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189 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 10:13:45 ID:Psv2x+qI0
メーテルさん乙です。
自分も稚拙ながら、短編を投下したいと思います。
5レス程度です。
190 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 10:16:14 ID:Psv2x+qI0
 事の始まりは穏の相談からだった。
「最近、祭様の様子がおかしいんです」
 いつものように政務室で書類と格闘していると、追加の書類を持ってきた穏がそう言ってきたのだ。
「おかしいってどんなふうに?」
 俺はひとまず手を休めようとしたが、
「手を止めるとまた夜までお仕事をすることになりますよ〜」
 先に釘を刺されてしまった。
 仕方なく、再び書類を片付け始めた俺を見て、穏は話を続けた。
「祭様ったら、お部屋でよく書類仕事をなさるんですよ」
「え。そうなの?でも、それは良い事じゃ……」
「でも〜、なんか心配になるじゃないですか」
「まあそうだけど、もう少し様子を見てみれば?俺も気に掛けるようにはするよ」
「そうですか?ならお願いしますね」
 こんな会話をしたのが2週間ほど前。
 それから気に掛けるようにはしたが、俺にはあまり分からなかった。

191 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 10:18:21 ID:Psv2x+qI0
「一刀様。最近、祭様と何かありました?」
 翌週には追加の書類を持ってきた亞莎がそう尋ねてきた。
「亜莎もか。なるべく気に掛けるようにはしてたけど、そんなおかしかった?」
「はぁ、一刀様。鈍いにもほどがあります」
 完全に呆れられてしまった。そんなに祭の様子おかしかったかな?
「一刀様。祭様はここ最近お酒を飲まれていないんです」
「えっ!それ、本当なの!?」
「そうですよ。しかも訓練もそれほどきつくないんです」
「祭、何があったんだろう?」
「とにかく、一刀様はもっと祭様に気を配ってあげてください」
 そう言うと亞莎は部屋を出て行った。

「一刀。いるか?」
 祭を探しに行くために、大急ぎで書類を片付けていたら、当の本人から出向いてきた。
「祭さん!最近様子がおかしいって、みんな心配してたんだ。何かあったのか?」
「おお、儂のことを心配してくれるのか。ありがたいことじゃ」
「茶化さないでよ。本当に心配してるんだから」
「すまん、すまん。だが、一刀。お主のせいでもあるんだぞ」
「どういう事?俺、祭さんになんかした?」
「まあ、自分の胸にでも聞いてみるんだな」
 そういうと祭さんは出て行ってしまった。そういえば一体何の用だったんだろう?

193 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 11:19:01 ID:Psv2x+qI0
それから祭さんを見かける度に、どういう事か聞いてみるけど、相変わらずはぐらかされてしまう。
 そんなこんなで今日。急な会議が開かれることになった。
 俺を呼びに来た侍女が言うには、祭さんがみんなを呼んだらしい。
 俺が広間へ着いた時には、既に皆集まっていた。俺は急いで席に着くと祭さんが口を開いた。
「さて。今日は儂から皆に、報告があって集まってもらった」
 みんなじっと祭さんを見つめて、次の言葉を待った。
「ここしばらくの儂のせいで皆に心配を掛けたようじゃな。すまなかった」
 頭を下げ謝る祭さんに、蓮華が優しく声を掛けた。
「そうよ。祭、何かあった?私たちに出来ることなら何でも言って」
「そう言ってもらえるとありがたい。そこで本題じゃが、しばらく休暇が欲しいのじゃ」
「休暇?まあ上げられなくないけど、やっぱり何かあったの?」
「実はな……」
 そこで言葉を句切り、あれ、なんで俺の方を見てしかもうっすら笑ってるの?
「赤子が出来たのじゃ」
「「「「…………」」」」
 皆、固まってしまった。うん、だって祭さんが何を言ってるのか分からないんだもん。
「…祭、ごめんなさい。もう一度言ってくれるかしら?…」
 蓮華が勇気を出して祭さんに尋ねた。
「なんじゃ。聞こえんかったか?赤子じゃ。赤子が出来たのじゃ。勿論一刀との子じゃよ」
「…誰にかしら?」
「誰も何も儂に決まっておろう。それともあれか。皆も出来たのか?」
 誰もその問いには答えなかった。なんでかな、この部屋急にとっても寒くなったぞ。
「……祭。休暇の件は許可します。今日からは安静に過ごしなさい」
「そうか、ありがたい。儂の用件はそれだけじゃ。皆時間を取らせてすまなかったな」
 そう言うと祭さんは部屋を出て行った。途中で俺に「頑張るんじゃぞ」と、一声掛けて。
195 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 11:23:38 ID:Psv2x+qI0
 祭さんが出て行ってからは、もはやカオスとしか言いようがありません。
 みんな俺の側に集まってそれぞれ抗議してくるんですもん。
「一刀様…」
 明命は目に涙を浮かべながら俺の袖をつかんでくるし、
「ぶー。シャオが一番乗りするはずだったのに〜」
 小蓮は文句を言いながら俺の背中に乗ってくる。
「…………」
 思春は無言で俺を睨んでいるし、
「…一刀様」
 亞莎は拗ねつつも、明命とは逆の袖を掴んでいる。
 この子達はまだいい。だが問題はあとの2人だ。
「一刀さん〜、私の事も忘れないで下さいね〜」
 穏は笑顔でそう言うが、目が全く笑っていない。正直、とっても恐いです。
 で、さらに問題なのがこの人。
「カズト、ドウイウコトカセツメイシテモラオウカシラ」
 片言で俺に詰め寄ってくるのは蓮華さんです。もうね、あなた誰?って感じです。
 もう恐いってレベルじゃありません。死を覚悟してしまいます。
 だって、さっきまでまとわりついていたみんなが、部屋の隅に一カ所に固まってガタガタと震えてるだよ?
 俺もそっちに混ぜて欲しいです。あ、駄目ですか。…だれか助けて下さい。
「サアカズト。タップリイイワケシテチョウダイネ…」
 俺は哀れな子羊の如く蓮華さんに連れ去られていきました。
 その後2日ぐらい記憶が飛んでるんだけど、何があったんだろう?
 辺り一面を褐色や白色それに時折ピンク色が映る光景が頭に浮かぶんだが、これが原因なのかな?

197 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 11:28:42 ID:Psv2x+qI0
 後日、ようやく祭さんから詳しい事情を聞くことが出来た。
 今から1ヶ月ほど前ぐらいから、体の調子が悪かったとの事。
 すぐに治るだろうと思っていたが、あまりに長引くため医者に相談。
 その時、妊娠してることが分かったみたいだ。
 どうせだったら皆を驚かせたいと思い、黙っていることにしたらしい。
 そのため、妊娠が分かってからは、子供を気遣い書類仕事ばかりしていたようだ。
 だが相談した医者(担当医になってもらったらしい)に体も少し動かした方がいいと言われ、
 訓練を軽くだが行うようになったらしい。
 またその時、お酒を飲んでいるのがばれて医者にこっぴどく叱られ、断酒も始めたようだ。
 で、そろそろお腹も目立ちはじめ、誤魔化すのも大変だろうと思い皆に打ち明けたのがこの前のことらしい。
 事情を説明し終わった祭さんが笑いながら俺に謝ってくれたが、何故なんだろう?
「皆をまとめて相手するのは大変だっただろう」って言ってるけど、俺いつ相手したのかな?

 数年後、城内は子供達の活気ある声があちこちで聞こえるようになったのは言うまでもない。

198 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 11:44:34 ID:Psv2x+qI0
投下終了です。
支援して下さった方、本当にありがとうございました。
初SS、初投稿と気合いを入れた結果が規制ですか…。
次回があれば勉強して出直してきます。

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