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578 名前:真√:反董卓連合之一[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:32:17 ID:f/daijSp0
何か流れ的に投下するの勇気がいるんですがw
今回は一段落毎に小出しにして自分を追い込もうと思います。

そんなわけで


真・恋姫†無双 外史
北郷新勢力ルート:反董卓連合


7レス程お付き合い頂けると幸いです。
581 名前:真√:反董卓連合之一 1/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:35:11 ID:f/daijSp0
 漢王朝崩壊の序曲とも言うべき、黄巾の乱はその幕を下ろした。
 乱における功績により、各地の有力諸侯はその力の裾野を広げ、
また新たな勢力が各地に生まれる。
 そう、時代は新たな幕を開けたのだ。

 群雄割拠と言う名の、力の時代が。



 黄巾の乱終結より約二ヶ月。ある者は己が天下を治める為に、
ある者は後ろ盾を得る為に、またある者は漢王朝の復権の為に……
各地の諸侯は上洛の機を伺っていた。
 そんな中、時代は思わぬうねりを迎える。

 ──時の皇帝、霊帝の死である。

 力の衰えた王朝に、その皇帝の死。……待っているのは言わずもがなであろう。

 機先を制したのは大将軍・何進である。
 何進は后妃である己が異母妹、何太后の息子、弁を皇帝へと据えようと画策する。
 無論、小帝を傀儡とし、実権を握る腹づもりであろう。
 だが、それを良しとしない者達が居た。
 何進たち外戚のものと反目し合っていた、宦官の長たる者達──十常侍である。
 十常侍は弁よりも聡明であった、弁の異母弟である劉協を皇帝へと据えようと動くが、
軍部を掌握する何進には及ばず、弁が小帝として即位し、劉協は陳留王となる。
 これで、宮中の権力争いは終わりを告げる……はずも無かった。
 あろうことか、十常侍は謀をもって、宮中にて何進を暗殺し、何太后を追放するのである。

 そして、血で血を洗う骨肉の争いは更に激しさを増していく。

 何進の仇を討たんと、袁紹・袁術を筆頭に、配下の将軍達が宮中に押し入り、
宦官達の排除に乗り出したのだ。
582 名前:真√:反董卓連合之一 2/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:38:58 ID:f/daijSp0
 それにより、十常侍の内数名が殺されるも、生き残った筆頭たる張譲以下、
数名の十常侍達が、少帝と陳留王を連れて逃亡した。
 彼らは西方にて、黄巾の乱終結を機に家督を譲り受け、力を蓄えていた董卓を味方に引き入れると、
その兵力を頼りに都へ攻め戻り、何進の残党を追い散らした。
 だが、その張譲達も、少帝を廃し陳留王を献帝として立てた後、董卓に裏切られ、
滅ぼされる事になってしまう。

 ──こうして、宮中を巡る権力争いは、董卓による洛陽支配と言う形で終結した。



「――――故に、世を憂う英雄達よ、董卓の悪鬼羅刹が如き暴政に苦しみ、
悶える民を救うため、我等の元へ集いて立ち上がられたし!

 ……以上が袁紹さんよりの檄文の内容になりますねー」

 黄巾の乱における功績で、漢中の太守となった一刀達の元へその檄文が届いたのは、
今朝のことだ。
 ここ最近、洛陽周辺で起こった出来事が懇切丁寧にわざわざ書かれたその檄文を読み終え、
風は「やれやれ」と何ともいえない溜息を吐く。
 漢中城内にある閣議室に、緊急で集まった他の面々──一刀、稟、星も皆、
風と同じような表情をしている。
 ……言うなれば『信用できない』。

「あー…………俺には月や詠が“悪鬼羅刹の如き暴政”を行う子だとは思えないんだけどな」
 皆も同じ気持ちだろうが、一応そう口に出した一刀に、やはり他の皆も思い思いに首肯する。
「まあこれはあくまでも袁紹さん側の見方ですからねー。このように書かれてるのも仕方の無いことです」
「それを踏まえまして、考えられるのは……」
 稟が風の後を継いで言い、その“可能性”を挙げる。
586 名前:真√:反董卓連合之一 3/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:42:15 ID:f/daijSp0
 一つ、本当に月達が悪政を行っている。
 二つ、他の部下達が暴走し、悪性を行っている。
 三つ、何者かに利用されている。
 そして最後に、袁紹達による流言飛語。
「……ふむ。では我々はそれらを考えた上で、この連合に参加するか否かを決めなければいけないわけか」
 稟の説明を受けてそう言った星の言葉に、しかし風と稟は首を横に振る。
「いいえー。残念ながら、我々はこの連合に参加せざるを得ません」
「……どういうこと?」
「問題となるのは三点。この檄文の内容と、檄文が発せられた規模と、
我等の元へ届いた時期ですねー」
 風がそう言うと、星は解ったのか……ふむ…なるほど。と頷くが、
一刀はいまいち解らない様子で考え込んだ。
 その間、三人もまた黙って一刀の考えがまとまるのを待つ。

 風たちは基本的に、一刀が自分から考え、答を探す間は口を挟むことは無い。
 一刀が事有るごとに“考える”様になったのは、旅を始めてしばらく経った頃……

『どのようなことでも考え、自らの答を求めることは決して無駄なことにはなりません。
それはいずれ必ず、ご主人様のお力となりましょう』

 いつか為政者になるであろう一刀の事を考え、風がこのように言ってからであっただろうか。

 

 少しして何かに思い至ったのか、「ああそうか」と漏らすと、風に向き直って口を開く。
「……もしかして、風評か?」
「はい、その通りですよー」
 一刀の出した答えに満足したのか、にっこりと笑って頷く風。
587 名前:真√:反董卓連合之一 4/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:45:31 ID:f/daijSp0
「この檄文は、大陸の主だった諸侯へと送られているわけですが、
受け取った諸侯の多くは……義憤か打算か……思惑はともかくとしましても、
多くの諸侯が何らかの形で連合への参加を見せているのですよー。

 そして世の多くの民草にとっては、それは『悪政を働く董卓を倒す正義の連合』に映るわけですねー。
 それにましてご主人様は、義勇軍の頃から『弱気を助ける天の御遣い』として通っておりましたから」
「……悪政に苦しむ民の為……なんて銘打ってるこの連合に、参加しないわけないはいかない。
……ってことか」
 はぁ、と、思わず溜息を吐きながら言う一刀へ、凛が風の後を継いで説明を続ける。

「そして最後の、我々に檄文が届いた時期ですが……
 この檄文に書かれている刻限に間に合うようにするには、すぐにでも準備をして発たねばなりません。
……この檄文の内容の真偽を、月殿達へ確かめる時間を取らせない……
また何とも嫌な時期を見計らって送りつけてきたものです」
「……ってことは、これってやっぱり狙ってこの時期に送りつけてきたのか?」
「ええ、間違いなく。
 我等の領地が今も昔も董卓軍と接している事は明白ですから、
かねてより親交があったと見られていても仕方有りません。……実際に、真名を許しあっている仲でもあります。

 其れ故にこの時期に檄文を送りつけ、有無を言わさず連合の方へ引き込もうとしたのだと思われます」

 稟の説明に「なるほどね」と頷く一刀に、風達は改めて向き直ると、
「それではご主人様、ご採択をお願いいたします」
 と、最終的な決議を求める。それまでの軍議でいくら決定的な意見が出ていようと、
やはり君主が“うん”と言わなければ行えないものだ。
 一刀はもう一度……少しだけ、それでもしっかりと考えると、

「それでは、俺達は反董卓連合軍へ参加する」
590 名前:真√:反董卓連合之一 5/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:48:47 ID:f/daijSp0
 そしてそうと決まれば、あとは動くのみである。
「では兵数ですが……守りの事も考えると、連れて行くのは半数……三万程度でよろしいかな?」
「ええ。現在、南方の劉焉、東方の劉表共に連合に参加しますので、
主に抑えるのは北方……董卓領方面を主にすれば良いでしょうから」
「そですねー。
 それと守りに関しては、閻圃ちゃんと楊任ちゃんにお任せしましょう。
こちらに赴任してから発掘した人材ですが、中々に将来有望な良い娘達ですので安心なのですよー」

 あわただしく会話する三人を尻目に何かを考えていた一刀は、伏せていた顔を上げる。

「三人とも、聞いてくれ」

 真剣な様子の一刀に、三人は言葉を止め、その顔を見る。

「確かに連合に参加することは決めた。
けど、さっきも言った通り、俺には月達があの檄文に書かれていた様な悪政をするとは思えない。
 だから、俺達は事の真偽を確かめるのを第一優先とすること」

 そこまで言って一度言葉を止め、三人が深く頷くのを見て、もう一度口を開き、

「……最悪、どんな手段を使ってでも、月達を助ける」

 そう、決断を下した。
592 名前:真√:反董卓連合之一 6/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:52:20 ID:f/daijSp0
──洛陽・詠の私室──

 ある夜、部屋で軍略を練っていた詠の下へ、ひどく哀しそうな顔をした月が訪れた。
「どうしたの、月?そんな顔して……」
 月の様子に何かを感じた詠は、月を椅子へ座らせ、優しく微笑んで問いかける。
 月は何かを言いたそうに口を開き、けれども言えずに口を閉じ……そんな動作を幾度か繰り返した後、
意を決したように言葉を紡ぐ。

「……詠ちゃん、一刀様が連合側に着いたって言う噂……本当?」

「…………」

 それは、詠にとっては大方予想していた言葉だった。
 だから当然、それに答えるべき言葉も分かってはいた。
けれど月の……『本当は解っているけど、否定してほしい』
……そんな考えがありありと分かる表情を見て、その言葉を発することが出来なかった。
『本当よ』と、只一言告げてあげるだけなのに。

 詠の『言わなくてはいけないけれど言い出せない』。
 そんな様子に言いたいことを察した月は、小さく溜息を吐き、目を伏せた。

 二人は互いが互いの立場、心情が、手に取るように理解できるだけに……
お互い口を開くことは無く、重い沈黙が部屋を支配する。


 そんな中沈黙を破ったのは、

「……一刀様……やはり戦わなくてはいけないのですか……?」

 思わず漏れた、そんな月の一言だった。
593 名前:真√:反董卓連合之一 7/7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:55:42 ID:f/daijSp0
 それを聞いた詠は小さく溜息を吐き……そこでふと何かを思い出したのか、
おもむろに机の上で山となっている書簡をあさり出した。
 そして一通の書簡を見つけ出して手に取ると、ざっと目を通してから「やっぱりね」と呟き、
それを月に差し出した。

「これは……?」
「今まですっかり忘れてたわ。
 袁紹達が放った檄文、一通だけ何とか入手できて、今朝届いたのよ」

 読んでみて、と促され、月が書簡へと目を通すと、その顔が苦渋に歪む。
 そんな月の頭を優しく撫でながら、
「それを見れば解るでしょ?実際に彼等がどう思ったかはわからないけど、
仮に一刀達が連合に参加したくなくても、参加せざるを得ないのよ」
 詠に言われて、月はコクリと頷く。けど、その顔はやはり悲しそうで。
 だから詠は更に言葉を続ける。

「月、一刀達を信じてる?」

 コクリ。

「だったら、たとえ敵に回ったとしても、最後まで信じなさい。
 ボク達はもう自分達を信じて、一刀達を信じて……進むしかないんだから」

 詠は、自分でもひどく曖昧な言い方だと思いながらも……きっと他人が聞いたら、
敵を信じて何が有ると思われるだろうなと思いながらも、月ならきっと解ってくれると思い、
彼女の目を見ながら、心を込めて告げた。

「…………うん。私、頑張るよ。自分に出来ることを精一杯。……信じてるから」

 そう答える月の顔に、哀しさはもう無い。

 有るのはただ、前へ進む覚悟のみ。
594 名前:真√:反董卓連合之一[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:58:54 ID:f/daijSp0
以上、お目汚し失礼いたしました。


今回は、一刀達の方針と月の決意。

最初と最後は決まっているのに中身が決まらぬ。
思い悩むは水関と虎牢関の戦い……ってほとんど全部ですねw


彼等の進む道に何があるのか。
それはまた後ほど。


では、またいずれ。


多数の支援に感謝を。
596 名前:真√:反董卓連合之一[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 02:03:46 ID:f/daijSp0
ああー

1レス目 少帝 が 小帝 になっているのに気づいた。

締まらねぇw
599 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 02:13:42 ID:cIzH6xcQ0
乙華麗 漢中からどうやって連合に合流するんだ?w
603 名前:真√:反董卓連合之一[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 02:33:23 ID:f/daijSp0
>>599

ついでだから説明

600さんの言うとおり、荊州経由で合流します。
590に有るように、荊州の劉表も連合参加しますので、
そのつてで素通りですね。

正史においても孫堅は揚州から連合参加して洛陽入りしましたし、
距離的にはあまり変わりありますまい。

って考えですw


以上、補足説明終わり。

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