
「まるで咬ませ犬ですね」
と思ったのに、雲が遠慮なしに言った。
「調練を積んだ後に格下の相手との連戦、連勝。新兵の初陣としては、この上ない良環境です」
「そうでもないぞ」
前線指揮から戻ってきた光が反論する。
「経験と自信を付けるためならこれでいい。だが、一度は自分達と同等以上の軍を知らなくてはならん。いずれ三国と並んだ時には、今の連中が古参兵となる。楽な戦しか知らないと成長も頭打ちになるぞ」
「ふむ…。ならばこの機会に私達以上の軍と対峙できるように調整しましょう。誰か!」
雲が人を呼び、斥候を出す指示を伝えた。
「お疲れ、光」
その間はやることも無いので、光を労う。
「疲れる程の相手ではない」
……相変わらず素っ気ないな。いや、敵意が含まれなくなったんだから一応フレンドリーにはなったか?
「あー………っと、そういや、黄巾党って割には相手の人数かなり少ないんだな」
前の外史で戦ったときは、確か四千人ぐらいの集団だったんだけど。
「……一口で黄巾党と言っても、内情は様々だ。首領格を真に崇拝している連中もいるだろうが、そんなものは直営の部隊だけで、むしろ少数派だ。都合がいいからと、黄巾を名乗って暴れる野盗や食い詰めた農民の方が多数だろう。そんな連中が三千も四千も集まれるわけが無い」
「最近の連中みたいに、集まっても千が精々ってわけか」
「今の俺達には、その方が都合がいいがな」
今回は百前後だ、と続ける。今回降伏してきた黄巾党の数だ。この辺りの黄巾党は食い詰め農民が夜盗化したパターンが多いらしく、食と賃金の折り合いさえ付けばそのままこちらの軍へ編入する人達も少なくない。
当然、即戦力としては使えないが、兵力が少ない現状ではありがたい増員だ。
658 名前:外史喰らい編第2話(2/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:05:07 ID:vpjAkdA50
「さて、今後はどうなさいます、一刀殿?」
その日の軍議で、雲が訊いてきた。
「斥候からの報告に上がる黄巾党の軍勢は、相変わらず南西から西に散在しています。数はいずれも数百から多くてニ千。そのほとんどが野に陣を敷いています。単純に彼らを叩くだけならこのまま南西に進軍を続ければ良いのですが」
しかし、と雲は一度言葉を止める。
「そろそろ城に戻った方が良いのも事実です」
「そっか、そろそろ一月経つな」
各地で黄色い布を巻いた集団が暴動を起こしている、という報告が入りだしたのが四ヶ月ぐらい前だ。方角は主に北東。当然、報告が入り次第、軍を出した。
今回と同じような数百人の小規模な集団をいくつか討伐しているうちに、入る報告は南へ移った。そして西に流れて、白帝城を迂回するように南西へと向かう。
最終的には現在、巴郡との郡境近くに多数の集団がいる状態となっている。
「巴郡との郡境まで、あと何日ぐらいかかるかな?」
「単純に進軍するだけならば、三日程です」
「うーむ………」
微妙な距離だ。その位の距離だと、場合によっては郡境を越えてしまう。武装した軍で許可なしに郡境を越える、なんてしたらその場で侵略者だ。それはできない、けど、この辺りの黄巾党の討伐はしなくちゃならない。
さらに、光が言った問題もある。黄巾の乱以降の群雄割拠の時代でこちらより大きな軍となると、十中八九、軍師も将軍も揃った軍だろう。そんな軍相手に「経験を積む」なんてできるわけが無い。
「光の意見は?」
「進軍だな。郡内の黄巾党は粗方討伐して、後は雲の言った数集団だけだ。一度城に戻れば、再び軍備を整えなければならず、それには時間も金もいる。補給に問題は無いんだ。このまま一気に片付けた方が兵のためでもある」
「なるほど……で、雲は帰城派?」
「ええ。白帝城に赴任してまだ半年です。人心を掴みきれているとは言えません。野心のなさそうな者を守備に残してありますが、謀反が起きる可能性はあります」
今連れている兵か残してきた住民か、一番前で心配している対象が違うだけで、どっちの意見ももっともだ。
なら、どちらかを選ぶのは主の仕事。将が少なくて両方一緒に選べない以上、優先先は決めなくてはならない。
661 名前:外史喰らい編第2話(3/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:10:07 ID:vpjAkdA50
「…………よし、決めた。進軍しよう」
留守番に残してきた人達の顔を思い返す。うん、無意味に謀反起こすような性格じゃない。雲の面通しも済んでるんなら、信用しても大丈夫だろう。
「今日はここで休んで、明日進軍再開だ。ただし、こちら以上の軍に勝つか巴郡との郡境まで進むかしたら、帰城しよう」
「了解した。明日朝一で撤営させる」
先に休む、と席を立つ光。
普通の軍なら凄い無礼なんだろうけど、俺も雲も何も言わない。戦場じゃ何だかんだで光に一番負担かけてるのが分かってるからだ。
「早急に将軍職を揃えなくてはいけませんね」
「軍師一人ってのもダメな気がするけど?」
俺が将として働けない以上、行動は光に、作戦は雲に任せるしかない。
軍として小さい部類に入ると言っても、その辺を一人だけに負担させるってのはマズイだろう。
「気遣っていただけるのはありがたいのですが、あまり能力の高くない者を付けられるくらいなら私一人の方が楽ですので」
高校の問題を解いてる時に中学生の手助けはむしろ邪魔、みたいな感じだろうか。
「そっか。まあ、必要になったら自由に起用してくれて構わないから」
雲が認めるレベルが分からないからの提案だったが、本人は呆れるような溜息で返事をする。またあなたは権限を安売りして、と愚痴られた。でもって、「そもそも君主が持つ権力の大半は人事権に因るところが云々」と君主教育講義に入ろうとする。
「あー、でも、それとは違うけど、今回の遠征じゃ雲にも負担かけてるだろ?」
慌てて話題を変える。自分で望んだ教育とはいえ、陣中は勘弁してくれ。
「黄巾党見つけるまでは斥候の指示とか俺が代わるから、雲も休んでくれていいぞ」
隠してるつもりだろうけど、目の下に薄くクマが見える。
いざという時のためにも、休んでいてもらいたい。
「ふむ……ではお任せしましょうか。分かっているでしょうが、斥候は絶やさぬよう、お願いしますよ」
「りょーかい」
思ったより素直に従ってくれた。
それだけ負担かけてたのか、主としての成長として見てくれたのか。
「………まあ、後者はないな」
負担かけてる時点で、成長云々おこがましい。
良い気になってないで仕事しよう。
664 名前:外史喰らい編第2話(4/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:15:06 ID:vpjAkdA50
それから5日。今まで通りに小さな黄巾党集団を討伐しつつ、巴郡との郡境近くまで来た時だった。
「報告!」
斥候に出ていた兵が駆け寄ってくる。
「前方十里の位置に大部隊を発見しました!」
大部隊?
「黄巾党じゃない部隊ってこと?」
黄巾党なら「黄巾党だ」と報告してもらうようにしている。
「はい、黄色い布を巻いている者は見えませんでした。それと、何本も旗が」
つまり、巴郡城の部隊あたりか。……郡境までの距離が距離だからなー。黄巾党に便乗した侵略、とか思われても困るし、挨拶しといたほうがいいか。
「旗印は?」
「黄、魏、厳の三種です」
「――――――」
黄の旗印。そしてここは蜀。思い至った先は一つだった。
「雲、使者出して。挨拶しときたい」
頭は予想を裏切って静かだった。たぶん、彼女が蜀にいたせいだ。
歴史と違って楽成城にいた「あの外史」と、歴史通りに蜀にいる「この外史」。
その違いを改めて思い知らされた事と、彼女に会えるという嬉しさが、打ち消し合ってるんだろう。
「了解しました、が。冷静に頼みますよ」
「分かってる………つもり」
からかう様に溜息をつく雲に、苦笑いで返事をする。取り敢えずは真名で呼ばないように、か。
それを他人行儀、とか思っちゃうのは、まだ前の外史を引きずってる証拠だろうなぁ。
666 名前:外史喰らい編第2話(5/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:20:11 ID:vpjAkdA50
そちらの目的も黄巾を着けた賊の討伐だと思う。そのことについて、そちらと面会したい。
そんな内容の言伝を送り、同意を返されて、両軍の中間地点で会う事になった。
「先に言っておく。うっかりと真名で呼ぼうものなら、向こうの行動前に俺が貴様を蹴り殺す」
「……はいよ」
この言葉はもう三回聞いた。さすがに「くどい」と言いたくなる。
「そんなに心配か、光?」
「貴様の腰の軽さで、信用できると思うか?」
「失礼な。確かに気は多いかもしれないけど、全部本気だぞ」
「だからだ。惚れた女と九割同じ存在がいて全く心を揺らさない、などとは思えん」
む。なるほど確かにそうか。
「馬鹿言ってないで姿勢を正してください。来ましたよ」
雲に言われ、意識を前に移す。
三人分の人影がすぐそこで馬から降りていた。こちらも合わせて降りる。
「巴郡城主、厳顔という。こっちは部下の魏延だ」
左肩に「酔」と書かれた肩当てを着けた、妙齢の女性がそう言った。
「魏延という」
促され、右目の上の前髪が白い、赤の手甲を着けた女の子が頭を下げる。
厳顔、に、魏延、か。両方とも史実じゃ、蜀漢以前から蜀にいる武将だっけ。
それが両方とも女性になって目の前にいる、と。
「似た外史」ってこういうことか。てことは他にも性別変わってる武将がいるんだろうか。
「そしてこちらがワシの友人で――」
「黄忠といいます」
何も変わってない。
紫の髪も。大きく胸元が開いた服も。口元に右手を持って行く癖も。口調も。その雰囲気も。
俺の知る、「紫苑」という女性と同じものだった。
だからだろう。
―――ひょっとして、この紫苑も俺と同じように前の外史から流れてきた存在なんじゃないだろうか。
なんていう、後から考えれば馬鹿馬鹿しいにも程がある妄想が浮かんだのは。
―――確かめたい。
どうやって?単純だ、真名で呼べばいい。まだ「この紫苑」には真名を教えてもらってないんだから、紫苑ならそれで俺が何かしら普通じゃないぐらいは思い至るはずだ。
671 名前:外史喰らい編第2話(6/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:25:14 ID:vpjAkdA50
「s―」
「北郷」
――――――――――、あ。
「美人を前にして見惚れるのは分かりますが、名乗り返さないのは無礼でしょう?」
光が止め、雲が揶揄するように言う。
それで、突っ走っていた頭が落ち着いた。
「あ、ああ、そうだな。すまん」
謝罪と感謝を混ぜて返す。
冷えた頭で考えれば、「そんなことはない」という答えが普通に湧いてきた。
光も雲も、「狭間」で俺が前の外史の俺だって分かったんだから、「この紫苑」が「あの紫苑」と同じだと分からないはずが無い。その二人が何も言わない時点で、そんな可能性は0だ。
「……白帝城城主、北郷一刀だ。こっちは左慈と干吉」
聞いた瞬間、三人の表情が変わった。
「白帝城の北郷―――というと、『天の御遣い』か?」
よし、と心の中で拳を握る。さすがに巴郡くらいには広まっていたようだ。
『天の御使い』のネームヴァリューは絶大な影響を持つ。それを使わない手はない。
大陸全土に雲の傀儡を使って少しずつ噂を広めていけば、色々な状況で役に立つ。ただし、
「ああ、そういう噂は聞いたことあるな」
「ほう。否定せぬのか?」
「肯定もしないけどね」
紫苑と厳顔さんの表情が変わる。俺達が何をしているかわかったようだ。
ただ、魏延さんだけは分からなかったらしく、
「あの、桔梗様。北郷殿は何を言っておられるのです?」
「分からぬか、焔耶」
「はあ。申し訳ありません」
「ふうむ。よろしいか北郷殿?」
言ってしまっても、という意味だろう。特別隠さなきゃならないことじゃないし、頷きを返す。
「要するにな、民からの噂を利用する、と言うておるのだ。『天の御使い』などと呼ばれておる者がいれば、そちらへ関心が向くのは当然。しかし、『天』などと名乗ることは、帝に喧嘩を売るのと同義」
その間を折衷すると、自分から名乗らず、しかし噂は否定しない、という辺りになるというわけだ。
673 名前:外史喰らい編第2話(7/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:30:10 ID:vpjAkdA50
説明を聞いて、魏延さんは眉を顰める。
「女々しい奴め。堂々と名乗れないなら正々堂々否定すればいいじゃな―」
最後まで言う前に、厳顔さんが拳骨を落とした。
「言葉を弁えんか、バカモノ」
「ぐ…………ですが――」
「ああ、いいよ別に。自覚はあるからさ」
魏延さんが胡散臭そうにこちらを見る。
「自覚があるだと?ならば何故そんな策を取る?」
「不利益が俺の感情で片付くなら、効果の方が大きいからな。それで民の安心が買えるなら安いもんだ」
実際、噂を流し始めた辺りから、犯罪率が減ったり他所から移ってくる人が増えたり、色々効果が出ている。
「理想論だけで政治ができるわけじゃないからね。最善の手段があって、それを選んだだけだ」
「しかしだな――」
「『水清ければ、魚棲まず』よ、焔耶ちゃん」
紫苑が一言でフォローしてくれた。それで一応は納得してくれたのか、渋々といった感じで魏延さんは頷いている。
この辺の聡明さがやっぱり紫苑だよなぁ、と思―――――駄目だ、また一緒くたにしてる。
ボロ出す前に話題変えよう、と雲に目で打診する。
「ところで。そちらの目的も黄巾党の討伐かと思いますが、この辺りはどうなのです?」
汲み取って、話を進めてくれた。
「黄巾党――彼らのことね。桔梗、私達もこう呼びましょうか」
「うむ。呼び易くていい」
そっか、黄巾党って後世で付けられた名前だっけ。
「巴郡領内の黄巾党を端から片付けていったら、残りが巴東との郡境に集まりおった。お主らも同じ状況なのだろう?」
「ええ、下手に軍を進めれば、即座に侵略になってしますからね」
そこで、と前置きして、本題に入る。
「同盟、といきませんか?」
677 名前:外史喰らい編第2話(8/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:35:09 ID:vpjAkdA50
「ふむ……条件は?」
「主に二つ。まず、互いの領土への進軍は同盟上の行動となりますので、侵略ではなくなります。そして、残りの黄巾党には共同で当たること」
「武器、兵糧に関してはどうするのです?」
「こちらは足りています。そちらで不足があれば融通しますが?」
「こちらも足りておる」
「では、進軍路はどうしましょう?同盟を前提としていない軍が並んで進むのは上策とは思えませんが」
トントン拍子で、雲と厳顔さん・紫苑が話を進めていく。まあ、面会した状況を考えれば、話題は共闘か補給要請のどちらかだし、どっちも頭に入ってたんだろう。
この辺は軍師の出番だし、邪魔にならないように少し下がって光と並ぶ。
「さっきはスマン。助かった」
蜀勢に聞こえないように声を潜めて言う。呆れています、と言わんばかりの溜息が返ってきた。
「次は足だ」
二度目は殺す、って意味か。
「気をつける。――――言い訳になるけど、完全に紫苑と同じ―」
「ならそれを止めろ」
「え?」
「貴様の言う『紫苑』は『その黄忠』とは別人だ。真名を呼ぶ呼ばない以前に、人としての無礼を犯すな」
………ああ、そうか。言われてみればその通りだ。
どれだけ似てても、癖が同じでも、「前」と「今」じゃ違う。それを一緒くたにして「前」で許された真名で呼ぶってことは、「今」の黄忠を蔑ろにしているってことだ。
それは確かに、酷い。やっちゃいけないことだ。
「……分かった。『黄忠』だな」
「それでいい」
681 名前:外史喰らい編第2話(9/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:40:08 ID:vpjAkdA50
光と話してる間に、同盟の話は纏まっていた。
内容は、互いの領内の一時的な通行許可と黄巾党の共同討伐。蜀軍の斥候からの情報で、現地点から南に二十里ばかりの位置に一万強の黄巾党が集結していると分かったので、それに対して挟撃で当たること。
ちなみに、蜀軍の兵数は一万三千だそうな。
「進軍速度を調整し、こちらが少し早く黄巾党と開戦できるようにします。少数と侮ってかかってくる敵を、蜀の軍勢の背面奇襲によって壊滅させる。何かご質問は?」
「ウチの兵数は?」
「予備兵・仮調練の済んだ投降兵合わせて四千五百です」
てことは、まともに戦えるのは四千ちょっとか…
「それで一万相手になんとかなるのか?」
「一万と言っても指導者的立場の者がいるのではなく、追いつめられた連中が寄り集まっただけの集団です。連携の取れない大部隊など陸の鯨より鈍重。そんな連中に負けると?」
何かしら策があるんだろう。自信満々の笑みだ。
「分かった。任せる」
「御意」


蜀の三人と一度分かれて、それぞれの領内から南下して四日。攻撃のタイミング調整のために三日。計七日後、正面には黄巾党の軍勢。
さすがに一万超えの集団ともなると圧巻だ。いや、もっと大勢の上にいたこともあるけど、ここ半年で感覚低下してるようだ。
陣形は、中央に俺と光の部隊。右翼が雲の部隊で、左翼は白帝隊の暫定隊長を指揮に使うらしい。
作戦はかなり単純、というか、白帝城でやったことを多人数相手に焼き直すだけだ。
まず光が先陣を切って黄巾軍に斬り込み、相手を怯ませ、全部隊で追撃。相手が態勢を立て直す頃に一度退いて見せて、追撃させ背後への注意を逸らす。
そこに蜀軍の奇襲と、反転したこちらとの挟撃で勝利、という筋書きだ。
683 名前:外史喰らい編第2話(10/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:45:08 ID:vpjAkdA50
作戦通りに光が先行し、黄巾党を文字通り蹴散らしている。漫画か映画か、という感じで人が飛ぶのを眺めつつ、刀を抜いて掲げた。
「聞け!」
雲に鍛えられている「君主の言葉遣い」で叫ぶ。武官でも文官でもない俺が、戦場で出来る数少ない仕事。
「我が物顔で我らの土地を荒らした下郎共との戦いも、これが最後だ!敵はこちらより多勢だが、怯む必要は無い!諸君らの方が兵としての力は上だ!」
刀の先で黄巾党を指す。
「あの程度の連中に殺されてやるな!ここに逃げ集った暴徒共を倒し、凱旋するぞ!」
言葉を切り、鋭く息を吸う。
「総員――攻撃開始ィ!!」


タイミングを見計らって後退命令を出し、黄巾党と少し距離を取った。
「時間は?」
前線から戻ってきた雲に訊ねる。
「問題ありません、じきに……」
そう言いかけた時、黄巾党の後方から銅鑼の音が聞こえた。黄・厳・魏の旗が翻る。
黄巾党の足が明らかに鈍った。
「―――よし」
三人で頷き合う。
「反転して、大きく深呼吸!三回だ!反撃に移る力を溜めろ!これより―――黄巾党を殲滅する!!」
「「「「「おおおおおおおおお!!!!!」」」」」
686 名前:外史喰らい編第2話(11/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:50:15 ID:vpjAkdA50
両軍がぶつかり合い、場はすでに乱戦の相だった。
とくに黄巾党の混乱は凄い。明確な指揮官がいないのに奇襲なんて受けたんだから当然だろうけど。
そんな中で、だけど目的の場所はすぐに分かった。そこだけ戦場の空気が違う。
「うらぁ!」
「させるか!」
服で他と違う地位だとわかるんだろう、俺に斬りかかってきた黄巾党を、兵士の一人が止める。敵味方入り乱れてる中を進んでるんだから狙われるのは当然だろうけど、今ので何度目だ?
すまん、と守ってくれた兵士に御礼を言って、そのまま走り続ける。
前方に、一人を半包囲するように円陣を形作っている黄巾党が見える。中央には人影が一つ。光だ。
「どけっ!」
鋭く言って、正面で背を向けていた黄巾党を力任せに峰打つ。
それで気付いたのか、光がこちらを向いた。表情が変わる。怒ってるな、あれは…。
予想出来てた反応なので、そのまま円陣に飛び込み、光と背中合わせで立って、陸奥守吉行を構える。
「何故来たっ!?」
開口一番怒鳴られた。
「何で……って、総力戦だってのに、俺だけ後ろで見てるわけにはいかないだろ」
「だからと言って、戦闘能力も無い君主が前線で武器を振り回してどうする!」
「兵の鼓舞にはなる」
「――――」
光の口が止まる。
「それに、囮にはなるだろ?ここに来るまでにも、俺の服見て眼の色変えた奴が何人もいた。そいつらが俺を狙ってくれれば、兵の皆の負担は減る」
「………それで狙われた貴様自身に、そいつらを捌くだけの能力はあるのか?」
「ない。だからここまで来た」
「どういう意味だ」
「護ってほしい。頼む」
言って、チラリと背後を窺う。光は何故か苦い顔をして、小さく呟いていた。周りの喧騒ではっきりとしないけど、「どうして命令じゃない」とか聞こえた気がする。
「……………死にたくなければ、俺から離れるな。眼前の敵は自力で何とかしろ」
「…!ありがとう、助かる!」
「礼はいい、集中しろ。まずはこいつらを片付けるぞ!」
「ああ!」
689 名前:外史喰らい編第2話(12/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 22:55:13 ID:vpjAkdA50
周りにいた黄巾党を倒して、周囲全体から見える位置で戦い続ける。
斬りかかってくる敵を半身で避け、腕を斬りつけた。本当に「斬りつけた」だけだが、それで武器を落とす程度には敵は弱いらしい。
がら空きになった胴に全力で蹴りを入れ、即座にステップで下がる。
光と並んだ。
「さすがに、ハァ、キリが無いな」
呼吸を整えながら、軽口を叩く。血を見てるせいか、妙な高揚感があった。
両軍合わせれば相手より多いとはいえ、全員が一対一で戦えるわけではない。事実俺は、さっきの相手で十六人目だ。
「疲れたならとっとと退がれ」
とっても魅力的な提案だな、それ。
「ハァ、だから、俺一人で退がる訳には、ハァ、いかないだろ」
「なら手を下げるな。苦しいからこそ、外見だけは取り繕え。君主がそれでは兵の疲れが増す」
「――おう」
一回大きく息を吐いて、青眼に構え直す。
その時だった。
「はあああぁぁぁぁぁ!!」
前方――正確には黄巾党の後ろから、物凄い気合が聞こえた。
続いて、人が飛ぶ。角度で見れば、光の蹴り以上の威力だろうか。
「……なにアレ?」
「蜀軍の将だろうな、順当に考えれば」
てことは、まず黄忠さんじゃないな。弓じゃ、どうやってもあんなに人は飛ばせまい。
呆気にとられてると、黄巾党の隊列を破って、気合の元が姿を現した。
「む、確か……北郷一刀に左慈…だったか?」
自分の背丈の倍はあろうかという長さの金棒を持った、魏延さんだった。黄巾党の背後からここまで、まっすぐに来たんだろうか。
「この先はうちの軍だよ」
「そうか、すまんな」
敵じゃないと分かるとすぐに、こちらに背を向けた。
「まったく、雑魚ばかりでつまらん。誰か私を倒せる者はいないのか!」
あ、やっぱりそのセリフ言うんだ。
692 名前:外史喰らい編第2話(13/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:00:07 ID:vpjAkdA50
「手数が増えたぞ、北郷。勢いを殺すな」
ぼそりと言って、光は魏延さんに並んで黄巾党へと斬りむ。
慌てて俺も続く。
が、
「しま……っ!」
魏延さんが叫ぶ。
金棒を振り切ったところを見計らい、小柄な黄巾党が魏延さんの懐に入り込んだのだ。大ぶりな武器なので、間合いの内側なら隙が大きいと判断したんだろう。
「くっ……舐めるなぁ!!」
力任せに、強引な軌道で金棒が翻る。
それは、攻撃はないと踏んでいたのだろう無防備な黄巾党を殴り飛ばし。

そして無理な体勢で振ったせいか、勢いを殺しきれず魏延さんの手を離れ、飛んだ―――――――――――俺へ向かって。

「なぁッ!?」
軽く見積もっても数十キロはあろうかという鉄塊が、それを軽々と振り回す腕力によって、信じられない速さで飛んでくる。
全力で横へ跳ぶ。
だが、間に合わない。左腕、最悪左半身が巻き込まれる軌道だ。
「北郷ォっ!」
光の声が響く。
金棒が腕にぶつかる直前に、横方向からの重い衝撃。鈍い痛み。
左を見れば蹴り上げた脚を反動で引き戻す光がいて、彼が咄嗟に俺を蹴り飛ばしたんだと理解する。
瞬間、左腕に熱のラインが走った。
「がッ……あ!…」
蹴られた勢いのまま、地面に倒れ込む。衝撃で左腕のラインが熱を生む。
「魏延、貴様ァ!!」
光が叫んでる。
痛みに耐えつつ、左腕を見る。
直径二センチぐらいだろうか。服を千切り、肉を喰い、血を流している半円があった。
「ち、違う!今のは――!」
695 名前:外史喰らい編第2話(14/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:05:06 ID:vpjAkdA50
狼狽した魏延さんが弁明してる。
「問答無用!」
光が魏延さんに飛びかかろうとしている。
「やめろ…」
それはしちゃいけない。まだ戦いの最中なんだ。味方同士で争っちゃ駄目だ。
「やめろ、光!!!」
「―!」
殺気を剥き出しにした姿勢のまま、光がこちらを向いた。
左腕を押さえて立ち上がりながら、言葉を続ける。
「今は、そんなことしてる……場合じゃ、ないだろ…!黄巾党を倒すのが先だ!」
「主を殺されそうになって、黙っていられ――」
「左元放!」
真名でなく、姓と字で呼ぶ。
「俺達の目的のためには、こんなところで負けるわけにはいかない。無駄に兵を失うわけにもいかない。違うか!」
「―――違わん」
「なら、兵の前で喧嘩なんか見せるな!俺なら問題ない!蜀軍と協力して、戦闘を再開しろ!」
「――御意」
名前で呼ばれたことで頭が冷えたのか、一応は殺気を抑えてくれた。
「魏延」
光は呼び掛けて、転がっていた金棒を魏延さんの方へ蹴り飛ばす。
「言い訳は後で聞く。今すぐ殺されたくなければ、そいつを向ける先を間違えるな」
「あ、ああ……!」
魏延さんを伴い、光は三度黄巾軍の中へと突進していく。
698 名前:外史喰らい編第2話(15/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:10:20 ID:vpjAkdA50
安堵して大きく息を吐いた瞬間、体が崩れた。
と、兵士の一人に支えられる。
「お疲れ様です、一刀殿」
………あ?
一般兵に、俺のこと下の名前で呼んでくるような人―――いや、違う。
「雲か」
傀儡だ、コイツ。いつの間にこんなの仕込んだんだ。
「万が一を考えて、各部隊に一体ずつ配備していますよ。ほら、手当しますから、腕を出してください」
言われるまま上着を脱いで、傷口に触れないようにしてシャツの袖を捲りあげた。
「指は動きますか?」
「動くけど?」
「なら、神経までは達していませんね。問題は傷口の処理ですが……どうにも面倒な形ですね、これは。いっそ焼いてしまいましょうか」
いや、あの、できたらあんまり痛くない方法がいいんだけど。
「無茶をした罰です。前線で戦い兵を鼓舞する、という判断はよろしいですが、何も最前線で斬り合うことはないでしょう」
「あー……っと、ごめん」
「謝るのなら、次はやらないでいただきたい。………ふぅむ、これは前線での処置では足りませんね。そろそろ戦も終わりでしょうし、後方へ下がってください。腰を落ち着けて処置しましょう」
700 名前:外史喰らい編第2話(16/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:15:10 ID:vpjAkdA50
傷は、結局焼いて塞ぐことにした。というか、された。
何されたか分からないけど、衛生兵の隊に着いた時に雲(傀儡)に気絶させられたらしい。
目が覚めた時には、左腕に包帯が巻かれていた。痛み止めも飲まされたらしく、皮膚が突っ張る感じがする以外は問題ない。
さすがに傷痕は残るそうだが、仕方ないだろう。
ちなみに、傷が大したことないと分かった途端、光は怒りを納めた。いや、魏延コロス魏延コロス、でいられても困るんだけど、なんか複雑だぞ。
で、事後処理とか色んな用事でもう一度蜀の三人と会うことになったんだけど。
「申し訳ない!!」
会議の席で、いきなり魏延さんに土下座された。
えーと、どうなってるんだ、これ?
「ワタシが至らぬばかりに、危うく北郷殿を殺してしまうところでした!お詫びとして、この魏延の首、お納めください!」
「……はぁ!?」
ちょっと待てよ、何でそんなことになってるんだよ!?
まさか、光か?あの場で殺そうとしてたこと思えば、考えられなくはない。
問い質そうと、光の方を見る。
「俺じゃないぞ。向こうから言ってきたことだ」
予想していたのか、こっちが口を開く前に答えが返ってきた。
だったら、尚更そんなことできるかよ。
「別にいいよ、魏延さん。怪我で済んだんだし」
「そうもいかんのです、北郷殿」
答えたのは厳顔さんだった。
「結果がどうあれ、焔耶の奴が貴方様を殺しかけたのは事実。それに対して、何らかの処罰をせねばならぬのです」
「処罰って、殺しちゃうのはやり過ぎだろう」
それに、あれは事故みたいなもんだ。
「事故だろうが何だろうが、同盟相手の君主の命を危険に晒して、何もせぬわけにはいきますまい」
「いや、だから―――」
俺の方は気にしていない、と続けようとして、口を閉じた。
708 名前:外史喰らい編第2話(17/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:20:10 ID:vpjAkdA50
二人の女の子のことを思い出したからだ。
華琳と蓮華。
そういえばあの二人も、最初は「敗軍の将への処罰」として抱いたんだった。
要するに、こっちの問題じゃなくて、あっちの問題ってことか。何かしら納得できるだけの罰を与えないといけない。
「……雲」
小声で相談する。
「この場合、死刑ってのは妥当なのか?」
「行き過ぎている感はありますが、まあ、妥当なところでしょうね」
「……他の刑に振りかえるとしたらどうなる?」
「ふむ。棒叩きが二百か三百か……」
「棒叩き二百って……。斬殺か撲殺か、ってだけじゃないか」
苦肉の計を思い出しても分かる。あれでさえ百を五十に減らしたんだ。それを二百も叩いたら、殺す前に拷問が加わっただけだ。
「単純に立場で見れば、魏延殿は一刀殿の下ですからね。加えて、事故とはいえ同盟相手の君主を殺しかけた、となれば死刑に至ることに不思議はありませんよ」
理屈はわかる。考えも理解はしてる。
だからって、はい分かりました、って殺せるかよ。
何か無いか………?殺さず、拷問もせず、それでいて魏延さんを納得させられる罰………
あ。
そうだ。それがあった。
「魏延さん」
「はいっ!」
「君は殺さない。あれは事故だし、俺自身も気にしてないからね。ただ、何か罰が無いと納得できない、っていうのも理解してる。だから―――」

「体で払ってもらう」
718 名前:外史喰らい編第2話(18/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:50:17 ID:vpjAkdA50
言った瞬間、周りの空気が凍りついた。
「そ、それは……いや、しかし、ワ、ワタシの首よりそれを望まれているのであれば……」
半泣きの表情で魏延さんはぶつぶつと呟いている。
「北郷殿……それは……」
黄忠さんが、どこか軽蔑するみたいな目で俺を見る。
「趣味の悪い御仁よ……しかし、あちらからそう言われては……」
厳顔さんも同じ表情だ。
……あれ?そんな風に言われるほど酷いこと言ったっけか、俺?確かに嫌なことではあるだろうけど…
「ど阿呆」
「だっ!」
光に思いっきり後頭部を殴られた。
そちらを向くと、呆れたような表情で「言葉が足らん」と言われた。
え?
「御自分の言葉を、思い返してみてください」
雲に言われて、反芻する。
えーと………………………………………………………………………………………あぁッ!
「だッ!待っ、ちょっ、待って!タイム!違う!そういう意味じゃない!!」
思い至って、慌てて訂正する。
あぁ、もう、この馬鹿野郎!誤解されるに決まってるじゃないか、あんな言い方!
「体で、ってのは、つまり!働いてってことで!将として欲しいって意味で!」
「「「え?」」」
三人の視線が集まった。
安堵のため息をついて続ける。
「漢王朝の衰退や今回の件を見るに、これからこの大陸は、長い戦乱の時代に入ると考えてる。その時に生き残るための力を溜めておきたいんだ。現状じゃまず、将がいないもんでね。魏延さんに、ウチで将軍職に就いてほしいんだ」
「………それは……構わぬのか?」
「それはむしろこっちが訊きたいんだけどね。ああ、別にずっと拘束しようって訳じゃないよ。扱いは客将で、俺たちに十分な力が付くまででいい。もちろん、魏延さんが嫌なら無理には引き抜かないけど………どう?」
720 名前:外史喰らい編第2話(19/19)[sage] 投稿日:2009/05/13(水) 23:55:07 ID:vpjAkdA50
白帝城は巴郡よりも大陸中央寄りにあるわけで、なにかあるとしたら巻き込まれる可能性も高いし、住み慣れた土地を離れることにもなる。そういう建前もある。苦しいけど。
「北郷殿が望まれるのなら、わしらに拒否権は無いが……それこそ、焔耶次第ですな」
ああ、そっか。
とりあえず魏延さんの手を取って、立たせる。土下座した相手に交渉なんてできるか。
「魏延さん、どう?無理強いはしたくないから、嫌なら言ってほしい」
「その……ワタシでよろしいのですか?」
戸惑うように訊かれた。
「魏延さん『で』じゃなくて、魏延さん『が』いいんだけど。……駄目?」
「あ……」
数秒の沈黙。
そのあと、魏延さんは厳顔さんの方を見た。
「桔梗様」
「決めたか」
「はい。このような未熟者を必要としてくださる御方です。北郷殿のために働きたいです」
あ、それってつまり……
「そうか、達者でな」
「はい、桔梗様も」
彼女は再びこちらを向く。
「我が名は魏文長!真名は焔耶と申します!焔耶とお呼びください!」
「え、いや、別に真名まで許してもらう必要は…」
「主に真名を預けるの当然のことです!まして、北郷殿はワタシの命の恩人ですから!」
命の恩人って……ああ、斬首止めたからか。命を救った、と言えなくもないが。
「そのぅ……もしかして、ワタシみたいな者の真名を預かるのは御迷惑でしょうか?」
「いや、光栄だし、むしろ嬉しいけど」
「ならば焔耶とお呼びください、お館!」
「―分かった。これからよろしく、焔耶」
「はい!」
726 名前:外史喰らい編第2話[sage] 投稿日:2009/05/14(木) 00:09:24 ID:T/HMt4Rh0
以上です。

今回のテーマ:桃香いなけりゃ、普通にデレるんじゃね?

傀儡について
「傀儡の数と操作精度は反比例する」という裏設定を付け加えてあります。
今回くらいの精度だと、せいぜい数十体が限度です。
それに、傀儡百万で力押し、なら確かに楽勝でしょうが、そんな軍隊のトップに心開くか、と考えるとやれないわけです。
上も下もチートじゃ、戦争シーン書く意味無いですしね。

ほのぼのレ(ryについて
あれは女の子からの提案だから「ほのぼの」なんであって、
自分から言ったら、ホントに単なるレ(ryでしょう。

次回は反董卓連合、といきたいのですが、その前に書きたいシーンがあるので、
3.5話という形になります。
支援、ありがとうございました。

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