[戻る] [←前頁] [次頁→] []

393 名前:真√:Interlude3[sage] 投稿日:2009/03/05(木) 02:46:36 ID:T1NCSi2U0
寝る前に投下3レスほど投下してしまいますね。


北郷新勢力ルート:Interlude3
          ──胎動──

    少女は陽だまりから、暗雲へと乗り出す。
395 名前:真√:Interlude3 1/3[sage] 投稿日:2009/03/05(木) 02:49:12 ID:T1NCSi2U0
 雍州は天水太守、名は董卓、字は仲穎、真名は月。
 黄巾の乱の後、親より家督を継ぎ、名実ともにこの地を治める者となった少女は、
陽だまりの中、ぽかぽかぬくぬくと心休まるひと時をすごしていた。

 想うのは、先日偶然合うことが出来た、『天の御遣い』北郷一刀。

 その噂話にずっと憧れていたその人は、やはり噂どおり高潔な人で……
優しくて、部下思いで、頼もしくて、とても素敵な人だった。

 ……また会えるかな?
 ……いつかまた、色々な話をたくさん聞かせてほしいな。
 そんなことを考えていた有る日、彼が黄巾の乱の功績により、
漢中の太守に任じられたと聞いたときは、それはそれはとても嬉しかった。
我が事の様に喜んだものだ。

 天水と漢中は隣同士。……これからも、末永く仲良くしていきたいと詠に話、
相続の事や天水の地盤固めが終わったら、すぐにでも同盟の使者を立て様と話しもした。

 もうすぐ、その準備も整う。
 それは月にとって、とてもとても楽しみで素敵なことであった。



 さて、そろそろ政務に戻ろうか。
 休憩の日向ぼっこを終えようとした時、それを待っていたかのように扉が叩かれる。

「……どうぞ」

 そう声をかけると、親友であり軍師である詠が入ってきた。
その顔は、心持ち固い。

「……詠ちゃん?どうしたの?」
396 名前:真√:Interlude3 2/3[sage] 投稿日:2009/03/05(木) 02:52:21 ID:T1NCSi2U0
 詠の雰囲気に何かを察したのか、少し不安そうにそう聞く。
 月はおっとりしている所はあるが、他人の感情の機微には聡い。
 詠もそれは知っているので、普段からなるべく表情には出さないようにはしているのだが、
今回はよほどの事なのだろうか、どうやら隠しきれていないようで。

「……月、お客様が見えられてるわ」

 声も硬く……緊張した様子でそう告げた。

「お客様?……どなた?」

 詠の声の固さに、月の不安は募る。
それでも聞かないわけには行かない。自分は太守なのだから。

「……正直、会わせたくない。面倒事なのは目に見えてるから。
……でも会わせないわけには行かない」

 そういって、ごめんね。と続ける。

「客間へお通ししてあるわ。名前は──」

 その名を聞いた瞬間、月の顔も強張った。

 良くも悪くも、最近よく聞く名前。

 ああ確かに嫌な予感しかしない。でも行かないわけにはいかない相手。
 だから何も言わず、小さく頷いて客間へ向かった。
397 名前:真√:Interlude3 3/3[sage] 投稿日:2009/03/05(木) 03:01:10 ID:T1NCSi2U0
 客間で待っていたのは、どことなく頼りなさげな雰囲気の……
それでいて狡猾な雰囲気の男と、それとは対照的に素直そうな二人の子供。

 三人とも、とても豪奢な服を着ている。
 特に子供二人は、見るからに高貴な人物であると言うのが伺い知れる。


 月の姿を認めた男は、座っていた椅子から立ち上がると恭しく礼をし──



「私の名は、張譲と申します──」



 其れは、歴史の胎動、激動の時代の始まり──。
398 名前:真√:Interlude3[sage] 投稿日:2009/03/05(木) 03:05:40 ID:T1NCSi2U0
以上、お目汚し失礼致しました。



少女の淡い想いは、歴史と言う名の荒波へ飲まれ、

そして少女は、己が運命の残酷さを知る。

それでも少女は、彼を想うだろう。強く。彼を信じるだろう。ひたすらに。


その強い想いは、少女の運命に何をもたらすのか──。



では、またいずれ。

 [戻る] [←前頁] [次頁→] [上へ]