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501 名前:風鈴  ◆VOACf8e.7. [sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:29:11 ID:clCHKta30
──真√──

真・恋姫†無双 外史
北郷新勢力ルート:Interlude5


はわわ特集も終わりましたので、
はわわの活躍しない真√

6レス程投下してもよろしいかな?
504 名前:真√:Interlude5 1/6[sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:33:48 ID:clCHKta30
「申し上げます!平原の相、劉備殿以下、関羽殿、諸葛亮殿、北平太守、公孫賛殿が見えられ、
御遣い様にご面会を希望されております!」

 虎牢関戦に備え、戦支度をする北郷一刀以下、漢中勢の下へ、そんな伝令が伝えられた。
一刀は、ふむと唸ると、「どう思う?」と風、そして稟へと問いかける。

「まぁ間違い無く、水関の戦いの件に関してでしょう」
「でしょうねー。恐らくは華雄隊に対する我々の対応についての質問……と言ったところでしょうか。
とにかく会ってみるのがよろしいかとー」

 そんな二人の言葉に、一刀は「わかった」と頷く。
「ここへお通しして」
「はっ!失礼致します!」
 勢い良く返事をし、劉備達を向かえに行った兵士を見送る。
「そういえば、星は劉備さん達とは知り合いだっけ?」
「おや、よくご存知で。
 諸葛亮とは初対面になりますが、桃香殿、愛紗、それに伯珪殿とは、……伯珪殿の所で少々親交がありまして」
「ふむ……星が真名を許す程の人物ですか」
 星の言葉の中で、劉備と関羽と思われる人物を、真名で呼んでいる事に気づいた稟が言う。
「ああ。志有る、一角の人物だろう。最初の別れの時、主の想いを聴いていなければ、
彼女の元へ行っていたかもしれぬよ」
「そこまでの人物ですか……」
 そして星はちらりと、風と稟の胸元を一瞥し、
「うむ。……そうですな、主にとっては悦ばしい出会いかもしれませぬな」
 色々な意味を込めて、そう言ってのけた。


 そして今、一刀の前には四人の人物が立って居る。
 それぞれに、劉玄徳、関雲長、諸葛孔明、公孫伯珪である事を告げた少女たちに相対しながら、
一刀は先ほどの星の言葉の意味を理解していた。
 なるほど、立派だ。
506 名前:真√:Interlude5 2/6[sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:38:19 ID:clCHKta30
「それで、本日はどうしたのかな?」
「はい。水関での戦いの折に、華雄隊を後ろに逸らしてしまったことへの謝罪を」

 答えたのは、諸葛亮と名乗った少女。
 それに対し、凛が言う。

「いえ、戦場において、戦況は千変万化するもの。謝罪など不要です。
 むしろ……こう言ってはなんですが、その程度の事で謝罪に見えられる事の方が不可解といえましょうか」
「…………」
「…………」
 二人は互いに様子を伺うように見つめ合うと、

「はぁ……余計な探りあいは不要……といったところでしょうか」
 先に折れたのは、諸葛孔明であった。

「単刀直入にお聞きします。あの時、あなた方は華雄をさらに後ろへ流す事が出来たはずです。
……いえ、それを思いつかなかったとは思えません。
 ですが、実際はあなた方は華雄隊と正面からぶつかった。その上、華雄隊が退却しても、
追撃することなく見送りましたね。
 ……私達は、あなた方の真意をお聞きしたいのです」
「真意……か。まあいいか」
「おや、よろしいので?」
 彼女等の人物像を聞いたのが、先程の星の言葉のみの上での、今の言葉であったためか、
星がそんな疑問の声を上げる。
 彼女としては、もっと劉備達の人柄を知ってから、考えを話すと思っていたからだ。
「ああ、構わないよ。……稟、説明任せる」
「はっ。我々は──」
 一刀に言われて、稟が劉備達へ董卓の性格、現状、そして一刀達の考えを話して行く。
 そしてそれを聞く劉備達の表情は次第に険しいものになって行った。

「では、この戦いに大義は無いって事ですか?」
「俺達はそう思ってるよ」
510 名前:真√:Interlude5 3/6[sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:42:39 ID:clCHKta30
 一刀達の現状の説明に、劉備は押し黙って何かを考え、
「あの……少し失礼しますね」
 と、関羽、諸葛亮、公孫賛をともなって席を外した。
「ああ、君らの考えを纏めてくれ」
 一刀は少し離れた所で話し合う劉備達を何とも無しに眺めながら、
「さて、どんな答を出してくるだろうな」
 と一人ごちる。
 もっとも……彼女が、“一刀が認識している劉備像”の通りの性格であるならば……
答えは決まっている様なものだが。


「あら、取り込み中だったかしら?」

 劉備達の判断を待っていると、そんな言葉が聴こえてきた。
 そしてやってきたのは、

「おや、孫策さんに周瑜さんではないですかー」

 孫策と周瑜、それに、一刀達の見知らぬ……日本刀に似た、長い直刀を背負った少女であった。

「おや、あれは……劉備勢に公孫賛か」

 離れた所で話し合う劉備たちを見つけた周瑜が言う。

「ふむ……差し詰め、先の水関の戦いにおいての貴公らの対応についてと言ったところか?」
「さすが、お見通しだね」
「ところで……私達もその事で話があって来たのだけど」
 そう切り出した孫策へ、一刀達の視線が向く。
「冥琳から貴方達の考えは聞いたわ。董卓を助けたいんですってね。
……よかったら、私達も出来る限り協力させてもらうわよ?」
「孫策さん達がですか?」
513 名前:真√:Interlude5 4/6[sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:46:48 ID:clCHKta30
 そんな孫策の言葉に、風が意外だと言う様な声を上げる。
 彼女達の現状を思えば、“月達”を助けるよりも、“悪逆董卓”を倒す方が、何倍も利点が有るからだ。
 孫策も、風の言いたいことが解ったのだろう。
「私達だって鬼じゃないのよ?」
 と、苦笑しつつ言う。
 
「水関占拠の第一功を挙げることは出来たし、冥琳にも伝え聞いたと思うけど、貴方達には借りが有るから、
ここらで手伝って置いてもいいかなってね。
 ……まぁ出来れば董卓を助けるのはいいけど、洛陽一番乗りを譲ってくれると嬉しいけどね。……明命」
 最後にそう付け足して軽く笑う孫策は、自身の背後に控えていた直刀の少女を呼ぶ。
「はい!」
 名を呼ばれた少女は、緊張した面持ちながらも勢い良く返事をし、前に進み出る。
 
「私は、周泰と申します!義と徳の人と名高い『天の御遣い』様にお会いできて、光栄です!」

「あ、ああ。……この娘は?」
 キビキビと、そして嬉しそうに言う周泰に、少々押されながら一刀が聞く。
「先日ちらっと話したと思うが……諜報や隠密に優れた将だ。
 虎牢関はともかく、洛陽において役に立つかもしれん。連れて行ってくれ」
 そう言う周瑜に、一刀は「いいのか?」と言う視線を向ける。
 これは彼女等にとって、確実に戦力ダウンであることは明白だからだ。
「構わない。手伝うと言ったが、袁術の目が有るから大っぴらには助力できないからな」
「そっか……じゃあ、ありがたく、手伝ってもらうよ。……少しの間だろうけど、よろしくね、周泰」
「はい!不束者ですが、よろしくお願いします!」

「そうそう明命、北郷軍の戦力調査もしっかりやっておきなさいよ?」
「え!?……あの、雪蓮様、その様なことはご本人様達の前で言うのは……」
 軽くふざけた様に言う孫策に、慌てる周泰。

 冗談めかして言ってはいるが、諜報活動に特化した者の派遣……と言うからには、
そう言う意味合いも持っているのだろう。
515 名前:真√:Interlude5 5/6[sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:51:02 ID:clCHKta30
「良いのよ。彼らも解ってるだろうし、まぁ袁術に対する建前って意味合いもあるんだから」
 余りに解り易いその狙いは、孫策としての気遣いか。
 もっとも、一刀達としても現状において探られて痛い腹も無いので構わなかったが。


「えっと……よろしいですか?」

 孫策達との話が一段落着くのを待っていたのか、そこに戻ってきた劉備達が話しかけてきた。

「うん、方針は決まったかい?」
「はい。……私たちも、できれば北郷さん達を手伝わせていただきたいと思います。
 北郷さんに聞いた董卓さんの現状が本当なのであれば……私達にとって、この連合には意味がありません。
 実際、朱里ちゃん達が調べてくれた周辺領民の様子も、北郷さんのおっしゃっていた現状と一致しますし……」
 そこまで言った劉備は、少し眉根を落とす。
「ですが、私達が連合に歯向かった所で、袁紹さん方に叩き潰されるのが眼に見えています。
 だったら、私達は北郷さんたちに協力して、せめて董卓さん達の命を助けたいと思います」
 
 それは、一刀にとって予想していた通りの返事で。
 けれどもやはり、自分達の想いが解って貰えたと言うのは嬉しいもので。

「……ありがとう」

 心からの感謝を込めて、そう言うのだった。


「次の虎牢関。……調べた所によると、詰めているのは神速と謳われる将、張遼と……飛将軍、呂布だ」
「張遼は水関にも居たようですが……呂布は初手合わせですね」
 一刀が発した虎牢関の情報に、関羽が言う。
「あまり気が優れないようですが……何か不安でも?」
「……関羽さん、それに星、周泰」
519 名前:真√:Interlude5 6/6[sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:55:17 ID:clCHKta30
 そう言って来る関羽と、次に前線に出るであろう、星と周泰に呼びかける一刀。
「次の虎牢関、出来ればあまり無駄に戦わないで、敵将の説得に努めてくれ……
 けどもし……万が一呂布と戦うことになった場合、絶対に一人で当たるな」
 そう神妙な顔つきで言う一刀に、自然と全員の顔が険しくなる。
「呂布とは、それほどの人物なので?」
 そう聞いてきたのは関羽。
 その顔にはいぶかしさと共に、強い相手と戦えるのかもしれないという期待があった。

「呂布が俺の知っている呂布であるならば……
おそらく、関羽さんに張飛さん、そして星。三人掛りでようやく互角だ」

「「「そんな!?」」」
 一刀の言葉に、異口同音にその場の皆の声が重なる。
 孫策達には星は実力を見せてはいないが、水関の戦いにおいて、
関羽と張飛はその実力を遺憾なく発揮しており、その様子は孫策達もしっかりと見ていた。
 その三人がかりでようやく互角……そんな言葉に、全員が「信じられない」と言ったような顔をしていた。

「今は信じられないかもしれないし、俺の杞憂かもしれない。
けど、心のどこかには止めておいてくれ」

 そう、いくら彼らが董卓軍とは敵対したくないと言っても、あちらに伝わっていなければ意味が無い。
 北郷軍の他、涼州軍、劉備軍、孫策軍、公孫賛軍と、協力者も増えては居るが、
次の戦いも、決して油断していいものではないのだ。
 
 
 そしていよいよ、連合軍は虎牢関へと迫っていた。
520 名前:風鈴  ◆VOACf8e.7. [sage] 投稿日:2009/04/11(土) 22:56:31 ID:clCHKta30
今回前振りのほうが色々抜けておりました。失礼。
事後的になりますが、6レス程お付き合い下さり、ありがとうございます。

尚、本作品はご都合主義で出来ております。お気をつけ下さい。


さて、次は虎牢関……とのたまって置きながら、Interludeを挟むことになりました。
まあ事前に背景説明でもしてあった方が楽だろうってだけなんですが。


さて、次こそ本当に虎牢関戦と相成りましょう。

対するは、猛将張遼、万夫不当と謳われる呂布。


決戦の行方は、いかに。



では、またいずれ。

多数の支援に感謝を。

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