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24 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2011/04/05(火) 12:53:40 ID:BoI8nhkIO
「にゃー(シンプル イズ ベストに28桃香です)」
「だ、そうですよ〜…」
25 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 12:57:18 ID:BoI8nhkIO
桃香の所に曹操側から降伏勧告の使者が来た。
無論、二人の軍師と一刀の意見で普通に対応する。
ぞんざいにする訳でもなく、かといって媚び諂う訳でもなかった。
そうして無事に帰ってもらった。
愛紗や鈴々はなにかしら納得いかない顔だったが、曹操に対して『なんでもいいけど一つの口実は十の不利になる』というのが、三人の一致した意見だった。
こうして戦は避けられないと悟った桃香たちも戦の準備に蜂の巣を突っついた様に騒がしくなった。
◇ ◇ ◇
「朱里、例の仕掛けの段取り出来てる?」
「はい、あれですね。完成している物は既に国境沿いの各駐在所に送ってます、設置はまだ方針が決まってませんからまだですが」
「OK、それでいいよ」
忙しい時や無意識に出る肯定を意味する天の言葉を聞けて安心する朱里。
「そろそろ全体会議の時間だね、大広間まで一緒に行く?」
「はい、お供します。ご主人様♪」
暗くなってても事態が好転する訳でも無いと笑顔で大広間に向う二人であった。
◇ ◇ ◇
一方でその頃の許昌では。
総数、約三十万で一つの州を攻めるのはあまり前例の無い兵力を整えた曹操軍の出陣式が行われていた。
26 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 12:59:54 ID:BoI8nhkIO
「……以上である。よって徐州を合併し長江より北のほぼ全域を!大陸の三分の一を手中に収めこの体制をより盤石とする(北郷一刀。天の御遣いとして、人としてその力量を見極めさせてもらうわよ)全軍出陣!!」
曹操の号令の下、約三十万の軍勢が動き出した。
◇ ◇ ◇
連日の戦の準備の真っ只中に伝令が駆け込んできた。
「申し上げます!北方の国境警備より狼煙による伝達来ました!」
「して、数は」
「追って早馬が来るでしょうから正確な数が分かる…」
「そんなことは端から承知だ!なんのために早期に知る為の仕掛けだ!早く言え!!」
まどろっこしい伝令に活を入れる為に声を張り上げる星。
「すいません、それが・・・最大数を表す上げ方が上がりました」
「十万か…」
一斉に大広間の雰囲気が暗くなる、それを申し訳無さそうに伝令は更に言葉を続けた。
「いえ、それが…その後、同じ狼煙が二回上がりました」
「その後、二回?」
確認の為に上げる狼煙は二回であっために疑問が自然と口出る。
「はい、確認の二回を三回と間違えたのかと思いましたが…暫くして再確認の為か、やはり最大数を表す狼煙が合計三回…」
27 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:01:53 ID:BoI8nhkIO
「(約三十万かあ、容赦無いな華琳)」
「「「三十万!!」」」
驚愕の声を上げる一同、敵の軍勢がおそらく三十万と聞かされた大広間の雰囲気の沈み具合が当初の勘違いによる十万の時の三倍ではすまなかった。
「せめて十万でも別々に来てくれればな〜」
「何を仰いますか、ご主人様!十万でも無茶苦茶です」
「(史実?演義?だと十万なら諸葛亮が…だから朱里ならなんとかしてくれると思ったんだけど)纏まって三十万で来られたら…打つ手、有るのかな?」
「何を悠長に構えてます、ご主人様!」
「そうだな、我が軍は約三万。今から義勇兵を募れば数だけなら五万か…」
「…しかし数だけ揃えても。もとより五万にしたところで勝負にならんぞ、これは」
「しかし、住民を守るためにも、曹操軍を止めなければ!」
「新兵含めた五万人に、精鋭三十万に勝つ方法なんて、考えたって見つからないのだ」
大広間がどうしようもない絶望感の苛立ちから一層騒がしくなる、そんな中で桃香の発言が皆の注目を集めた。
「なら、逃げちゃおう」
「はっ?と、桃香様っ!?」
「今の私達に曹操さんと戦う力が無いし。それなら逃げるっていうのも一つの手だと思うよ」
28 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:04:48 ID:BoI8nhkIO
「住民を見捨てになされるのですか?」
「それは違うよ、愛紗ちゃん。私達がここに留まれば戦になる、そうすれば住民に犠牲が出る。なら元凶の私達が居なくなればいいだけのこと」
「それはそうでしょうが、やはり住民を見捨てるのと何ら変わりないと思います」
「それは違う、愛紗。曹操は抵抗しなけれは民相手に戦はしない、住民達の私財には手を出さない。ならば住民には被害が出ない、結果的には住民を守ることになる」
「曹操軍の軍律の厳しさは、最近更に厳しくなったからな」
「みんなはどうかな?」
「民の為に戦わないで退く、俺は桃香らしくていいと思うけど」
真っ先の一刀の賛成に、賛同の声が重なる。
「・・・私は」
「愛紗。これは逃げるんじゃない、再起を図る為、住民を守る為の作戦なんだよ」
「分かり…ました」
「ごめん愛紗、辛い思いをさせて」
「いいえご主人様、私が至らぬばかりに。桃香様と二人を逃げるような目にあわせてしまって」
「愛紗。良い雰囲気の所を悪いのだが時間が無い、主と乳繰り合うのは無事逃げおおせてからにしてもらいたい」
「星!?」
「「「アハハハ…」」」
29 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:08:08 ID:BoI8nhkIO
愛紗の照れ隠しに笑いが盛れて緊張が和らいだ。
「それじゃあ、どこに逃げよう?」
大方予測は付いていたが、一応訪ねる一刀。
「そうですね…」
と、急の議題にも問題なく頭を働かせる可愛い軍師二人、そして答えが出たのか伏せていた頭が上がった。
「些か遠いですが、荊州より更に西に蜀と言われる地方があります。今この地を治める人が劉璋さんという方なのですが風評があまりよろしくありません……」
「(…やっぱり)」
一刀の思っていた地名が朱里の口から出た。
そして短いながらもしっかりした話し合いの結果、蜀に向かう事が決まる。
「じゃあ、揚州の孫策に連絡、以前伝えてた通りにやはり曹操軍が進攻してきたと。援軍は無用、だが揚州への進行も考慮に入れて国境の警戒を厳重にしてと。後、揚州を通行するから許可よろしく、と」
「ハッ!」
「次に朱里。例の仕掛けだけど、三十万もの大軍だと曹操の性格も考えると『力を見せ付けるのも兼ねて州境に沿って横一列で来る』と思わない?」
「確かに、その方がより一層、自分たちは大軍であることを見せ付けられるでしょうし」
「曹操さんなら横撃防止にもなると考えるかもよ朱里ちゃん」
30 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:10:29 ID:BoI8nhkIO
「そうだね雛里ちゃん」
「よし、なら仕掛けの設置方法は『計画・三』を実行で、設置後は随時撤退。ひとまずここに向かって可能なら合流。間に合わなかった者は建業に向かい保護下に入る様にと、戦闘は一切しないように伝達」
「了解です」
「後、流石にバレるだろうから城下の住民には取り敢えず普段通りに過ごすように、と。自分達が居なくなると知らせるのは後でも良いよね?無駄に不安を煽りたく無いし」
「おそらくそれでよろしいかと」
この選択はミスであった、一刀たちは自分たちの民からの評価をかなり過小評価していた。
「時間との勝負だから急いで」
「「「ハッ!」」」
そうしてみんなが一斉に動き出した。
◇ ◇ ◇
「変、ですね…敵の抵抗が一切有りません」
不意に思っていた疑問が口に出た郭嘉。「そんなん敵が恐れて逃げてるから、とちゃうんか?」
「しかしですね威力偵察はおろか索敵行為すら確認できない、というのは流石に…」
『時期的にそろそろなにかしら仕掛けてくる筈、用心するに超したことは有りません』と、言おうとしたまさにその時。
『ギャ――!』
兵士の悲鳴がそれを遮った。
『うわあぁぁ!』
『なんじゃ!こりゃ!!!』
31 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:14:01 ID:BoI8nhkIO
その直後、ほぼ同時にあちこちで悲鳴が上がった。
「なんや!敵襲か!」
悲鳴と同時に張遼が声を上げる。
「いえ、罠だそうです!」
誰かが答える。
「なら!火計…にしちゃ火の手が上がっとらんし…第一、敵兵が居らんのやから…落とし穴やろ!?」
自信満々に答えた張遼の期待を兵士はあっさり裏切った。
「違います!」
「敵兵がおらんで落とし穴でもない・・・だったらどんな罠ちゅうねん!」
「それが我らにも見たことがない物でして…なんと申したらよいのか?」
今尚、あっちこっちで新たに悲鳴が上がり聞こえる。
その内の悲鳴の一つに張遼と郭嘉が近寄った。
「痛てええぇぇ!痛てええよおぉ!!早くその何かを取ってくれええぇぇ!?」

仕掛けに足を挟まれてる兵士が痛みの為、のたうちまわって暴れている。
あまりに暴れるので近づくこともままならず、周りの兵士が対処に困っていると。
「ほら、大人しゅうしとけって」
近寄った張遼がいとも簡単に当て身を喰らわすとグッタリして動かなくなった兵士。
「ほれ今のうちに取ってやり、その足のやつ」
「…あっ!」
唐突の出来事に周りの兵士達は我を忘れていた。
そんな中、一人の兵が外す役を買って出るも。
32 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:20:10 ID:BoI8nhkIO
「うっ〜、おいっ!一人じゃ無理だ、誰かそっちから引っ張ってくれ」
「なら俺が」
と、適当な誰かが一人前に出てきた。
「せーのっ、でいくぞ。せーのっ!」
両端を一人づつ、二人がかりで引っ張ってようやく口が開きだすと。
『バキンッ!!』
閉じていた口が開ききる前に鉄の口は突然に分解した。
こうして曹操軍の進軍が一旦停止した。
◇ ◇ ◇
一旦停止した曹操軍は比較的近くにいた者が曹操の下に駆け付けその場にいる者だけでの簡易な軍議が開かれる。
「これです、華琳様」
と、曹操の前に例の仕掛けが置かれる。
「これがどうなるの?」
「お気をつけください、思いのか危険ですから」
念の為に注意を促す夏侯淵。
「まず、この円の中の更に内側の小さい丸、ここを押しますと」
と、説明しながら手に持った槍で押した。
『ガチン!メキッ』
仕掛けが槍の柄を挟み食い込んだ、一連の動きを見せた上で更に説明を続ける。
「こうなります。また挟む力がかなり強く挟まれど足などを外す場合には、両端を一人づつで持ち二人がかりでやっと外せます。この若干有るギザギザの為にこれに挟まれた者はどうしても無傷では済みません。
 ですから負傷兵として見て戦線を離脱させるしかありません」
33 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:22:25 ID:BoI8nhkIO
『フウッ』と、ここで一息ついでに溜め息も吐き出された。
「始めは槍の石突きで突きながら進んでみたのですが、言葉よりも実践して見せた方が分かり易いかと」
新しい仕掛けを設置して実演しながら話す。
「このように外円と内円の間を石突きで押しても反応しません。ですが、やはり中央のこの部分を押しますと」
『バチンッ!メキ』
「挟まれるのね」
「はい。次に槍で地面をなぞるように進みましたが、大抵は草陰や葉で隠しているので」
『カンッ!!』
「このように横からの接触では仕掛けは発動せず、それが罠なのか石なのか識別が出来ません」
「厄介ね…」
「まさに」
「これを考えたのは、やはり北郷…一刀なのかしら?」
「そこまでは判りませんが、今までに見たことがない仕掛けとなると…やはり『天の知識』と考えた方が妥当かと」
「どのみちこれを考えた奴の優しさといやらしさが滲み出ているわね」
「と、申しますと?」
「もし、この安易なギザギザの部分が串みたいに鋭かったり、又は鋭利な刃物だったりしたら…どうなるのかしら?」
「重傷、刃物なら間違いなく足の切断、場合によっては死にますね」
34 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:25:23 ID:BoI8nhkIO
「殺すなら一層のこと毒でも塗れば手っ取り早いのに、それを酷くても骨折止まり・・・なまじ負傷兵になるものだから・・・かなりの人数の兵士が看護用に割かれる羽目に…」
「本当に厄介ですね」
「そうね…それに報告通りなら仕掛けの配置もかなり厄介」
「はい」
「始めに威力を見せつける為に大量にばらまいた…軍を停止させ放った斥候は馬は全滅、残った人員も帰って来るまでに半数は罠に掛かる有り様」
「斥候の力量水準が低く、申し訳ございません」
「それはしょうがないわよ、今回は相手がよりあくどかっただけ…しかし、慎重な内は罠に出遭ずに、緊張感が緩む頃合いを図ったかの様に罠に出会す…正直ムカつくわね」
「ええ全く持ってその通りです。緻密とも取れる罠の設置の仕方は、最早賞賛モノです。その甲斐あっていまや兵士達は足下に怯えてしまっている」
皮肉を込めて曹操の意見に同意する郭嘉。
「そうですね〜、いまや地面が明確に見えてないだけで怯えてしまう状態です〜。見事に敵の策に嵌っちゃってますね〜」
「いきなりこんな絡め手で来るなんてね・・・これなら涼州攻略の方が遥かにましね。けれどこれは逆に考えれば、明らかな時間稼ぎ…」
35 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:27:37 ID:BoI8nhkIO
「それは、全兵力を彭城に集結させる為…なのでわ?」
「彭城で決戦の為の時間稼ぎ?…それなら、先程も言った通りこの仕掛けを無数にばら撒くわよ、殺傷能力を格段に上げて毒も塗って…特にこの仕掛けに対してなんの警戒を持ってない初手に、
 それこそ今までの総数より遥かに多く…その方が比べものにならないぐらい効果が有った筈よ」
「それは・・・負けた時に少しでも華琳様の心境を良くしておこうとの考慮では?」
「桂花、アナタはそれを本心で言っているの?」
無論そんなことはないのだが、少なくとも現時点で一番の可能性があることを軍師として口に出してみた荀文若であった。
「ともかく今は時間稼ぎをしている真意を確かめる為にも、一刻も速く敵に接触する必要がある。おそらく敵が集結しているだろう彭城に向かうのが今の最優先事項よ。稟、部隊を十等分に分けなさい。
 分けた各部隊は独自で進攻を開始、最終目的地は彭城。それからなるべく整備された道を縦に選んで罠の可能性を可能な限り落として進むようにと伝達しなさい」
「了解しました」
「ならば急ぐわよ!」
こうして現時点では最良だろう方法で進攻を再開した曹操軍であった。
◇ ◇ ◇
36 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:30:46 ID:BoI8nhkIO
「城下で住民が騒いでいる?」
慌ただしい出立準備の最中、突如もたらされた報告。
「はい。住民たちにこちらの方針を発表すると、皆が始めは『籠城だと思って準備をしていた』等と語り、次に誰かが『劉備様と御遣い様が出て行くならついて行きたい』と語ると皆が同じことを語り出しまして…
 今や城門前が民で埋め尽くされております」
しかしこの移動に関して該当ある歴史の出来事を知っている一刀は住民がどれだけ危険か、被害者が著しく出やすいか分かっているだけに了承出来る訳がなかった。
「桃香、俺ちょっと行って説得してくる!後の準備お願い!」
『ちょっ!ご主人様?…』と誰かの声も聞こえたような気もするも、全く気にせず走り出していた。
◇ ◇ ◇
「お願いします、私達も連れて行ってください」
「兵隊さん、後生だから連れてってくだされ」
「俺はなにが在っても劉備様と御遣い様について行くぞ!」
「俺もついて行く」
中には勝手について行くことを決心し準備を進めてる者、または既に身軽な状態で準備を終えてる者も現れ始め、住民への対応に兵士たちが困ってる処に一刀が駆けついた。
それに気が付いた誰かが叫んでいた。
「御遣い様だー!」
37 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:34:06 ID:BoI8nhkIO
一刀の顔は民の間に知れ渡っている、目立つポリエステルの服は勿論一役買っているが、魏の警備隊長だったころの習慣か一人ないし複数でよく城下街をうろついていたからだ。
一斉に駆け寄り口々に『連れて行ってくれ』と哀願する民達。
状況を説明する為に可能な限りの声を張り上げる一刀。
「みんな!聞いて欲しいんだ!確かに自分達はここから居なくなるけど…」
第一声の内容に衝撃を受けたのかどよめきが起き、一部では泣き声も聞こえる。
「我々は捨てられるのですか!」
この言葉を聞いた一刀は“しまった”と思った。
が、時既に遅し。
「そんな事は無い!これから来る曹操軍は軍律が厳しく、略奪・暴行は絶対にしない!」
説明を続けるも多数の民による、不安な声と泣き声が一刀一人の声を簡単にかき消す。
「籠城するにもこの城と集めた兵だけじゃ曹操の軍にはとても太刀打ち出来ない、だから戦を避ける為に、みんなを戦に巻き込まない為にここを出るんだ!」
懸命な説得も最初で間違えてしまった為にうまくいかない、一つ目で掛け間違えてしまったボタンを直すには一旦全部のボタンを外す必要があるのだが時間もあまり無く、気が焦るばかり。
38 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:36:02 ID:BoI8nhkIO
「そして移動をすれば間違い無く曹操軍の追撃も有るだろう、追い付かれれば戦になる。戦になればみんなが戦闘に巻き込まれる可能性は高い」
『覚悟の上です!』との声も聞こえてくるがそんなことは一刀は納得出来ない。
「正直、移動も楽では無いし。未だ出発が決まってるだけでどこに行くかも決まってないんだ!そんな事に皆を巻き込みたくない!」
説得の為に嘘もついてみる。人間、ゴールの見えない出来事にはもっぱら弱くなると聞いた記憶を頼って。
「御遣い様、俺たちは曹操がどんなお方か知らないだ。だけど御遣い様や劉備様、その他の将軍様たちはどんなお方か知っている。御遣い様が大丈夫と言ってくださっても正直俺たちは知らねえ、不安なんだ」
この言葉にも一刀は後悔する、ここまで慕われていたのかと。これならあの時から既に説得に当たってなくては駄目ではないかと。
「御遣い様…足手纏いと判断したらその場で見捨ててもらって結構ですじゃ…ですからせめてご一緒に、途中まででも構いませんからどうかご一緒に…」
泣きながら一刀すがる老人の姿。
ここまでくると流石に一刀も説得は困難かも『今から籠城戦の準備か?』との考えが頭の中をよぎり始めた時。
39 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:38:43 ID:BoI8nhkIO
『そんなこと言わないで、おじいさん!』
声の主に一同が注目するとそこには桃香が立っていた。
みんなが一刀に集中するあまり、いつの間にか近付いていたことに誰も気が付かなかった。
「劉備様!」
今度は桃香に駆け寄り哀願しようとする民を。
「みんな待って!」
普段からは想像出来ない力強い桃香の声がみんなを止まらせる。
すると桃香は一人で老人の所まで歩み寄ると、倒れている老人の為に服が汚れるのもお構いなしに膝をついて、そして抱き抱える。
「…劉備様、汚れてしまいます」
「構いません。そんな事より、おじいさん。あのような悲しいことは言わないでください。“自分のことを足手纏い”とか“見捨てても構わない”とか。
 そうなると判って付いて来るとか言うのなら私はあなたを見捨てたりなんて出来ません、私はここに残る事を選びます・・・ご主人様が曹操さんは略奪はしないと言ってます、
 非道な方ではない言ってます。どうかみんなが信じているご主人様が信じてる方も信じてあげてください」
まさに祈るようにお願いする桃香。
「……ああ、劉備様。ワシは…ワシは……」
40 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:41:45 ID:BoI8nhkIO
「おじいさん、不安なのは分かります。でも、曹操さんの統治の評判も良い方でたくさん聞きます。ここに残ってもらい長生きしてもらうのが私の願い」
「ううぅぅー……劉備様、すみませぬだー」
子供のように泣きながら謝る老人。
「いいえ謝るのは私の方…みんなを守る力が私に無いから」
と、少し寂しい表情になる桃香。
「劉備様…ワシはここに残ります」
「ありがとうおじいさん」
桃香が兵士を呼び寄せて老人を介護するようにお願いし、それが終えると振り向き様に。
「それとおじいさんだけじゃありません!皆さんもです!分かってくれますか?」
元気な桃香の声に反対する者などいなかった。
「劉備様。新しい領地が決まったらその時はお知らせください!その時は後からそちらに向かいます故」
「安全になったら、ね。その時はよろしくね、みんな♪」
「「「はい!!」」」
桃香の周りで元気な返事がされてる時、一方一刀は別の一団囲まれていた。
それは飲食屋や屋台の店主たちだった。
「御遣い様、あっしらも後から行きますぜ。張飛将軍に呂布将軍このお二方に抜けられてわ、あっしらの商売あがったりですから」
「よく言うよ、ろくにお金を受け取ってくれないくせに」
41 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:43:47 ID:BoI8nhkIO
「…じゃあこう言いましょ!食料が消費出来なくて腐っちまう!」
「それなら納得だ!」
「プッ!」
「「「アハハハハハ!…」」」
「何々、ご主人様?何笑っているの?」近寄ってくる桃香。
先程まで殺伐としていたこの場所が、今や笑い声で溢れていた。
こうして一つの危機を回避し、再度出立の為の準備に入った。
◇ ◇ ◇
軍の編成など、あらかた準備が整った為に一同が大広間に集まる。
武将に文官、将・士官・下士官と役職が有る者ならいない者がいないような状態だ。
各々が長旅に備えたの格好の中、何故か二名だけ平時の姿で現れた。
一刀は顔を覚えてる程度で名前までは分からない人だった。
「なにをしているこの急いでる時に!さっさと着替えてこぬか!!出発はすぐなのだぞ!」
愛紗の叱咤が飛ぶと。
「いやいや、我ら二人はここに残りますぞ」
『『『―!?』』』
「なにをふざけているか!」
「ふざけておりませぬよ、これも劉備様を慕う住民を守る為。関羽殿は分かっていると思いますが?」
「・・・」
「どういうこと?」
思わず一刀は声をだしていた。
一刀の声に反応し、二人は君主一刀に頭を深く下げながら答える。
42 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:46:21 ID:BoI8nhkIO
「御遣い様。どうのこうの言われましても降伏した敵の大将、または攻め落とした城の城主の首を刎ねるのが乱世の習わし」
「曹操は無益な血を流す人間じゃない!」
思わず熱く反論していた一刀。
「御遣い様の仰る通りに曹操は寛大として、臣下全員が曹孟徳のように寛大か?」
その言葉に対しても即座に答える一刀。
「そうだ!」
この即座に拠る断言はその場にいた全員が多少成りとも驚いた。
「それは驚きました。御遣い様は曹操はおろか臣下にも精通しておりますな、いけ決して皮肉や疑っての発言では有りませぬ。万が一の時も安心して死ねまする」
「だから、その必要無いと言っている…」
一刀の声のトーンが一段階落ちた。
「では、士官は?血気に走りやすい下士官も全員寛大ですかな?」
「それは…」
ここまで掘り下げられては確信が無い一刀は言葉が濁る。
「そうです、もしその時に敵将が一人も居なければどうなりますか?その責を住民の代表に負わせる可能性も有るのですぞ…御遣い様や劉備様を信じて残った住民に一人とて血が流れるなど有ってはならぬこと。
 だから私達が残るのです」
「それはそうだろが…」
43 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:48:45 ID:BoI8nhkIO
返事の歯切れが悪く、どこか納得出来ていないのが浮き彫りに解る一刀の態度。
「おや?御遣い様は嘘を仰るのですか?」
「嘘?」
「左様、曹操が御遣い様の仰る通りの覇王ならば部下の戯れ言など一喝で退けるでしょう。ですからこれは、万が一の時への配慮です。どの道生い先短い爺ですなのですから。
 最後に御遣い様と劉備様、そしてなにより民の為に役に立てたとなれば、劉備様の御先祖かの劉邦様にあの世で自慢が出来ますぞ」
『カッ!カカカカ』
と、力有るたくましい笑い声が大広間に鳴り響く。
「・・・」
「なにを暗くなっておる皆の者、さあ時間が無いのだぞ。御遣い様、私を彭城城主に任命してくだされ」
「・・・」
「劉備様でも構いませぬ、どうぞ自分らめ任命を」
桃香が朱里の方を向くと朱里と雛里は頷く、次に愛紗の方を向くと愛紗も力強く頷いた。
決心した桃香が口を開いた。
「あなたを彭城城主に、副城主をそなたに任命します」
「「ハッ!その命、慎んでお受け致します」」
と、再度今まで以上に深々と頭を下げる二人であった。
◇ ◇ ◇
呉に向かって出発する軍を見送る彭城城主と副城主。
44 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:51:02 ID:BoI8nhkIO
「さてどうする?」
「どうするかの〜?まずは住民に手伝ってもらい残った旗を全て立てよおぞ」
「それが妥当じゃのう」
「まあそれから曹操軍が現れてからもなんとか一刻でも時間稼ぎして攻めて来たら即、降伏」
「まあ、それが妥当じゃのう」
「後は首を差し出すしかやることがないのじゃが…それすらもせいぜい時間稼ぎをするか」
「妥当じゃのう」
「お主はそれしか言わぬのか?」
「同じことを曹操が訪ねれば一刻稼げる」
「・・・」
「カッ!カカカカ」
「ハハハハッ!」
彭城に二人の老人の笑い声が鳴り響いた。
◇ ◇ ◇
不慮な事故で死者は出たものの戦による死者はいない、しかし多大なる負傷者を作り彭城を取り囲んだ曹操軍、取り囲みから三日目、いまだに彭城を攻め落とせないでいた。
その理由の一つに城に兵士の気配が全く無いこと。
今までも敵兵士に“一人として出会って無い”のである、少なくとも万単位の兵が居るはずなのだが確認でる者は将らしき老人が二人のみ、それ以外は“見張りの兵士すら見当たらない”でいた。
またこの二人が昼夜交代で城内、城外に対し盛んに旗を振り回しなにか合図を送っているような仕草が目立つ。
45 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:52:50 ID:BoI8nhkIO
『罠を警戒する』のを通り越して脅えている兵は前進を拒んだのだが。
一度、夏侯惇将軍が半ば強引に兵たちを前進させた。
『城壁の上の老将は一人なのだから、見えない反対側から攻めれば問題無い!』と。
が、相手の老将も亀の甲より年の功。
例え戦では勝てなくとも、猪武者な若造を引っ掛ける駆け引きは心得ていた。
結果、なんの変哲も無いただ掘っただけの落とし穴に引っ掛ったのだが、効果は絶大だ。
足元に忍ぶ恐怖を思い出され親衛隊以外の兵が退却し、万が一を考えると親衛隊だけでの前進は危険と判断して退却。
今に至る。
◇ ◇ ◇
「申し上げます。放った間諜より報告、城内に劉備軍兵士の姿無し。とのことです」
変わらず彭城を取り囲んでる曹操軍。
「以前城内や周辺に変化無し、やはり何かの罠かしら?そう言えば住民は居るの」
「報告では…『居る』とのことです」
「なら住民を巻き込むような罠、城内に誘い込んでからの火計などは無いでしょ。埒をあける為にも攻め込むわよ」
「危険では?」
「間諜が城内を斥候が城外に劉備たちの兵が潜んでいないと確認した。あの罠はあからさまな時間稼ぎ、ならいつまでも罠だと疑ってここに踏み留まっているのは相手の思う壺でしょ」
46 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:54:55 ID:BoI8nhkIO
「まあ確かに一理は有ります」
「懸念要素が無い今、近寄ってみるのも一つの手ではなくて?稟」
「分かりました、では一刻後に四方から全軍で。」
「それで良いわ」
「伝令!」
「ハッ!」
「一刻後に全軍で彭城に攻め込む、と伝えて。罠に警戒、特に足元に注意しながら進む為、粛々と前進せよ、と」
「了解しました」
伝令を受けた兵士たちは駆け出していた。
◇ ◇ ◇
一刻後。
曹操軍が四方から粛々と前進を始めると城壁上で旗を振っていた老将が突如としてその動作を止め城内に入って行く、その動きに曹操軍も緊張に支配されるも劉備軍からはなんの動きも無かった。
そろそろお互い弓矢の射程圏内、本格的な攻城戦の指示がだされようとした時、彭城城門が開いた。
城内から二人の人物が出迎えた、一人は先ほどまで旗を振っていた人物、もう一人も交代で旗を振って者だ。
後ろの方にいる者は今までとは違う旗を持っていた、それは純白の旗。
そう即ち白旗であった。
曹操が城門まで辿り着くとそこで待っていた二人は深々と頭を下げる。
「曹操様ですね、彭城は曹操軍に降伏致します」
・・・
・・

◇ ◇ ◇
47 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:56:44 ID:BoI8nhkIO
さらに一刻後、彭城大広間。
「まあ無駄でしょうけど一度は訪ねてあげるわ、劉備は…北郷一刀はどこ?」
彭城は曹操軍に占領され政治・軍の要所が次々と確保されていく中、曹操は元城主たち二人を呼び寄せていた。
「さて?置いてかれた者にはさっぱり分かりませぬ」
「そう…」
それっきり曹操は黙りこんだ、代わりに干禁が口を開いた。
「そう言えば、さっきまでの旗振りあれはなんだったのー?」
「あれですか?あれはちと最近、運動不足でな体を鍛えておりまし…」
「ふ・ざ・け・る・なー!」
城主のあからさまな嘘に壁を振動させる勢いの怒鳴り声で返したのは夏侯惇だった、今まで茶番に付き合わされていた上に今また始まろうとしてしている茶番に怒りが爆発したもよう。
「華琳様!即刻この者共の首を跳ねるべきです!」
今にも首を跳ねかねない勢いの夏侯惇に流石に止めに入った曹孟徳。
「待ちなさい、春蘭」
「何故です華琳様!こやつらは我々を侮辱しています!生かしとく意味が有りません」
おそらく手玉に取られた恨みも多少混ざっているのだろうが。
「はて?こうして首を斬られるのを待っているのですがの〜?」
城主の挑発とも取れる発言に。
48 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 13:58:13 ID:BoI8nhkIO
「よし〜よくぞ言った、即刻跳ねてやるぞ!」
七星餓狼を振り上げながら近づく夏侯惇に曹操が声を張り上げた。
「春蘭、止めない!」
歩みが止まらない。
「夏侯元醸!上意である!!即刻止まりなさい!」
『ピクッ!』
曹操の覇気が混じった命令にようやく夏侯惇は歩みを止めた。
「なぜです、華琳様?」
「さっきあなたは生かしとく意味が無いと言ったけれど意味なら色々と有るわよ…色々とね。第一、今さら老人二人を斬った処で、戦局にどう影響が有る」
「・・・」
「それに春蘭!あなたは華琳様に無抵抗の老人を切った、って悪評をつけたいの!」
華琳様第一の荀文若がさらに付け足した。
「ぬぬぬ…」
荀文若に言われるのは抵抗が有るらしい夏侯惇。
「…ほほう、御遣い様が仰った通り配下を止めよったのう…」
『!?』
小声にも拘わらず曹操の耳に御遣いの単語が飛び込んだ、それから察するに彼は何かしら自分のこと知っているらしい。
そして自分だけが何かを知られてるのも釈然としないと考えた曹操は元城主らに問い掛けた。
「そう言えば、劉備と北郷は住民を見捨てて自分たちだけで逃げ出したのよね?」
「それは違いますぞ」
49 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 14:00:31 ID:BoI8nhkIO
「戦いもせず、自分達だけでこの場を去った。これを“住民を見捨てた”と言わずしてなんと言う」
「そうですね。確かに見ようによっては見捨ててますね」
「認めたな」
「認めた訳では有りません。ですが、確かに民は守りましたぞ」
「守った?見捨てておいて民は守っただと、面白い冗談ね」
「おや、これは異なことを?この戦…と言うには弊害が有るでしょうが、現に住民には犠牲者はおろか怪我人すら一人も出ていませんが?」
『『『――!?』』』
この突き付けられた事実に曹操軍の将はみんな驚いた。
“民の為に城を捨てる”
ここまで兵力差がある場合は通常考えられる行動は第一に降伏でる、ごく普通である。
次に降伏を良しとしない場合、どこかに援軍要請などしたのちに籠城である。
逆により強固な場所、頼れる国があれば戦略的撤退もありえるのだが劉備たちが治める地は徐州のみであり、また今回の攻め手の曹操軍は三十万である。
大変仲の良いと噂の孫呉であってもおいそれと救援の手を差し出さない踏んでいた、事実救援の気配は無い。
降伏の選択肢を蹴った劉備たち、ならば最後の選択は“城をまくらに討ち死に”
50 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 14:02:20 ID:BoI8nhkIO
『国と民を守ろうとした』と云って“誇りと無念を抱いて死んで逝く”またこれもよくある通例であった。
それを“確実に民を守る為に国と誇りを捨てたのである”
もし、侵略者である自分らが略奪をしたらどうするつもりだったのか?と考える曹操軍一同。
曹操軍の行動や軍律の厳しさ、それすらも計算されているのか?と、劉備軍の行動力と決断力に改めて驚愕を覚えた。
投げかけた問いがやぶ蛇だったと気付いた曹操はこの謁見を早く閉める為に口を開く。
「お前達はこの後どうするのだ」
「先ほども言いましたが攻め落とされた城の城主故、首を跳ねられるのを待っております」
「この期に及んでまだ減らず口を…ならばこちらも先ほど言った通り貴様ら老人二人を斬った処で、戦局にどのような影響が有る。失うモノがこそ有れど得るモノなど何も無い!好きにすればよい」
「好きにして良いと?ならばせっかく拾ったこの命、お言葉に甘えて自由にさせて戴きまする、それでは失礼いたします」
深々と頭を下げた後、退場していった二人である。
「稟、念の為に二人には見張りをつけなさい」
「了解しました華琳様」
「さて、劉備は何処に逃げたのかしら?・・・風」
51 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 14:04:00 ID:BoI8nhkIO
「・・・・・ぐー」
「風。起きなさい」
「おおっ!」
「起きたかしら?なら所感を述べなさい」
「ええと…劉備が逃げた先ということについて?」
「ええ。あなたの考えを聞かせてくれるかしら」
「ふむ。…劉備が逃げて、どこに向かうか。北は我らの領土。南は孫策、お友達みたいだから匿うのも有りかな?と思いましたが、所詮一つの檻に二匹の虎は収まりません。そして東は海。
 …ならば西しかないでしょうね〜」
「西…?」
「荊州が無難かな?とも思いましたが、我らと国境を接することになり、一時しのぎにしかならない。ならば…ふむ。益州辺りが条件に合う土地ではあるでしょうねぇ〜」
「…そうか!確か益州で、内乱が起こる可能性を示唆する報告があった」
「ありましたね〜。その争いの隙を突いて益州の城を一部占拠。その後、兵力と謀略によって益州平定。……おおー、素晴らしい未来予想図です」
52 名前:一刀十三号曰わく、[] 投稿日:2011/04/05(火) 14:07:58 ID:BoI8nhkIO
「捕まえるにしても現在に至るまであまりに時間を掛け過ぎたか…今頃は南経由でだいぶ先まで行っている筈(先ほどの報告ではどこも軍の貯蓄食糧は空、新たな食糧を確保出来なければ徐州以外は攻め込めない
 ・・・ならば今は当初の予定通り徐州を平定するのが優先)ならば皆、当初の予定通り徐州を平定する、各自振り分けられた仕事をなさい」
「「「ハッ!」」」
命令を受けて俊敏に動き出す臣下たち。
ただ一人命令を出した本人の心中は複雑であった。
「(・・・北郷一刀、あの初めて出会った時以来・・・また逃げられたの?・・・私はどうしたいの?)」
53 名前:一刀十三号 ◆keNb29aoZQ [] 投稿日:2011/04/05(火) 14:11:32 ID:BoI8nhkIO
「にゃー(ご静聴ありがとうございました、ではまた〜・・・って次、有るかな?俺)」
「でわ〜でわ〜・・・って、えっ!?」

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