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743 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 17:02:32 ID:cGZQ0M7i0
凪ものだーっと書いてみた。
最後に蒼天ネタを入れたかったんだが
病気なわけでも怪我したわけでもないから微妙

黒くなったところで止めておくべきだったかもしれないけど後悔してない。
戦場にて待つ。これが書きたかった
744 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 17:03:57 ID:cGZQ0M7i0
隊長がいなくなった。
その役割を終えて天の国へと帰ったと、華琳様から聞かされた。
漢王朝の腐敗を経て大陸に広がった戦乱の火は、私を隊長に巡り合わせ、その鎮火をもって私から隊長を奪い去った。
戦乱の終結を祝い、連日続く宴。
多くの笑顔や笑い声が飛び交うそれを、虚ろな目で眺める。
何がめでたいのか、何を喜んでいるのかなど解らない。
皆が素晴らしい日だと言うその日は、私達から隊長を奪った日ではないか。
悲しむことこそすれ、祝うなどありえない。
そんな事を考えながら、ふらふらと中心部から外れていく。
城壁を目指す。
隊長が消えたという場所へ、この街で天へと一番近い場所へ。

月を見上げる。
天は遥か高く、どうすればあの場所まで辿り着けるのか想像もつかない。
隊長は、もう手の届かない所へ行ってしまったのだ。
滲み出る涙を隠すかのように、顔を俯かせる。
「たい……ちょう……。
 何故、帰られてしまったのですか。
 なぜ、私達に別れの言葉もなく。
 なんで、皆を悲しませるようなことを。
 どうしてっ……私も連れて行ってくれなかったのですかっ!!」
『凪』
「えっ」
突然聞こえた声に、慌てて顔をあげるも、当然のようにそこには何もなく。
ただ無人の荒野が広がり、その空を、流れ星が過ぎていった。
「……」
そう言えば、隊長がこの世界に降り立った時、流れ星と共に現われたと聞いた。
もしかすると、隊長が帰って来たのかも知れない。
またあの笑顔で、あの声で、あの優しさで、魏を、皆を、私を包み込んでくれる。
城壁を飛び降り、制止の声を振り切り、どこまでも駆け抜けた。

746 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 17:05:30 ID:cGZQ0M7i0
夜が更けて、日が昇り切って、沈んで、代わりに月が昇ったところで、認めた。
ただの流れ星だったのだと。隊長とは何の関係もなかったのだと。
昼夜駆け抜け、血の巡りの良くなった頭は、一つの妙案を浮かばせた。
「そう……か。
 隊長はこの大陸の乱を治めるために来たんだ。
 なら、また乱が起きれば隊長は――」

     ●●●

「凪、いるかしら」
扉の向こうから華琳様の声がする。
華琳様が私の部屋を訪れるなどいつ以来だろうか。
「はい、少々お待ち下さい。今お開けします」
「このままで良い、一言告げに来ただけよ」
「……」
「天下泰平は成ったとは言え、五胡や北方の脅威はいまだ健在。
 戦乱の爪跡も癒え切らず、各国が総出でその修復に努めているわ。
 皆が前を向いて進んでいる。
 ――貴方は、いつまでそうやって歩みを止めているのかしら」
「……」
「言いたいことはそれだけよ。
 今朝方、伝令が入ったわ。五胡の軍が動き出したそうよ。
 私たちもすぐに出立する」
「……」
「戦場にて待つ!!
 歩みだす覚悟が出来たら来なさい」


「……」
隊長……私は、また前へと進むことができるのでしょうか――

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